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線は、僕を描く の商品レビュー

4.2

228件のお客様レビュー

  1. 5つ

    89

  2. 4つ

    76

  3. 3つ

    41

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    0

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2024/03/13

またひとつ、大切にしたい本に出逢ってしまった。 とても静かに、決して急ぐことなく、丁寧に読みたい本。 青山くんの中のガラスの部屋の様相も、水墨画を描く過程も、クリアで繊細で美しい文書で描かれていて、読み終わってしまうのがもったないと感じるほどだった。 水墨画とは、こうも奥が深...

またひとつ、大切にしたい本に出逢ってしまった。 とても静かに、決して急ぐことなく、丁寧に読みたい本。 青山くんの中のガラスの部屋の様相も、水墨画を描く過程も、クリアで繊細で美しい文書で描かれていて、読み終わってしまうのがもったないと感じるほどだった。 水墨画とは、こうも奥が深いものなのか。 青山くんと水墨画、青山くんと出会う人たちとの関わりの中から、生きるということを考えさせられた。 心に留めておきたいたくさんのフレーズたち、読中に感じたそこはかとない静寂を纏う空気、心洗われいつまでも物語の余韻に浸りたいような読後感。 いつかまた、必ず再読したいし、続編も必ず読みたい。

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2024/03/07

青山君が白い部屋から出て、湖山先生とのやりとりで少しずつ自分の線を見つけていくところが、人間に血肉が通っていくようでよかった。素直に他者の意見を取り入れることができたのは、自分がなかったからだろう。線を見つけてから、どう成長していくのかが楽しみ。 翠山先生とのやりとりがとても好き...

青山君が白い部屋から出て、湖山先生とのやりとりで少しずつ自分の線を見つけていくところが、人間に血肉が通っていくようでよかった。素直に他者の意見を取り入れることができたのは、自分がなかったからだろう。線を見つけてから、どう成長していくのかが楽しみ。 翠山先生とのやりとりがとても好きだった。 それに西濱さんの自由な感じは、みんな好きだろうな。

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2024/02/25

砥上裕將『線は、僕を描く』 2021年 講談社文庫 第59回メフィスト賞受賞作でデビュー作。 主人公である大学生青山がとあることから水墨画の巨匠と出会い、内弟子となり、水墨画を通して人生を再生していく物語。人生の再生というより心の再生。 あまりちゃんと水墨画鑑賞をしたことがな...

砥上裕將『線は、僕を描く』 2021年 講談社文庫 第59回メフィスト賞受賞作でデビュー作。 主人公である大学生青山がとあることから水墨画の巨匠と出会い、内弟子となり、水墨画を通して人生を再生していく物語。人生の再生というより心の再生。 あまりちゃんと水墨画鑑賞をしたことがないので、文章で書かれた水墨画の世界を理解しきれるかなとも思ったのですが、読んでいると頭の中にどんどん水墨画が広がっていきます。 途中、「春蘭」など画像検索してみたりもしたけど。 まさに水墨画の世界を通して広がているけれども、そこには人としての心の在り方、見つめ方などを説いていました。 師匠である湖山先生の言われることが心の教訓でもあり、僕の心にも考えるきっかけをくださっていました。 じんわりと、でも鋭く心に響く素敵な作品でした。 #砥上裕將 #線は僕を描く #メフィスト賞 #講談社文庫 #読了

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2024/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

途中リタイアのため、評価なしです。 水墨画の大家である老人に未経験者である主人公が見そめられ、その孫娘と一年後に対決? 何やらドラマチックな展開に一抹の不安。 かなりの遺産を残して亡くなった両親。 2人の死をきっかけに自分の世界に閉じこもった主人公。 その後、なぜか大学に通うようになり、なぜかゼミに潜り込むことができ、そこでなんだか良い人っぽい友人に出会い…。 うーん。都合が良すぎる。。 とても評価が高い作品なのに、 カバーイラストも良い雰囲気なのに、 水墨画という新しいジャンルに興味をひかれたのに、 ちっとも気持ちが物語に入って行けない。 友だちの登場シーン以降は 読みたいと思う気持ちがしぼんでしまった。

Posted byブクログ

2024/02/18

水墨画との出会いを機に繊細な主人公が自身の内面と向き合う術を得ていく。文章で表される水墨画の世界が脳内で映像化され感動に震え幸福感で満たされるような感覚になり後半は涙が止まりませんでした。著者は水墨画家さん。

Posted byブクログ

2024/02/17

第59回メフィスト賞受賞作。メフィスト賞はミステリ色が強いですが、面白ければ何でもOKな賞で、懐の深さを感じます。水墨画という馴染の薄い分野なのに、それを感じさせない筆力が見事です。素直に面白かった。

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2024/02/12

素晴らしかったです。感動でした。 水墨画のことはほぼ何の知識も無い私は 日本古来の文化であり、「墨で描く絵画」ぐらいにしか思っていませんでしたが、これほど奥が深く 心揺さぶられ、感動するものだと知り 読み終えたあとも 動画で何度も水墨画の木や草などに生命が吹き込まれる様子を見惚れ...

素晴らしかったです。感動でした。 水墨画のことはほぼ何の知識も無い私は 日本古来の文化であり、「墨で描く絵画」ぐらいにしか思っていませんでしたが、これほど奥が深く 心揺さぶられ、感動するものだと知り 読み終えたあとも 動画で何度も水墨画の木や草などに生命が吹き込まれる様子を見惚れていました。 笑笑 物語は、 両親を突然亡くし、心を閉じこめ何も感じることも出来ず孤独感や喪失感だけが体の中で渦巻いていた、青山霜介が、 水墨画に出会う事で少しづつ少しづつ 自分の心にある孤独感、喪失感を解放して 世の中のすべての生を感じ表現することの難しさやきびしさを、師匠である篠田湖山や その孫でありライバルの 篠田千瑛にアドバイスや見守られ成長していきます。 最後まで、あっという間に読み終え 生きるとは、極めるとはとたくさん考えさせられるお話でした。

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2024/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今までほとんど触れたことのない水墨画の世界。 多少難があるけれど、水墨画の魅力、そして一つの芸術に向かい合っていく覚悟を、上手に文章に乗せていた。 初めて見た絵を、画家の意図を汲み自分の中に受け入れる能力を主人公の霜介は持っている。 技術は練習すれば身につく部分が大きいだろう。 だが、霜介の持つその能力・センスは持って生まれたものであり、後天的に身につけることは難しい。 宗助の目に、若い頃の自分と同じ虚無を見た篠田湖山はただものではないが、篠田湖山に見出された霜介が持つ、作品の本質をつかむセンスを努力で磨いたのは霜介自身だ。 霜介の、内向きすぎる思考を、あっけらかんと外に引きずり出してくれる大学の友達・古前くんがいい味出している。 ただ、両親が死んでからほとんど食事もとらず、死んだように生きていた霜介の保護者であった叔父夫婦。 誰も住んでいない霜介の実家を処分することもせず、光熱水量を払い続けるというのはちょっと現実的ではない。 特に霜介が大学進学で家を離れてからも、そのままにしておくのは果たして正解なのか。(結果的には正解) また、電車で1時間しか離れていない霜介の一人暮らしの家に、一度も様子を見に行かないというのもどうか。 だって、ご飯食べない子なんだよ。 てっきり霜介に興味がなくて、厄介払いをしたのだと思っていたら、心配していた…と。 うーむ…。

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2024/02/08

図書館の片隅に置いてあったこの本をたまたま手に取った。帰りの電車を待ちながら読み始めるも、今まで見たこともない清らかな言葉に心奪われてしまった。 水墨画って雪舟が描いてたやつだよね?レベルの芸術に疎い私でも、目を閉じれば目の前に真っ赤な薔薇が浮かぶくらいの著者の表現力たるや… (...

図書館の片隅に置いてあったこの本をたまたま手に取った。帰りの電車を待ちながら読み始めるも、今まで見たこともない清らかな言葉に心奪われてしまった。 水墨画って雪舟が描いてたやつだよね?レベルの芸術に疎い私でも、目を閉じれば目の前に真っ赤な薔薇が浮かぶくらいの著者の表現力たるや… (解説を読んで著者の正体を知り納得) ※ここからはネタバレ 個人的に刺さった表現が第四章にある。 「今いる場所から、想像もつかない場所にたどり着くためには、とにかく歩き出さなければならない。自分の視野や想像の外側にある場所にたどり着くためには、歩き出して、何度も立ち止まって考えて、進み続けなければならない。」 この長い一文は、水墨画に出会い自分との対話を通じて素晴らしい作品を創りあげた主人公の生き様を表しているのではないかと思う。

Posted byブクログ

2024/02/02

ひょんなことから水墨画の世界に足を踏み入れることになった青山霜介 墨と水だけで描く世界の奥深さが面白かった 水墨画、見に行ってみたい 水墨画を習い始めたばかりの霜介への湖山先生の言葉 「おもしろくないわけがないよ。真っ白な紙を好きなだけ墨で汚していいんだよ。どんなに失敗してもい...

ひょんなことから水墨画の世界に足を踏み入れることになった青山霜介 墨と水だけで描く世界の奥深さが面白かった 水墨画、見に行ってみたい 水墨画を習い始めたばかりの霜介への湖山先生の言葉 「おもしろくないわけがないよ。真っ白な紙を好きなだけ墨で汚していいんだよ。どんなに失敗してもいい。失敗することだって当たり前のように許されたら、面白いだろ?」 初めてのことに挑戦する時 失敗についてこんな風に言われたら 挑戦することが気楽で楽しく感じるだろうなと思う

Posted byブクログ