ミカエルの鼓動 の商品レビュー
ミカエルは旧約聖書に出てくる天使らしい。 医療現場でミカエルというロボット支援下手術を行う西條と従来の腕で手術をする真木とのライバル関係を中心に物語は進んでいく。 私失敗しないので・・・を思い出す。 さて、誰が天使で、誰が悪魔なのか?帯にはそう書いてあるが・・・。 ライバル関係...
ミカエルは旧約聖書に出てくる天使らしい。 医療現場でミカエルというロボット支援下手術を行う西條と従来の腕で手術をする真木とのライバル関係を中心に物語は進んでいく。 私失敗しないので・・・を思い出す。 さて、誰が天使で、誰が悪魔なのか?帯にはそう書いてあるが・・・。 ライバル関係による対立というありふれたものではない。柚月裕子氏の作品なので、思考を深められる。今の患者の命を救うのか、未来の多くの命を救うのか?それは天使とか悪魔という範疇ではないと思うのである。 ミカエルは最先端の技術の結晶なのだろう。しかし人智を越えるのは、何世代もの人の技術が経験として学習されていかないと構築できないのではないだろうか?今のAIの弱点は経験していないことへの対応が弱い事だろう。いずれそれも克服するのだろうが。 西條と真木の過去を、描くことで、課題を浮き彫りにしている。 医者の本望は人の命を救う事であり、インフォームドコンセプトも含め、人間の気持ちを大事にできることが重要だと思うのである。 医者である前に人間であり、どんな職業でも同じ事だと思うのである。
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Audible で。 主人公が自分にも医療にもとことん誠実な姿が潔く、好感を持ちました。 ここに描かれた医療はここ数年のうちに現実になる、その時に、この作品で指摘された問題は一般国民にどう捉えられるのだろうと、興味深かったです。
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2023/04/24予約 104 なかなかのボリュームの本ですが、引き込まれあっという間に読了。 ロボット支援下手術でNo.1の西條。 対する真木は従来型の手術の速さ正確さにおいてNo.1。 そのふたりが同じ北海道の大学病院で、同僚になる。 ロボット支援下手術(ミカエル)を推し進める院長が従来型手術をする真木をドイツから呼び寄せた理由。 ミカエルの欠陥は西條のせいではない。誤作動で複数のドクターが患者を死亡させている。 航のオペ時、万が一に備えて助手を真木にしてミカエルの誤作動など緊急時にオペを変わってもらう… そして実際に変わってもらう。プライドや何かより、目の前の命を救うことを考える。後のことは、そのときに考える。 医療の理想だな、と感じる。 孤狼シリーズのように、こちらもシリーズ化したら、その後のふたり、雨宮、駒田、にまた会える。 ぜひ期待してます。 すでに稼働中のダ・ヴィンチにこのようなことが起こりませんように。
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初めから最後まで、満遍なく面白かった。 西條も真木も単にプライドの高い心臓外科医ではなかったし、他の登場人物も人間味が溢れていた。 生い立ちや医者になってからの歩みや、今の境遇や…そういったものが本当に丁寧に書かれていて、ストーリーに少しずつ織り交ぜられていく事で、2人の、雨宮他...
初めから最後まで、満遍なく面白かった。 西條も真木も単にプライドの高い心臓外科医ではなかったし、他の登場人物も人間味が溢れていた。 生い立ちや医者になってからの歩みや、今の境遇や…そういったものが本当に丁寧に書かれていて、ストーリーに少しずつ織り交ぜられていく事で、2人の、雨宮他の考え方や行動の取り方がとてもわかりやすく厚みがでてくる。 柚月さんはいつも凄い。 ラスト…西條が医師として戻るのだろうと信じたい。
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ただ単に、医療機器と病院の闇を書き連ねるだけでなく、人間の生命とは? をも掲げる荘厳な物語であったように思う。西條が探し求めていた回答に出逢ったであろうエピローグに感動する。
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47取材から裏付けまで大変な労作だったと思う。人命を預かるドクターの苦悩と焦燥が描かれていて引き込まれる。ただ最終部分のページが少なすぎる。もっと溜飲を下げたい!って思うのは自分だけ?
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「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」 手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西篠と、ドイツ帰りの天才医師・真木。難病の少年の治療を巡り二人は対立。そんな中、西篠を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。ある情報を手に入れたジャーナリストは、大学病院の闇に迫る。
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手術支援ロボット「ミカエル」を巡っての医療ドラマ 柚月さんの作品は好きだしテーマは重いけどなんというか深みがイマイチのように感じた、決して悪くはないけどハードカバーの厚みのある本にしては物足りなさの残る中途半端な感じ。 2人の男の信念をもった生き様を描くにしては「盤上の向日葵」の...
手術支援ロボット「ミカエル」を巡っての医療ドラマ 柚月さんの作品は好きだしテーマは重いけどなんというか深みがイマイチのように感じた、決して悪くはないけどハードカバーの厚みのある本にしては物足りなさの残る中途半端な感じ。 2人の男の信念をもった生き様を描くにしては「盤上の向日葵」のような重苦しい雰囲気がほしいかな。 まあ医療の理念や病院経営とか患者の生命や思いとか色々絡めるとしょうがないけど。
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「虎狼の血」シリーズの大上と日高、「検事のー」シリーズの佐高、と強烈で魅力的な男達を描いて来た柚月作品のファンとしては、本作も共に有能な心臓外科医である西條と真木という男性医師2人の物語なのに、少々物足りなく残念。 主人公西條の貧しい出自や、両親を若くして亡くしていたり、という境遇面を知らされている事もあってか、先の2シリーズの男達に比べると普通というか、ひ弱に感じてしまった為か…。 雪の中のラストのシーンも、西條の再生を予感させるのでしょうが、ちょっと意外に陳腐なラスト、と感じてしまう。
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