1,800円以上の注文で送料無料

星を掬う の商品レビュー

4.2

670件のお客様レビュー

  1. 5つ

    258

  2. 4つ

    256

  3. 3つ

    101

  4. 2つ

    25

  5. 1つ

    2

レビューを投稿

2024/04/05

まず、とても重い内容。捨て子、DV、人格否定。町田そのこさんの表現力の高さもあり、途中気分が滅入ってしまうところもありましたが、恵真や彩子さんなど魅力的な人物たちのおかげで読み進められました。 いろいろな価値観が描かれていて、とても勉強になります。終わり方はいわゆるハッピーエン...

まず、とても重い内容。捨て子、DV、人格否定。町田そのこさんの表現力の高さもあり、途中気分が滅入ってしまうところもありましたが、恵真や彩子さんなど魅力的な人物たちのおかげで読み進められました。 いろいろな価値観が描かれていて、とても勉強になります。終わり方はいわゆるハッピーエンドですが、事態が好転したり美保がいきなり素直になったりと、同じタイミングにこうも上手くいくかいなと若干白けてしまいましたが、町田さんの文章力の高さは素晴らしく評価4とさせてもらいました。

Posted byブクログ

2024/03/28

これは読むのがしんどいけどついつい物語に憑依して感情が揺さぶられ抜けられなくなってしまいました。 導入部から興味を引く展開と、はらわた煮えくり返るほどイラっとする元夫は、ハイエナのごとく骨の髄までしゃぶり取ろうと金を普請するゲス野郎。名も思いだしたくない程なのでゲス野郎でOKです...

これは読むのがしんどいけどついつい物語に憑依して感情が揺さぶられ抜けられなくなってしまいました。 導入部から興味を引く展開と、はらわた煮えくり返るほどイラっとする元夫は、ハイエナのごとく骨の髄までしゃぶり取ろうと金を普請するゲス野郎。名も思いだしたくない程なのでゲス野郎でOKですね。 おとなしそうで何も言わずついてきてくれるとかが魅力で結婚したとか身勝手なゲス野郎の理由が際立ちました。 千鶴もDVで洗脳されるまま無抵抗に金を出す悪循環。なし崩しのネガティブ思考からどんどん沼に落ちてゆく。こんなゲス野郎には接近禁止命令を発動したいのに、被害をだせない程に自己否定を肯定している日常。千鶴、あんたって人はどうして保護を求めないのか、どこまで不幸を望んでいるのかってイラっとしてしまう。貪欲に幸せになること望めばいいのに、掬ってほしいってサインを見せてほしい。 そんななか、小1のとき自分を捨てた母親の消息を知る女、恵真が現れ、母親を含む3人の女性とシェアハウスで暮らすことになる。母親は若年性認知症、介護施設で働く彩子は育児放棄で離婚経験あり、千鶴の母をママと慕う恵真は1歳のとき両親を事故で亡くしたとかの悲劇の三重奏がカルテッドになって不協和音が読者に襲ってきて、町田さん盛りすぎでしょって思うほどでした。 そして、もう一人17歳で妊娠中の彩子の娘が訪ねてきてクインテッドの重厚な響きとなってそれは耳鳴りのように鳴りやまない。 他の作品でもそうですがDV、貧困、性被害、育児放棄、アダルトチルドレン等々、不穏ワードがてんこ盛りなんで耐性ついてきちゃった。 一般的には介護に認知症の問題が多いと思いますが自らの意思でグループホームへ入所を決めるとか信じられないくらいスマートな話でした。このお母さん気丈ですよね。千鶴に介護されたら共倒れになっちゃうし、親子でも独立した個人なんだから自分の足でしっかり立とうねってことですね。 困ったちゃんの千鶴には共感できなかったけど、そんな彼女の感情を丁寧に拾い上げて形にした根気強さには感心しました。 【追記】 他人の不幸は蜜の味とゆう言葉がありますが、ドイツ語ではシャーデンフロイデなる感情らしいのですが、つまり「他人の不幸を目にしたとき感じる喜び」を表すらしい。 例えば家族が病気になったときそれを感じないのですが、他人がミスしたり、成功してる人が失敗したりするときふとそれを感じてしまう。 おそらく、生計を共にしてる者が不幸になれば自分にも少なからず害が及ぶから笑っていられないのじゃないかと思うのですが、他人なら影響ないから冷笑できるのだと自分の中に潜む邪悪な影の存在に呆れたりするんですが、そんな垣根を取りはらって、生きるのに不器用な人たちの立場も理解して喜びをわかちあうことに注目できたらいいなって感じました。

Posted byブクログ

2024/03/23

母と娘の話。 自分の思い通りにいかない事を人のせいにするのは楽だし、そうやって自分を納得させるしかないのかも知れない。でも自分の人生を嘆いて、恨んで生きるのはもったいないな。千鶴も美保も最後はちゃんと分かって良かった。途中だいぶイライラしたけど。

Posted byブクログ

2024/03/20

登場人物達の辛い過去や葛藤が生々しく描かれていて、心を抉られるようだった。 大なり小なり誰もが一度は心当たりがあるのではないか、そう思わされる心の弱さと、それを乗り越えてゆく様が胸を打たれ、 母娘の再生の物語と思わせながら、そのじつ悪意に晒されている人達へ向けた人生の教科書のよう...

登場人物達の辛い過去や葛藤が生々しく描かれていて、心を抉られるようだった。 大なり小なり誰もが一度は心当たりがあるのではないか、そう思わされる心の弱さと、それを乗り越えてゆく様が胸を打たれ、 母娘の再生の物語と思わせながら、そのじつ悪意に晒されている人達へ向けた人生の教科書のような作品だった。

Posted byブクログ

2024/03/17

読み進めながら、自分を千鶴に重ねていました。 本当は自分のせいなのに、他の何か、それこそ母のせいにして被害者ぶる… そのまま「誰かの悪意を引きずって人生を疎かにする」という甘え。 結局母の病が進んで、最後の母の言葉でハッと千鶴の母と同じような未来を自分の母もたどるかもしれないこと...

読み進めながら、自分を千鶴に重ねていました。 本当は自分のせいなのに、他の何か、それこそ母のせいにして被害者ぶる… そのまま「誰かの悪意を引きずって人生を疎かにする」という甘え。 結局母の病が進んで、最後の母の言葉でハッと千鶴の母と同じような未来を自分の母もたどるかもしれないことに気づいた時には、声を上げて泣いていました。 境遇に甘えていた自分の弱さと、ありきたりですが母の有り難さを鋭く伝えてくれた本でした。

Posted byブクログ

2024/03/16

あらすじ 人生を諦めている29歳の芳野千鶴は、ある出来事がきっかけで22年前に自分を捨てた母・聖子と再会する。元夫のDVから逃げるため、母の住む「さざめきハイツ」で同居を始めた千鶴。聖子を「ママ」と呼ぶ恵真(えま)、理想の母のように優しい彩子(あやこ)、10代で妊娠した彩子の娘・...

あらすじ 人生を諦めている29歳の芳野千鶴は、ある出来事がきっかけで22年前に自分を捨てた母・聖子と再会する。元夫のDVから逃げるため、母の住む「さざめきハイツ」で同居を始めた千鶴。聖子を「ママ」と呼ぶ恵真(えま)、理想の母のように優しい彩子(あやこ)、10代で妊娠した彩子の娘・美保との奇妙な共同生活の中で、新しい答えを見いだしていく。 再会したお母さんが52歳っていう若さで若年性認知症になってて。 しっかりしてる時とそうでない時の様子、介護の表現がリアルで辛かった。 自分が母親とあまり仲良くないこと、自分が母親になって子供達とはよい関係が築けてるのか…と日々考えてるからか、この作品にのめり込んだ。 自分が登場人物になってるような感覚、初めてかも。 久しぶりに本読んで泣いた。

Posted byブクログ

2024/03/14

 簡単に答えが出ないとは知っているのに、相手には求めてしまう気持ちは、どの人にもあると改めて気づかされるお話だった。  ひとりひとり、それぞれの言葉の奥の意味が伝わると、こんなにも生きていく力がでるのだと、最後に思わせてくれた。  酷い男として描かれた、弥一も親にうまく伝わらな...

 簡単に答えが出ないとは知っているのに、相手には求めてしまう気持ちは、どの人にもあると改めて気づかされるお話だった。  ひとりひとり、それぞれの言葉の奥の意味が伝わると、こんなにも生きていく力がでるのだと、最後に思わせてくれた。  酷い男として描かれた、弥一も親にうまく伝わらない心を持っているのかもしれない。 ″さざめきハイツ″のみんなが、前に進んでいくように、彼もいつか新しい道に進んでくれたらと思う。

Posted byブクログ

2024/03/12

こんなにも息が苦しくなる本が、 この世には存在するんだと思った。 恋人にDVを受け、母親にも捨てられ、 居場所をなくした彼女が、傷を癒しきれないまま、 次の困難に立ち向かわなきゃいけない。 この本は苦しい。すごく苦しい。 だけど生きる上ですごく大切なことを、 教えてくれている...

こんなにも息が苦しくなる本が、 この世には存在するんだと思った。 恋人にDVを受け、母親にも捨てられ、 居場所をなくした彼女が、傷を癒しきれないまま、 次の困難に立ち向かわなきゃいけない。 この本は苦しい。すごく苦しい。 だけど生きる上ですごく大切なことを、 教えてくれている気がした。

Posted byブクログ

2024/03/07

ひょんなことから出会う女子たちの物語。 捨てられた娘と母。また出会う娘と母。 いずれにしても複雑費絡み合う女という性の人間模様が、なんともリアルで、フィクションなのに、どこか現実味を帯びている。 通常の物語ではどこかハッピーエンドを願いながら読み進めてしまうが、この物語に関し...

ひょんなことから出会う女子たちの物語。 捨てられた娘と母。また出会う娘と母。 いずれにしても複雑費絡み合う女という性の人間模様が、なんともリアルで、フィクションなのに、どこか現実味を帯びている。 通常の物語ではどこかハッピーエンドを願いながら読み進めてしまうが、この物語に関してはどこか退廃的で、不幸せの連鎖がどこまで続くか心の奥底で願っている自分もいる。 そう感じさせるのは、本当にリアルに存在するであろう不幸せな人格を連想させるからであって、不思議な魅力を以てして、ついつい読み進めてしまう魅力がこの作品にはある。

Posted byブクログ

2024/04/06

************************************************ 母に捨てられ、父を亡くし、祖母と貧しく暮らし、 元夫からの激しい暴力と金銭の搾取に怯える日々。 そんな千鶴はひょんなことから母親と再会するー。 *******************...

************************************************ 母に捨てられ、父を亡くし、祖母と貧しく暮らし、 元夫からの激しい暴力と金銭の搾取に怯える日々。 そんな千鶴はひょんなことから母親と再会するー。 ************************************************ なかなかヘビーな環境下ではあるものの、 「自分の不幸の始まりは全て母親のせいだ」 と憎み続けて、塞いだ日々を送る千鶴は、 なんだかとても安易な気がしてしまった。 そこからどう状況も母娘関係も立て直すか、 その過程にはとても興味をそそられたので、 重苦しい描写が続いてもするすると読めた。 千鶴が母親に対面した時の描写がとてもリアル。 母親、聖子の背景には一体何が?と気になった。 「自分の責任は自分で取る」 「自分の人生は自分のもの」 ということを直視せざるを得なくなったことで、 千鶴の心を溶かし自分を顧みるきっかけになり、 価値観を変えるものになったのであろうと思う。 だけど正直な話、何も言われず何も知らされず、 ただただ母親に置き去りにされたという事実は、 やはりどうしても罪が重いと私は思ってしまう。 幼い子供に事情を理解しろというのも無理な話で。 それを簡単に許せたり忘れたりは出来ないと思う。 長年恨み続けた母の心情を知らなかったとはいえ、 こんな良い話にまとまるかな?と思ってしまった。 それともやはり血のつながりの深さというものは 抗えない程に強く、愛されていた記憶というのは どうしても忘れられないものなのだろうか。 まあそれでも、自分の今後の人生を、 親に捨てられたという事実のみに囚われることなく 立ち向かい、責任を持ち、選択していくことこそが 何より大切であるということを感じた作品だった。 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎-------- 美保の傍若無人で我儘で自己中で人を舐め腐る態度 これから親になろうとしてる人間が甘えんな!!と 自分棚置きで怒り爆発して本気でイラつきました笑 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------

Posted byブクログ