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ミカエルの鼓動 の商品レビュー

3.6

190件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    68

  3. 3つ

    75

  4. 2つ

    11

  5. 1つ

    1

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2024/02/04

作中にある「医者は神」という言葉、病気の不安を一度感じれば意味がよくわかってしまう。医者に全てすがってしまうことが確実にある。 本当の意味での信仰とは言えないのだろうけど、そのまま自分で選ばず、人に任したまま生を終える人は山のようにいる。この本は医療を入口にした、生き方とか意思の...

作中にある「医者は神」という言葉、病気の不安を一度感じれば意味がよくわかってしまう。医者に全てすがってしまうことが確実にある。 本当の意味での信仰とは言えないのだろうけど、そのまま自分で選ばず、人に任したまま生を終える人は山のようにいる。この本は医療を入口にした、生き方とか意思の話かもしれないなと思った。 正義は一つではなく、それぞれの正義が存在するという現実が書かれているにもかかわらず、神秘的ないい終わり方だった。

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2023/08/16

医療とは何か、命とは何かを問う作品だった。 しかし、個人によってその価値観は違うのだなと感じた。医療の未来を考えて行動する者、未来より目の前の命を救おうとする者。それぞれの立場の人間たちが対立し、それでも自分の信念を貫こうとする。そのような想いがひしひしと伝わってきた。結局のとこ...

医療とは何か、命とは何かを問う作品だった。 しかし、個人によってその価値観は違うのだなと感じた。医療の未来を考えて行動する者、未来より目の前の命を救おうとする者。それぞれの立場の人間たちが対立し、それでも自分の信念を貫こうとする。そのような想いがひしひしと伝わってきた。結局のところ何が正しいのかはわからない。

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2023/08/12

長編医療小説でした。 冒頭は入り込めず脱落しそうになりましたが、中盤からは惹き込まれました。 西條、真木の医師二人は立派な医師で、読後感はさわやかでした。西條の生への思いもいい感じにまとめられていたと。 真木の心情の本音が他人の視点でしか見えなかったところ、雨宮な立ち位置が...

長編医療小説でした。 冒頭は入り込めず脱落しそうになりましたが、中盤からは惹き込まれました。 西條、真木の医師二人は立派な医師で、読後感はさわやかでした。西條の生への思いもいい感じにまとめられていたと。 真木の心情の本音が他人の視点でしか見えなかったところ、雨宮な立ち位置がえ?って感じだったところ、それで結局どうなったんだろう…その辺りがあったので⭐︎3つです。

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2023/08/02

手術支援ロボット「ミカエル」を巧みに操り手術をする西條と、従来の手術の凄腕である真木。 共に有能な医師であるが故に心臓疾患を抱える少年の治療方針を巡って対立する。 ミカエルに関わるとある疑惑により医師としての人生に転機が訪れた西條の今後が気になる。 続編があれば嬉しい。

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2023/06/22

どうやら今まで、柚月裕子さんの作品をキチンと読んだことが無かったようです。結果から言うと、 「また好きな小説家が増えてしまった。」 手術用ロボット「ミカエル」を軸に展開する医療ミステリーです。  よくある派閥と利益・利権を貪る「白い巨塔」的な話かと思ってましたが、医療に携わる...

どうやら今まで、柚月裕子さんの作品をキチンと読んだことが無かったようです。結果から言うと、 「また好きな小説家が増えてしまった。」 手術用ロボット「ミカエル」を軸に展開する医療ミステリーです。  よくある派閥と利益・利権を貪る「白い巨塔」的な話かと思ってましたが、医療に携わる者の使命と言うか、倫理感を大事にした物語で、読了感も良い余韻です。 あらすじとか、内容とか私なんかが書かなくても たくさんの方が書かれているようなので、省略。 日曜9時のドラマのような、スッキリとした終わりで心地よいですよ。

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2023/06/22

最先端医療の普及を目指す医師の患者と技術に対する向き合い方、同僚との葛藤と信頼、苦悩が良く描かれている。生命の平等の実現、緊迫した展開、医師の倫理、そもそも生物は生きようとする存在、生命力の前で医師はその従僕なのである

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2023/06/17

柚月裕子さんは初読みの作者になりますが 緻密な描写に私の知らない専門用語など並べ立て無知からくる緊張が巨大組織の圧力と重なって呑み込まれそうでした。相当医療分野の知識集めないと書けないようなリアリティにもしかして手術支援ロボットミカエルの取説とか取寄せて操作できるくらい把握してる...

柚月裕子さんは初読みの作者になりますが 緻密な描写に私の知らない専門用語など並べ立て無知からくる緊張が巨大組織の圧力と重なって呑み込まれそうでした。相当医療分野の知識集めないと書けないようなリアリティにもしかして手術支援ロボットミカエルの取説とか取寄せて操作できるくらい把握してるんじゃないかと思ってしまった。 物語は、心臓外科医としてミカエルを使い手術する西城と、素手で手術する職人的気質の真木。異なる2つの才能が12歳の少年の手術をめぐって対立する。 大学病院といったら派閥に癒着、汚職とか見え隠れする定番の雰囲気も混じるなか、物語は佳境へと引き込まれていく。主人公は西城なのに、真木のほうに惹かれてしまいました。何故かって、それは「山が好きだからです」もうこれだけで他になんの理由もいらないことは明白っw 心に触れたのは、12歳の少年は自分の意思で選択したこと。狡い大人は人のせいにしたり言い逃れる道を用意してるのに比べると純粋でまっすぐで崇高なものに感じられました。 それにしても、プロローグの旭岳の遭難がリアリティに欠けているのが残念に思えました。山好きの私としては遭難するなんてどんなルートで登ったんだろうと興味津々でしたが5合目までロープウェイ利用して日帰り登山するのが計画だったとのこと、姿見駅ってあったので旭岳ロープウェイからのルートのはず、だとすれば山頂までは3kmない距離の登山でコースタイムも4時間もあればピストンできる行程なんですけど。9時間も彷徨うとか信じられない。しかも山頂から避難小屋までは辿りついてる訳だからそこからロープウェイのある姿見駅までは距離にして800mのほぼ平坦な下りなんですよね。ロープウェイは通年営業してるから、朝4時30分なんて日の出前から小屋を出てもロープウェイ動いてないし、稼働する時間まで小屋で待機してから下山するのが普通の選択だと思いますけど。それに視界悪くてもガイドロープがあるし10月下旬ならまだ積雪も少ないし。このレベルで迷うことまずないと思いますが・・・。登山届は出さないとね。予備のバッテリーも必須ですね。登山するなら行き当たりばったりじゃなくもっと真摯に向き合って欲しいと思いました。 雪山=遭難とか、山=自殺とか、そんなイメージを持って欲しくないと思ってしまいました。

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2023/06/15

やっぱり柚月さんの本は面白いです。 主人公の医者が、自分の出世や医者としてのプライドと医者として人間としての倫理観の中で心を揺り動かされる様子が身につまされた。 そして、自分の選択が自分で許せなくても救いが見える終わり方でホッとした。

Posted byブクログ

2023/06/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ミカエルは手術を支援するロボットの名称。ロボットによる心臓手術を得意とする西條とドイツから戻った恐るべき腕を持つ真木の対立と共鳴。西條はミカエルの手術で医療事故があったことを知り、さらに真木がどのような背景を持つ医師なのかに興味を持つ。いつもながらの著者の緻密な描写に感じ入るが、もう少し別な展開が欲しかったと思うのは、読者の身勝手かな。

Posted byブクログ

2023/06/09

丁寧なリサーチに裏付けされた医療小説。 手術シーンの描写は、まさに圧巻! 専門用語への理解は追いつかないものの ドキュメンタリーを見ているような錯覚を覚えます。 この作品には、鍵になる二人の医師が登場します。 一人は、大学病院で将来の病院長を嘱望される西條。 ロボット支援下手術...

丁寧なリサーチに裏付けされた医療小説。 手術シーンの描写は、まさに圧巻! 専門用語への理解は追いつかないものの ドキュメンタリーを見ているような錯覚を覚えます。 この作品には、鍵になる二人の医師が登場します。 一人は、大学病院で将来の病院長を嘱望される西條。 ロボット支援下手術のスペシャリストで、 この装置を使う医師で彼の右に出る者はいません。 もう一人は、真木。 西條の勤務する大学病院に突然現れる心臓外科医。 世界に通じる技術の持ち主で、 彼の手術を見た医師たちは その正確さと速さに圧倒されます。 そしてもうひとり、重要な人物が登場。 深刻な心臓疾患を抱える12歳の少年、白石航(わたる)。 航の治療をめぐって、ふたつの手術法の是非が問われます。 ロボット 対 人間、という単純なくくりではなく、 ふたりの医師は真剣に航を救うことについて向き合います。 心を打たれたのは、 身体(この場合心臓ですが)だけでなく、 生きる意志を育む “心の修復” について述べられているところ。 「生存しているということと、生きているということは違う」と。 舞台が大学病院となれば、黒い影もチラチラします。 メーカーとの癒着や隠ぺい、そして保身。 さらに、ふたりの医師の孤独な人生を裏付ける様々な人間模様も。 柚月裕子さんは、私の好きな作家トップ3の一人。 今回も読み応えのある作品でした。 でも…でも、です。 今回は何となく違和感が残りました。 なぜなのかよく分からないのですが…。 もしかしたら、西條のあまりにもストイックな行動に 感情移入できないまま読み終えたからかもしれません。 そして、もう一人の医師・真木の人間としての強さについて、 彼が山の中で見つけたものについて もっとわかりやすいヒントが欲しかったからかも。 最後のシーンは、行く末を読者に委ねるものでした。 西條の真摯な生き方を考えると もっと明るい希望の光を描いて欲しかった。 雪山の後、航くんと一緒に向日葵の種を植えていてほしい…。 しばらく本を読む時間が取れなくて 久々のブクログです。 少し辛口コメントになってしまいましたが、 柚月裕子さんの作品、心からリスペクトしています。

Posted byブクログ