動物たちは何をしゃべっているのか? の商品レビュー
動物たちは何をしゃべっているのか? 山極寿一 鈴木俊貴 集英社 ジュウシマツとゴリラの群と言語 単語を繋ぐ文法もあり 違う種族間のコミュニケーションもあり 嘘や冗談もあり 手腕を教えると過去の思い出話をし 人間は視覚に特化しているが それぞれが五感の何を主に使っているかで 自然...
動物たちは何をしゃべっているのか? 山極寿一 鈴木俊貴 集英社 ジュウシマツとゴリラの群と言語 単語を繋ぐ文法もあり 違う種族間のコミュニケーションもあり 嘘や冗談もあり 手腕を教えると過去の思い出話をし 人間は視覚に特化しているが それぞれが五感の何を主に使っているかで 自然の捉え方もまるで違うわけである 言葉に始まり文字による対話ななり 活字やインターネットやLINEやSNSの 利用によって肌感覚を失った 事務的なつながりへと落ち込んで行くと どうなるか? 心や意識を無視した唯物的価値観に 支配されてしまう事に対する問題に 取り組まなければならないだろう
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シジュウカラの言語やコミュニケーションの研究をする鈴木さんと、ゴリラの言語やコミュニケーションの研究をする山際さんの二人による対談本。お互い、対象こそ違えど、動物の言語、社会を研究する研究者同士、話す中で出てくる、話題の共通点や違い、話の広がりが本当に面白かった。 前半は、主に...
シジュウカラの言語やコミュニケーションの研究をする鈴木さんと、ゴリラの言語やコミュニケーションの研究をする山際さんの二人による対談本。お互い、対象こそ違えど、動物の言語、社会を研究する研究者同士、話す中で出てくる、話題の共通点や違い、話の広がりが本当に面白かった。 前半は、主に、それぞれの専門とする動物たちのコミュニケーションの実際や研究に関する話だった。 シジュウカラの鳴き声に単語のような意味はあるのか? その鳴き声に文法はあるのか? 鳴き声を聞いたシジュウカラは、その単語の映像をイメージしているのか? こうした問いを元に、人間のようにコミュニケーションを取れない鳥の言葉をどのようにして明らかにしていくのか、その研究方法もユニークで面白かった。個人的には、43ページの見間違いを利用した実験が好きだ。イラストもかわいい。 手話を教わったことで、過去の記憶を語り出したゴリラや餌の場所を正確に覚えている鳥。お母さんを騙して餌を手に入れるサバンナヒヒ。チンパンジーも心の理論を理解できるなどなど、動物も人間と同じように過去の記憶を持ち、思考していることが多くの研究で分かっているらしい。後半は、こうした動物の進化から、人間の言葉や現代のコミュニケーションの課題に話が発展していく。 動物の研究が、ただ動物について詳しくなる、というだけでなく、自分たち人間の言葉や社会を見る新しい視点になるという展開が、なるほどと思った。 何よりすごいと思ったのが、鈴木さんも山際さんも、そういった動物たちの「知性」を、実際に森に入り、動物たちと暮らす中で見つけたことだ。最後の章で、山極さんは「自然は、同じことを二度と繰り返さないんです。だからこそ新しい発見があるし、そこに喜びがある」と言っている。 フィールドに出るからこそ目にできる事実や、得られる空気感から新しい気づきがある。そういったことに気づける目を持っていたいと思えた。 動物だけでなく、人間の「言葉」というものをもう一度振り返ることのできる本だった。 動物の言葉に興味がある人はもちろん、心のどこかでやっぱり人間は動物とは違う、という素朴な気持ちを持った人にこそ呼んでほしい。
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ゆる言語学ラジオで紹介されていた本。 シジュウカラのコミュニケーションが特に面白かった。シジュウカラの「警戒、集まれ」という意味の発音を録音して、再生して実際に鳥が動いたときは感動しただろうなあ。逆順にしても動かないので、そこには明確な文法があるそうです。鳥のコミュニケーションに...
ゆる言語学ラジオで紹介されていた本。 シジュウカラのコミュニケーションが特に面白かった。シジュウカラの「警戒、集まれ」という意味の発音を録音して、再生して実際に鳥が動いたときは感動しただろうなあ。逆順にしても動かないので、そこには明確な文法があるそうです。鳥のコミュニケーションに単語レベルならまだしも、文法があるとか本当にすごい。 無意識に人間は他の動物とは違う特別な存在と傲慢に考えがちですが、他の動物に出来て人間に出来ないことはたくさんあるよってことを教えてくれる本でした。
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動物たちがどんなコミュニケーションを取っているのか、というタイトル通りのコンテンツももちろん面白かったです。 でも、個人的には1番面白かったのは「人類がどのように進化を遂げ、現在の言葉によるコミュニケーションに至ったか」という部分。 人間のコミュニケーションの本質は、踊りやジ...
動物たちがどんなコミュニケーションを取っているのか、というタイトル通りのコンテンツももちろん面白かったです。 でも、個人的には1番面白かったのは「人類がどのように進化を遂げ、現在の言葉によるコミュニケーションに至ったか」という部分。 人間のコミュニケーションの本質は、踊りやジェスチャーなどの視覚的なコミュニケーションや経験を共有することなどにある、という観点はとても面白かったです。 科学に近い分野なのに文系脳でもわかりやすく、言語学系の話も読み応えのある、ページ数のわりに骨太な本だったと思います。 この本を読むとなぜか「会社の人と飲みとか行ってみるか」となって、飲み会の予定をいくつか入れました(笑) 編集者をきっかけとして本を買うことはきっと最初で最後だと思いますが、とてもいい本、いい先生方にまた出会えてよかったなぁと思います。 水野さん本当にありがとうございます。
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「動物たちは何をしゃべっているのか?」読了。 いろいろな驚きと視点を与えてくれる本でした。本当にタメになった! 元京大総長であり霊長類研究、特にゴリラと共に暮らすという身体を張った研究をされている山極寿一さんと、シジュウカラの言語の研究者としてTVなどにも出演している鈴木俊貴...
「動物たちは何をしゃべっているのか?」読了。 いろいろな驚きと視点を与えてくれる本でした。本当にタメになった! 元京大総長であり霊長類研究、特にゴリラと共に暮らすという身体を張った研究をされている山極寿一さんと、シジュウカラの言語の研究者としてTVなどにも出演している鈴木俊貴さんの対談を書籍化したもの。 タイトルからは、動物はどれぐらい言語を操れるの?、ということが書かれているのかな?と思っていました。シジュウカラには文法がある、とか、ゴリラは人間とコミュニケーションできるとか、そんな感じの。 ところがどっこい、もっともっと深いテーマに発展し、動物の一種である人間についての考察にまで言及されていました。 人間vsそれ以外の生き物、という二項対立に落とし込んで物事を考えることの危険な一面。人間が「言語」を持ったことによる優位点と、その裏にある負の側面…。 そして、ここ数十年で一気に普及したテクノロジーによるコミュニケーションの落とし穴。 ゴリラ研究についてのエピソードや、シジュウカラの言語の話などの、動物たちのコミュニケーションの話もたくさん書かれているうえに、私たち人類がこれから考えていかなくてはならない「言語」との付き合い方まで、幅広い話題の本でした。 刺激になりました。 SNSを使ってのほほんとしている場合じゃないですよね。本当に。 人類、なんだか退化していませんか。本当に。 ※この本は、いつも聞いているポッドキャスト「ゆる言語学ラジオ」のメインスピーカー水野大貴さんが編集した本。ポッドキャストを聞いて知った本だけれど、読んでよかった。ほんと。
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子どもに薦められて読んでみました。自分のようなゴリゴリの文系人間でもすんなり読めました。鈴木先生のシジュウカラのフィールドワークや山極先生のゴリラの手話の話などは夢中になって読みました。音楽、ダンスからの言語的な考察も興味深かった。そしてSNSや言葉だけによるコミュニケーションに...
子どもに薦められて読んでみました。自分のようなゴリゴリの文系人間でもすんなり読めました。鈴木先生のシジュウカラのフィールドワークや山極先生のゴリラの手話の話などは夢中になって読みました。音楽、ダンスからの言語的な考察も興味深かった。そしてSNSや言葉だけによるコミュニケーションによる人類の退化の可能性は気になりました。 先日ちょっと話題になった化学を「ばけがく」と言うと通じない問題もそれとは無関係ではないのだろうな。 こういう自然科学も社会科学もまたがる学際的な研究はどんどん進めてほしいし研究資金を出してほしいと心から思いました。
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おなじみゴリラ山極氏と最近注目のシジュウカラ鈴木氏の対談、おまけに「ゆる言語学ラジオ」水野氏の編集とあっては、買うしかない。ということで、即予約して購入。 個人的にまさに気になっていることが話されていて、一気読みしてしまった。 人間は世界を感覚(五感なり科学的測定なり)で受け...
おなじみゴリラ山極氏と最近注目のシジュウカラ鈴木氏の対談、おまけに「ゆる言語学ラジオ」水野氏の編集とあっては、買うしかない。ということで、即予約して購入。 個人的にまさに気になっていることが話されていて、一気読みしてしまった。 人間は世界を感覚(五感なり科学的測定なり)で受け取り、言葉で理解する。だが、感覚には限界がある。そして、言葉にも限界があるのだ(普段意識しないかもしれないが)。 もちろん、人間は人間なりのやり方(科学と言ってもいいかも)でやっていくしかない。しかし、そのやり方に限界がある以上、この世界の中に捉えきれない領域が残ってしまう。そのことは、少なくとも認識しておくべきだろう。そして、「人間とは違うやり方」をしている動物から学べることは多いはずだ。
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