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音楽は自由にする の商品レビュー

4.2

54件のお客様レビュー

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2024/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

p49 「おまえ、ビートルズ知ってる?」って訊くんです。知ってるやつとは仲良くする。知らないやつは、あまり相手にしないことにする。 p229  ファシズムは何か崇高な美に対する強い憧れのようなものがあります。彼らは、ただ野蛮なだけではなく、高貴な教養があって、洗練されている者もいた。 p233 ベルトリッチ監督は、放っておくと半年でも編集を続けて全然違う映画にしてしまうような人なんです。 p287 戦車を買うわけにはいかないので、レンジローバー。 p291 その一方で、音楽的にも文化的にも、ぼくが得てきたものはほとんどアメリカ経由なんです。ロックはもちろん、東洋思想だって、禅だってそうです。 p316-317 人間が自然にかける負荷と、自然が許容できる限界とが折り合わなくなるとき、当然敗者になるのは人間です。困るのは人間で、自然は困らない。自然の大きさ、強さから見れば、人間というのは本当に取るに足らない、小さな存在だということを、氷と水の世界で過ごす間、絶えず感じさせられ続けた。そして、人間はもういなくてもいいのかも知れない、とも思った。 自問と自省、丁寧な語り口、本当に不思議な人。 直撃世代ではないけど、音源出たらたまに聴いていた、くらいの距離感。でも、最近どういう人だったのだろうかと興味がわき、購読。 思う、とか、かもしれない、とか、あくまで自身の感想と推量が多く、慎重である意味では素直(本人は天邪鬼だと思っていそうだけど)な人だったのだろうなと思いました。 本人は否定するけど、モリコーネを引き合いに出される日本人なんて、坂本龍一以外にいないでしょう。創作における原動力として、怒り、憤り、フラストレーションを糧に。見た目からは想像しにくいけど、そういう感情が見え隠れするのが彼の魅力の一つ。 これからも数多くある映画音楽とYMOやソロの音源など、長らく私の生活のそばにあるのだと思う。

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2024/03/03

本音を言えば、あまり気が進みません、からはじまる、坂本龍一の人生の振り返り。常に自分から何かしてきたわけではない、としながらも、その時々に起こる機会に対して、尋常ならざる好奇心や好き嫌いが、人生で出会う人を多様にし、圧倒的に多面的で複雑なインプットが、幼少期から学んだ正当な音楽理...

本音を言えば、あまり気が進みません、からはじまる、坂本龍一の人生の振り返り。常に自分から何かしてきたわけではない、としながらも、その時々に起こる機会に対して、尋常ならざる好奇心や好き嫌いが、人生で出会う人を多様にし、圧倒的に多面的で複雑なインプットが、幼少期から学んだ正当な音楽理論の上に乗って、ハーモニーを奏でる。そんな背景でこの音楽が作られているんだ、という、その裏にある果てしない奥深さを垣間見た

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2024/02/23

書店でふと手に取った坂本龍一さんの自伝。若かりし頃の猪突猛進さ、求められる方へ良い意味で流されながら。3.11やグリーランドの景色に感じた危機感から、社会的アンテナが広がっていく。激動と崩壊の狭間で、いつも音が紡がれていた。

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2024/02/21

制作の背景や時代も感じる事ができ、最高に面白い。 西洋音楽の時間と、自分が生きている時代が交わる瞬間。の言葉がとくに印象的だった。

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2024/02/10

2024/02/10 読了 #読書記録 #rv読書記録 坂本龍一をよく知っている訳では無かったけれど、ある日ふと手に取ってみた一冊。読んでみると彼自身のユニークな生き様と語り口に呑まれてゆく。 よく言えば奇想天外、悪く言えば(?)ちゃらんぽらんな瞬間もあれど、それと密接に連なる...

2024/02/10 読了 #読書記録 #rv読書記録 坂本龍一をよく知っている訳では無かったけれど、ある日ふと手に取ってみた一冊。読んでみると彼自身のユニークな生き様と語り口に呑まれてゆく。 よく言えば奇想天外、悪く言えば(?)ちゃらんぽらんな瞬間もあれど、それと密接に連なる独創的なメンタリティと力強さこそ、坂本龍一を坂本龍一たるものとしていたということなのかなと。 P153 死生観?について ……死を、どう考えたらいいのかは分かりません。正しい親しい人が死ぬと、いかに人間と人間は遠いか、いかに自分はその人のことを知らなかったということを思い知らされます。生きている時は、お互い適当にしゃべったりすることもできるから、なんだか相手のことを分かったような気になっている。でも、その人が死んだとき、まったくそうでないことがわかる。いつもそうですね。僕の場合は。 P228 …現地の演奏家たちはけっして上手くないのですが、その下手さ加減もとてもリアルで、よかった。 宿舎といい、スタジオといい、そのおじいちゃんといい、対面しているうちに当時の世界に飲み込まれるような感じがしました。その天井の高い宿舎で寝ているときに は、本当に関東軍の将校の亡霊が出てきそうで怖ろしかった。 映画というものには、何か現実と虚構の境を飛び越えてしまうようなところがあると思います。そういう強い磁力みたいなものを映画は持っていて、撮影現場で人が死んだりすることもある。「現実」とか「虚構」というのはあえて境界を設けるための 言葉で、もともと現実は虚構で、虚構も現実で、境い目はないんです。そういう言葉 の境界を越えた本当のことが、映画には映ります。 P244 バリではいろいろ印象深い体験をしましたが、中でも心に残っているのは、芸能のリーダーみたいな長老が言っていた「バリ島にはプロのミュージシャンは一人もいな い」という話。お金をもらって音楽をやるようになると、芸能が廃れるんだそうです。 バリのミュージシャンはみんなすごい能力を持っているんですが、お百姓とか大工と か、それぞれに職業を持っていて、音楽で食べているわけではない。すごく自覚的に、音楽を商品化しないようにしているわけです。個人が音楽を消費するようなこともない。そうやって注意深く文化を存続させてきた。民族音楽に興味を持ち始めた10代のころから感じていることですが、共同体が長い 時間をかけて培ってきた音楽には、どんな大天才も敵わないと思うんです。モーツァ ルトだろうが、ドビュッシーだろうが。共同体の音楽には絶対に勝てない。 昔、オランダがバリに攻め込んできたときに、バリ島の人たちは王宮に立て籠もって、ガムランを演奏した、という話を聞いたことがあります。武力に音楽で対抗したんですね。 P248 彼が亡くなったのは、プエルト・バヤルタという、ごく普通の観光地でした。 車が崖から落ちて亡くなった、と電話で聞いていたので、どんなすごい崖なんだろうと思っていたんですが、何ということもない、数メートルほどのものだった。現場がまったく劇的でないことが逆に悲しかった。こんなんで死んじゃうんだな、と。それから半年ぐらいは立ち直れませんでした。本当に大切なものが急に失われること、それに抗うことができないという不条理を、感じざるを得なかった。それからもう一つ強く感じたのは、これは親しい人を亡くしたときにいつも感じることなんです が、いかに自分がその人のことを知らないか、ということでした。彼とは何年もの間、 毎日一緒に過ごしてきたのに、彼が本当はどういう人間だったかということを、ぼくは知らなかった。その、人間と人間の越えられない溝の深さに、打ちのめされました。 P276 それは、社会的責任というよりも、生理的な危機感のようなものです。 P284 上手くもないし。でもそのときは気がついたら写真を撮っていた。それは、 またまそこに居合わせた人間の義務として、写真を撮っておかなければいけないと思った。行って写真を撮りました。ふだんは、特に熱心に写真を撮っているわけではない

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2024/02/04

戦場のメリークリスマスのイメージが強くてYMOというテクノポップの先駆者的なバンドをやっていたり学生運動に参加したりあくが強そうな背景も持ってるんだと驚いた。

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2024/02/02

坂本龍一のこと、あんまりよく知らなかったけど、 こんなに面白く書こう!って思ってないのに面白い人生って凄いなあーと思いました

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2024/01/17

2023年の年始に坂本龍一のドキュメンタリーをNHKで放送したが視る事が出来なかった。視るには何かしらの覚悟が要り、その覚悟が持てなかったからだ。 しばらく時を開けこの本を取り、その人生を悼む。クラシックとポップ、両面を使い分けた世界で最も膾炙された日本の音楽家であった。今なら...

2023年の年始に坂本龍一のドキュメンタリーをNHKで放送したが視る事が出来なかった。視るには何かしらの覚悟が要り、その覚悟が持てなかったからだ。 しばらく時を開けこの本を取り、その人生を悼む。クラシックとポップ、両面を使い分けた世界で最も膾炙された日本の音楽家であった。今なら冒頭のドキュメンタリーも視聴出来ると思う。 因みに父親の坂本一亀はこの本の中では希薄な存在である。元々希薄な親子関係だったのか、それとも男の親子特有の一種の照れから敢えて詳しく述べなかったのか… 思考的にはこの親あってこの子あり、といったイメージがあるのだが。 扶桑書店アルプラザ堅田店にて購入。

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2024/01/14

2024年3月まで、初台のNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)で開催中の「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」を見てきた際に、そういえば未読だったということで、こちらを購入。 2009年に出版された本作は、坂本龍一が自らの幼少期から現在までを語る自伝で...

2024年3月まで、初台のNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)で開催中の「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」を見てきた際に、そういえば未読だったということで、こちらを購入。 2009年に出版された本作は、坂本龍一が自らの幼少期から現在までを語る自伝であり、この本ならではのエピソードも数多く収録されている。 特に「ラスト・エンペラー」をはじめ、様々な映画音楽に関してはステークホルダーが多かったであるからだろうか、かなりのボリュームが割かれており、さすがの教授といえども苦心したエピソードなどが非常に印象深い。

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2024/01/14

坂本龍一さんが雑誌の連載で2年近くに渡って語った自伝をまとめた一冊。 坂本龍一さんと言えば「戦場のメリークリスマス」と「ラストエンペラー」くらいしか知りませんでしたが、随分と幅広く活動されていたんだなと驚きました。 先進的で、過去にこだわらずどんどん新しいことをやってみる。何...

坂本龍一さんが雑誌の連載で2年近くに渡って語った自伝をまとめた一冊。 坂本龍一さんと言えば「戦場のメリークリスマス」と「ラストエンペラー」くらいしか知りませんでしたが、随分と幅広く活動されていたんだなと驚きました。 先進的で、過去にこだわらずどんどん新しいことをやってみる。何にも執着しない。 音楽もクラシック、ロック、ポップスと様々にジャンル分けされてはいても、長い歴史の中で必ず潜在的に他のジャンルの影響を受けているわけだから、音楽家でも、そのジャンルの中だけで活動する人もいれば、複数のジャンルを渡り歩くように活動する人もいるんだな、と思いました。 備忘として、自分の中で一番印象に残った部分を引用します。↓ 『表現というのは結局、他者が理解できる形、他者と共有できるような形でないと成立しないものです。 だからどうしても、抽象化というか、共同化というか、そういう過程が必要になる。 すると、個的な体験、痛みや喜びは抜け落ちていかざるを得ない。そこには絶対的な限界があり、どうにもならない損感がある。 でも、そういう限界と引き換えに、まったく別の国、別の世界の人が一緒に同じように理解できる何かくの通路ができる。 言語も、音楽も、文化も、そういうものなんじゃないかと思います。』(本作P.22より引用)

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