木挽町のあだ討ち の商品レビュー
そもそも時代物はそんなに読まないのですが、読み出した途端質の良い落語を聞いているようにどんどん引き込まれていきました。江戸の芝居小屋森田座に関わる5人の人達が森田座の裏で起こった仇討ちを語っていきます。ところがそれは、、、、、久しぶりに心高ぶる小説でした。
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HKさんのお勧め。 とても良かった。 江戸の芝居小屋の出口で行われたあだ討ち。 最初、ミステリー好きとしては、 あまりに鮮やかなあだ討ちにいささか疑問を感じながら、 さらに、話の聞き手がなぜわざわざ聞き込み(?)をしているのか、 というのも気になった。 ただあっという間に、 仇討ちをしに江戸にやってきた若侍と、 芝居小屋の人々の「来し方」の方に飲み込まれてしまった。 生まれや身分、金の有無に振り回され、流されてしまう江戸の人々の「来し方」の 描き方は見事としか言いようがない。 何でもない場面、 侍としての生き方に行き詰りさまよっていた武士が、 直参に絡まれた役者を助け、芝居を見ていくよう誘われた時、 周りの町人たちが「折角だから、見て行きなよ」とぐいぐい背中を押す場面にも、 なぜか胸が詰まった。 いや、江戸にやってきた若侍やその仇である元家人のことを考えると、 江戸時代の人々というべきか。 多少、聞き込みの理由は強引な気もするが、 「真の仇討ち」の成し遂げられて良かった。 笑いあり、涙あり、謎解きあり、 そして知らなかった江戸の知識もありで、面白かった。 直木賞と山本周五郎賞ダブル受賞は伊達じゃない。
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読み進めるうちにどんどん惹き込まれる作品でした。 登場人物一人一人の生き様と菊之助への思い、どれをとっても心に響くものがありました。 読み進めていくうちに徐々に霧が晴れていくように結末が見え隠れして、読み終わったあとはスッキリ‼︎ でももっと読みたい…終わってほしくないとも思え...
読み進めるうちにどんどん惹き込まれる作品でした。 登場人物一人一人の生き様と菊之助への思い、どれをとっても心に響くものがありました。 読み進めていくうちに徐々に霧が晴れていくように結末が見え隠れして、読み終わったあとはスッキリ‼︎ でももっと読みたい…終わってほしくないとも思える作品。 人情物は久々に読んだけど、時代小説の面白さを再確認できました。
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面白かった!読後感最高! 評判がすごく良い分、期待値が上がりすぎてガッカリするパターンなのでは…と始めの2章を読んだあたりで不安だったが、もう期待通り。いや、期待以上だ! 芝居小屋に生きる人が見た仇討ちと、その人の波瀾に満ちた人生を、その人によって語られていく。 江戸の世で、生...
面白かった!読後感最高! 評判がすごく良い分、期待値が上がりすぎてガッカリするパターンなのでは…と始めの2章を読んだあたりで不安だったが、もう期待通り。いや、期待以上だ! 芝居小屋に生きる人が見た仇討ちと、その人の波瀾に満ちた人生を、その人によって語られていく。 江戸の世で、生きることが如何に大変なのか、それぞれ全く違うものを背負いながら芝居小屋に集まっている。そして、菊之助に惹かれ大事にする。 あぁ、なんて残酷で美しいんだろう… 事実は小説より奇なりというが、芝居より芝居じみた愛がそこにあった。
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「お前さんにとって武士とは何だい」 「人として道を過つことなく、阿らず、義をつらぬくことだと思います」(抜粋) ううぅ、、。 タイトルにある「あだ討ち」がなぜ「仇討ち」じゃないのか。 読み進めるとラストがうっすらと脳裏によぎりますがそれでもこの作品は素晴らしいに尽きる。始ま...
「お前さんにとって武士とは何だい」 「人として道を過つことなく、阿らず、義をつらぬくことだと思います」(抜粋) ううぅ、、。 タイトルにある「あだ討ち」がなぜ「仇討ち」じゃないのか。 読み進めるとラストがうっすらと脳裏によぎりますがそれでもこの作品は素晴らしいに尽きる。始まりから終わりまで。 今村翔吾さんの「教養としての歴史小説」を読んで遅蒔きながら時代小説デビューしていたからこそ手に取ることが出来た本。今村さん、お導きありがとうございますw
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これは…あまりに面白くて…言葉にならない。ただ沢山の人に読んでほしい。 時代物は正直苦手で、直木賞だしとりあえず読んでみるかという軽い気持ちで読み始めたら、その語り口にわずか数ページで惹き込まれてしまった。 木挽町で起きたあだ討ちを、来し方の異なる芝居小屋の五人の語りで聞く。それぞれ人物の語り方や立場の違いが絶妙で、同じ時代に同じ場所に生きていても、物の見方や考え方は異なるし、それでいいじゃないかと思わせてくれる。これは涙を誘う人情物なのか、はたまた精密に組まれたミステリーなのか、わからなくなる。どちらもかもしれないし、どちらも違うかもしれない。とにかく面白い。
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「木挽町のあだ討ち」(永井紗耶子)を読んだ。 な、永井沙耶子、何者?! いやー面白かったな。泣かされたな。いい気持ちだな。 永井紗耶子のその企みになんの迷いもなし。 スコーンと突き抜けた傑作でしょう。
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2023年上期の直木賞受賞作品。ミステリ要素もありつつ、登場人物がみな清々しく読後感が素晴らしい。傑作。
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木挽町のあだ討ちについて語る芝居小屋の人々。過去は壮絶だが、たどり着いたこの芝居小屋で、今はつつましくも穏やかに暮らしている。それぞれの特技を活かした仕事を懸命に勤めながら。 過酷な生い立ちや過去に一章ごとに泣けた。 これぞ歌舞伎、人情物と言えよう。 一人一人の語りにより、あだ討...
木挽町のあだ討ちについて語る芝居小屋の人々。過去は壮絶だが、たどり着いたこの芝居小屋で、今はつつましくも穏やかに暮らしている。それぞれの特技を活かした仕事を懸命に勤めながら。 過酷な生い立ちや過去に一章ごとに泣けた。 これぞ歌舞伎、人情物と言えよう。 一人一人の語りにより、あだ討ちの様子がわかってくるが、さほど変わり映えのしない話ばかり。逆に読者はモヤモヤ疑問を抱く事となる。 ラストはお見事!というしかない。 そう来たかと感心させられた。 久しぶりの時代小説。十分に楽しめた。 さすが直木賞。納得です。
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巷で話題となっている木挽町の仇討ち。その2年後に仇討ちの立役者である菊之助の縁者の者が菊之助が世話になった芝居小屋の者たちに顚末と、その者たちの生い立ちを聞いて回る。生まれも、育ちも違う5人の者たちが口をそろえたように、見事だったとしか言わない。そして最終章にてことの顚末が明かさ...
巷で話題となっている木挽町の仇討ち。その2年後に仇討ちの立役者である菊之助の縁者の者が菊之助が世話になった芝居小屋の者たちに顚末と、その者たちの生い立ちを聞いて回る。生まれも、育ちも違う5人の者たちが口をそろえたように、見事だったとしか言わない。そして最終章にてことの顚末が明かされる。5人目の戯作者の金治にいたっては菊之助とは遠からずも近からずな縁があり……。そして、表題が仇討ちではなくあだ討ちとなっている件、ここに伏線があるとは思わなかった。流石は直木賞受賞作、面白かったです。
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