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琥珀の夏 の商品レビュー

4

191件のお客様レビュー

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    52

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/02/20

はじめはもっとエグいカルト宗教の話かと思って身構えていたからか、ミライの学校の理念や先生たちの教えはマイルドに感じて読みやすかった。 だけど、幼少期から内部で育ったミカの視点、麓の子として期間限定で合宿に参加したノリコの視点を通して、じわりじわりとこの団体の罪深さが見えてくるよう...

はじめはもっとエグいカルト宗教の話かと思って身構えていたからか、ミライの学校の理念や先生たちの教えはマイルドに感じて読みやすかった。 だけど、幼少期から内部で育ったミカの視点、麓の子として期間限定で合宿に参加したノリコの視点を通して、じわりじわりとこの団体の罪深さが見えてくるような感覚になったのが面白い。 相手の信じるものが、自分が信じていない、信じられないものだったら。 例え優しさからくるものだとしても、自分の価値観や正義を振りかざして踏み躙ってはいけない。 絶対ダメだよ!やめた方がいいよ!と場合によって伝えなければいけない局面はあるだろうけど、それでも相手にとっては大切なものであったりそれ以外の方法を知らなかったり分からなかったり… 寄り添うこと、相手の気持ちを慮ることは怠ってはいけない。 ミカとヒサちゃんのやり取りからそんなことを学んだ気がする。 うーん、自分の感受性や読解力の問題か、物語の重厚さと比べて自分が受け取ったものが少ないような気がするので、また将来時間が経ってから読み直してみたい。

Posted byブクログ

2024/02/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

カルト団体ミライの学校の在学生のミカ、普通の学校いわゆる義務教育課程、法律で定められている学校の在学生の法子。この2人を中心として物語は語られていく。ミカと法子が大人になった時、ミライの学校の跡地から白骨遺体が見つかる。弁護士になった法子は、その遺体をミカかもしれないと思いつつもそうではないようにと思ってる。法子は小学校時代の3年間ミライの学校の夏合宿に参加しており、そこでミカと友達になったが、最後に参加した夏合宿にミカは参加していなかった。結果、その遺体はミカではなく、ミライの学校のミカの同級生のものであった。 ミカは自分がその子を殺したと言うが、法子達はそれを疑問に思っていた。大人になって再会したミカと法子が何を語るのか。それは本書を読んで読者自ら確認しほしい。 ミライの学校の教育方針的なものについては、理解し得る部分はあったが、子どもが小さい時から親元を離れ子どもたちだけで学ぶ、それ以上にミライの学校の先生がその子どもたちに何かを洗脳してしまい、子どもと親の絆を壊しかねないとも思える恐怖を感じた。もとより、親もミライの学校の教育方針に共感したとはいえ、長い期間子どもを預けるのに疑問はもつはずだが。子ども時代はミカが法子を救い、大人時代は法子がミカを救う、このような物語の構成でとても読みやすく、子どもが親に対する持つ気持ちを汲み取れる物語であったと感じる。

Posted byブクログ

2024/02/17

端から見るとただのカルト宗教であっても、中から見ると別のものに見える。純粋に信じている人、うさんくささを感じていてもすがりたい理由のある人、騙そうという悪い人。いろんな人。 問答は否定をしないところは良い。しかし誘導になってしまうのはダメなところ。教える、考えさせることの難しさ。...

端から見るとただのカルト宗教であっても、中から見ると別のものに見える。純粋に信じている人、うさんくささを感じていてもすがりたい理由のある人、騙そうという悪い人。いろんな人。 問答は否定をしないところは良い。しかし誘導になってしまうのはダメなところ。教える、考えさせることの難しさ。 子にとっての親の必要性を伝える一方で、養護施設の例など、それが無理でも大丈夫だよという一例ものせてくれているのか? 育てることの難しさ、尊さ、親にも事情や気持ちがあることにも気づかされる。 法子も多少の生きずらさを持っているが、それを補える環境に育った幸せさを感じられた。親が違ければ、法子にも違う未来が、美夏にも違う未来が。 親は選べない。いい親には感謝を、自分にとってよくない親と、子が感じているのであればそれを乗り越える力をつけてあげるのが大人なのかもしれない。

Posted byブクログ

2024/02/16

とても読み応えがある一冊でした。 宗教的団体の中で暮らす少女たちと麓で暮らす少女の物語。 過ごす環境でこうも変わるのかと怖くなりました。 ずっと罪悪感を抱えたまま大人になった少女 すっかりそんな事も忘れて過ごした少女 先が気になってどんどん読み進められる一冊でした!

Posted byブクログ

2024/02/10

限りなく星5。 ノンフィクションなんじゃないか?と錯覚してしまうほどリアルさが伝わってきた作品だった。辻村さんはこの著書を書くのにあたり相当な取材を重ね、辻村さんなりの考察、思いを丁寧に、単語レベルまで拘って仕上げた作品なんじゃないかと思う。親子の愛情のこと、大人の勝手な都合で歪...

限りなく星5。 ノンフィクションなんじゃないか?と錯覚してしまうほどリアルさが伝わってきた作品だった。辻村さんはこの著書を書くのにあたり相当な取材を重ね、辻村さんなりの考察、思いを丁寧に、単語レベルまで拘って仕上げた作品なんじゃないかと思う。親子の愛情のこと、大人の勝手な都合で歪んで?傷ついて?しまう子供たちの心、外から見ると異質な集団でもそれに依拠し、生きがいすら感じてる人がいるという現実、色々考えさせられる作品だった。さすが辻村さんと唸るしかない良書。

Posted byブクログ

2024/02/08

やっぱり辻村先生の描くお話が好きだ。 読み出すと止まらなかった。 人の記憶は曖昧で、自分の都合良いようにねじ曲がって変わっていったりするけど、二人の大事な思い出がちゃんと同じでよかった。

Posted byブクログ

2024/02/07

読み終わって何が面白かったかというと正直出てこない。しかし明らかに読むことに熱中していた。それは作者の圧倒的な心理と状況の描写である。展開はおっとりしているし大きな事が起こる訳では無い。幼少期の経験環境の大きさや心の傷をリアルに描き互いの関係の理解の難しさを突きつけられた。節々か...

読み終わって何が面白かったかというと正直出てこない。しかし明らかに読むことに熱中していた。それは作者の圧倒的な心理と状況の描写である。展開はおっとりしているし大きな事が起こる訳では無い。幼少期の経験環境の大きさや心の傷をリアルに描き互いの関係の理解の難しさを突きつけられた。節々から私たちは自分の感じたこと、考えた事は他の人もそうであると底で考えてしまう。自身の価値観でしかものを見れないが故に他を理解できない寄り添えないのだなと思い知らされた。

Posted byブクログ

2024/02/03

過ぎ去りし夏 遠いあの日の記憶を ほろ苦く感じていたのに・・・ 苦さや痛さに麻痺していく過程、 それが年齢をとるということなのだと 気づかされたこの頃

Posted byブクログ

2024/02/02

前半おもしろくて読み進めるにつれてどんどんのめり込んでいったけど後半からちょっと失速感があった気がする。結構分厚い作品だから読み応えがあるけどやっぱり実際何が起きてたのかが読んでる時にずーーーーーっと気になりすぎて一気に読んでしまった。読後感は安心感もありつつちょっと切ない。でも...

前半おもしろくて読み進めるにつれてどんどんのめり込んでいったけど後半からちょっと失速感があった気がする。結構分厚い作品だから読み応えがあるけどやっぱり実際何が起きてたのかが読んでる時にずーーーーーっと気になりすぎて一気に読んでしまった。読後感は安心感もありつつちょっと切ない。でもめっちゃ心に残るとか響くとかはこの作品は個人的にあまりなかったかなと思う。 子供特有の無邪気でキラキラしてる感じが描かれててめちゃくちゃ懐かしい感じがした。ミライの学校の教育方針の中にある、子供の自立心を育てて自分で考える力を大事にするってゆう所アメリカのそれに似ててすごくいいと思った。

Posted byブクログ

2024/02/02

⭐︎4.2 ボリュームが凄いのに、言葉一つ一つがずっしり重くのしかかってくる感じ。 内容も決して軽いものではないのに、ページを進める手が止まらなかった。 大人はどうしても自分の経験や視点だけで、子供を決めつける節があると思う。 想像しているよりも、子供はすでに自立した思考を持...

⭐︎4.2 ボリュームが凄いのに、言葉一つ一つがずっしり重くのしかかってくる感じ。 内容も決して軽いものではないのに、ページを進める手が止まらなかった。 大人はどうしても自分の経験や視点だけで、子供を決めつける節があると思う。 想像しているよりも、子供はすでに自立した思考を持っているのかもしれない。 自立を促すはずの「ミライの学校」が結果的に自立を奪っていると同時に、大人が大人として存在する尊厳も奪っていたように感じた。 読んでいる間は深く考えることはなく、物語として素直に読むことができた。 読み終えて振り返ってみると、言語化できない感情が余韻として残り続けている。

Posted byブクログ