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木挽町のあだ討ち の商品レビュー

4.3

413件のお客様レビュー

  1. 5つ

    198

  2. 4つ

    146

  3. 3つ

    45

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

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2023/09/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

仇討ちを縦糸に、横糸である各話語り手たちのお話がどれも滅法面白い。 清々しい気持ちで読み終えた後、タイトルをみてほうと息を吐き、改めて1ページ目を読んで思わず頬が緩るみ、各話思い返してあたたかな気持ちになる。 本当に素晴らしい作品でした!

Posted byブクログ

2023/08/31

 真っ白な雪景色の中。 白装束に真っ赤な着物を被った美少年が、自身も血染めになりつつも親の仇を打ち悲願を叶える。そして、仇の首級を上げ、野次馬をかき分けて宵闇に姿を消す。 何だか芝居を見ているようだなと思っていたら、最後の章で「なるほどそうだったのか!」と読んでいて興奮してしま...

 真っ白な雪景色の中。 白装束に真っ赤な着物を被った美少年が、自身も血染めになりつつも親の仇を打ち悲願を叶える。そして、仇の首級を上げ、野次馬をかき分けて宵闇に姿を消す。 何だか芝居を見ているようだなと思っていたら、最後の章で「なるほどそうだったのか!」と読んでいて興奮してしまった。 菊之助を支えてくれた5人のそれぞれの優しさ。 (私も菊之助に構いたい・・・) 「あだ討ち」というタイトルの真相。 読後久しぶりに、余韻にひたることができた本だった。

Posted byブクログ

2023/08/29

皆の目を引く前髪姿の美少年、菊之助。 大刀をすらりと抜き放ち、父親を殺めた作兵衛を討ち取ると その血まみれの首を高くかかげる。 ベベンと鳴り物三味線が聴こえてくるようだ。 仇討ちの次第を知りたいと芝居小屋を訪れる者あり。 吉原で生まれ育った一八から始まり衣装係、小道具職人など...

皆の目を引く前髪姿の美少年、菊之助。 大刀をすらりと抜き放ち、父親を殺めた作兵衛を討ち取ると その血まみれの首を高くかかげる。 ベベンと鳴り物三味線が聴こえてくるようだ。 仇討ちの次第を知りたいと芝居小屋を訪れる者あり。 吉原で生まれ育った一八から始まり衣装係、小道具職人など バトンを渡すようにそれぞれが菊之助との関わり そして自身の生い立ちを語る。 第四幕 『長屋の場』 可愛い盛りの息子を亡くした無口な職人とお内儀の話は悲しかった。 この幕で出てくる『菅原伝授手習鑑』の『寺子屋』の段は 忠義のため我が子の首を差し出す物語。 無口な職人夫婦と歌舞伎を絡めて書かれている。 第四幕は心に残った。 28日の地方紙(中日新聞・夕刊)に ー 呂勢太夫「寺子屋の段」への意欲 ー 文楽公演の記事を目にする。 本作を読み終えた日に『菅原伝授』の新聞記事。 こうして繋がっているのだなと実感する。 時代小説はいつ読んでもいい。

Posted byブクログ

2023/08/26

父のあだ討ち。なぜ目撃者が全員芝居小屋の人びとなのか、あだ討ちの始終より目撃者の生い立ちや生活背景の方が話の重点なのか、ミステリの様な話の結末で、すとんと落ちる。15歳であだ討ちする菊之助の苦悩を受け止め手助けするのは、苦労の過去を持つ舞台裏の人々。身分や私腹に囚われた家老や武士...

父のあだ討ち。なぜ目撃者が全員芝居小屋の人びとなのか、あだ討ちの始終より目撃者の生い立ちや生活背景の方が話の重点なのか、ミステリの様な話の結末で、すとんと落ちる。15歳であだ討ちする菊之助の苦悩を受け止め手助けするのは、苦労の過去を持つ舞台裏の人々。身分や私腹に囚われた家老や武士に、真っ平らに人を見て力を貸す芝居小屋の人々が、一芝居打って菊之助を救う姿には晴々してあたたかくて泣けた。威張っている人も健気な人も、死ぬときは最後は骨になる。芝居小屋の人の考え方に何を肥やすか、考えてしまった。

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2023/08/26

木挽町の芝居小屋前での仇討ち。 その真相を芝居者たちが順番に語っていく。 仇討ちの様子はもちろん、話者それぞれの生き様にも惹き付けられる。 後半になり真相に近づくにつれ、面白さが加速していった。 「あだ討ち」に妙に納得して、すっきりした気分で読了。

Posted byブクログ

2023/08/26

面白かった。登場人物の一人称で語る形式で、まず最初の語り手が軽妙でどんどん引き込まれていった。時代小説をあまり読んだことがないので不安だったけど、私のような不慣れな読者にもわかりやすく、かつあまり不自然にならないように語句の説明がされていて助かった。

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2023/08/26

あだ討ちの模様を,木戸芸者が朗々と歌い上げる。 読者は目の前に色鮮やかな江戸の芝居小屋に誘われる。 最初から最後まで、夢心地で読み進められる,美しく情感豊かな世界。 前髪がまだ取れない美しい若侍。雪が舞い散る夕暮れに,芝居小屋からでてくる人々の前で起こったのは、太平な時期に滅多...

あだ討ちの模様を,木戸芸者が朗々と歌い上げる。 読者は目の前に色鮮やかな江戸の芝居小屋に誘われる。 最初から最後まで、夢心地で読み進められる,美しく情感豊かな世界。 前髪がまだ取れない美しい若侍。雪が舞い散る夕暮れに,芝居小屋からでてくる人々の前で起こったのは、太平な時期に滅多に見ないあだ討ち騒動。 真っ白な死装束に美しい紅色の小袖をまとい、そこへ通りかかったのは芝居の悪役っぽい大柄の着物を着た大男。 娘と勘違いし声をかけた。若侍と剣を何度も合わせ,とうとうあだ討ち!首級をとる。真っ赤に染まった若侍。 読み進めるとあだ討ちが行われた芝居小屋付近。 目撃者や若侍を知る人々に話を聞くことで、それぞれの人々の人となりや関わり方が見えてくるのだが。 この本!芥川賞直木賞のいままでの作品群の中でも随一。 ぜひおすすめの1冊。

Posted byブクログ

2023/08/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芝居小屋の前で起きた見事な仇討ち。 その真相を探りに来た男に、目撃者の一癖も二癖もある芝居小屋の面々が如何に立派な仇討ちかを聞かせる物語 江戸の芝居小屋で生きる人々の多様で深くて粋なこと粋なこと 語りも軽妙で落語を聞いているようにサクサクとテンポよくページを捲らせて頂きました面白かったー!

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2023/08/23

ここ最近読んだ本で一番面白かった。 芝居小屋の5人、それぞれの語り口で物語は進む。 少しずつ真実が明らかになっていく。 芝居小屋のみんなの過去も面白い。

Posted byブクログ

2023/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

直木賞、山本周五郎賞 表現の豊かさ、ストーリー、面白さは直木賞らしい。前半は何?って感じで進んでいたが終盤から展開していく「あだ」討ちは一気読みに。良作。

Posted byブクログ