チ。 ―地球の運動について―(第8集) の商品レビュー
地、知、血。 歴史の姿をありありと感じられる。 フィクションであろうのに。 教えに背く学問が異端とされ、斥けられる危険すら顧みずに、それでも研究を続ける熱が凄まじい。 そしてなにより、それをどうにかして後世に遺そうとする研究者たちの工夫があってこそなのだと気づく。 ここはきっと...
地、知、血。 歴史の姿をありありと感じられる。 フィクションであろうのに。 教えに背く学問が異端とされ、斥けられる危険すら顧みずに、それでも研究を続ける熱が凄まじい。 そしてなにより、それをどうにかして後世に遺そうとする研究者たちの工夫があってこそなのだと気づく。 ここはきっとノンフィクションで、歴史とはこうして紡がれていると思う。
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いろんな史実とフィクションと現代思想が混じっていて突っ込みどころはあったけれど、全編通して信念や祈りが軸にあって好きだった。
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感想 いや、深すぎるだろ、正直なめてた。 最後ラファウがでてくるところで理解ができないまま読了。頭にハテナを浮かべつつ、色んな考察を見てやっと理解ができた。この解釈であってるのか分からないけど… まずこの物語の主人公は特定の人物ではなく、「知」知識の継承、知識を得る感動、知識への愛が作品では多く描かれており、そしてあえて物語を曖昧なものに読者に「知」を求めさせようとしたのだと。 そして1章~3章は「歴史の中にあったかもしれない物語」4章は「今の歴史に繋がる物語」 最初のと最後のラファウはそれぞれの物語に出てくるだけの「別の人物」というのが最終的に僕だ落とし込んだ着地点。色んな人の考察とその根拠を見て自分なりに納得できるものになった。このように自分で「知」を求めてあがき、そして考えることが作者が求めていたものだと僕は思う。
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地動説、とは単なるテーマのひとつでしかなく、それに魅せられた人間たちの感動を繋ぐ歴史の物語だと感じた。今ある全ての事象は、人間たちが知を振り絞り血を滲ませて紡いできたものなのだと、この漫画を読むとそう思わざるを得ない。もうこれ以上先に道はないと思うことがあっても、感動が潰えること...
地動説、とは単なるテーマのひとつでしかなく、それに魅せられた人間たちの感動を繋ぐ歴史の物語だと感じた。今ある全ての事象は、人間たちが知を振り絞り血を滲ませて紡いできたものなのだと、この漫画を読むとそう思わざるを得ない。もうこれ以上先に道はないと思うことがあっても、感動が潰えることはなく、私たち人間を何度でも奮い立たせてくれる。その感動はきっと今日まで地続きになっている。私もその感動の上に立って生きているのだと実感する漫画だった。
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第50回ビブリオバトル〜明石の陣〜テーマ「終」で紹介された本です。オンライン開催。 2022.11.10
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ま、しょうがないですよ。それぞれの状況の中でやれることをやった。お互いにね。 お互いじゃない。君と私は大きく違うんだ。同じ立場じゃない。地動説が異端じゃないと言われて、気付いたよ。 私は、私はこの物語の悪役だったんだ。 クソ、全く驚きだ。 確かに、僕らは敵対した関係でしたね。 この世の中には様々な人がいる。正直者も、嘘吐きも、情けない奴も、勇敢な奴も。さらに驚きなのが、一人の人間にそのすべての要素が入ってることもざらにあるし、それが日々変化したりする。こんなに大勢いるのに誰一人、同じ人はいない。そりゃ争いは絶えないでしょう。 でも、だけどです。 過去や未来、長い時間を隔てた後の彼らから見れば、今いる僕らは所詮、皆 押しなべて"15世紀の人"だ。 僕らは気付いたらこの時代にいた。別の時代でもよかったのにこの時代だった。それはただの偶然で無意味で適当なことで、 つまり奇跡的で運命的なことだ。 だから、絶対そんな訳ないと思いつつも、感情と理屈に拒絶されようともこう信じたい。 今、たまたまここに生きた全員は、たとえ殺し合う程憎んでも、同じ時代を作った仲間な気がする。 面倒くさがって感情を無視してはいけないよ。 最後の日の出が差し込んでくるシーンで号泣した。 私のアレテーは?じゃあお前のは? アリストなんちゃらはこうも考えた。人は自分の特性を活かしている時が一番幸福だ、と。 告解室っていいな、。 タウマゼインは、 この世の美しさに痺れる肉体のこと。そして、それに近付きたいと願う精神のこと。つまり、「?」と、感じること。 知が人や社会の役に立たなければいけないなんて発想はクソだ。知りたいからやる。それだけだよ。 そしてねアルベルト君。これだけは覚えていてくれ。 真理の探求において、最も重要なことだ。 信じろ。自分の直感を。世界の絶美を。僕は何があろうと、君の好奇心を否定しない。 僕が家庭教師をさせてもらってるが、彼の聡明ぶりには驚くよ。まるで、この少年の内には手練の論理学者が入っているようだ。 だけど、それより注視すべきはその好奇心の強さだ。学術の未来において、これが何より重要な才能だ。 聖アクィナスは知性を、一方では物体的で他方では非物体的と捉えました。身体と魂、理性と信仰、哲学と神学、疑うことと、信じること。これらの矛盾は両立します。何故か、 それが、人間だからです。 奇跡が貴方が生きる場所だったのに、です。 でも、いくら悩んで問うても神は口を開かない。 そうですよ。だから永遠に、私達は考え続けられるのです。私はそれを、幸福だと思いたい。 最後に一つ質問です。 硬貨を捧げれば、パンを得られる。税を捧げれば、権利を得られる。労働を捧げれば、報酬を得られる。なら一体何を捧げれば、この世のすべてを知れる。と、思いますか?その答えを探してください。 今の私は、"圖囚圉国(ずしゅうぎょこく)"と答えよう。
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なんで8巻だけ、こんな真っ黒の表示なのかと思っていたら、黒ではなく夜空だった。今までの表紙の人物達はみんな星を見上げていた。 登場人物もセリフも多く、読み解くのが難しい漫画。登場人物の視点しか無い。ただし、事実は過去の巻に示されている。解説とセットで読みたい。 二項対立の間の...
なんで8巻だけ、こんな真っ黒の表示なのかと思っていたら、黒ではなく夜空だった。今までの表紙の人物達はみんな星を見上げていた。 登場人物もセリフも多く、読み解くのが難しい漫画。登場人物の視点しか無い。ただし、事実は過去の巻に示されている。解説とセットで読みたい。 二項対立の間のどこに立つかが教養であるなら、やはりアルブレヒトなり懺悔室の神父なりが教養人だと思う。
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地動説で有名な「コペルニクス」や「ガリレオガリレイ」が生まれるもっと前に、 常識であり、法律的でもあった天動説。 それを疑うことは神への冒涜でもあり、裏切りでもあるとすら考えられていた。 それでも真実を突き詰めるうちに、神の言う常識が間違いであることに気づく人がいた。 その人数や信念は時代を経て大きくなっていく。 自分の命と引き換えてでも、真実を突き詰めた人たち。 だけど、その中に結論に辿り着いたものはいなかった。 このほかにも現代における沢山の常識について、 歴史に名を残す人物以外にもたくさんの人の命や信念や熱い思いが繋がって、 私たちの当たり前の知識として活かされているのかもしれない。
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いろんな要素が混ざっていて、いろんなことを考えさせられた。 何が正しくて何が間違っているかなんて、生まれた時代や場所で、誰が権力を持っているのかで変わってしまう。権力の世代が変わるだけで変わる。時代や環境が変れば変わる。妄信していて裏切られることもある。ノヴァクのように。その時...
いろんな要素が混ざっていて、いろんなことを考えさせられた。 何が正しくて何が間違っているかなんて、生まれた時代や場所で、誰が権力を持っているのかで変わってしまう。権力の世代が変わるだけで変わる。時代や環境が変れば変わる。妄信していて裏切られることもある。ノヴァクのように。その時代に生まれたのは運命。同じ時代にもいろいろな考え方の人はいる。 その中で権力に屈さず、知的探究心で真理を追求しする人たちがいる。自分がダメでも次に伝えようとする人たちがいる。その姿や内容に感動して手伝う人たちがいる。ラファウ、フベルト、グラス、オクジー、バデーニ、ヨレンタ、ピャスト伯。それに巻き込まれるノヴァク、異端審問官、ドゥラカ。 地(動説)と、知(的探究心)と、血の物語。 この物語では、最後は実在したアルベルト・ブルゼフスキにつながる。コペルニクスの先生だった人らしい。アルベルトのお父さんは天体に関する重要な資料を持っていた。子供の頃の家庭教師がラファウ。パンを届けに行って懺悔室で長く話した司教は、たぶん異端審問官でノヴァクの部下だった二人の新人の片割れ。そしてドゥラカが送った手紙を受け取って、その話をしている住人の前を通る。本の題名が「地球の運動について」だと聞こえてきたときにアルベルトは「書き違いかな?運動するのは天球だし」と呟きながら頭に「?」が浮かぶ。タウマゼイン。 アルベルトは子供の頃ラファウ先生から言われた。「夜空を見ていると感じるだろ?タウマゼインを。それは、古代の哲学者曰く、知的探求の原始にある驚異。簡単に言い換えると、この世の美しさにしびれる肉体のこと。そして、それに近づきたいと願う精神のこと。つまり『?』と感じること」と。アルベルトが地動説へ辿り着く伏線。 フィクションからノンフィクションへつながれた。そして活版印刷の発明が、ルネッサンスと宗教改革につながっていくのだろう。 多様性が尊重されないと世界は発展しなくなる。争いが絶えなくなる。拒絶より寛容が大切。と言われているように解釈した。 7巻で、ヨレンタがドゥラカに語る歴史観が好き。
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1巻から流し読み。 え?これで終わり?というくらいあっさりと終わった感覚。 化学(科学)は人が紡いでいくもの、だから一人の人間が所有してはいけない、とあるところで聞いたことがある。 まさにそのお話だった。 拷問シーンがどうにも苦手で、心臓バクバクしながら読んだ。 物理的にグロい...
1巻から流し読み。 え?これで終わり?というくらいあっさりと終わった感覚。 化学(科学)は人が紡いでいくもの、だから一人の人間が所有してはいけない、とあるところで聞いたことがある。 まさにそのお話だった。 拷問シーンがどうにも苦手で、心臓バクバクしながら読んだ。 物理的にグロいシーンに対してのドキドキもあるが、天動説が主流の世界の中で地動説が脈々と受け継がれていく、世界がまさに覆されていくその様にもドキドキした。 今わたしは当たり前のように地動説を受け入れていて、天動説が支持されていた時代があると習う。けれど一人の人間がそれぞれ命をかけて、時を経て、作り上げられたその過程にまで想像することは無かった。 本当にあったことかどうかは知らないが、こうして地動説が今に至るまで受け継がれてきたであろう1つの世界線を描いたんだと思うと、読み終えた後こそ心臓のドキドキが収まらない漫画だ。
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