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動物たちは何をしゃべっているのか? の商品レビュー

4.1

57件のお客様レビュー

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2024/06/23

研究対象ゴリラとジャングルで暮らした山極寿一 森林で四十雀研究を続ける鈴木俊貴 二人が自分たちの研究成果から進化の歴史、言葉のもたらしたもの、文字文化の暴走、SNSの功罪などを語り尽くしている。人間と比べて出来ないことを並べ動物たちを下に見るが、動物たちに出来て人間には出来ない...

研究対象ゴリラとジャングルで暮らした山極寿一 森林で四十雀研究を続ける鈴木俊貴 二人が自分たちの研究成果から進化の歴史、言葉のもたらしたもの、文字文化の暴走、SNSの功罪などを語り尽くしている。人間と比べて出来ないことを並べ動物たちを下に見るが、動物たちに出来て人間には出来ないことは山ほどある。最近、象もお互いに名前をつけて、名前で呼ぶ、という研究成果が発表されるのを見たが、ゴリラも四十雀も言語のようなものをもち、コミュニケーションしていることがわかっているようだ。 二人の話は結構自慢話の要素も多くて、競い合ってるようで微笑ましい。鈴木さんは愛犬の話をしょっちゅう例として出してるけど、それも犬好きの私としては読んでいて楽しかった。 文字の発明でここまで人間を進化させたと見るが、その進化に人間の身体の進化が追いついてなくて、ネット社会で炎上や中傷が起こる要因ともなってるともいう。私も犬と暮らす中で、言葉はいらない、ことばは余計だ、と感じることがよくある。 せっかくの発明、上手に付き合っていければいいと思う。

Posted byブクログ

2024/06/01

当初はてっきり「鳥和辞典」のような感じで「チュンチュン」は「ごはん」、「ピピピピピピ」は「上から来るゾ気をつけろ」 のように鳥語の意味を引くようなものだとばかり勝手に思いこんでいたが、どっこい、動物研究の双泰斗による動物言語学研究の最先端一番地を通して動物達のコミュニケーションの...

当初はてっきり「鳥和辞典」のような感じで「チュンチュン」は「ごはん」、「ピピピピピピ」は「上から来るゾ気をつけろ」 のように鳥語の意味を引くようなものだとばかり勝手に思いこんでいたが、どっこい、動物研究の双泰斗による動物言語学研究の最先端一番地を通して動物達のコミュニケーションの本質を探り合い、やがて人類言語学の‘いま’を発展させた未来絵図までに言及される壮大な書でありました。 全4パート構成になっており、それぞれの最後にはそのパートの重点がまとめられているという親切なつくり。総ページも200ちょっとでお二人の対話がサクふわと軽快に読めて、かつ新しい視点・思考を得られる満ち足りた読後感。 以下、備忘録。 ・動物の言語研究は難しい→当たり前だが、野生と飼育下ではそもそも「鳴く必要性」(p29)に違いが生じるから→鳴く=言葉をどれだけ扱えるのかは「住む環境に左右される」(p32)。 ・赤ちゃん言葉のような「インファント・ダイレクテッド・スピーチ」(p47)が人間の言語の原型ではないか。 ・「「今」「ここ」以外についても語れる能力」(p62)=「超越性と言われるもので、今のところ人間以外に見つかっていない力」(同上)。だが、他の動物も記憶や認知に近いものを持っている可能性はある。例)昨日の出来事や明日の予定 ・「相手が心を持っていると仮定する能力、いわゆる心の理論を持っているかどうか」(p85)が鍵。チンパンジーはある。「社会の複雑さ」(p87)が関わる。→「心の理論を持つためには、自意識に加えて共感能力が必要じゃないか」(p92)。自意識とは「自分が何をしているかわかっていること」。 ・「インデックス・アイコン・シンボル」(p107)→アイコンは集団で共有しないと意味がない。シンボルには更に恣意性を要する。恣意的とは「言語が指し示すものと、それを表す記号の間に必然的な結びつきがないさま。」(p39)例)ハト=平和 ・「「言葉を扱う能力」と「言葉を話せること」は別」(p113)前者は認知能力の問題、後者はからだの作りの問題。 ・言語の発達要因は多産化が影響?→群れで生活するうちに社会性が発達、それが「道徳」を生んだ→「本来の道徳は、身体化されたものだったはずです。身体化というのは、頭や文章で考えて論理的に結論を出すのではなくて、瞬時に文脈から判断できるということ。」(p155) 例)「いいよ」が肯定か否定か →文脈とは「マルチモーダル。視覚や聴覚、触覚といった、複数の感覚を使うということ」(p159) 例)身振り手振り、声のトーン、表情 ・人間は言葉・文字に依存している一方で、加速度的に氾濫する言葉・文字に振り回されているのではないか。「人間の思考そのものが文字に制約されるようになった」(p180)→「ヒトのコミュニケーションの中にはまだ言語化されていないような音楽的な要素もあって、言葉を並べるだけではそれを伝えきれない」(p185) 例)SNSの炎上、創作における心情描写 ・「文脈を理解する力」(p195)が人間は衰退し始めている?→ 「他人の感情や気分といった、文字にならないものは軽視する社会」(同上)へ。→ 「現代は、言語化されない感情や文脈を読むよりも、明文化されたルールや制度にすがるほうが生きやすい社会」(p197)→なぜなら「人類の集団のサイズが極端に大きくなったことと、言葉の独り歩きによって個体どうしを結び付ける社会的グルーミングが難しくなったから」(同上) 例)SNS、メタバース、AI、翻訳アプリ → コロナ禍がこの状況を更に加速させた。「心の弱体化」(p200) →想定される未来として「感情や身体性を捨てることになる」(p205)のではないか? ・解決法の提起→「テクノロジーを使って新しい縁をどんどん作ればいい」(p209)。誰かに会って、誰かと何かをすることなど。 結構ハッとさせられる発言があり、文字と言葉に振り回されているな、というのは私レベルでも実感できる。共有のつもりでTEAMSに報告を投稿したら書いていないし意図していない事が独り歩きしだして、結局対面打ち合わせで説明し直したりとか。その場でちょっと聞いてくれればいいのに。 こういった事が社会レベルでも頻発しているということであり、便利な一方却って面倒くさいな、という事を引き起こしているような気がする。「。ハラ」とかくだらな過ぎるし文脈を読んでくれよ、と思うし若者の電話離れ・電話が怖いとかは社会性の欠落ということか。 さて、あなたは今日、誰としゃべりましたか? 2刷 2024.6.1

Posted byブクログ

2024/05/24
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⭐︎5では足りないくらい、面白く興味深い内容だった。 ゴリラ研究者:山極先生と、シジュウカラ研究者:鈴木先生の対談形式。ゴリラ・シジュウカラ研究の双方からアプローチして、共通点や相違点を整理しながらヒトのコミュニケーションまで広げていく。 まず感じたのは、お二人の対談には大きな化学反応が起こっていること。全く違う動物の研究をしていながらお互いの研究に刺激を受け相手の言葉を繋げていく。自分の分野だけ主張しているのかと思いきや、受けて、伸ばしていく。対談形式は苦手な私だが、全く読んでいて不快にならなかった。それは、誰よりも非言語コミュニケーションの大切さを理解している方々だからだろう。相手を敬い知ろうとしないと、こうはいかない。普段から生きもの相手に知ろうとする行動をしているからというのもあるだろう。  人類と他の動物という二項対立をやめ、もっと俯瞰的に見ていかないと人類の言語に関する理解は深まらない。また、SNSの発達によって言葉に頼らない部分の認知能力が欠如してきている懸念。一から十まで説明しないと、漫画の主人公の心情が理解できないなんて、由々しき問題だ。 文字だけの情報、また文字を埋めるように感情を載せた形容詞だけではコミュニケーションは万全とは言えない。それに関して言えば、ヒトはもっと生きものから学ぶことがたくさんある。 自分自身のコミュニケーションも反省しながら、読み進めることができた良書だった。

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2024/05/23
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全編面白かったけど特にPart4の「バーチャルがリアルを侵す」の章は面白かった。「AIも言語と論理によって成り立っている計算機」かあ・・。ヒトはこれからどのような道を歩むんだろう。

Posted byブクログ

2024/05/19
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まず一読了。 動物たちがそれぞれの感じ方で世界を認識している、というお話が、以前読んだ『メタゾアの心身問題(ピーター・ゴドフリー・スミス)』とも通じる気がしてとてもワクワクした。また『人間は、いちばん変な動物である(日髙敏隆)』で論じられていたところから研究がさらき一歩出ているように感じられて、これからの動物言語学の可能性に期待したくなってしまう! 人間の言語については、歌と踊りについての論に感動したし、言葉が文脈や感情から離れ/離されてひとり歩きをはじめている、という点に深く頷いた。脳が縮んでいるというのはショックな話だがーー口承物語が廃れつつあることも関連するだろうかーー現状を踏まえるとやむなしという気がする。樹々のコミュニケーションについて語られなかったのが少しだけ残念。

Posted byブクログ

2024/05/19

・章が終わるごとに章のまとめが書いてあるので覚えやすいと思う。 ・そこまで難しい内容ではなかったので簡単に読めると思う。(わかりやすく話してくれる。) ・山極さんと鈴木さんの話を書き留めた本。 ・動物のことがよくしれてよかった。 ・これからは鳥の鳴き声などを意識して聞いていたいと...

・章が終わるごとに章のまとめが書いてあるので覚えやすいと思う。 ・そこまで難しい内容ではなかったので簡単に読めると思う。(わかりやすく話してくれる。) ・山極さんと鈴木さんの話を書き留めた本。 ・動物のことがよくしれてよかった。 ・これからは鳥の鳴き声などを意識して聞いていたいと思えた。 ・とても良い作品だった。

Posted byブクログ

2024/05/14

各章にまとめのページがあってわかりやすい。 ヒトは視覚的コミュニケーション、鳥は音声コミュニケーション。それを分けるのは飛べるかそうでないか。、、、なるほど! シジュウカラの鳴き声が文節を持ち、文法に従ってコミュニケーションをとってるなんてびっくり!

Posted byブクログ

2024/05/05

鳥になった研究者とゴリラになった研究者の、動物の世界から見た人間の言語と文化、未来の対談。 所々難しいと感じるところはあったものの、対談であるので大きく引っかかることなく最後まで楽しく読めました。 人間と比べて動物はどう見えているのか、感じているのか、ではなく、動物の世界の見え方...

鳥になった研究者とゴリラになった研究者の、動物の世界から見た人間の言語と文化、未来の対談。 所々難しいと感じるところはあったものの、対談であるので大きく引っかかることなく最後まで楽しく読めました。 人間と比べて動物はどう見えているのか、感じているのか、ではなく、動物の世界の見え方を優劣つけることなく語り、そこから見える人間の特異性、急激に発達した現代社会についてもそれぞれの考えを述べています。 興味深かったのは、言語で明確なコミュニケーションを取れない動物たちの思考や言語を、どのようにして実験で解明していくのか、といった現場の実験方法。 シジュウカラの言語を調べている鈴木さんは、森の中でシジュウカラたちと共に過ごし、鳴き声の特徴を紐解いています。 言語とは何か?当たり前に使っている言葉はどのようにして形作られたのか? 動物はどのようにしてコミュニケーションを取っているのか? 人間よりは知能が劣ると考えている動物たちのほうがずっと優れた感覚を持っていたり、争いを避ける術を持っていたりする。 凝り固まった世界観に風穴を開けてくれるような、大人にこそ読んでほしい一冊です。

Posted byブクログ

2024/05/05

鳥類(シジュウカラ)、霊長類の「言語」について、それぞれの第一人者の対談を通して、ヒトのコミュニケーションのあり方や生末まで思いを馳せられる本 ヒトとは異なる動物たちの視点を提示されることで、否が応でも世界を見る角度が少し変わるような気がする

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2024/04/28

中学国語の教科書に鈴木さんのジジュウカラが載ってい以来、学校関係者、図書館関係者の間では早く鈴木さんの本がでないかと期待は高まるばかりだった。 で、やっとこの本が出た。 山極さんも国語の教科書に載っているし、しばしばテストや入試問題にも取り上げられるし、知名度抜群の人なので、良い...

中学国語の教科書に鈴木さんのジジュウカラが載ってい以来、学校関係者、図書館関係者の間では早く鈴木さんの本がでないかと期待は高まるばかりだった。 で、やっとこの本が出た。 山極さんも国語の教科書に載っているし、しばしばテストや入試問題にも取り上げられるし、知名度抜群の人なので、良い組み合わせだと思う。 内容も、動物の言語からヒトの言語や社会を考えるもので、良かった。 しかし。お二人とも学者なので、科学だけでなく、言語学、人類学など様々な基礎知識が高いので、注釈や説明イラストはあるものの、内容は駆け足なこともあり、中学生には難しいかな、という印象。 山極さんとは別に単著で、シジュウカラ周辺をまとめた、中学生も読める一般書あたりが期待されてた本だったと思うけど。 しかし、研究もお忙しいだろうし、性格的にテキトーに人任せにできる方でもなさそうなので、なかなか難しいかもしれない。 気長に待つ間に研究が進んだり方向性が変わったりする可能性もあるし。しかしその商売っ気のなさが鈴木さんのいいところって感じもする。

Posted byブクログ