文にあたる の商品レビュー
誤植は、おもしろい。 子供の頃、ニュースの「汚職事件」は「お食事券」だと思ってたり、社会に出てからも「数パーセント」を「スーパー銭湯」だと思って笑われたり。。学生の頃「VOW」を授業中に読んでいて先生に取り上げられたコトを思い出しつつ、書籍の誤りを無くすために日々努力されているの...
誤植は、おもしろい。 子供の頃、ニュースの「汚職事件」は「お食事券」だと思ってたり、社会に出てからも「数パーセント」を「スーパー銭湯」だと思って笑われたり。。学生の頃「VOW」を授業中に読んでいて先生に取り上げられたコトを思い出しつつ、書籍の誤りを無くすために日々努力されているのが、本著のテーマである校正者さんのお仕事です。 私も、世に出したものにもし誤りがあると、「すみませーん!間違ってましたー!」と大声で言わないといけない仕事(比喩です)に携わってもいるので、かなり共感しながら読ませていただきました。 ①校正の奥深さ ②校正の未来 ①校正の奥深さ 単なる間違い探しではない、というのが本著を読んで感じたところです。 「正しい表現」に越したことがないのは当たり前だけど、それが「著者の意図」とは違うとしたら、例えばひらがなで「さぼる(語源からすると"サボる"が正解)」と書くのは許容すべき? 「校正がなくとも本は作れる」とは言いつつ、こういった配慮が行き届いていないと、読者が本を読む目的(正確な情報だったり、感動だったり)を減殺する結果にはなるよな、と。 その立ち位置を間違えると、「的外れな鉛筆、出過ぎた鉛筆」になってしまう。校正者とは本全体のアドバイザーでもあるのだなと感じました。また同時に、校正者→著者の片想いの関係性はちょっと切ないなと。 ②校正の未来 出版社が本にかけられるお金はどんどん減ってるのでは?が外野から見た感覚で、校正者というお仕事の未来も決して明るくはないのかなと思いました。 とは言え、「単なる間違い探し」部分をAIにアウトソースして、大量に見つかった間違いを著者に伝えるべきかを判断する仕事のスピードが上がるなら、校正者の付加価値は生きてくるのでは。 (あるいは、校正者の判断基準をAIに取り込んだら新しいサービスが生まれますが、それによって市場が破壊されてしまって、例えば全く新しい形式の情報をチェックしないといけない際に、校正者が生き残ってない…みたいな事態が想像されます。) 紙→電子の流れに伴って、「刷ったらもう直せないからキッチリ校正する」というロジックが弱くなってきているのも校正という立場からは悩ましいところ。 インボイス制度導入なども見据えると、かなり絶望的な感じがしますが、ノウハウが途絶えないことを祈りつつ、消費者の立場から少しは出版業界に貢献(この表現はおこがましいですね…)していけたらなと思います。 校正という未知のお仕事の「背骨」の部分を学ぶことができる、面白い1冊でした。
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ブクログに書くときは1~2回校正するようにしていますが、後から誤字を見つけてこっそり直している私です…。 ◎◎◎ 本書を無理やり「セブンルール」風にまとめますとこんな感じでしょうか…。 1.黒鉛筆を使う 2.かんなをかけすぎない 3.校正をされてみる 4.人の誤植は拾わな...
ブクログに書くときは1~2回校正するようにしていますが、後から誤字を見つけてこっそり直している私です…。 ◎◎◎ 本書を無理やり「セブンルール」風にまとめますとこんな感じでしょうか…。 1.黒鉛筆を使う 2.かんなをかけすぎない 3.校正をされてみる 4.人の誤植は拾わない 5.辞書は全て見る 6.天職と思わない 7.旅先ではかならず書店と図書館に立ち寄る (その他のルールは本書でお確かめください) 印象的だった言葉。 校正は「建築物の筋交いのように見えないところで文章を強靭にする」(p27)。 それでも「落と」してしまったときの悔しさといったら…図り知れません。 世の中には校正されていない出版物がたくさんあることも驚きでした。だとすればお金と時間をかけてまで校正することに何の意味があるのか? 著者は悩みますが、その答えは爽快でした。 ◎◎◎ 校正の神様の名言、 「人の誤植は拾わない」はいろんなことに当てはまりそうです。もちろん本書にも。
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校正の仕事がこんなに奥深いとは思っていなかった。本が出版されるまでにこんなにもとことん確認するのかと驚いた。それでも誤植が完全になくならないところは人間味があってなんか安心する。この本を読んで、本のありがたみが増した気がする。
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本当に細かい事まで調べて本は作られているんだなと改めて感じました。ミスは数の問題ではなく、ひとつでも見つかれば0点だという厳しい世界。 恋愛小説の結末で主人公が突然「わしは」と言っていた事もあるらしいので、それをスルーしてしまったら作品も台無しになってしまう。(おじいちゃん化には...
本当に細かい事まで調べて本は作られているんだなと改めて感じました。ミスは数の問題ではなく、ひとつでも見つかれば0点だという厳しい世界。 恋愛小説の結末で主人公が突然「わしは」と言っていた事もあるらしいので、それをスルーしてしまったら作品も台無しになってしまう。(おじいちゃん化には笑えるけど…) とにかく大変、細かく神経を使う仕事だ。
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落語家の桂米朝さんが「ディテールを疎かにすると、お客さんが醒めてしまう」とおっしゃっていたのを思い出した。 作品の世界に浸っているときに、些細な違和感で我に返ってしまわないように。 また、速報性が高いメディアとは違い、書籍は情報の正確性を謳っている。 その信頼を損なわないように。...
落語家の桂米朝さんが「ディテールを疎かにすると、お客さんが醒めてしまう」とおっしゃっていたのを思い出した。 作品の世界に浸っているときに、些細な違和感で我に返ってしまわないように。 また、速報性が高いメディアとは違い、書籍は情報の正確性を謳っている。 その信頼を損なわないように。 更に「著者はもっと自分の言葉に頑固であっていい」という謙虚さに、むしろプロ意識を感じた。 作品の色はそのままに、作品としての質をより高めていく。校正者は、裏方というよりは本を支える立役者なのではないかと思った。
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どうしてポプラディアはああなってしまったんだろう。 校正者の想いを知れば知るほどそう思う。 100点が当たり前、何かミスればすべてが台無し。 図書館も似たようなものなのかもしれない。 当たり前のものを当たり前に維持する仕事。 当たり前であるだけに、必要性が理解されないこともある。...
どうしてポプラディアはああなってしまったんだろう。 校正者の想いを知れば知るほどそう思う。 100点が当たり前、何かミスればすべてが台無し。 図書館も似たようなものなのかもしれない。 当たり前のものを当たり前に維持する仕事。 当たり前であるだけに、必要性が理解されないこともある。 その結果があれだったのかもしれない。
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校正という仕事を表面的にしか分かってなかったんだなぁとつくづく思う。この本を読めば読むほどその仕事の深さと難しさに唸ってしまう。それでも「他人事」と思えないのは「自分にとって仕事とは?」をいつも考えているから。いい仕事をしたいと願いもがく自分と重なるから。細部にいたるまで興味深く...
校正という仕事を表面的にしか分かってなかったんだなぁとつくづく思う。この本を読めば読むほどその仕事の深さと難しさに唸ってしまう。それでも「他人事」と思えないのは「自分にとって仕事とは?」をいつも考えているから。いい仕事をしたいと願いもがく自分と重なるから。細部にいたるまで興味深く終始楽しく読了。
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プロの校正者が本の校正を巡る苦労や思いを綴ったエッセイ。 校正の仕事って誤字脱字を見つけるだけだから楽だろ勝手に思い込んでいたが、この本では思い込みで見過ごしてしまう誤用や厳格なファクトチェックなど、校正の奥深い世界が述べられており、読後は校正業務に対する印象が大きく変わる。
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言葉や文章に常に真摯に向かい合ってきた筆者だからこそ、とても丁寧に言葉を選び、紡いでいったのだろうと想像できる一冊。
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「校正」という仕事が、具体的にどんなことをする仕事なのかがよく分かりました。著者が「校正」という仕事に真摯に取り組んでいる様子が、この本の文章から伝わってきました。
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