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ミス・サンシャイン の商品レビュー

3.8

86件のお客様レビュー

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2022/02/01

大学を卒業後、就職した一流商社を1年で辞め大学院に入り直した岡田一心。ゼミの教授から紹介されたバイト先は、往年の大女優・和楽京子の倉庫整理だった。 一心くんの現実と妄想が渾然一体となり、そこに京子さんがかつて出演した映画が絡む。ラブコメ要素満載だが期待した展開とは程遠く、ほろ苦い...

大学を卒業後、就職した一流商社を1年で辞め大学院に入り直した岡田一心。ゼミの教授から紹介されたバイト先は、往年の大女優・和楽京子の倉庫整理だった。 一心くんの現実と妄想が渾然一体となり、そこに京子さんがかつて出演した映画が絡む。ラブコメ要素満載だが期待した展開とは程遠く、ほろ苦い後味を残した。1篇1篇はとても短い作品でも、1冊通して読むと、京子さんの辿ってきた時の重み、それより遙かに短い一心くんのそれが胸を打つ。映画を題材に人生を描いた秀作だった。

Posted byブクログ

2022/01/20

綺麗な小説だった。続きが気になって仕方がない、という躍動は無いけれど、ドラマを見ているような物語だった。

Posted byブクログ

2022/07/02

2022/01/18予約 32 大学院生の岡田一心は、伝説の映画女優「和楽京子」だった、鈴さんの家に通って、荷物整理のアルバイトを始める。鈴さんは一心と同じ長崎出身で、かつてはハリウッドでも活躍していた銀幕のスターだった。 幼かった頃の親友が原爆症で亡くなり 「彼女は亡くなり...

2022/01/18予約 32 大学院生の岡田一心は、伝説の映画女優「和楽京子」だった、鈴さんの家に通って、荷物整理のアルバイトを始める。鈴さんは一心と同じ長崎出身で、かつてはハリウッドでも活躍していた銀幕のスターだった。 幼かった頃の親友が原爆症で亡くなり 「彼女は亡くなり、私は生きた」 ここに鈴さんの深い悲しみが表されていると思った。 その後も何十年にも渡って、気持ちを贈り続けていた。本来なら彼女が歩む道を私が、渡ってしまっている、その気持ちが消えずハリウッドで契約違反を押し切っても彼女の臨終に間に合うよう長崎に駆けつける。 その時の臨終の言葉が、一心の幼くして亡くなった妹の心愛とほぼ同じ。私は幸せな人生を生きられた、可愛そうな子じゃない、と。 そのエピソードが一心と鈴さんに同じように共鳴し、恋にはならない、多分お互いしてはいけないと思っている、もっと高尚な気持ちを抱いたのだと思う。 ほわっと、暖かく優しい気持ちになれる一冊。

Posted byブクログ

2022/01/15

大学院生の一心は、ゼミ担当の教授からバイトの紹介を持ちかけられる。その内容は、かつて女優として活躍されていた方の手伝いをしてほしいとのこと。 「和楽京子」。映画スターとしてだけでなく、テレビや舞台、はたまたハリウッドにまで進出していた大女優だった。最後の表舞台に立ってから10年、...

大学院生の一心は、ゼミ担当の教授からバイトの紹介を持ちかけられる。その内容は、かつて女優として活躍されていた方の手伝いをしてほしいとのこと。 「和楽京子」。映画スターとしてだけでなく、テレビや舞台、はたまたハリウッドにまで進出していた大女優だった。最後の表舞台に立ってから10年、現在は活躍されていない。 手伝いをしていくうちに見えてきた女優の波瀾万丈な人生。関係者の証言からわかってきた女優の「表」と「裏」の顔。 一心はいつしか、京子の魅力に惹かれていった。 「僕が恋したのは美しい80代の女性でした。」 帯にこう紹介されていたので、最初ドロドロの恋愛なのかなと思いました。 というのも、前作の「湖の女たち」が、歪んだ恋愛でエロく描かれていたので、その影響もあってか、色んな想像を駆け巡っていました。 蓋を開けてみると、エロいのは控えめで、大女優の生き様や一心の恋愛模様が垣間見えて、楽しめました。 一心の恋愛模様といっても、最初は別の女性に恋をします。やがて、あるきっかけから、大女優の虜になっていき、ファン→恋?といった進展でしょうか。 ドロドロな恋愛ではなかったので、そこは安心して読むことができました。 80代の女性といっても、実際に活躍されている女優さんをみると、若々しく美しい方ばかりなので、キュンとしてもおかしくありません。 ちなみに80代以上で活躍されている女優さんは、岸惠子さんや草笛光子さんなどが挙げられます。森光子さんも印象的でした。 物語の構成としては、京子の今までの女優としての軌跡と一心の行動を交互にしながら、進行していきます。 京子の人生には、実際にいた俳優や実際に公開された映画の作品もあって、昔の映画ファンにはたまらないかと思います。その中で垣間見えてくる京子の輝かしい人生とは裏腹に苦悩する日々、友人との関係性に壮大なるドラマを感じました。 特にハリウッド女優としての活躍するパートでは「表」と「裏」の顔にウルっときてしまいました。 その経験を通じての現在パートでは、明るく振る舞っていますが、一つ一つの言葉に今まで生きてきた重みだけでなく、哀愁もあって、心に沁み渡りました。 そんな京子を知るうちにいつしか一心はファンとなり、女性として一瞬ですが、惹かれるようになります。 今までのクリアではない別の恋人との関係があった分、京子との恋は、美しいだけでなく、どことなく哀愁もありました。 そして、さまざまな経験を経てのラスト、アカデミー賞受賞に向けてのスピーチがとても印象的でした。 どうしようもない時は、膻中(だんちゅう)を押したいと思います。

Posted byブクログ

2022/01/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

鈴さんの人生に思わず背筋が伸びた。伸びた背筋で本をそっと抱きしめた。ダン中のツボを押さえながら。 読み終わった後に、こんなに愛おしく思える本がほかにあっただろうか、と。 世の中は不思議な縁で繋がっている。気付かなければそのまますぎてしまう細い縁。その細い縁が人生の中で大きな意味へと導いてくれることがある。 いっくんが鈴さんと出会えてよかった。そして鈴さんもいっくんと出会えてよかった。 ほんの半年の間の縁であったとしてもその細い糸はずっと前からそしてずっと先まで繋がっている。人と人との出会いの、その機微を吉田修一の優しいまなざしが宝物として送り届けてくれた。 人生という道の中で何かが変わる時にそばにいてくれた人を大切にしよう、そう思えた。 鈴さんの言葉のひとつひとつがじんわりと心にしみていく。 悲しいことがあってなかなか心の整理がつかないとき、きっと掬ってくれる。心をそっと掬い上げてくれる。 そして思う。どんな人もみな同じなんだと。悲しいことや苦しいこと、楽しいことうれしいこと、そんなあれこれをみんな誰かと共有して生きている。 悲しいだけの人生なんてない。自分の人生は幸せだった、とそう思える人が幸せなんだ。 「時間がかかるのよ。人の心ってね、大人になってもよちよち歩きなの。ゆっくりとしか歩けないのよ。立ち止まって、迷って、でもちゃんとまえに進んでく。だから、周りの人はゆっくりと待ってあげるしかないの」

Posted byブクログ

2021/12/08

【僕が恋したのは、八十代の女性でした】大学院生の岡田一心は、ハリウッドで活躍した伝説の女優「和楽京子」と出会った。一心は、気がつけば、彼女のことばかり考えていた。

Posted byブクログ