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木挽町のあだ討ち の商品レビュー

4.3

413件のお客様レビュー

  1. 5つ

    198

  2. 4つ

    146

  3. 3つ

    45

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

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2023/08/02

時代小説に馴染みのない人にも読みやすい。 徐々に真相が見えてくるミステリ仕立てのストーリー✕時代小説というのも新鮮。直木賞受賞作ということで手に取ったので、一読して売ろうと思っていたが、手元に置いておきたくなる良作だった。読み味も読後感も気持ちがいい。

Posted byブクログ

2023/08/01

歴史小説でありミステリーでありエンタメ作品であり。直木賞受賞も納得の名作。 6人の語り手によって話が進行していく。歴史小説で専門的な用語は出てくるが、語り口調なので読みやすい。本筋である「あだ討ち」だけではなく、それぞれの語り手の人生も語られており、全員が魅力的。 タイトルの「あ...

歴史小説でありミステリーでありエンタメ作品であり。直木賞受賞も納得の名作。 6人の語り手によって話が進行していく。歴史小説で専門的な用語は出てくるが、語り口調なので読みやすい。本筋である「あだ討ち」だけではなく、それぞれの語り手の人生も語られており、全員が魅力的。 タイトルの「あだ討ち」が平仮名であること、芝居小屋が舞台になっていること、語り手のそれぞれの役割、全ての点が最後に線になる瞬間に感動した。爽快感だけではなく、心温まり前向きになれる作品。

Posted byブクログ

2023/08/01

読んだあと前向きになれる小説だった。 語り部が次々変わっていき、あだ討ちまでの成り行きを主人公(読者)に話しかけて聞かせるスタイル。 時代劇で読みやすいのは作者の上手さと語り口調ですすむから読みやすいのかも。 与三郎の過去話が1番すきだなー

Posted byブクログ

2023/07/31

江戸の木挽町で仇討ちが行われた。 仇討ちから2年後、その仇討ちの目撃者に仇討ちのことを聞き回る武士があらわれる。 なぜその武士は2年前の仇討ちを嗅ぎ回るのか、その目的とは。  本作品は江戸の木挽町を舞台にしたミステリーですが、なんかよくわからない一般人である目撃者達の生い立...

江戸の木挽町で仇討ちが行われた。 仇討ちから2年後、その仇討ちの目撃者に仇討ちのことを聞き回る武士があらわれる。 なぜその武士は2年前の仇討ちを嗅ぎ回るのか、その目的とは。  本作品は江戸の木挽町を舞台にしたミステリーですが、なんかよくわからない一般人である目撃者達の生い立ちを聞いていくと、皆好きになれる不思議な作品だと思います。  多分、読んでいて、語り手(目撃者)の人たち、嫌いだなと思う人はほとんどいないんじゃないかな?と思うくらい、いろんな苦労をしても人に優しいという、私の想像の中でのザ江戸っ子っていう感じの登場人物盛りだくさんで、仇討ちと人柄が上手く融合した作品だなと思いました。  そんな本作品で思ったのは、江戸というか、時代小説ってファンタジーだなと思いました。  もちろん時代考証で文化や習慣など当時の方々の生活や江戸っ子の気風であったりがあるのでしょうが、こんな人たちで街中が溢れていたら良いなと思います。  しかし、実際のところはこういう登場人物達みたいな人たちももちろんいたでしょうが、今の私みたいに自分達の生活で必死でしょうし、下賤と言われる職や身分の人はかなり大変だったでしょうけど、それでも、厳しくもこういう優しい世界があったら良いなと思えるくらい、登場人物達は凄く良い人たちだなと思いました。  そういう意味では、みたこともない、生活もしたことない江戸というファンタジーの舞台で繰り広げられる話だなとも思いました。  そして、そんな世界から感じ取ったこと、それはやりたいことじゃなくてもやり続ければ道が開け、いつか人を助けることがあるということです。  江戸時代の当時の人々って、想像してみれば、生まれた家で人生が決まると言っても過言ではなく、職業選択の自由なんてほとんどなかったはずです。  武士は武士らしく、商人は商人らしく、女性は女性らしく、男性は男性らしく。  また、役者は物乞いと同じ扱い。花魁だってちやほやされるのは極一部。  頑張ってあの職業に就こうにもつけない時代で今の私がこの時代に行ったら1日も持たないんじゃないかと思うくらいです。  実際、明日のご飯を食べることすら保証されていない人たちって、今の時代よりも多かったんじゃないかと。  怪我して休んでも傷病手当金とか労災とかないですしね。  そんな過酷な時代に、飢饉で飢えたり、望まれない子(男の子が欲しいのに女の子だったとか)だったり、いくら太平の江戸時代だったとはいえ、大変だったんだろうなと思います。  そんな中で、武士にはプライドがあってなかなか武士をやめられないし、貧しい人は生きるために仕事をして食べるわけですから、自分の好きな仕事を選んで食べていくなんていうのは今以上になかったはずです。  でも、本作では芝居に携わる下賤な職業だと言われている人々が、別にその職業をはじめからやりたかったというわけでもないにも関わらず、良い人たちに巡り合って助けてもらいながらも長く続けていくといつかその道でしっかり根を生やして生きていける、何なら周りを見る余裕すら生まれるんだろうなと思いました。  実際、今の私も他の方に構っている余裕はあまりないですが、少しずつ周りが見えるようになってきて、助けられる側から助ける側になっているようにも思いますし、まさに本作品で描かれる人たちみたいになりつつあるし、また、なりたいなと思いました。  私の仕事もやりたい仕事では正直ないですし、やり続けて嫌なことがあれば辞めたいなと直に思うし、何ならやりたい仕事じゃないとか贅沢なこといって諦めたりします。  でも、本作品の登場人物もやりたいことじゃないけれど、自分が生きる道を見つけてからは全部が順風満帆だったわけではないはずです。  もしかしたら、登場人物たちも今でもやりたい仕事じゃないと思っている人もいるかもしれませんが、それでもしっかり毎日頑張って仕事をしてそれが長く続けばきっと今作品の登場人物みたいな人たちになれるんじゃないか。  そんな気がした読後でした。

Posted byブクログ

2023/07/30

芝居小屋の人情もの。一気読みでした。 仇討ちを見ていた様々な人の証言+その人達の生き様が思いがけない真相になる。イギリス中世のカンタベリー物語の時代劇版のような。

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2023/07/30
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めったに読まない時代物。 第169回直木賞候補になった時点で図書館に予約を入れたのですぐに借りられた。 そのときから多くの方からの好評が寄せられていたので、これが取るかなと思っていたら、見事受賞。 ということでかなり期待して読んでしまったため、その期待が空回りし、星3つ止まり。 「我こそは伊納清左衛門が一子、菊之助。その方、作兵衛こそ我が父の仇。いざ尋常に勝負」 とある睦月の夜、芝居小屋の裏で、まるでそれ自体が芝居の一場面であるかのように鮮やかに、多くの人目を奪うように遂げられた仇討ち。 物語は二年後、とある人物がこの仇討ちを目撃した芝居小屋の面々を訪れ、あのときの仇討ちの様子を聞くという形で進む。 ところが、仇討ちの話も早々に、各人の来し方を語らう方にスポットライトが当たって行く。 本書の読みどころはまさにこの群像劇めいた構成。 芝居小屋の面々は皆、仇討ちを遂げた菊之助を慕い、世話を見ていた。 菊之助にゆかりある面々に対し、「仇討ちのことを聞く」→「その人の来し方を聞く」というパターンが繰り返される。 どうしたってこのパターンの奥に何かが隠されていると期待が膨らみ胸が高鳴る。 実はあれとこれが繋がっていた、とか計り知れない壮大な背景があった、とか。 が、たぶんそっちの期待を主体にしてはいけなかったのだろう。 ベースはあくまでもオチを形造るに至った各人の辿ってきた困難な道と、そこから導かれたそれぞれの人生への向き合い方を味合う人情物。 総体としての結末は、随所に比較的わかり易い形で散りばめられているし、勿体ぶっておらず、裏の裏もない。 時代物としては意外な構成で楽しめた一冊ではあるが、自分的にはミステリ風味を感じたが故に本来の味を味わいきれなかった。

Posted byブクログ

2023/07/29
  • ネタバレ

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巧い!~得意芸としている木戸芸者の一八に仇討ちの様子を聞きに来た若侍は菊之助の縁者だと言い,中生まれの中育ちの身の上まで聞き出していった。剣術を教えた与三郎も立師になった訳を聞かれた。楽屋で衣装の繕いを行っている二代目ほたるも浅間噴火で江戸に出て衣装部屋に落ち着くまでの経緯を聞かれた。菊之助を泊めて面倒を見ていた小道具の久蔵は,あとかうんとかしか言わないので,子を亡くした女房でお喋りのお与根が出会いから小道具専門になった訳を話した。旗本の次男で戯作者の野々山正二は菊之助の母親が生まれたときに決められた許嫁であったことを明かし,父母の馴れ初めも語る。国元の屋敷で幼馴染みで義兄である総一郎に菊之助は洗いざらい白状する~タイトルの「あだ討ち」にまで仕込んでいたとは思わなかったゼ。借りた後で直木賞受賞が決まったので,さあ借りて読もうとした人には気の毒でした。さすがに受賞作です

Posted byブクログ

2023/07/27

自身が話を聞いてるふうに展開され、聞いている側の容姿などがほとんど出てこないので、本当にその世界で事件を追いかけているような感覚になれた。

Posted byブクログ

2023/07/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

登場人物の人生が語られる幕ぐらいまではとても面白く、味わい深く読めた。 以降真相の始まりは…好みの問題ですが 元々ミステリーはあまり好きじゃない上読みがバッチリ当たってしまうと、急に熱が冷めてしまいます。 けれど、歌舞伎、時代物を絡めた人の酸いの部分の人生を人情絡めた描きは丁寧で見事だった。 何度か涙ぐんだ。 大事なフレーズ 忠っていう字は心の中って書くでしょう。心の真ん中から溢れるもんを、人に捧げるって ことだと思うんで。それは何も、御国や御主だけじゃねえ。 手前の目の前にいる数多の目に、 芸を通してしっかり心を捧げる。それを見た人たちが、御国や御主に尽くす力になるって信 じているんで。どこが上でも下でもねえ。巡り巡って行くってね・・

Posted byブクログ

2023/07/26

本当だ。本当に見事なあだ討ちだった。 全ての過去も、あだ討ちの経緯も、苦しくて辛いものなのに「木挽町のあだ討ち」の真相が粋で、読み終えた後は感動と興奮で誰かと「見事だったね」と語らいたくて仕方ない。

Posted byブクログ