動物たちは何をしゃべっているのか? の商品レビュー
シジュウカラ研究家の鈴木俊貴さんと、ゴリラ研究の第一人者山極寿一さんの対談本。 お二人とも、野外で長い時間動物たちと身近に接しながらその生態を研究するタイプの研究者だ。時間はかかるが、観察することによりわかってくることは多い。 シジュウカラは、特有の言葉で仲間に危険を知らせている...
シジュウカラ研究家の鈴木俊貴さんと、ゴリラ研究の第一人者山極寿一さんの対談本。 お二人とも、野外で長い時間動物たちと身近に接しながらその生態を研究するタイプの研究者だ。時間はかかるが、観察することによりわかってくることは多い。 シジュウカラは、特有の言葉で仲間に危険を知らせている。そしてその囀りに一定の文法があることを発見している。山極さんは、ゴリラの間近で生活することで仲間と認められることで、その生態を観察してきた。 人間には動物にできないことが多いが、動物にも人間にできないことがあるようだ。動物それぞれにできることはあり、それを尊重した発言には一家言ある。そして動物の言葉は、野生で生きていくためのものであるため、動物園のような安全で食事に困らない環境では、言葉はあまり発せないというのも納得できる。 動物の非言語的なコミュニケーションに興味がある人に読んでほしい一冊。
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対談形式でページ数の割にはよく言えば読み易いが、内容的には著書の多い山極氏であるため重複する部分も多いように感じた。 二者の化学反応というものもそれほど感じられないが、探求分野と我々の日常への結びつきは興味深いものであるので、動物の生態学から人間の存在を掘り下げる妙味は各者のより...
対談形式でページ数の割にはよく言えば読み易いが、内容的には著書の多い山極氏であるため重複する部分も多いように感じた。 二者の化学反応というものもそれほど感じられないが、探求分野と我々の日常への結びつきは興味深いものであるので、動物の生態学から人間の存在を掘り下げる妙味は各者のより専門チックな書に尋ねてみるかと思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
動物の認知している世界とヒトの世界には重なりもあるが、互いに認知の及ばない領域があり、どちらが優れているか、という類いのものではない、という前提に立って、リスペクトを持って知ろうとする姿勢が肝要なのだ。 ヒトの言語の優れた面(「今」「ここ」以外を語る、ストーリーを組み立てる、文字というツールで複雑かつ抽象的な情報を時空を超えて伝える)を、テクノロジー(AIやSNS)の利便性を賢く利用して、言語化で切り捨てられる非言語認知、暗黙知、身体的共感性を意識的に補完することに未来を見た。 顔の見えない相手と文字でつながる世代の子どもたちこそ、文字の間になるものを読み取り伝え合う力を持てるとよい。
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最後は現代社会を憂いておきながら、そこら辺のおじさんでもわかるような希望を語って終わる よくある対談本のつまらなさそのまんま
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前半は二人の対談者それぞれの研究対象の言語・コミュニケーションについての紹介のようなお話。 文法の有無を探る実験手法のお話とゴリラの思い出の表出などが特におもしろかった。 後半では現代の人間社会の文字ベース・言語ベースのコミュニケーションの問題点というか、原始の人間や動物たちが生...
前半は二人の対談者それぞれの研究対象の言語・コミュニケーションについての紹介のようなお話。 文法の有無を探る実験手法のお話とゴリラの思い出の表出などが特におもしろかった。 後半では現代の人間社会の文字ベース・言語ベースのコミュニケーションの問題点というか、原始の人間や動物たちが生きていた世界との隔たりのようなものについてのお話になり、普段私も考えることのあるテーマだったので、より興味を持って読み進められた。
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ゆる言語学ラジオきっかけ、 バリューブックスさんで購入。 鳥の研究者と、ゴリラの研究者が、 それぞれの分野から得た鳥、類人猿の「おしゃべり」についての対談。 ゆる言語学ラジオを聴いていなかったら絶対手に取っていなかっただろう本だと思う。 主にシジュウカラのコトバを解明するため...
ゆる言語学ラジオきっかけ、 バリューブックスさんで購入。 鳥の研究者と、ゴリラの研究者が、 それぞれの分野から得た鳥、類人猿の「おしゃべり」についての対談。 ゆる言語学ラジオを聴いていなかったら絶対手に取っていなかっただろう本だと思う。 主にシジュウカラのコトバを解明するための実験の話なんかがラジオを聴いていて面白かった部分だったけど、その背景を知った上で読むエピソードの数々は、知っていても読みごたえがあった。 もちろんそれはゴリラの話も。 写真が豊富で、注釈もふんだんだけど読む時に邪魔になりにくい工夫があって、シンプルにとても読みやすい。 スルスルと読んでいくうちに、 気がつくと今度は人間の言葉について、現代の人間そのものについて、いろいろと考えさせられる。 お二人の対談の中に出てくる現代の人間がもつ課題、そこに至る仮説が、人間の環世界からは少し離れた、メタな視点から生まれるのがとても興味深く、これはシジュウカラやゴリラの環世界を出来るだけ体験しよう、近づこうとしてきた研究者のなせる技なんだろうなと思った。 動物好きにはたまらない、 でもうっかりスイスイ読み始めると、「人間、とは?」という思考の沼にあっさり捕まる。 面白かった!
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ゆっくり読もうと思ってたけど一気読みしてしまった。言語は急速に発達してたけど心身がその進化についていけていないって感覚めちゃめちゃわかるな〜 いつもうまく言語化できないことに落ち込んでたけど進化の途中だから仕方ないやって思える笑 私は身振り手振りも積極的に使っていく
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とても面白くてワクワクしながら読んだ。シジュウカラの文法も昔の知り合いのゴリラが動作で思い出を語るのも。 コミュニケーションがどんな理由でどの方向に向かうか。人も動物もそれぞれの特性に合わせて進化している。お二人の話はヒトという種が手にした文字というコミュニケーションの危うさにも...
とても面白くてワクワクしながら読んだ。シジュウカラの文法も昔の知り合いのゴリラが動作で思い出を語るのも。 コミュニケーションがどんな理由でどの方向に向かうか。人も動物もそれぞれの特性に合わせて進化している。お二人の話はヒトという種が手にした文字というコミュニケーションの危うさにも及ぶ。 専門的なテーマを楽しく語ってくださっているお二人の学者さんに感謝。
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今まで見てこなかった知識が詰まっていて、色々と新しいことを知ることができました。 また、対談形式で話が進むため、とても読みやすかったです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
二人の研究者の対談は、とっつきやすい話から始まり、だんだんと深い話になっていく。対談が進むうちに、対談することで二人の考えが深まっていく。ヒトが、森を出て以降、どういうふうに情報や思いを伝えるようになってきたのかという仮説と、それがこの数十年でどのように変化しているのか、どういう問題が起きそうか、という考察がある。検証の難しい仮説だけれど、現在のヒトの社会の課題を考えるのに必要な仮説だと思う。科学ってこういうことなんだなぁと深く感じた。それと..会って話をして、話を深めるというお手本だと感じた。あ~あ、面白かった。
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