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ヨルガオ殺人事件(下) の商品レビュー

4.2

132件のお客様レビュー

  1. 5つ

    43

  2. 4つ

    59

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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2022/06/19

額縁小説の作者、アラン・コンウェイは文字遊びや文学作品を作品中にちりばめていることになっている。スーザンが謎解きをするのに、その一部を書きだした部分があったのがよかった。といっても半分くらいしか知らなかったか。登場人物のメリッサ・ジェイムズはP.D.ジェイムズか、とあった。 今...

額縁小説の作者、アラン・コンウェイは文字遊びや文学作品を作品中にちりばめていることになっている。スーザンが謎解きをするのに、その一部を書きだした部分があったのがよかった。といっても半分くらいしか知らなかったか。登場人物のメリッサ・ジェイムズはP.D.ジェイムズか、とあった。 今回アティカス・ピュントの秘書の女性が出てくるが、彼女がピュントと一緒に現場に行く時汽車で読んでた本が、メアリ・ウェストマコットの「娘は娘」。時代設定が1953年のイギリスの村。「娘は娘」は1952発表のクリスティの別名義の作品。 2020発表 2021.9.10初版 2021.9.17再版 図書館

Posted byブクログ

2022/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

巻末の解説にあるように、本作は実にたくさんの関係者への「インタビュー」形式によって成り立っている。確かにそのような形式では、解説者の指摘のとおり、著者の力量が試されるように思うが、著者はほかの作品でも共通して、端役と思われる人物をも印象深く書くことができているように感じる。 作中作も含めて、上下巻の中にたくさんの登場人物、土地などがちりばめられて展開されていて、情報がたくさんあって混とんとしているのに、最後には1つの「真実」に集約されるのは鮮やかで、そして上巻の感想(?)でも触れたが、何より、事件そのものは陰惨なものなはずなのだけれど、不思議な安心感がある。 謎解きの面でも、少しづつ真実が明らかになってくる過程が丁寧に書かれていると感じたが、語り手のスーザン・ライランド個人の物語という意味でも、彼女と家族との関係がやはり丁寧に描かれていると感じた。 また、解説には作中作の謎解きが秀逸であるとしていたように思うが、私はどちらかというと本筋の物語の方が面白く読めた。作中作は、本筋の「ヨルガオ殺人事件」を引き立てるためのもので、どこかにそのヒントがないかという、最初からそういう観点で読んでしまったからかもしれない。 構成の面では前作と似ていて、また、そもそもホロヴィッツ氏の他の作品もそうなのだと思うが、奇をてらった展開というよりは王道、正統派、といった印象を受ける読者が多いのではないだろうか。それはしかし、ありきたりさを感じるということではなく、順当な、正統派のミステリの風格があって、個人的にはとても好みであった。正直なところ、各種ミステリランキングは信用しすぎない方が良い時もあるが、この著者に関しては、安心して読めるし、逆に言えば、安心したいときにこそ読みたくなる著者のように思う。

Posted byブクログ

2022/06/12

エンターテイメント推理小説の完全体 バチクソ面白いから未読の人は今すぐ読みなさい #ヨルガオ殺人事件 下巻でのレビューは、作品全体のレビューです。ネタバレは書いてませんが、物語の構成について語ってますので、未読のかたは多少楽しみを奪ってしまうかもです。お気を付けください。 ひ...

エンターテイメント推理小説の完全体 バチクソ面白いから未読の人は今すぐ読みなさい #ヨルガオ殺人事件 下巻でのレビューは、作品全体のレビューです。ネタバレは書いてませんが、物語の構成について語ってますので、未読のかたは多少楽しみを奪ってしまうかもです。お気を付けください。 ひとことで言うと、バケモノです。 ズバリ、こんなミステリーは読んだことがない。 本作は、作中作でも前作とは違ったアプローチになってます。今度はこんな構成でまとめてくるの?というほど、発想力と組み立てがスゴイ。 前作はまぁ想像つきますよ、こういう作中作を入れ込むミステリーの構成もあるかなって。でも今作は、現在起きている事件を、過去の推理小説からヒントをくみ取り、過去と現在の事件の両方を解決しちゃうんです。 はぁ? こんなの成立するの? それが成立してるんです、そりゃ面白いっつーの。 作中作との関連性もビビった。もう参った、降参です。 暗中模索の中、終盤ある人との会話から突然出てくるシンプルなカタカナ2文字。そして最重要人物との対話から、一気に物語の霧が晴れてくる感じったら、もうゾクゾクがハンパないすよ。 細かい伏線の仕掛けもスゴイんです。こんなにいっぱい作中作にちりばめられているのに、1つも気がつかない。 登場人物も魅力的な人ばっかり、これまた作中作とリンクしてそうで、してないような…って感じが複雑で面白い。 事件の真相もあまりに衝撃的でハナミズがでました(汚い こんな複雑な話にもかかわらず、思いもよらなかったただ一つの真相で、切れ味が鋭く解答が明らかになります。はー面白かった。 最後に、これから読む方にアドバイスです。 序盤中盤はよくわからないことだらけで、事件全体が五里霧中の状態だと思います。くじけずに、まずは物語の筋と人物表をよくよく見ながら、じっくりと読み進めてください。上巻の終盤あたりから、ぐいぐい面白くなってきます!下巻はもう止まらない。 本作ですが、おすすめも何も、いいから黙って読めというのが正直なところ。間違いなく人生の楽しい思い出の一冊になりますから。

Posted byブクログ

2022/05/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『愚行の代償』の意外な結末。 そして、過去の殺人事件の真相と、失踪事件の犯人も明らかになる。 全く違う事件でありながら、作中の登場人物の描写がスーザンの目の前の“実在の”人々の心のうちを炙り出すことで、騙し絵を見せられているようなもどかしさに、迷わされる。 アラン・コンウェイが、真犯人を知りながら、誰にもそれを告げなかったのは何故なのか。 それでいて、真犯人を名指しする仕掛けを散りばめて作品を完成させたのは何故なのか。 作中作の主人公、名探偵アティカス・ピュントの示す深い人間性と、そのキャラクターを作り出した作家の歪な人間性の対比。 三つの事件の謎解きに加えて、そのうちの作中世界を作った作家の心の奥までも、ミステリ。 『愚行の代償』の巻頭の献辞がアヤシイ!とまでは気づいたものの、例によってアナグラムはてんでダメな読者でも、上下巻、たっぷり堪能しました。 面白かった。

Posted byブクログ

2022/05/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アラン・コンウェイは本当に嫌な奴だなー。 アティカス・ピュントは魅力的な探偵なのになー。 アンドレアスかっこいい! 最後、スーザンとアンドレアスが、元に戻ってよかった。 この二人の行く末も結構気になる。

Posted byブクログ

2022/05/04

読了。小説の中に丸々一冊、別の小説が組み込まれ、その作中作がヒントとなって最先端の犯人当てを味わえるというお得な小説。 この手の小説では作中作の出来がイマイチなものが多いが、本書はむしろ作中的の出来が高く、クリスティらが活躍したかつての黄金時代ミステリを思わせる。しかも、その作...

読了。小説の中に丸々一冊、別の小説が組み込まれ、その作中作がヒントとなって最先端の犯人当てを味わえるというお得な小説。 この手の小説では作中作の出来がイマイチなものが多いが、本書はむしろ作中的の出来が高く、クリスティらが活躍したかつての黄金時代ミステリを思わせる。しかも、その作中作に、本筋の謎解きに必要な手がかりを無理なく内包させるという離れ技をやっている。ホロヴィッツの頭の中はどうなっているのだろう。 作中的に隠された手がかりの数がまた凄い。普通なら大きな手がかりが1つ2つというところだろうに、それこそ数十という手がかりが紛れ込んでいる。おそらく、ストーリーで明らかになっていないものもあるのではないか。 やや気になるのは犯人の手紙の不自然さと、ゲイの男性の描き方か。 未読の方は、シリーズの1作目から読み始めることをお勧めします。次回作もあるそうなので、益々楽しみ。

Posted byブクログ

2022/05/01

本編も面白かったが、作中作がなかなかよかった。その中に散りばめられた犯人を指し示す言葉が、最後に沢山見つかるのも「なるほどー」と納得できてスッキリ。

Posted byブクログ

2022/04/30

登場人物の名前がまず面白い。 あれ?なんか作家の名前をもじってる? エリック・チャンドラーで確信に変わる。 文豪ストレイドックみたいなやつか、と思ったら名前だけだった。しかし綴りまで頭に入れないと100%は楽しめないってやつだな。

Posted byブクログ

2022/04/30

面白すぎる。 ヨルガオ殺人事件と、作中作の愚行の代償も、どちらも完成度が高すぎて、一冊で二つ楽しめるお得感!笑 ミステリ好き、特に海外作家好きの人にとっては、たまらない作品なのではないか? 僕は自身はよく知らない人の名前も出てきたので所々のめり込めない部分もあったけどまったく...

面白すぎる。 ヨルガオ殺人事件と、作中作の愚行の代償も、どちらも完成度が高すぎて、一冊で二つ楽しめるお得感!笑 ミステリ好き、特に海外作家好きの人にとっては、たまらない作品なのではないか? 僕は自身はよく知らない人の名前も出てきたので所々のめり込めない部分もあったけどまったく問題なかった

Posted byブクログ

2022/04/30

正確な数値については今後の研究の成果を待たねばなりません ですが「おおよそで」ということであれば私がもしイギリス人だった場合今の3.7倍くらい面白かったと推測されます ★18.5ということです とんでもない傑作やないか! アナグラムが使われている海外の推理小説を読むと もとも...

正確な数値については今後の研究の成果を待たねばなりません ですが「おおよそで」ということであれば私がもしイギリス人だった場合今の3.7倍くらい面白かったと推測されます ★18.5ということです とんでもない傑作やないか! アナグラムが使われている海外の推理小説を読むと もともとの小説が書かれた言語の読み書きが普通に出来たらなぁって思うこと良くありますが 今回はその他にも英語というか英語圏で生活していたら腑に落ちる遊びがたくさん散りばめられていたような気がしてあ〜あと思うのです (まあ英語を学ぶ機会はいくらでもあったと思いますので別に不運でもなんでもなく本人の志の低さゆえなんですが) まあでも邦訳でもその面白さは文句なしの★5です しかも作中作のほうも古典的なミストテリーを模した傑作で二粒で二度美味しい!(当たり前)というね 探偵が関係者を集めて謎解きをするという探偵小説お馴染みの名場面が2回あるなんて傑作は本書だけ!(たぶん!)

Posted byブクログ