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線は、僕を描く の商品レビュー

4.2

220件のお客様レビュー

  1. 5つ

    88

  2. 4つ

    72

  3. 3つ

    41

  4. 2つ

    6

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2023/12/30

ずっと積読だった作品。 その時から書名に少し疑問がありました。 線は、僕を描く どういうことかな?と思っていました。 主人公は大学の法学部に籍を置く、青山霜介。 展示会のアルバイトで水墨画の巨匠・篠田湖山と出会った。 そこから霜介は水墨画を通して自分と向き合っていく。 ひたすら...

ずっと積読だった作品。 その時から書名に少し疑問がありました。 線は、僕を描く どういうことかな?と思っていました。 主人公は大学の法学部に籍を置く、青山霜介。 展示会のアルバイトで水墨画の巨匠・篠田湖山と出会った。 そこから霜介は水墨画を通して自分と向き合っていく。 ひたすら線を描く。 ひたむきに描く。 そして、作品を生み出す。 主人公の霜介が失っていた感情を線を描くことで恢復していく様子を読んでいて、これは「生」の物語だと思いました。 水墨画という作品がどのように生み出せれ描かれているのかも知ることが出来ました。何より、水墨画を描かれるシーンが細部まで書かれていて、筆の動き、墨の濃淡、体の動きが容易に想像できるくらい素晴らしい表現でした。そして、書名のことも解りました。 水墨画の奥深さと迫力の中に霜介の「生」が描かれていて涙なしでは読めませんでした。 是非、続編を読もうと思います。

Posted byブクログ

2023/12/24

筆や墨に憧れるものの、どうも苦手にしている。それでも書についてはたまに作品展などに出かけることもあるし、NHKなどで講座なので技法や精神などを見聞きすることはある。翻って水墨画。寺院や博物館で古典的な軸や襖絵を見ることはあるし、水墨画で描かれた年賀状を目にすることはあるのだが、現...

筆や墨に憧れるものの、どうも苦手にしている。それでも書についてはたまに作品展などに出かけることもあるし、NHKなどで講座なので技法や精神などを見聞きすることはある。翻って水墨画。寺院や博物館で古典的な軸や襖絵を見ることはあるし、水墨画で描かれた年賀状を目にすることはあるのだが、現在活きている作品として水墨画を意識することはなかった。 自分の心のなかのガラスの部屋から抜け出すことが出来ずにいる青山霜介。アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会い、なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう。とんでもなく非現実的な話の展開に戸惑うが、謎は徐々に明かされていく。 湖山の孫娘、篠田千瑛、兄弟子となる西濱湖峰・斉藤湖栖、大学の友人古前・川岸、湖山の盟友藤堂翠山やその孫の茜。そうした人々と触れ合いながら霜介は水墨画に惹かれていく。その過程で読者も何故水墨画?という疑問が解消できていく。 やがて、湖山の描く姿のなかで霜介は自身のガラスの部屋で湖山が描いていることに気づく。命とは変化し続けるこの瞬間のこと。命のあるがままの美しさを見ることが美の祖型を見ることであり、水墨とはこの瞬間のための叡智であり、技法なのだ。自らの命や森羅万象の命そのものに触れようとする想いが絵に換わったもの。それが水墨画だ。 水墨の線が命を、自分の周りの人々をつなぎ、自分自身を描く。そして「誰かの幸福や思いが、窓から差し込む光のように僕の心の中に映り込んでいるからこそ、僕は幸福なのだ」と気づく。読者も物語を読み進める中で自分の幸福を気づくと思う。 作者は、水墨画家とのことだが、小説でも次作も期待したい。

Posted byブクログ

2023/12/18

水墨画を通して人間形成を育成されたように、誰もが何かを通して光り輝き、生かされることがあるのだろうと思った。私は、それがバスケットボールだった。

Posted byブクログ

2023/12/08

芸術はわからないけど尊敬できる人と出会う事ができると人生は大きく動くんだなと思った。 メンター的な人ってみんないるのかなぁ?

Posted byブクログ

2023/11/25

水墨画を学ぶことになる主人公の大学生の青山霜介。『花に教えを請いなさい』という湖山先生の言葉が印象的で、今も心に残ります。この物語の始まりから終わりまで圧倒的な熱量で描かれていて、まさに水墨画一色だった。霜介が水墨画と向きあう姿がひたすらに描かれていて、未知だった水墨画の世界をよ...

水墨画を学ぶことになる主人公の大学生の青山霜介。『花に教えを請いなさい』という湖山先生の言葉が印象的で、今も心に残ります。この物語の始まりから終わりまで圧倒的な熱量で描かれていて、まさに水墨画一色だった。霜介が水墨画と向きあう姿がひたすらに描かれていて、未知だった水墨画の世界をより身近に感じることができ、読了後は魂が揺さぶられるように胸が熱くなりました。水墨画を通して命の意味を、生きていることの意味をも知る。地の文が緻密で、繊細な心理描写も魅力的で非常に読み心地がよくて、心奪われます。

Posted byブクログ

2023/10/22

一歩ずつ進んでいこう、この瞬間瞬間は今しかないんだということをすごく実感した本だった。 「できることが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ」という湖山先生の言葉は私も大事にしたいと思った。

Posted byブクログ

2023/10/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

水墨画を通して、自然の魅力に気付かされる作品。 設定やストーリー構成はわかりやすめのものなので、サラサラと読めます。 読んでる最中、読んだ後には世界が色とりどりに素晴らしいものだと思える作品でした!

Posted byブクログ

2023/10/12

手にとったきっかけは映画化だけど まだ映画は観ていません。 登場人物の心を描写されているのが 本の良いところだと思っていて 私が本が好きな所以です。 水墨を通して自身や命と向き合う登場人物に じ~んと心が熱くなったし 生きる活力をもらったように感じます。 確実に私の大切な1冊に...

手にとったきっかけは映画化だけど まだ映画は観ていません。 登場人物の心を描写されているのが 本の良いところだと思っていて 私が本が好きな所以です。 水墨を通して自身や命と向き合う登場人物に じ~んと心が熱くなったし 生きる活力をもらったように感じます。 確実に私の大切な1冊になりました。 映画公開中には間に合わなかったけど 映画をちゃんと観たいです。 映画挿入歌も切ない感じがするけど 何だか元気が出てきてまた頑張ろうと 前を向いて歩めそうです。

Posted byブクログ

2023/10/11

何度も語られるのは、 技術じゃなくて、心で描くことの 大切さ。   確かになぁ……   確かに……   でも、煩悩が 巧さを目指してしまうのよなぁ……   芝居も、ダンスも一緒だよ……   中でも、印象的だったシーンは、 主人公が 画仙紙を前に、 花を、ただ、 「見る」シーン。 ...

何度も語られるのは、 技術じゃなくて、心で描くことの 大切さ。   確かになぁ……   確かに……   でも、煩悩が 巧さを目指してしまうのよなぁ……   芝居も、ダンスも一緒だよ……   中でも、印象的だったシーンは、 主人公が 画仙紙を前に、 花を、ただ、 「見る」シーン。   "描こうとすれば、遠ざかる"   衝動が訪れる瞬間を 作為が削げる瞬間を   ただ、 ただ、待つ……              ps. 印象的だったシーン(抜粋)        *   *   *   「湖山先生にきっと習っただろ  う? 心を自然にして描くこ  とだよ。ほとんどの作品が展  覧会のためだけに描かれてい  た。でも、青山君の作品だけ  は、純粋に心のためだけに描  かれていた」      *   *   *   「命を見なさい。青山君。形では  なくて、命を見なさい」  僕は顔を上げた。 「四時無形のときの流れにしたが って、ただありのままに生きよう とする命に、頭を深く垂れて教え を請いなさい。私は花を描け、と は言っていない。花に教えを請え 、と君に言った」  そうだった。  確かに湖山先生は、『花に教え を請え』と言った。僕はもう一度 その言葉の意味を考えていた。  

Posted byブクログ

2023/10/09

手伝いに行った先で大御所水墨絵師の先生に見初められ、水墨画の世界に身を投じる男子大学生を描く作品。絵を描く身としては何とも羨ましいシンデレラドリームだと思っていたが、墨だけで絵を表現するのはまさに描き手の生命だと教えてくれる。読み終えるとタイトルの「線は僕を描く」の意味がわかりま...

手伝いに行った先で大御所水墨絵師の先生に見初められ、水墨画の世界に身を投じる男子大学生を描く作品。絵を描く身としては何とも羨ましいシンデレラドリームだと思っていたが、墨だけで絵を表現するのはまさに描き手の生命だと教えてくれる。読み終えるとタイトルの「線は僕を描く」の意味がわかりました。滅多に知ることの出来ない水墨画の世界を知る事ができる貴重な作品でした。

Posted byブクログ