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しろがねの葉 の商品レビュー

4.1

397件のお客様レビュー

  1. 5つ

    119

  2. 4つ

    185

  3. 3つ

    68

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2023/12/04

人が生きるということの厳しさ、人間の営為や生きる意味とは

戦国末期から徳川の治世に移り変わる時代に盛期を迎えた島根県石見銀山を舞台に、時代や運命に抗いながら必死に生きる主人公ウメの凄絶な半生を描いた時代小説である。銀を吸って赫然と光り輝く羊歯は銀の在り処を示してくれるが、銀を探し求めて間歩を掘り進める人間は体内に鉱毒を蓄えて死にゆく運命...

戦国末期から徳川の治世に移り変わる時代に盛期を迎えた島根県石見銀山を舞台に、時代や運命に抗いながら必死に生きる主人公ウメの凄絶な半生を描いた時代小説である。銀を吸って赫然と光り輝く羊歯は銀の在り処を示してくれるが、銀を探し求めて間歩を掘り進める人間は体内に鉱毒を蓄えて死にゆく運命を背負う。そんな山に根を下ろし、男勝りの逞しさと慈母の如き深い情愛をもって、女としての苦悩や、次々と襲い掛かる苦難や逆境を乗り越えながら生き抜いていくウメの姿が、重厚な文章や美しい情景描写の中に、生き生きと描き出される。最終盤に、ウメが愛した後に夫となる龍が語った言葉が印象的である。人が生きるということの厳しさ、人間の営為や生きる意味とは何かを深く考えさせられる。

fugyogyo

2024/11/25

一人の女性の一生を重厚に描いています。本の厚み以上に読みごたえがすごい。男女の欲望と、変えようのない愛情が入り乱れながら、崇高な人間の生き方がドカンと迫ってきます。

Posted byブクログ

2024/11/21

男は早死にする運命と知りつつ銀を掘り、女は夫が早死にするので3回は嫁に行くと言われる、特殊な時代と土地のお話。夫のみならず、息子も看取るってのが辛い。

Posted byブクログ

2024/11/20

読み終えて余韻にひたっております。 男、女、子、生きることに必死で今の時代と比べるとかなり違うのに心にくるものがありました。 難しい言葉が並びますが惹きこまれていきます。

Posted byブクログ

2024/11/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

平和ボケしている現代人なので「温泉地かぁ〜」という認識をしがちだけどそりゃ地名の通り過酷な歴史があるわけよな… 主人公以外はほとんど男なんだけど数少ない女性のおとよが菩薩のような慈悲深さ お菊も捨て難いけど私は全力でヨキを推します

Posted byブクログ

2024/11/17

幼い頃に親と村から夜逃げする途中ではぐれたウメは、稀代の山師喜兵衛に拾われ、山で生きる術を学んだ。 しかし男たちと同じように銀を掘ることも叶わず、女として銀の山で生きていくことを選ぶ。それが幾多の死を見守ることになろうとも。 どうしようとも性差は埋められない。それはもう多様性だ...

幼い頃に親と村から夜逃げする途中ではぐれたウメは、稀代の山師喜兵衛に拾われ、山で生きる術を学んだ。 しかし男たちと同じように銀を掘ることも叶わず、女として銀の山で生きていくことを選ぶ。それが幾多の死を見守ることになろうとも。 どうしようとも性差は埋められない。それはもう多様性だのジェンダーフリーだの言おうが、生まれ持った性質として仕方のないことで、不公平でもなんでもない。生き物なのだから。 銀の山で死を背負いながら生きるのと、それを見守ることしかできず、しかし子を生して脈々とそれを引き継いでいくことと、どちらが辛いかなど比べられるものでもない。 ウメがそれでも選択肢の中で足掻き、生きていく様はひたすらに格好良かった。人生で選べるものはある程度拡げることはできるが、そう多くはない。今の世はここまで死と隣り合わせの生き方は少なくなったとは思うけど、必死で生きた時代は確かにあって、自分にもいつかのその血は流れているんだと思えた。

Posted byブクログ

2024/11/17

粉塵の舞う中にいる様な息苦しさの中、女の一生が語られていく 過酷な状況で強く強く生きる潔さに、ゆるぎない生命力 を感じた

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2024/11/08

本の中盤にたどり着くまでが長く、そこからぐぐっとのめり込んだ。でもウメの生い立ち、喜兵衛、ヨキ、隼人、龍のキャラクター、石銀を知るためには欠かせなかった。千早さんが描く暗闇、静けさが好き。 活気あふれるウメの変化や、それぞれとの関係性が描写されるにつれてどんどん読み進めたくなった...

本の中盤にたどり着くまでが長く、そこからぐぐっとのめり込んだ。でもウメの生い立ち、喜兵衛、ヨキ、隼人、龍のキャラクター、石銀を知るためには欠かせなかった。千早さんが描く暗闇、静けさが好き。 活気あふれるウメの変化や、それぞれとの関係性が描写されるにつれてどんどん読み進めたくなった。 石見銀山で生きた男性たち、女性たち、どちらも若くして亡くなったりそれを何度も看取ったり、酷な人生。息子を看取ることはよくあったのだろうか。その中でも愛されていたこと、大切に想ってくれていたこと、愛おしく想うことが生きがいになるのか。 石見銀山に行ってみたい。

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2024/10/30

最初の数行で物語に引き込まれて、一気に最後まで読んでしまいました。数ヶ月前に石見銀山に観光へ行ったので,よりリアルに物語の世界を体感できました。 後半は主人公ウメの辛い人生の巡り合わせに、胸が締め付けられました。 辛い運命を受け入れて、逃げずに最後まで天命を全うしていく、ウメに心...

最初の数行で物語に引き込まれて、一気に最後まで読んでしまいました。数ヶ月前に石見銀山に観光へ行ったので,よりリアルに物語の世界を体感できました。 後半は主人公ウメの辛い人生の巡り合わせに、胸が締め付けられました。 辛い運命を受け入れて、逃げずに最後まで天命を全うしていく、ウメに心が打たれました。

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2024/10/27

最初は文体のせいか、なかなか読み進めるのが難しかった。でも慣れてくると、本を手に取っていない時でも、ウメが自分の頭の中に宿っていて、生き生きとしている。苦しい場面だらけなのに、ウメの生き様に目を開かされる。 この物語自体が、間歩なのかもしれない。 最後の方、ウメは神様になったのだ...

最初は文体のせいか、なかなか読み進めるのが難しかった。でも慣れてくると、本を手に取っていない時でも、ウメが自分の頭の中に宿っていて、生き生きとしている。苦しい場面だらけなのに、ウメの生き様に目を開かされる。 この物語自体が、間歩なのかもしれない。 最後の方、ウメは神様になったのだと思った。 ずっと心に残る一作だった。

Posted byブクログ