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木挽町のあだ討ち の商品レビュー

4.3

413件のお客様レビュー

  1. 5つ

    198

  2. 4つ

    146

  3. 3つ

    45

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

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2023/08/16

どうして芝居小屋が舞台なのか。 その理由が終章で納得。 誰かの為に何らかの役回りを演じる事が出来るのは己の過去を慈しむことに繋がっているのかも。 粋は意気なのね。

Posted byブクログ

2023/08/16

聞き手が、仇討ちにのぞむ菊之助に関係した人達に1人ずつ話を聞いていく構成がいい。あだ討ちの真相は弱冠話が上手く出来すぎている感じがしなくもないけど、それをおいても最後まで楽しめた。

Posted byブクログ

2023/08/16

前回の読書会でお借りした本、その1。 時代小説を読むのは久しぶりなうえに私にとってはとても珍しいんだが、 …いやぁ、人気ジャンルなの、わかる。 良い時代小説は、読書の時間をタイムトリップにしてくれるんだよな。 こちらの作品、まさにとても上質な江戸時代への旅行にいざなってくれまし...

前回の読書会でお借りした本、その1。 時代小説を読むのは久しぶりなうえに私にとってはとても珍しいんだが、 …いやぁ、人気ジャンルなの、わかる。 良い時代小説は、読書の時間をタイムトリップにしてくれるんだよな。 こちらの作品、まさにとても上質な江戸時代への旅行にいざなってくれました。 2年前の雪の降る夜、木挽町の芝居小屋すぐそばで起こったとある凄惨な仇討ち事件。それを目撃した5人の証言で追っていく物語。ラストの証人(?)を加えて、それぞれの証言がそのまま章立てになっており、それが芝居の段になぞらえられている。 そこも趣があって面白い。 お借りしたのは非売品の仮綴本なので、発売されている装丁とは違うんだが、 仇討ちのシーンの回想、 雪の白と赤い振袖、立ち回りの際の血の赤が映像として脳裏に浮かんだ。 本屋さんや、ネットで見かける本書については、装丁もぴったりだと思う。 証言者のいろんな立場から、いろんな人生が見えてきて、最終的にこのあだ討ちの真相に迫る内容に繋がって行くのだが、口調、そこから想起される佇まいなど、ひとりひとり丁寧な書き分けによりキャラクターが立っていて、その都度感情移入してしまうあまり毎段ほろっとさせられた。 人によって正義や矜持はそれぞれで、 世間の荒波にもまれた結果、妥協したり納得ずくで捨て去るものもあれば、 それでも尚絶対に譲れないものもある。 それはたぶん、自分では器用にコントロールできないが、それでも紛れもなく自分の個性であり、それはどの時代に生きたどの身分の人であれ同じなんだろうと思った。 読後感もどこか小気味良い。 読書の醍醐味を改めて感じさせてくれる極上のエンタメ時代小説でした。

Posted byブクログ

2023/08/16

まず登場人物たちがリレー方式で話を繋ぎ、決して飽きさせない物語の仕立てかたにはページをめくる手が止まらない。 また、読み手側を御武家様になぞらえて語りかける感じになっていて、江戸の世界にどっぷり浸かりました。 直木賞を受賞するに相応しい作品であることは間違いない。

Posted byブクログ

2023/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いやあ"小説"として面白かった。著者は芝居が好きなのだろうなというのも伝わってきて、いつも歌舞伎や文楽で感じている「江戸」を感じられた。 講談がお好きな方も、やはり「江戸」を感じているのだろうか。ベベンという三味線の音、芝居を楽しむ観客の息遣い、これこれ歌舞伎が観に行きたくなるよという体。 帯の一つの「ミステリ仕立ての趣向に芝居町の矜持が浮び上がる。なんとも気持ちのいい小説だ。」(中島かずき)というのがあって、まさしくという感じ。 読んでいて清涼感がある、それは自分が生きている日常での苦しさや辛さ、やるせなさを忘れられるひと時の夢、まさに芝居の夢が描かれている。 話の構成としては、一人ひとりの身の上話が語られていくので、ともすると途中で飽きる可能性もあると思うのだが、最後まで楽しく読めた。それぞれの登場人物の人生、生き様、考えなどが、きっとこういう人もいただろう、こういうこともあったのかもしれないと思わせるには十分で、面白かったのだ。個人的にはほたるの話がじーんと一番きました。 といいつつ全員どの話も面白かったなあ。 木戸役者というの見てみたかったと思った。 与三郎の段は特に松助丈のセリフが心に残った。「手前ども役者は、河原乞食だの人外だのと言われ…その一方で、ご贔屓下さる皆々様からは、神仏の如く崇められ、手前で手前が何者なのか分からなくなっちまう時があります。だからこそ、肚を据えてかからねえと、あっという間に世間の声に振り回されて堕ちちまう」これは誰にでも通じることだナァ… 久蔵の段は、寺子屋のあの首は、こういう話の時もあったのかもしれないと思わせるには十分で、そう思うといつも見ている舞台の奥行きがまた広がる。いやあ面白い。 そして金治と終幕の段で明かされる「あだ討ち」の真相。どうして「あだ」が平仮名なんだろうと思っていたけれど、そういうことか!というオチもよい。久蔵もしや…?って途中から思っていたけど笑。これが江戸の傾奇者の生き様だよ、まさに矜持。矜持を高く持って行きたい。(作兵衛が権太にたとえられていて、権太―――――となったし、日本人は権太に弱いんでえ…) 「…己の想いを貫くことの難しさも、道理のままに行かぬ割り切れなさも、この世の中には数多ある。それを嘲笑うのではなく、ただ愧じるのでもなく、しなやかに受け止め生きる人々がいる。そのことが私の背を押し、己の心に従う力を与えてくれた。」

Posted byブクログ

2023/08/15

木挽町にある森田座と言う人気の芝居小屋の周辺で、2年前に起きた仇討について聞いて回っている武士がいる。仇討をした若衆・菊之助の縁者のものだという。彼は、呼び込みの木戸芸者から始まり、他に仇討を見ていた人はいないか、と巡っていく。現場を見ていた芝居小屋の人たちの証言から、次第に仇討...

木挽町にある森田座と言う人気の芝居小屋の周辺で、2年前に起きた仇討について聞いて回っている武士がいる。仇討をした若衆・菊之助の縁者のものだという。彼は、呼び込みの木戸芸者から始まり、他に仇討を見ていた人はいないか、と巡っていく。現場を見ていた芝居小屋の人たちの証言から、次第に仇討の様子やそこに至るまでの菊之助の苦悩が明らかになっていく。 しかし、不思議なことに毎回、彼は証言をしてくれる人自身の人生についても話を聞いていくのだ。芝居小屋と言う場所の特性でもあるのか、色々な出自、事情を抱えた人が集まってくるようで、1人1人の話は興味深い。 とは言え、それらの話自体に、それ以上の意味はないのかと思いながら、終幕に突入すると、、、これは! そういうことか!と分かった時の驚き。するとミステリーの種明かしのように、そうか、これにはこんな意味があったのか、ここの違和感はこういうことだったのか、と繋がってくるのだ。 面白かった。時代小説としても、ミステリーとしても。

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2023/08/14

とあるあだ討ちのお話。 それが行われた木挽町で、その町の住人にいかにしてそのあだ討ちが成されたかと同時に、それを語る人の来し方の身の上話も聞いてゆく。これも一種の書簡型?往復の「往」だけで読み解いていく型と思った。 あんまり書くと気付いてしまいそうなので手短にしますが、 読み進め...

とあるあだ討ちのお話。 それが行われた木挽町で、その町の住人にいかにしてそのあだ討ちが成されたかと同時に、それを語る人の来し方の身の上話も聞いてゆく。これも一種の書簡型?往復の「往」だけで読み解いていく型と思った。 あんまり書くと気付いてしまいそうなので手短にしますが、 読み進めていくと途中、「おや?」と気づくと思います。(察しが悪い私ですが) それに意識がいくと人情として結末も良き方向を望んでしまう。 結果はいかに。 読みやすく色々と考えされられるがそこまで小難しくはない。 とても良い本でした。 そして直木賞受賞おめでとうございます。

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2023/08/14

もともと本の雑誌のガイドとか、どんでん特集とかで気になってはいたもの。極め付きは直木賞受賞。色んな人に話を聞いて、ことの真相が次第に明らかになっていく、っていう結構も自分好み。

Posted byブクログ

2023/08/13

登場人物の語り口で書かれているからテンポよくすらすらと読める。 なるほど、タイトルの「木挽町のあだ討ち」の意味はこういうことか。 ミステリーほどよく、芝居小屋の人たちの人間ドラマに心打たれた。 読んで良かった。

Posted byブクログ

2023/08/20

2023年8月13日読了。江戸の木挽町で、衆人環視のもと若武者が浪人を斬る仇討ちが発生。芝居小屋の面々はあだ討ちの当事者・菊之助をめぐる思い出と各自の人生を語るが…。第169回直木賞と第35回山本周五郎賞ダブル受賞作。読み始めはどんな話になるのか予想がつかないが、各章ごとの登場人...

2023年8月13日読了。江戸の木挽町で、衆人環視のもと若武者が浪人を斬る仇討ちが発生。芝居小屋の面々はあだ討ちの当事者・菊之助をめぐる思い出と各自の人生を語るが…。第169回直木賞と第35回山本周五郎賞ダブル受賞作。読み始めはどんな話になるのか予想がつかないが、各章ごとの登場人物の江戸弁での語りと、最後に真相が明かされるミステリ仕立ての構成はなるほど面白い。登場人物がいい人たち過ぎてお話がきれいにまとまり過ぎているようにも思うが、まあ江戸の人情噺はこうでなくっちゃね、という気もする。いずれ映像作品になるんだろうか?Netflix製作で…。

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