夜果つるところ の商品レビュー
前読み「鈍色幻視行」を読まなくても、十分に堪能できる。 昭和初期という時代背景、なにかヒリヒリした世界の中に幻想的な雰囲気が漂い、まさに古典を読んでいるようである。 前作で、中身は大体わかっていたはずだが、なるほどそうきたか・・・と改めて驚かされる展開である。
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本書「夜果つるところ」と「鈍色幻視行」の二冊が出版されて直ぐに購入したものの、諸事情により今月から読むことになった。そして、この関連する二つの本のうち、どちらを最初に読むべきかまず迷った。多くの書評を見ると半々くらいの割合だったので更に迷いは深まるばかり。偶然にブラウザ右上のBi...
本書「夜果つるところ」と「鈍色幻視行」の二冊が出版されて直ぐに購入したものの、諸事情により今月から読むことになった。そして、この関連する二つの本のうち、どちらを最初に読むべきかまず迷った。多くの書評を見ると半々くらいの割合だったので更に迷いは深まるばかり。偶然にブラウザ右上のBingに触れてしまったら、質問してくれとか、ChatGPTより優秀だぞと宣伝してくるのでこの件を聞いてみたら、出版順に「鈍色幻視行」を先に読むべきとのこと。しかし、Bingは本の内容を加味して判断したのではなく、単にシリーズ物(関連書籍)は出版した順番に読むのが普通と考えたのだろう。さすが常識人のAIだ、そしてこれがAIの限界だ。結局私は、「夜果つるところ」で内容に関する背景・基礎知識を頭に入れてから「鈍色幻視行」読んだ方が理解が深まると考え、「夜果つるところ」を先に読むことにした。 内容はとてもシンプルなお話で、主人公の意識が徐々に深まっていく描写に引き込まれていった。思い起こせば、自分の3歳から6歳頃までの間に、様々な知識を次々と吸収する方法に良く似ていた。自分の置かれた環境を認識するのはだいぶ後になってからで、その際は知識の後付けの割合が多い事も同じで共感するところが多かった。 背景について、時代は二・二六事件の頃、皇道派の活動に関するもの。一方、「鈍色幻視行」では「夜果つるところ」の映像化の話が出ている。実は、久我原と莢子の最後のシーンについては、だいぶ前にNHKで放送された二・二六事件を題材にした舞台作品(題名は失念)に非常に良く似ていたことを思い出した。ストリーがノンフィクションである内容なのか、それとも偶然の一致なのかは今となっては判らないが、ちょっとこの本には親近感が湧いてきた。最後の強引なネタバレも御愛嬌だが、本書がこれから読む「鈍色幻視行」のなかでどれほど影響があるのか、という観点で読み進めるのも悪くないだろう。 さあ、これから「鈍色幻視行」を期待を込めて読むか。
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文章全体の雰囲気が見てはいけないような妖しげな世界観を作り出しており、証拠が裏打ちされていることがほとんど出てこない非現実的な話と合わさって不思議な読了感だった。
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初読。図書館。『鈍色幻視行』の作中作。独立した物語としても、怪しい雰囲気の舞台からどんどん隠された事実が露わになってくる展開が面白かった。でも間を開けずにもう一度『鈍色幻視行』を読んでみないと。中表紙や奥付も「恩田陸」と「飯合梓」の二重構造にデザインされていて凝っている。これ電子書籍だとどうなってるんだろ?
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鈍色幻視行の作中にでてくる「夜果つるところ」。出版された順に「鈍色」→「夜果つ」で読んでみました(東京新聞の記事で、作者インタビューに、この順で読んだらいいようなこと書いてあった…はず)。 舞台は二・二六事件位のころの、軍隊の中枢にいるようなメンバーが利用するような遊郭。そこにな...
鈍色幻視行の作中にでてくる「夜果つるところ」。出版された順に「鈍色」→「夜果つ」で読んでみました(東京新聞の記事で、作者インタビューに、この順で読んだらいいようなこと書いてあった…はず)。 舞台は二・二六事件位のころの、軍隊の中枢にいるようなメンバーが利用するような遊郭。そこになぜかひっそりと隠れるように住む私。ビーちゃんと呼ばれることもあり産みの母、育ての母、名義上の母がいた。しかし、基本的にずっとほったらかしで一人で客には見つからないように過ごしている。私の「人外の者」が見える目、複雑な生育環境、周りの人たちの様子など、始めはなかなか物語に入っていきにくかったが、100ページ前後あたりから引き込まれて一気に読んだ。 この話が分かった後でやっぱり鈍色読み返したくなる。あー、確かに映像化したら良いような、少しホラーめいたお話でした。
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CL 2023.8.14-2023.8.15 鈍色幻視行の作中作。この作品に惹かれた人たちを描いたのが鈍色幻視行なのだから、これを読まないわけにはいかない。 終盤の畳み掛けるように諸々が明かされていくところは読み応えあったけど、鈍色幻視行で皆がこの作品にとらわれている、そこまでの...
CL 2023.8.14-2023.8.15 鈍色幻視行の作中作。この作品に惹かれた人たちを描いたのが鈍色幻視行なのだから、これを読まないわけにはいかない。 終盤の畳み掛けるように諸々が明かされていくところは読み応えあったけど、鈍色幻視行で皆がこの作品にとらわれている、そこまでの魅力は感じられなかった。
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恩田さんのことだから、どこかで面白くなるのだろうと読み続けたが、盛り上がらないまま。後付けみて「なるほど騙された」…。気が付かなかった自分が愚か。不思議な空気感漂う物語ではある。「男の人は、人殺しのことをそりゃあ手を替え品を替えいろんな言葉に言い換えるものよーそれが、今回はたまた...
恩田さんのことだから、どこかで面白くなるのだろうと読み続けたが、盛り上がらないまま。後付けみて「なるほど騙された」…。気が付かなかった自分が愚か。不思議な空気感漂う物語ではある。「男の人は、人殺しのことをそりゃあ手を替え品を替えいろんな言葉に言い換えるものよーそれが、今回はたまたま革命って言葉だったってこと」
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カバーと奥付など、「作中作」として本当に細部まで凝っていてよかった。『鈍色〜』の彼、瑪瑙持ってたよなーとか思いながら読んだ。鈍色の該当箇所もう一回読み直したくなりますね。
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「鈍色幻視行」を読んだので、 こちらも楽しみにしていた。 こっちの方が衝撃的で面白かった。 映画化してほしい。 不穏な予感を常に秘めている墜月荘。 夢の中のような感じで、 不思議なストーリーだった。 最後に、久我原が言った言葉が衝撃的! 「君の父君は先のミカドだ。先の天帝の血を、君は引いている。誇りを持って生きてくれ。光坊ちゃま」 えー! この本の1番の盛り上がりはそこだった。 読む順番は「鈍色幻視行」→「夜果つるところ」が、やはりいいと思う。 莢子(さやこ)の名前が久我原だったのも衝撃的すぎる。びっくりした。 奥付が2つあり、とても凝っているなぁと思った。 ニセ奥付の次に本物の奥付あり。
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作中作 物語が進行するにつれ、息を殺し、中を覗き込み、見えない何かを見たいがために引き寄せられる、大いなる引力は圧倒的 恩田陸の脳内映像化させる力は幾度もハッとさせられる 「愛好家」たちは、怨念や執着が漲るその闇部に魅入られてしまっているのだろう
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