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音楽は自由にする の商品レビュー

4.2

54件のお客様レビュー

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2023/06/01

坂本龍一もYMOもその音楽はほとんど知らないから彼が語ることの大部分はわからない。だが一人の人間としての坂本龍一の人生の豊かさは存分に感じられた。 人間が自然にかける負荷と、自然が許容できる限界とが折り合わなくなるとき、当然敗者になるのは人間です。困るのは人間で、自然は困らない。...

坂本龍一もYMOもその音楽はほとんど知らないから彼が語ることの大部分はわからない。だが一人の人間としての坂本龍一の人生の豊かさは存分に感じられた。 人間が自然にかける負荷と、自然が許容できる限界とが折り合わなくなるとき、当然敗者になるのは人間です。困るのは人間で、自然は困らない。 環境問題についての彼の言は正鵠をいている。こころせよ人間! ありがとう、坂本さん。

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2023/05/31

3月28日に旅立たれた教授。 闘病されていることは存じていたのでニュースを聞いてもショックはなかったが、やはりとても寂しく感じた。 「世界のサカモト」 間違いなく、時代を造った偉人だ。 圧倒的に革新的な音楽を造りつづけた天才が、歩んできた人生をたんたんと語った自伝。 クールに見...

3月28日に旅立たれた教授。 闘病されていることは存じていたのでニュースを聞いてもショックはなかったが、やはりとても寂しく感じた。 「世界のサカモト」 間違いなく、時代を造った偉人だ。 圧倒的に革新的な音楽を造りつづけた天才が、歩んできた人生をたんたんと語った自伝。 クールに見えて、けっこう暴れん坊だったんだな、と笑、興味深く思いながら読んだ。 音楽は自由にする。 あなたを、魂を、そして世界を。 好きな曲はたくさんあるけど、最近最もはまっている曲は↓ ♪Rain(I want a divorce)/坂本龍一(1988)

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2023/05/31

知的で孤独、旺盛な探求心と反骨心。教授の作る音楽と同じくらい教授の人柄や言動に共感をもっていて、それこそ教授が読んでいる思想書などを真似して読んだりもしたものだが、本書を読んで教授のパーソナリティの核が幼少期の頃の坂本少年に既に見られて納得。一人っ子で、さらに越境通学などもあって...

知的で孤独、旺盛な探求心と反骨心。教授の作る音楽と同じくらい教授の人柄や言動に共感をもっていて、それこそ教授が読んでいる思想書などを真似して読んだりもしたものだが、本書を読んで教授のパーソナリティの核が幼少期の頃の坂本少年に既に見られて納得。一人っ子で、さらに越境通学などもあって周囲に友だちがいなく、いつも一人遊びばかりしていたという環境のせいもあるのだろうが、子どもの頃から、自分が何者なのか、物事の有り様がどうしてそうなっているのだろうか、と自分にも周囲にも常に疑問を持ち、「知りたい」という欲求の強い元々の性質の所以なのだろう。自分が教授に共感していたのも突き詰めれば、彼が「知りたい人」だったという部分のように思う。そしてその音楽人生が、最初からどこか目的地を目指すものではなく、私的な作品の制作や受注仕事などを通じてさまざまな人たちと関わっていく過程で「なんだそれは?」とか「そっちも面白そうだぞ」と成り行きまかせであったことも、結局はその坂本少年の心のままだったのだと思う。教授の作品の和声やシンセの音色には、どこかポエテイックで孤独や寂寥感を感じるものがあるなぁと前々から思っていたのだがそれも坂本少年の原風景だったのだろう。そういった音楽家個人の核というべき性質はちゃんと作品に反映するものなのだな、とも思った。

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2023/05/28

 1960年代生まれの我が青春のYMO。同級生達は、アイドルと横浜銀蝿全盛期を謳歌し、同級生の一部はオフコースの小田和正に陶酔し、一部の変人扱いされた少数派のYMOフリークが私だった。生まれた頃から労働歌とうたごえの中で育ったにもかかわらず、なぜか電子音楽のYMOに引き込まれた私...

 1960年代生まれの我が青春のYMO。同級生達は、アイドルと横浜銀蝿全盛期を謳歌し、同級生の一部はオフコースの小田和正に陶酔し、一部の変人扱いされた少数派のYMOフリークが私だった。生まれた頃から労働歌とうたごえの中で育ったにもかかわらず、なぜか電子音楽のYMOに引き込まれた私。自家用車では今時珍しいCD6連奏のカーオーディオで常時YMOのライブ音楽が流れていたのだから、自分の3人の子供たちも口ずさむ事になっても不思議ではない。  今年の1月11日にYMOの高橋幸宏が逝去し、感傷に浸る最中の3月28日に坂本龍一の訃報に触れ、青春期がバックラッシュして意気消沈。坂本龍一氏は音楽だけでなく、環境や原発問題など、政治課題にも積極的に関わり、その発言が多くの国民に影響を与えた。  本書は、2009年に発刊され、坂本龍一氏の逝去を期に文庫化され、発売日直前の書店の平積みから発見した出会いは必然か。坂本龍一の生い立ち、音楽への向き合いと造詣、社会に対する尖った関わりや行動力は、YMOの中でも屈折した表出を悔恨したことを赤裸々に綴っている。細野晴臣、高橋幸宏、矢野顕子、渡辺香津美、松武秀樹など、YMO初期のツアー・メンバーの才能や実績は、理論派の坂本龍一とは違う険しい山道を登頂した芸術集団ならではの才能を評価する。坂本龍一のクラッシックへの造詣と作曲家としての修業と知識の蓄積。読書や映画への深い向き合い、そして遊び呆ける私生活までもが、坂本龍一を巨匠へと誘った所以だろう。音楽家、役者、映画音楽家、社会活動家としての坂本龍一が自分史語りを読みながら、故人を偲ぶ読書となった。なお、本書は各章毎に、丁寧な語句説明が行われており、時代背景や何に刺激を受けたのかなど、さらに坂本龍一を時代背景から見る上でも楽しい書籍となっている。

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2023/05/15

最近惜しまれて逝去した著者の自伝的エッセイ。 一人の編集者に対し、著者が時系列に語り下ろした内容を文章に落としてまとめたものらしい。 超著名人かつ人気者の彼だが、その出自や経歴については、薄い紙っぺら1枚程度の略歴や、テレビやラジオで1-2分で紹介される内容には何度も触れてはいた...

最近惜しまれて逝去した著者の自伝的エッセイ。 一人の編集者に対し、著者が時系列に語り下ろした内容を文章に落としてまとめたものらしい。 超著名人かつ人気者の彼だが、その出自や経歴については、薄い紙っぺら1枚程度の略歴や、テレビやラジオで1-2分で紹介される内容には何度も触れてはいたものの、これだけしっかりと自分語りでたっぷりの内容をまとめて読めるのは初めてであり、有難かった。そしてやっぱり、その濃密で華麗な内容には圧倒された。アーティストの才能の偉大さはもちろんのこと、知性や芸術全般に対する構えの無い無垢な興味・関心を素直に持ち続け、自らを常に自由に漂わせて来ることで類まれなる実績を積み重ねて来た凄みに唸らされる。 願わくば、本書が出版されて亡くなるまで約14年の間(これを「晩年」と呼んでもよいかも知れない)の彼自身の内的世界の移ろいについて、彼自身の言葉でもう一度聞きたかった、読みたかった。 あらためて、R.I.P.

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2023/06/07

坂本龍一が通った幼児生活団に通っていた。別の都市にある生活団である。坂本はウサギを家に持ち帰ったが、私は伝書鳩を持ち帰った。坂本はそこではじめてピアノを弾いたが、私はドミソとかドファラとか和音の聞き分けをさせられた。先生がピアノで弾く「エリーゼ」のためにがお昼寝の音楽だった。小学...

坂本龍一が通った幼児生活団に通っていた。別の都市にある生活団である。坂本はウサギを家に持ち帰ったが、私は伝書鳩を持ち帰った。坂本はそこではじめてピアノを弾いたが、私はドミソとかドファラとか和音の聞き分けをさせられた。先生がピアノで弾く「エリーゼ」のためにがお昼寝の音楽だった。小学校に入ってどこの幼稚園から来たか問われて、生活団が幼稚園かどうかわからず、戸惑ったのを覚えている。坂本龍一よりも僅かに年下でああるが、時代の空気はよくわかり、坂本龍一の成り立ちをこの本で追体験できた。 わずかな年齢差なのだが、このわずかでビートルズや学生紛争との距離感が全く違う。かといって無関心でいられず、かなり希釈した形で興味を持とうとした。

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2023/05/10

<バリケード封鎖した高校の中で、ヘルメットをかぶったまま、坂本がドビュッシーを弾いていた、なんていう噂もありますが、よく覚えていません。もし、そんなことをしたとすれば間違いなく、モテようと思ってのことでしょうね。> 晩年になってから、こう回想するのはなんかいいですね。

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2023/05/09

天才・坂本龍一を偲んで拝読。私の坂本龍一との出会いは、小学校6年生の時の「KYLYN」だ。友達の高校生のお兄ちゃんがギターオタクで、渡辺香津美の新譜を聞かせてくれたのが最初。「E-Day Project」の曲も凄かったが、KORGで気持ち良く唄うようなキーボードソロが、渡辺香津美...

天才・坂本龍一を偲んで拝読。私の坂本龍一との出会いは、小学校6年生の時の「KYLYN」だ。友達の高校生のお兄ちゃんがギターオタクで、渡辺香津美の新譜を聞かせてくれたのが最初。「E-Day Project」の曲も凄かったが、KORGで気持ち良く唄うようなキーボードソロが、渡辺香津美のギターソロにも負けず劣らずで一発で好きになった。そこからは「千のナイフ」からYMOの「公的抑圧」まではどっぷり全身坂本龍一に浸っていたと言っても過言でないと思う。「公的抑圧」は権利関係で渡辺香津美のギターが全カット。後年ノーカットの「Faker Foric」が出た時には感涙した。 天邪鬼で照れ屋な性格が前面に出た珍しい自叙伝で、自叙伝としての完成度は今三つだが、やはり天才・坂本龍一がどのように育ち、生きてきたかについては面白く拝読させてもらった。坂本龍一の全体的な印象は、五木寛之がよく使っていた「デラシネ(根なし草)」で表現されるような気がした。漂流しながらその場その場で確実に爪痕を残す天邪鬼な天才のイメージ。ドビュッシーを弾く教授を聴いてみたかったなあ。

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2023/05/07

坂本龍一について。恥ずかしながら知らずに育ってきたため、今回をきっかけに知りたいと思い読みました。人生史についてでしたが、自分の生い立ちとは異なることが多く共感することも難しく感じてしまいました。知れたということが今回の収穫でした。

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2023/05/07

実に豊かな空虚を備えた人というか、素敵に空っぽな人というか。紛れもない天才であり時代/世界をリードした人だというのに、本人の語り口の中にはそんな暑苦しいエゴも野心も見当たらない。音楽の未来を背負って立つ、というような力みもない(皆無ではないにしろ、ここまで「自然体」という言葉が似...

実に豊かな空虚を備えた人というか、素敵に空っぽな人というか。紛れもない天才であり時代/世界をリードした人だというのに、本人の語り口の中にはそんな暑苦しいエゴも野心も見当たらない。音楽の未来を背負って立つ、というような力みもない(皆無ではないにしろ、ここまで「自然体」という言葉が似合う人も珍しい)。有り余る才能を持ちながらそれに慢心せず、だからといって泥臭い努力の果てに潰れるような行き方も選ばず、自然に「なるようになる」生き方を歩んできたらこうなったのかな、と思う。その素直で温かい語り口に惹かれて読み終える

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