しろがねの葉 の商品レビュー
静かで、冷たいけれど、熱量と力強さがある。 まるで間歩のような。 これを読む前に行った石見銀山と、読んでからでは違う気がする。行こうかな。どの季節はいつがよいかウメが教えてくれる。
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戦国から江戸初めの石見銀山。 そこで拾われた少女ウメ。 前半を読んだ限り、その生涯を 綴っていくのかと思ったがそんな 単純ではなかった。 特に後半は銀山で働き生きる厳しさを とても素晴らしく表現しており、 改めて生きるって何なんだろうと考えて しまった。
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戦国時代末期の石見銀山へ行ってきた。あるときは、ウメと同じ視点で、あるときは、ウメの背中を追いながら。あるときは一緒に悔しがったり、悲しがったり、苦しんだり。あるときは励ましたり、憧れたり、ホッとしたり。ほんとに面白い本を読んでいる時は、本に穴が開くんじゃないかと思うくらいの目力...
戦国時代末期の石見銀山へ行ってきた。あるときは、ウメと同じ視点で、あるときは、ウメの背中を追いながら。あるときは一緒に悔しがったり、悲しがったり、苦しんだり。あるときは励ましたり、憧れたり、ホッとしたり。ほんとに面白い本を読んでいる時は、本に穴が開くんじゃないかと思うくらいの目力で活字を追い、ハッと息をのんだり、直接的な言葉でないところで涙が出てきたりする。私が実際生きていなかった時代の、行ったこともない土地の、景色や匂いが目の前に迫る。本当に、ウメはそこにいたんだ、と確信する。読み終えて、「石見銀山」を検索する。時代背景や歴史に思いを馳せ、本に注ぎ込まれたそれぞれの人生の重さをかみしめ、生きるとはなんだろう、と考える。いやもう、おもしろい小説はおもしろいな!
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社会的、地理的にとても閉塞的な条件下で生きる少女。読んでいてとても苦しい、劇的な逆転劇があるわけではなくひたすらに歯を食いしばって生きる。夏の新潟で読んだ。カラッと晴れた空と綺麗な田園風景に静まり返った独特の物悲しい空気感が本に絶妙にマッチしていて印象に残っている。
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限られた選択肢から、光を求めて生きていく人々の、旺盛な心を描いた話である、と受け取った。 冒頭の″常闇″の世界から、″赫然たる光″の世界に足を踏み入れるのは、幸せだとか生きがいだとかではなく、逃げられない世界にいる、ということを認識することなのだ。 それは不幸なのか。 この時...
限られた選択肢から、光を求めて生きていく人々の、旺盛な心を描いた話である、と受け取った。 冒頭の″常闇″の世界から、″赫然たる光″の世界に足を踏み入れるのは、幸せだとか生きがいだとかではなく、逃げられない世界にいる、ということを認識することなのだ。 それは不幸なのか。 この時代を生きていない私たちには、理解できない。 けれど、力強く柔軟に生きていた人々がいた、ということは心に深く残している。 ーーー 情景描写が美しく、特に色を効果的に使っていると感じた。 赤と緑(青)が印象に残った。 ・羊歯の葉 ・躑躅の花 ・四葩の花弁 などの植物 ・出雲の巫女(おくに)の緋袴 ・龍の目 などの人物に関わるもの
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事前情報なく読みましたが、途中でこれは私の苦手な「大河」の作品だ…!と気づきました…。苦手な分野のため、やはりスムーズには読み進められませんでしたが、千早茜さんの彩る人間感が色濃いので徐々に没入していくことができました。銀掘の村の男と女の人生の物語、なかなか興味深かったです。
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戦国末期から江戸時代にかけて 石見銀山で生き抜いたウメの生涯を描く。 天才山師の喜兵衛に拾われ その才を見出されて おなごだてらに銀山で活躍する話かと思ったら 全然違っていた。 時代の流れに喜兵衛は取り残され ウメはおなごであるが故の屈辱も味わう。 だがそれでもウメの生きる力に引き込まれ ウメと同じく間歩の暗闇に取り込まれたかのようにこの物語世界にどっぷり浸かることができた。 喜兵衛への慕情、恐ろしくも信頼できるヨキ、 激しくもいつも見守ってくれる隼人、 岩爺や夕鶴、龍、およしさん 子供たち、全てが生き生きとしていた。
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ぴんと張り詰めた緊張感のある本でした。そして情景描写が素晴らしく、映像を見ているようにありありと場面が頭の中に浮かんでくるのはすごかったです。 ちょうど1600年頃の石見銀山に関わる人たちの話。 前半は幼少の頃から男と一緒に銀掘に関わり、男に負けじとプライドを持って日々を送っているが、後半は生理がきてしまってから銀掘の間歩(鉱山の掘り口)に立ち入ることもできず、さらには襲われて、妊娠するが死産してしまったりして、女性であることに無能感を持つ流れがなかなか痛々しくてきつかった。 最後読み終えてみると、銀山で働く男たちを包み込む悠久なる存在的な描き方をされていたので、落ち着くところに落ち着いて、痛々しいだけの話が苦手になってきた私的には終わり方はよかった。
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時代小説を手に取ったことがなく、読み始めるもなかなか進まない。もうやめようか、と思いつつもウメの生きる力に圧倒され、途中からはのめり込むように読んだ。 喜兵衛はウメを我が子のように育てるが、ある一線を引いていたように思う。 銀山に入る者は短命だ。ウメを遠ざけようとしたのは深い愛情...
時代小説を手に取ったことがなく、読み始めるもなかなか進まない。もうやめようか、と思いつつもウメの生きる力に圧倒され、途中からはのめり込むように読んだ。 喜兵衛はウメを我が子のように育てるが、ある一線を引いていたように思う。 銀山に入る者は短命だ。ウメを遠ざけようとしたのは深い愛情の証だと思う。 厳しい山師としての顔と同時に、草木の知識と季節の花を愛でる余裕も与えてくれた喜兵衛。 「あの時、色がついたのだとウメは思った。色を知らねば、巡る季節を花で区切り、愛しく思う人と同じ花を眺めたいと思うこともなかっただろう。」 隼人との幸せな時間が一時でもあって、そこに心が救われる。でも、幸せだからこそその時がいつか終わりを迎える事はとても苦しい。 「まだ夜目だけは利く。夜の暗さは僅かだけ、わたしを自由にしてくれる。」 晩年、ウメはどんな気持ちで夜闇を見つめていただろう。 読み終えた後も頭が痺れたように現実に戻れなかった。
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石見銀山で拾われたウメの半生。 過酷な環境の銀鉱採掘で早世する男たち。ウメの関わりを持った男たちが亡くなっても山に残るウメ。 残念ながら、この本は何を伝えたいのか今ひとつ読めなかった。
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