ミカエルの鼓動 の商品レビュー
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ミカエルを使用した手術に絶対的な自信を持っている西條が主人公。 心臓手術に長けている真木が、ドイツから同じ病院へ来たことで、絶対的な自信や自分の信念に揺らぎを感じ始める。 航の手術を境に、物事が動き出す。 ◾️良かった部分 ミカエルをめぐったサスペンス的な要素、病院内のギスギスした世界観など、先が気になりドンドン読み進めることができた。 登場人物のイメージもつきやすい描写が多く、読み進めるのは難しくなかった。 ◾️微妙と思った部分 感情や行動を表すときに、勘であったり経験といった曖昧な背景で描写していたのが自分的には物足りなかった。 ミカエルを使い続けていた理由が癒着であったり、医療の未来というのがありきたりすぎたかなと思った。 ◾️印象に残ったセリフ 真木の口癖でもある、「先のことはその時に考えればいい、今は目の前にあることをするだけだ。」 理由は、自分自身打算的に物事を考えてしまい、何事にもストーリーを作ってしまう癖がある。 それゆえに目の前のことに集中しきれずに、先のことを見越した平均点くらいの熱量でしか取り組めない。 目の前のことに集中することへの意志の強さであったり、刹那的とも言える考えが自分に足りない部分でもあるため、このセリフが印象に残った。
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2024.12.7 心臓外科手術でのロボットらミカエルをめぐる話。 ミカエルの第一人者西條と開胸手術が世界レベルの真木、2人の医師。 2人の人間性が明らかにされながら進められていく。 手元が細かい外科手術をロボットで行うのは、最先端でありつつ、やはり機械なので不良品があると恐ろ...
2024.12.7 心臓外科手術でのロボットらミカエルをめぐる話。 ミカエルの第一人者西條と開胸手術が世界レベルの真木、2人の医師。 2人の人間性が明らかにされながら進められていく。 手元が細かい外科手術をロボットで行うのは、最先端でありつつ、やはり機械なので不良品があると恐ろしい。 外科手術って細かくて、臓器は柔らかいから大変なんだろうな。 アンメットも鶏肉で練習していたし! 想像できないくらいすごい世界。
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想像より良かった!先が気になり、読みやすくて情景が容易に思い浮かぶ文章で、気が付けばどんどん読み進んでいました。 前職で心不全については随分勉強していたので、専門用語や術式などの単語も殆ど理解出来たので更に楽しむ事が出来ました。 二人の医師が対立しながらも根幹では通じ合っているあ...
想像より良かった!先が気になり、読みやすくて情景が容易に思い浮かぶ文章で、気が付けばどんどん読み進んでいました。 前職で心不全については随分勉強していたので、専門用語や術式などの単語も殆ど理解出来たので更に楽しむ事が出来ました。 二人の医師が対立しながらも根幹では通じ合っているありがちな医療小説ですが、流石に直木賞候補になった作品だけあって、他の同じ様な小説に引けを取らない面白さでした。 ただ、エピローグはありきたり過ぎてちょっと不満足かなぁ、、、 後は読者の想像にお任せなのは分かるけど、もう少し先を描いて欲しかったです。
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題名と新聞か何かの内容紹介に惹かれ購入。 何回か1章は読んでいたが、いつも途中で 挫折してしまい、ようやく今年読めた。 内容としては、ロボット手術医師と、 胸手術派の医師の対立という話で物語は 進むが、ある患者の手術をきっかけに物語は 大きく変わる。 物語の中心であるミカエル(...
題名と新聞か何かの内容紹介に惹かれ購入。 何回か1章は読んでいたが、いつも途中で 挫折してしまい、ようやく今年読めた。 内容としては、ロボット手術医師と、 胸手術派の医師の対立という話で物語は 進むが、ある患者の手術をきっかけに物語は 大きく変わる。 物語の中心であるミカエル(ロボット手術)に 隠された大きな闇が明かされた時は驚いた。 登場人物が多いので、その理解をするのが少し 大変だった。また中盤以降で出てくるある患者の手術に ついて過程や手術中の緊迫感や勢いみたいなもの が、文字なのに読み手にも画としてはっきり伝わって くる。 また登場人物の心情の移ろい方や画の書き方など、 細やかな文章表現であるため、それが画として 読み手にも伝わってくる部分は凄いと思う。 特に専門用語が多く出てくる医療ものでその辺りを 分かり易く表現しているところは、良く取材している と思う。
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西條先生と真木先生 ある患者の治療方針に対する考えの 違いはあれど、患者を救いたい想いは共通 「白石航の執刀医はひとりじゃない。 ふたりだ』 真木先生が術中に西條先生に投げた 言葉はグッとくるものがありました 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 自分が信じてきたミカエルは、神の使い...
西條先生と真木先生 ある患者の治療方針に対する考えの 違いはあれど、患者を救いたい想いは共通 「白石航の執刀医はひとりじゃない。 ふたりだ』 真木先生が術中に西條先生に投げた 言葉はグッとくるものがありました 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 自分が信じてきたミカエルは、神の使いである天使ではなく悪魔だった。 己の姿を偽った悪魔が悪いのか、騙された 自分が愚かなのか。 自分が患者の命を危険に晒したことに 間違いはない。悪魔が見せる甘美な 幻想に惑わされ、現実を見失ったのだ。 (517-518)
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読みやすかった 治療も利用しつつ権力を持ちたくなる社会 両親に対する感情が、医師としての生き方に影響している 命を救うことと、生きる意味を問うことは別だ 結果論 母親が最期を迎えた土地がどんな場所か知りたくて、真木はきた 西條と真木が似ている 自分は己であり、己ではない
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柚木裕子の小説はどの小説も好きだ。とても好きだ。 特に、小説のコアになる場面での表現がなんともカッコよすぎて大好きだ。 例えば、この小説で僕が一番気に入ったところを引用する。 駒田は顔から笑みを消し、じっと西條の目を見つめた。やがて、諦めたように息を吐き、答えた。 「ふたりが...
柚木裕子の小説はどの小説も好きだ。とても好きだ。 特に、小説のコアになる場面での表現がなんともカッコよすぎて大好きだ。 例えば、この小説で僕が一番気に入ったところを引用する。 駒田は顔から笑みを消し、じっと西條の目を見つめた。やがて、諦めたように息を吐き、答えた。 「ふたりが似ているからですよ」 「真木先生と、私がー」 駒田は頷く。 「私は西條先生のことを、心臓外科の名医であることしか知りません。出自や生い立ちなど、なにも知らない。 でも、感じるんですよ。真木さんと同じ寂しさを。そして医療に対する誠実さをも」 P444 全くキャラクターが違う2人の対立する医師、その2人、西條と真木が似ていると表現させるこの描写、それも「感じるんですよ」という感覚に訴える描写が、脳裏に稲妻が落ちたように激しく痺れた。 この小説を読み終わった後、数日間、何度も何度のこの場面が頭の中を行き交う。 こんな経験、今までにあっただろうか。
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西城と真木の対立というのは良いんだけど、他の設定がちょっとね。 医療機器で不具合あったら情報公開されるし、術中死なんて起きたらすぐに使用中止措置になるので、そのあたりはもう少し勉強してから書いてほしい。
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医療用ロボットを使った心臓手術の第一人者である北中大の西條とミュンヘン大から帰ってきた真木。 医療に真摯に向き合う者達の苦悩を描く。 警察や検事のことを柚木裕子は扱うイメージがあったが、医療モノもやはりシリアスで真に迫る感じがあった。
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すごい迫力!ミカエルに期待する気持ちもよくわかる。でも、命を預かる以上、完璧でなければならない。そういうことかな?
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