街とその不確かな壁 の商品レビュー
読み終わった時、村上春樹って天才!と思わず言ってしまった。この作品を機に、この作者の小説を読むようになった。 小説の無限な可能性を感じた!
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村上原理主義者となり40年余。明文化できない何かにより、読み続けている。不断の移行の中に何を見つけるのか。
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恋をしていた頃、彼女が教えてくれた「街」の話。そこに行く自分は「夢読み」として、彼女に再会する。 まずこの本には珍しく「あとがき」があり、著者自身が少しだけこの小説を書いた経緯を解説をしている。 それだけでも結構嬉しい。 「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」が1番好...
恋をしていた頃、彼女が教えてくれた「街」の話。そこに行く自分は「夢読み」として、彼女に再会する。 まずこの本には珍しく「あとがき」があり、著者自身が少しだけこの小説を書いた経緯を解説をしている。 それだけでも結構嬉しい。 「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」が1番好きなので、めちゃくちゃ期待していた。 でも、残念ながらそれを超えることは出来なかった。 それでも、近年の作品の中では面白いほうだと思う。 村上春樹らしい会話(多分現実にこういう会話している人はいない)や、描写、比喩、世界観。 どれをとっても好きなタイプ。 この作品はミステリーではないので、伏線は回収されない。 あれ?村上春樹の小説ってこんなんだっけ?と思うくらい、素敵な世界観だけをぶつけて、特に説明はなし。 結局、彼女がどうなったかも(実際に確かめようと思えばできたはず)、主人公が現実世界に戻ってきたかもわからない。 ただ、イエローサブマリンの少年の行方と、街から出ていった影がどうなったかがわかってよかった。 とにかく世界観を楽しむ物語。 多分いろんなメッセージが込められているんだろうけれど、特にピンとこなかった。 ただ、第三章は短いけれどとても重要で、伏線回収とまでは行かないけれど、今まで読んできた物語の違和感を払拭してくれる。 いつもながら何かすごいことが起こるのではと期待させてそうでもないという、それゆえ、最後の最後まで読み応えは十分にある一冊。
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読書が趣味と言えるくらいには本を読むようになって初めて村上春樹作品を読んだが、字を追う時間が幸福だった。 心に流れ込んでくる活字からたくさんの養分を摂取したような、没入感と表せばいいのか、心が一定のリズムで規則正しく動く安心感のような、言葉ではうまく言い表せないが、とにかく心地よ...
読書が趣味と言えるくらいには本を読むようになって初めて村上春樹作品を読んだが、字を追う時間が幸福だった。 心に流れ込んでくる活字からたくさんの養分を摂取したような、没入感と表せばいいのか、心が一定のリズムで規則正しく動く安心感のような、言葉ではうまく言い表せないが、とにかく心地よかった。 どうゆう本でどう物語が終わったかをまとめて説明することができない。 最後の1行まで答えを、終わりを、求めてページをめくるがそのようなものは見つからない。 伏線がわかりやすく回収されることはないし、結局どうなったのかわからない。 でもわからなくていい。私たちと同じであろうこの世界と不確かな高い壁の中の世界、そもそもが曖昧な世界なのだから。
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「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のような始まりから、予想もつかない新たな物語が始まる、という感じ。少しずつ理解出来つつあった村上春樹作品にあって、これはまた難しい方、やったかも。(^◇^;)読み応えは、あるけれども。
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久しぶりに村上春樹さんの本を手に取った。 手に取ったときは、あまりの分厚さに読み終えられるのか少し不安だった。 第一部は理解が追いつかず読み進めることが難しいところが多かったが、第二部からはさくさくと進めることができて一気に読み切ってしまった。 読み終えて感じることは、いろいろ...
久しぶりに村上春樹さんの本を手に取った。 手に取ったときは、あまりの分厚さに読み終えられるのか少し不安だった。 第一部は理解が追いつかず読み進めることが難しいところが多かったが、第二部からはさくさくと進めることができて一気に読み切ってしまった。 読み終えて感じることは、いろいろなことに疑問が残るし、あれは何?ここはどういうこと?と考えてしまう。 でも、全てを分かりやすく噛み砕いて説明するのではなく、読者それぞれが自分なりに解釈して楽しむことができるのもまた良いのかなと思う。 物語の難しさはあるけれど、知らず知らずのうちにその世界の中に入り込んでいくことができる。 そこが村上春樹さんの本の魅力だと思う。
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村上春樹作品を読むのは久しぶりだった。 影と本体が引き剥がされなければ入ることができない世界。元々は、夢から生まれたような想像の産物だったような世界へ入る主人公。名前は明かされない。 主人公以外の登場人物の名前は、例えば添田さん、子易さん、として表示されるが、肝心なぼくと彼女の名...
村上春樹作品を読むのは久しぶりだった。 影と本体が引き剥がされなければ入ることができない世界。元々は、夢から生まれたような想像の産物だったような世界へ入る主人公。名前は明かされない。 主人公以外の登場人物の名前は、例えば添田さん、子易さん、として表示されるが、肝心なぼくと彼女の名前は、最後まで伏せられている。 影が本体と離れて入れ替わり、現実の世界で暮らしているのか、本体が今いる場所は、虚構なのか、現実なのか… だんだん境目が分からなくなってくる。 長針も短針もない時計台。 季節が巡っているように見えても、時間が進行しない世界。朝が来て夜が来ても、常に現在という時しか存在しない世界。 蓄積せず、すべては上書きされ、更新され続ける。そんな場所で暮らすとどんな気持ちになるのか、体験してみたいが、つまらない気もした。
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現実の世界とあちら側の不確かな壁に囲まれた世界。 私と影。 本体と影は入れ替わったり役目が代わったり。 不思議な話、だけど何となくわかるような。 私も知らない場所の夢をはっきり見たりするから、本体と影、あちら側の世界について考えさせられた。 世界の終りとハードボイルド・ワンダーラ...
現実の世界とあちら側の不確かな壁に囲まれた世界。 私と影。 本体と影は入れ替わったり役目が代わったり。 不思議な話、だけど何となくわかるような。 私も知らない場所の夢をはっきり見たりするから、本体と影、あちら側の世界について考えさせられた。 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドをまだ読んだことがないから読んでみたい。
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世界の終わりとハードボイルド〜を更にブラッシュアップした長編小説という位置付けの作品。 現実と夢の間を行き交う主人公の内面が繊細に描かれており心理描写は秀逸だった。ある男の少年期から中年期にかけての孤独をテーマにしていたが過激な性描写もなく穏やかな物語で安心して読破できた!著者は...
世界の終わりとハードボイルド〜を更にブラッシュアップした長編小説という位置付けの作品。 現実と夢の間を行き交う主人公の内面が繊細に描かれており心理描写は秀逸だった。ある男の少年期から中年期にかけての孤独をテーマにしていたが過激な性描写もなく穏やかな物語で安心して読破できた!著者は短編も良いが長編もこれから期待したい!
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どうしても他の村上春樹作品と比較しての評価しかできないので、そうすると普通の作品。ちょっとだけ不思議で、ちょっとだけ表層的で、ちょっとだけ小狡い文章で、ちょっとだけ裏があるようでないようで、まあまあ長い。 ひとことで言ってしまえば、「つまらない」部類に入ると思う。 だけど、やっぱ...
どうしても他の村上春樹作品と比較しての評価しかできないので、そうすると普通の作品。ちょっとだけ不思議で、ちょっとだけ表層的で、ちょっとだけ小狡い文章で、ちょっとだけ裏があるようでないようで、まあまあ長い。 ひとことで言ってしまえば、「つまらない」部類に入ると思う。 だけど、やっぱり文章は読ませる力がある。大した事が書かれている訳ではないはずなのに、なぜかどんどん読んでしまう。これが「春樹ブランド」の力なのか、これまで読んできた経験の蓄積なのかは分からない。 そんな人はいないと思うけど、村上春樹未読の人だったら、この作品を読むべきではない。それだけは自信を持って言える。
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