琥珀の夏 の商品レビュー
とても読み応えがある一冊でした。 宗教的団体の中で暮らす少女たちと麓で暮らす少女の物語。 過ごす環境でこうも変わるのかと怖くなりました。 ずっと罪悪感を抱えたまま大人になった少女 すっかりそんな事も忘れて過ごした少女 先が気になってどんどん読み進められる一冊でした!
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限りなく星5。 ノンフィクションなんじゃないか?と錯覚してしまうほどリアルさが伝わってきた作品だった。辻村さんはこの著書を書くのにあたり相当な取材を重ね、辻村さんなりの考察、思いを丁寧に、単語レベルまで拘って仕上げた作品なんじゃないかと思う。親子の愛情のこと、大人の勝手な都合で歪...
限りなく星5。 ノンフィクションなんじゃないか?と錯覚してしまうほどリアルさが伝わってきた作品だった。辻村さんはこの著書を書くのにあたり相当な取材を重ね、辻村さんなりの考察、思いを丁寧に、単語レベルまで拘って仕上げた作品なんじゃないかと思う。親子の愛情のこと、大人の勝手な都合で歪んで?傷ついて?しまう子供たちの心、外から見ると異質な集団でもそれに依拠し、生きがいすら感じてる人がいるという現実、色々考えさせられる作品だった。さすが辻村さんと唸るしかない良書。
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やっぱり辻村先生の描くお話が好きだ。 読み出すと止まらなかった。 人の記憶は曖昧で、自分の都合良いようにねじ曲がって変わっていったりするけど、二人の大事な思い出がちゃんと同じでよかった。
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読み終わって何が面白かったかというと正直出てこない。しかし明らかに読むことに熱中していた。それは作者の圧倒的な心理と状況の描写である。展開はおっとりしているし大きな事が起こる訳では無い。幼少期の経験環境の大きさや心の傷をリアルに描き互いの関係の理解の難しさを突きつけられた。節々か...
読み終わって何が面白かったかというと正直出てこない。しかし明らかに読むことに熱中していた。それは作者の圧倒的な心理と状況の描写である。展開はおっとりしているし大きな事が起こる訳では無い。幼少期の経験環境の大きさや心の傷をリアルに描き互いの関係の理解の難しさを突きつけられた。節々から私たちは自分の感じたこと、考えた事は他の人もそうであると底で考えてしまう。自身の価値観でしかものを見れないが故に他を理解できない寄り添えないのだなと思い知らされた。
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過ぎ去りし夏 遠いあの日の記憶を ほろ苦く感じていたのに・・・ 苦さや痛さに麻痺していく過程、 それが年齢をとるということなのだと 気づかされたこの頃
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前半おもしろくて読み進めるにつれてどんどんのめり込んでいったけど後半からちょっと失速感があった気がする。結構分厚い作品だから読み応えがあるけどやっぱり実際何が起きてたのかが読んでる時にずーーーーーっと気になりすぎて一気に読んでしまった。読後感は安心感もありつつちょっと切ない。でも...
前半おもしろくて読み進めるにつれてどんどんのめり込んでいったけど後半からちょっと失速感があった気がする。結構分厚い作品だから読み応えがあるけどやっぱり実際何が起きてたのかが読んでる時にずーーーーーっと気になりすぎて一気に読んでしまった。読後感は安心感もありつつちょっと切ない。でもめっちゃ心に残るとか響くとかはこの作品は個人的にあまりなかったかなと思う。 子供特有の無邪気でキラキラしてる感じが描かれててめちゃくちゃ懐かしい感じがした。ミライの学校の教育方針の中にある、子供の自立心を育てて自分で考える力を大事にするってゆう所アメリカのそれに似ててすごくいいと思った。
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⭐︎4.2 ボリュームが凄いのに、言葉一つ一つがずっしり重くのしかかってくる感じ。 内容も決して軽いものではないのに、ページを進める手が止まらなかった。 大人はどうしても自分の経験や視点だけで、子供を決めつける節があると思う。 想像しているよりも、子供はすでに自立した思考を持...
⭐︎4.2 ボリュームが凄いのに、言葉一つ一つがずっしり重くのしかかってくる感じ。 内容も決して軽いものではないのに、ページを進める手が止まらなかった。 大人はどうしても自分の経験や視点だけで、子供を決めつける節があると思う。 想像しているよりも、子供はすでに自立した思考を持っているのかもしれない。 自立を促すはずの「ミライの学校」が結果的に自立を奪っていると同時に、大人が大人として存在する尊厳も奪っていたように感じた。 読んでいる間は深く考えることはなく、物語として素直に読むことができた。 読み終えて振り返ってみると、言語化できない感情が余韻として残り続けている。
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見つかった白骨死体はあの夏一緒に過ごしたミカちゃん? ミライの学校の夏合宿で出会ったノリコとミカ。親と離れ育ったミカと、麓に帰ったノリコ。ひとつの事件が再び2人を繋ぐ。 久々の辻村さん、安定して面白かったけど少しパンチに欠けた、かも。
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教育・親子関係・友達との人間関係・法・性などさまざまな要素が複雑に絡み合う長編大作であるため、感想を一つにまとめるのが難しいが、自分自身小さい子供を育てている身として、どのテーマも切実で自分の生活と地続きになっているように感じた。 〈ミライの学校〉で行われている〈問答〉は、子供の自由な発想・思考を促しているように見えるが、実際には子供たちは「どう答えれば大人が喜ぶか、自分を褒めてくれるか」という観点に縛られている。普通の学校ではあまり議論されない愛や平和といったテーマについて子供達に考えさせることはいい教育だと思うが、大人が考える「正しい価値観」の方向へ子供たちを少しでも誘導しようとした瞬間に、その議論は全く教育的ではなくなり、プロパガンダの押し付けになる。 子供は、大人の心情の機微な変化をもしかすると大人以上に感じ取れる。だからミカは自分の願いを〈秘密〉としてほとんど誰にも話さなかった。私自身、「こういう話題はお母さんが嫌がる」と思って本当は話したくても話せなかったことが多くある。子供側のある意味「忖度」と呼んでもいい大人の感情を推し量る行為は、無自覚的にマインドコントロールされているようなものである。自分もそう陥ってしまう可能性があることを認識し、自分の子供に対しては極力「忖度」させない接し方ができればいいと感じた。 また、法子が、娘の保育園が決まって心から安堵した時の場面が印象的。「小さいうちは成長を見届けたい」「こんなかわいい時期の子を他所へ預けるなんて」というようなことに共感は抱きつつも、でも保育園に預けることは、法子にとって「仕方のないこと」。それと同様にミカが自分の娘をミライの学校に預けることも「仕方のないこと」だったのかもしれず、その二つは全く別個のものではないという気づきを法子が得たところが切実だった。他人の価値観を全て受け入れる必要はないが、否定することは決してできないことの証左。 同じ場面にあった「親に叱られ、親に対して腹を立てていても、親が手を差し出せば子供はその手を取らないという選択肢はない」のような一文で泣いた。実際子育てをしていると、そう思うことがある。自分が叱ったり怒ったりしても、子供は自分を嫌いにならないし抱っこしてほしいとせがむ。そういう尊いいじらしさがいつまでも続くものではないと心に刻み、子供との時間を大切にしたいと思った。 最後に、〈ミライの学校〉という団体そのものやその関係者含め、登場人物全員が決して全くの「悪人」ではなかった。だから全員人間味があって、愉快でもあり恐ろしくもあった。辻村さんは「実際にこういう人がいたらヤバいだろうな」と思いつつも「でもどこかにこういう人絶対いるだろうな」みたいな人物を描く解像度が非常に高く、面白い。
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ミステリーの「自分が殺した」ほど信用できないものはない。どの本も揃って直接的に手をかけていないし、この本も然り。 辻村さんは面白いという先入観から読んだが、自分の想像通りに物語が進んでいって、がっかりする気持ちもあった。 ミステリーだと思って読んでたけど、そうではなかったのかな。 辻村さんは、やはり人の心を美しく書くことが上手いなあと思った。
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