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琥珀の夏 の商品レビュー

4

216件のお客様レビュー

  1. 5つ

    59

  2. 4つ

    78

  3. 3つ

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2024/06/08

さすが辻村さん、すっごいところを突いてくる。 子供にとっての幸せとは何か。教育とは何か。 そもそも正しい間違っているなんて価値観は社会にあるのか。 なんて子供の心理描写が上手いんだろう。自然の学校での日々を読みながら、自分の子供時代を思い出す。 登場人物たちの心の深ーい根幹の...

さすが辻村さん、すっごいところを突いてくる。 子供にとっての幸せとは何か。教育とは何か。 そもそも正しい間違っているなんて価値観は社会にあるのか。 なんて子供の心理描写が上手いんだろう。自然の学校での日々を読みながら、自分の子供時代を思い出す。 登場人物たちの心の深ーい根幹の所まで切り込んでいく様がお見事としか言いようがない。

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2024/06/08

この気持ちをなんと言い表せば良いのだろう。 辻村作品の真骨頂だなぁと感嘆する。 全てが対比で描き出されていく感覚。 過去の思い出と現在。 親と子。理想と現実。善悪や甲乙はつけられないまま、物事は一様に計れない事を教えてくれる。宗教団体「ミライの学校」という特殊な環境を舞台に描か...

この気持ちをなんと言い表せば良いのだろう。 辻村作品の真骨頂だなぁと感嘆する。 全てが対比で描き出されていく感覚。 過去の思い出と現在。 親と子。理想と現実。善悪や甲乙はつけられないまま、物事は一様に計れない事を教えてくれる。宗教団体「ミライの学校」という特殊な環境を舞台に描かれる登場人物の感情は、私たちのそれとどこまでもリアルで地続きだな、と。

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2024/06/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

30年前の記憶と現在を行き来しながら描かれる物語。 理想と現実、閉鎖された空間での生活、幼い頃の親との別離生活、無償の愛を受けて育つことの必要性、こどもの残酷さ、大人の身勝手さ… 全てが悪で、全てが善で、ということはこの世の中にはない。 何かが足りなかったり、どこかが間違っていたり、多分その程度。 そんなことを考えながら読んだ。 救いのあるラストにホッとした。 読みながら角田光代さんの「八日目の蝉」が脳裏をよぎった。

Posted byブクログ

2024/06/01

子ども時代がその後の人生において与える影響は大きい。 親とは容易に会えない環境下で自律について学ぶことは一見良いようにも思えるが、独占的な愛情は子ども時期にしか得られない。その時にしかできないことは、その時にしなければならない。後で後悔しても時間は戻らない。そんな未来は残酷だと思...

子ども時代がその後の人生において与える影響は大きい。 親とは容易に会えない環境下で自律について学ぶことは一見良いようにも思えるが、独占的な愛情は子ども時期にしか得られない。その時にしかできないことは、その時にしなければならない。後で後悔しても時間は戻らない。そんな未来は残酷だと思う。 その一方で、考える力や誰も見捨てない思想は世の中に不可欠である。そういった学校の理念には納得できる部分があるし、自分も見習おうと感じた。

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2024/05/31

ボリュームも内容も分厚い話でした。いくつかの親子の形と、子供の教育について大人はどうあるべきか、考えていくきっかけになるもの。若干カルトめいた表現も入るため、どう捉えるかは読者次第にはなるものの、恐らく捉え方は話中の一般的な人々と大差ない点は自戒。話は決して気持ちの良いものではな...

ボリュームも内容も分厚い話でした。いくつかの親子の形と、子供の教育について大人はどうあるべきか、考えていくきっかけになるもの。若干カルトめいた表現も入るため、どう捉えるかは読者次第にはなるものの、恐らく捉え方は話中の一般的な人々と大差ない点は自戒。話は決して気持ちの良いものではないし、心理的な黒さの一方で、しっかりとした着地と救済が見えるのは良かった。けん先生にもうちょっと触れるかな?と思ってたが……少しサイドストーリー気味な扱いなのかな。

Posted byブクログ

2024/05/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なんとも深くて重いテーマ。 「ミライの学校」に翻弄される子供と大人。 何が正しくて、何が間違っているのかを考えさせられました。 後半の「真実」に期待しすぎていた分、ちょっと物足りなかったです。

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2024/05/12

最初から最後までぞくぞくし続けた。 問答の大切さを感じる中で、それがいつの間にか誘導になってないのか。なんだか胸の下奥をぎゅっと掴まれた気分に。

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2024/05/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エピローグが最高だった。 ミカとノリコ、それぞれの関係性の変化、個々人の変化が感じ取れるエピローグだった。 ミカの娘の呼び指す鳥の先にいる、ノリコに気づく。表現があったが、映像として見て取れるような書き方で凄すぎる。 本当に何があったかわからないが、自分の想像しうる悪い方に考えてしまうことはある。その中で最後に頼れる大人が先生でなく、親であって欲しかったなと思う。 子供の頃にあった記憶、なぜかすごい覚えている記憶とかある。 良いことと悪いことの両方が切り離しようもなく捻れてくっつき合い、闇と向こうで不気味にうごめいている。 本作とは関係ないが、自分ごとのように考えると、小さい頃から、親と離されて暮らすのはやはり辛いなと思う。たしかに離れて暮らすことで子供たちとの間でのコミュニケーションなどは上手くなると思うが、親、家族とでしか得られない愛とか信頼とか安心とかそういったものがあると思っている。それを大事な時期に感じられない環境にいるのは少し勿体無いことだなぁと思った。

Posted byブクログ

2024/05/05

すべてとは言わないまでも、辻村深月さんの作品は結構読んでいるほうだと思う。一作ごとに趣向が凝らされ、特定のジャンルに固定されない。作品の幅が本当に広い作家さんである。 子どもを親元から離し、自然の中で共同生活を送らせる団体「ミライの学校」。弁護士の法子は小学校のときの3年間、こ...

すべてとは言わないまでも、辻村深月さんの作品は結構読んでいるほうだと思う。一作ごとに趣向が凝らされ、特定のジャンルに固定されない。作品の幅が本当に広い作家さんである。 子どもを親元から離し、自然の中で共同生活を送らせる団体「ミライの学校」。弁護士の法子は小学校のときの3年間、この学校が主催する夏休み合宿に参加していた。関係者による不祥事が発覚し、カルトと糺弾されてから30年後、学校跡地から子どもの白骨死体が発見される。 宗教2世問題がクローズアップされる前に発表された作品だが、まるで時代を先取りしたかのようなテーマに注目が集まった。辻村さんは子どもの視点から社会を切り取っていくのが非常に上手い。本作も一気に引き込まれて読了した。

Posted byブクログ

2024/05/03

やっぱり本当に辻村深月さんの世界が好き。 最後の最後までドキドキ、先を楽しみに読み終えた。 難しい狭い世界の、いわゆる宗教的な見えない暗闇を本当に想像できる表現でストーリーが作られていた。 読み応えがあり納得できる終わり方。 続編があればぜひ読んでみたいです!

Posted byブクログ