街とその不確かな壁 の商品レビュー
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の前身であるお話。昔『世界の終わりと』を読んで、その当時出ていた村上春樹の本の中で好きだなあと思った。 冒険譚のようでもあったし、自分を深く掘り進めていく活力みたいなものを感じていた。ワクワクした。本を読む楽しみを感じていた。 でも今...
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の前身であるお話。昔『世界の終わりと』を読んで、その当時出ていた村上春樹の本の中で好きだなあと思った。 冒険譚のようでもあったし、自分を深く掘り進めていく活力みたいなものを感じていた。ワクワクした。本を読む楽しみを感じていた。 でも今回のお話は穏やかに読み進められた。 『世界の終わりと』を私がその当時読んで受けた感覚と今では大きく離れているのだろう。 村上春樹が今の年齢で同じモチーフを描いたことも『世界の終わりと』とは大きく離れているのかもしれない(そうでないかもしれない)。 穏やかに感じたのは主人公がもう老年だから? 穏やかに読んだといっても表面上は、なだけで、内面はザ・村上春樹の世界だったし、いつまでも少年みたいな感じでもあったし、いつまでも同じことを繰り返し堂々巡りなのは、もうこの人の作品の特性なんだろうなとも思ったし。 でも前の『1Q84』のような執拗な性交シーンがなくてホッとしたよ…ヘキエキしてたんだ、アレばっかりなんだもの。 女の体を、「自分が自分の中に深く潜り知っていく」ために使わないでくれない?と何度も思う。自分でやれよって。 村上春樹は初めの頃からずっと追いかけて読んでいるし、文章も文体も好きだけれど、図書館で借りて読むのがちょうどよくなった。持っておかなくていい。私のスペースに置く必要はない。
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で,どうなるのかと聞きたくなるオープンエンドでした。どちらが影で本体なのか、混乱するパラレルワールドでした。
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久しぶりに小説の中に入り込んだ そしてこれからの自分の生き方を新たにしていくかもしれない感慨を味わった 人生から失ってしまった大切な時間を想い続ける そして派手な展開はないが、これからも続いていく生活を歩いていく
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久しぶりの村上春樹ワールド。 個人的には第二部がお気に入りかな。 現実と空想の世界を行き来してみたい。 自分の想像力ではムリだけどね〜。
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本作品の前身である「壁と、その不確かな街」に大幅に手を加えて書籍化したものだそう。40年の時を超えて世に送り出されたこの作品は、愛する者に対する真っ直ぐで不器用な想いを鮮やかに描いていたのが印象的で、初期の村上作品のような懐かしさがあった。 「世界の終わり〜」、「ねじまき鳥クロ...
本作品の前身である「壁と、その不確かな街」に大幅に手を加えて書籍化したものだそう。40年の時を超えて世に送り出されたこの作品は、愛する者に対する真っ直ぐで不器用な想いを鮮やかに描いていたのが印象的で、初期の村上作品のような懐かしさがあった。 「世界の終わり〜」、「ねじまき鳥クロニクル」、「海辺のカフカ」、「1Q84」のような手に汗握る怒涛の展開ではなく、比較的穏やかに、しかし確実に、小さな歯車があちこちで噛み合うようにストーリーが進んでいく展開は見事としか言いようがない。この辺に関しては別格というか、彼の右に出る者はいないと改めて思わされた。 ディテールの描写も相変わらず素晴らしい。熱いコーヒーと出来たてのブルーベリー・マフィンが食べたくなる。美味しい紅茶が飲みたくなる。酒蔵だった図書館を求めて福島の山間に行きたくなる。寒さが厳しい冬には暖炉がある半地下で過ごしたくなる。以前、インタビューで「小説なんて読んでも何の役にも立たない。美味しそうな食べ物が出てきて読んでてお腹が空いてくる、それでいいじゃないか」みたいなこと言ってたが、この辺りは未だに意識して書いてるんだなぁと感じた。 子易さんの奥さんがベッドに身代わりとして葱を置いていったシーンは笑っちゃダメだと思いつつ、「白くて立派な葱だった」のところで吹き出してしまった。結局何だったんだ、立派な葱。子易さんも困惑してたぞ。 あとイエロー・サブマリンくんがワイルドにブルーベリー・マフィンを食べたかと思うと、おかわり分はフォークで上品に食べるというギャップに笑ってしまった。笑うとこなのかどうかわからないけど。 難点をひとつ挙げるとしたら重くて持ち運びには向かないこと。ちょっとした鈍器。寝転んで読んだら腕プルプルだし、眠気が襲ってきてうっかり顔に落とそうものなら大惨事になりそう(何回か危ない目に遭った)。文庫本が出たら買い直します。それまでに美味しいコーヒーとブルーベリーマフィンを出してくれるコーヒーショップ(カフェとは違う?)を探しておかないと。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人の存在、心の奥、本当の自分、生死、恋愛、親子・・・たくさんのテーマが不思議な世界の中で描かれていく。どちらが本物でどちらが影かわからない、二つの世界に生きる自分という存在。考えると混乱するけれど、心は穏やかなまま読んでいられた。ヨーロッパの田舎の街を思わせる風景も怖くない。 主人公、子易さん、添田さん、コーヒーショップの女性、イエローサブマリンの少年とその家族・・・みんな愛おしい人たちだが、現実世界で私はその人たちとわかりあえているだろうかと、そんなことも考えた。
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現実と非現実が曖昧に交差する独特の世界観な作品です。 賛否両論があり好みがはっきりわかれる作品と思いますがぜひ読んでください
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触媒の様な小説。読みやすいし他の作品ほどわかりにくくもない。 共感と共に読み手の中からも浮上するものがあるんじゃないかな。 イマジネーションとリアルの間でどこに重心を置くか相互は影響を与えあってると思うし無関係ではないとも思う。 また読み返したいなと思ういい作品だった。
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独特で不思議な世界はやはり登場する。が、現実に則した"独特"であるため、長いが読み易い作品だと思っていたがそれは罠。だからこそ読み取るのが難しくて、後に考える余地を与える作品。
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「世界の終わり…」は、読者を異世界に瞬間移動させてしまうような魅力があった。「…不確かな壁」は「世界の…」で導けなかった何か不満のようなものがあって書かれたのかと思ったがそうではなかった。うまく言えないが解決・解放のようなものが描かれていて救われたような気がする。
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