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ミス・サンシャイン の商品レビュー

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86件のお客様レビュー

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光と影を同時に生きた女優人生

昭和の大女優だった80代の美しく芯の通った「鈴さん」と、20代の大学院生「一心」の世代を超えた飾らない交流と一心の鈴さんへのつのる恋心が描かれていく。そのうち読者は一心と共に、鈴さんの光輝いていた女優人生の影に、親友「佳乃子さん」と体験した一生消えることのない惨禍と彼女を亡くした...

昭和の大女優だった80代の美しく芯の通った「鈴さん」と、20代の大学院生「一心」の世代を超えた飾らない交流と一心の鈴さんへのつのる恋心が描かれていく。そのうち読者は一心と共に、鈴さんの光輝いていた女優人生の影に、親友「佳乃子さん」と体験した一生消えることのない惨禍と彼女を亡くした深い悲しみ、寂しさがあることを知る。女優に当てられるスポットライトが明るいほど、その影は色濃く鮮明になる。一心に託したメッセージにあるように、鈴さんは寂しくて悲しくてどうしようもないとき、一人胸の中心をゆっくり押して深呼吸を続けながら生きてきたに違いないのだ。その心情を思うと切なくやるせないが、最後に鈴さんと佳乃子さんを決して忘れないと誓う一心は、我々読者自身であらねばならない。

fugyogyo

2024/07/31

長崎出身の主人公が同じく長崎出身の往年の大女優と知り合って仲良くなる話。なんか元ネタがありそう。 薄い。イマイチ

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2024/06/09

人と人が惹かれ合うのは、年齢とか関係なく、人としての魅力、生き方や考え方って本当に根本というか、変えられないものだな、とか考えた。 一心と鈴さんも生死感とか何か共鳴するものがあり、恋とか愛とか単純なものじゃない出会いだったのだ。 吉田さんが押し付けることなく、描く長崎もよい。 ...

人と人が惹かれ合うのは、年齢とか関係なく、人としての魅力、生き方や考え方って本当に根本というか、変えられないものだな、とか考えた。 一心と鈴さんも生死感とか何か共鳴するものがあり、恋とか愛とか単純なものじゃない出会いだったのだ。 吉田さんが押し付けることなく、描く長崎もよい。 大人の心のつながりをかみしめた。

Posted byブクログ

2024/06/03

一心と和楽京子、この二人の関係性かなり好きです! 素敵な大人の女性ですよね。 読後感も爽やか。 気持ちのよい読書ができました!

Posted byブクログ

2024/05/16

図書館本 初っ端の一文。 そうか。何がいい人生かって、自分で決めていいんだな。 これって素敵。 吉田修一さんは長崎の人で、この本の鈴さんたちもそうで、 それがなんだか良かったなぁ。 大女優の鈴さんと、一心くん。 年をとっても人としての魅力は、人を惹きつける。

Posted byブクログ

2024/04/23

歳の離れた知り合いがいるって落ち着きそう。あれこれ話せそうで。自分が年上であっても新しい発見がありそうだ。

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2024/04/18

「僕は80歳の女性に恋をした」 この一文を読むだけでは不十分な2人の関係性と戦争背景。 鈴さんの、凛としていて可愛らしい人柄がとても魅力的だった。 口にしないだけで、人には誰にも語らない大事な存在がいるんだと思う。 そこに触れることは、愛おしくもありヒリヒリもする。 一言では語れ...

「僕は80歳の女性に恋をした」 この一文を読むだけでは不十分な2人の関係性と戦争背景。 鈴さんの、凛としていて可愛らしい人柄がとても魅力的だった。 口にしないだけで、人には誰にも語らない大事な存在がいるんだと思う。 そこに触れることは、愛おしくもありヒリヒリもする。 一言では語れない、だから黙っている。 ”時間がかかるのよ。人の心ってね、大人になってもよちよち歩きなの。だから周りの人もゆっくり待ってあげるしかないの” ”人ってね、失敗して人から何かを学ぶのよ。決して成功した人からじゃない” ”寂しくてどうしようもないときは、膻中っていうツボをこうやって押さえるの。指先がすっと吸い込まれるところ”

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2024/04/07

私のおじいちゃんは90歳に近く、戦時中を生きた人間。そして広島で生まれ育った。そう、被爆者らしい。 その事実は知っているし原爆手帳を見せてもらったこともあるし、事実は聞けても、「どうだった?」なんていう感想に迫る話はきっとこの先も一生できずに終わるのだろう。 この一生自分が聞け...

私のおじいちゃんは90歳に近く、戦時中を生きた人間。そして広島で生まれ育った。そう、被爆者らしい。 その事実は知っているし原爆手帳を見せてもらったこともあるし、事実は聞けても、「どうだった?」なんていう感想に迫る話はきっとこの先も一生できずに終わるのだろう。 この一生自分が聞けることのない部分を、この本は想像させてくれる一つとなった。 これまでもテレビで特集される戦争の話や学校の授業などからそこの部分を想像することに努めてはきたものの、それを見た時聞いた時は当たり前だけどあまりにも正当化できない戦争の凄まじさにただ「心苦しい」との感想。それ以外言えるものはいるだろうか。 もちろんこの本からも原爆の憎さが伝わるが、「辛い、それに比べて自分は幸せだ」なんて相対評価での幸せへの感想の誘導ではなく、魅せられる「戦時中を生きた人の力強い生き様」によってエネルギーが湧き、活力の自家発電が叶う。 「良い本,作品の正体とは?」と聞かれたとき、私には「人を正しい方向へ導く行動を起こさせてくれるか」というあくまで個人的な回答があるのだが。戦争を題材にした作品の正解にひとつ、私は出会えてしまったようだ。

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2024/04/03

WEB別冊文藝春秋のインタビューで 吉田修一は「長崎の原爆の話を書きたいと思った」と言っています。 島清恋愛文学賞受賞作品だそうで、 島清恋愛文学賞というのも、初めて知りました。 余計な力が入っていない分、こちらも楽に読めました。

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2024/03/30

引退して10年になる伝説の映画女優・和楽京子(80歳)と、彼女に依頼されて荷物整理のアルバイトをする大学院生の岡田一心の物語。平易で軽い文体で、二人の出会いから別れまでを淡々とと描いて行きます。しかし、その中で二人がともに過去に身近な人の死によって得た、強い喪失感が浮き彫りになっ...

引退して10年になる伝説の映画女優・和楽京子(80歳)と、彼女に依頼されて荷物整理のアルバイトをする大学院生の岡田一心の物語。平易で軽い文体で、二人の出会いから別れまでを淡々とと描いて行きます。しかし、その中で二人がともに過去に身近な人の死によって得た、強い喪失感が浮き彫りになってきます。 次の予定が迫って来て、残り僅かだったので無理すれば読了できそうだったけど、なんか勿体なく。一旦本を置き、用事を済ませてから落ち着いて読了しました。柔らかいのだけど、「大切に読みたい」と思わせる作品でした。

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