批評の教室 の商品レビュー
批評というと身構えてしまうが、 自分の視点を持ちながら 深く作品を理解し、 その知見を人と共有する楽しみを 教えてくれる。 サブタイトルのモハメドアリの 言葉を始め、引用されるコトバの 数々がシェークスピアから ポップスの歌詞まで幅広くて楽しい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
批評・レビューの書き方について解説、批評入門書。 この著者の考え方とかは結構好きなんだが、映画や小説、音楽の作品の好みが全く合わず、本作に登場する作品の中で私が実際に見たり読んだりしたことがあるのは、『華麗なるギャッツビー』だけであった……。 非常に興味深かったのは、「作者の考え」「作者が伝えたいこと」は批評の対象から外す、ということ。 「やたらと作者が何を伝えたかったのかを問おうとする学生がけっこういます。作者が作品をコントロールしているという幻想は広く存在しているのですが、冷静に考えるとそうではないことがわかります。」(P.59) これは、特に中学までの国語のテストで、「この作品で作者は何を伝えたかったのか、以下の選択肢から選べ」「この作品で作者が伝えたいことが書かれている一文を抜き出して書け」みたいな問題が多いためだと思う。 日本の国語教育の根本を否定しているwと思って笑ってしまう一方で目から鱗であった。 野坂昭如が娘から『火垂るの墓』を書いた時の気持ちを聞かれて、娘が国語のテストでその通り書いたら×をもらった、という逸話もあるし……(野坂氏の娘によると事実無根らしいが)。 確かに本書にある通り、作者自身も当時の社会情勢や周りの家族・友人の言動から影響を受けるし、編集者の助言もあるし、脚本ならキャストの意見も反映されたりする。 古典文学の場合、作者が複数人の共作であることが後世になって判明することもある。 冷静に考えれば「作者が伝えたいこと」を問うのは愚問である。 終盤にある、著者と著者の教え子が同じ作品をそれぞれ批評し、それについて対談するというのも面白かった。 同じ作品でもここまで着眼点が違うものなのか。
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こうやってブクログに本を読み終えるたびに感想を書いているのは、読みっぱなしにしないで、感じたことをメモしておくため。でも、すぐ書けるものでもなくて、その本が自分の興味のどの部分を刺激したのか?その本と全然違う本との繋がりを見いだせないか?などなど自分と対話しながらの作業になります...
こうやってブクログに本を読み終えるたびに感想を書いているのは、読みっぱなしにしないで、感じたことをメモしておくため。でも、すぐ書けるものでもなくて、その本が自分の興味のどの部分を刺激したのか?その本と全然違う本との繋がりを見いだせないか?などなど自分と対話しながらの作業になります。まあ、小学校の時の読書感想文の延長気分でいました。今回、この売れている新書読んで、自分のメモも感想から批評にアップデート出来るのかもな、と感じました。精読する→分析する→書く、の3ステップめいたものは無意識にやろうとしているのかも、とも思ったりもします。でも、それを誰かに伝えようとしている訳じゃないところが、批評手前のワークでしかないかな。自分のワークがコミュニティに繋がるところまで、進化させたい、という欲望も生まれた気がします。それは、第四章のコミュニティをつくる 実践編での学生との具体的やりとりに刺激されたのだと思います。SNSでの瞬発的な反応や、コメンテイターという人々のコメントに満ち溢れた今、やっぱり、評論する、批評するという能力は、社会には必要だと思うのです。…と、書きつつ、今回のメモはやっぱり単なる読書感想文でしたね!
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「作者には死んでもらう」というのが批評のスタンダードなのかどうかはわからないが、大学受験では所謂「作者の意図」というもを問うてくるケースが多いので、問題文を作成している大学の先生たちは「作者を殺してはいない」のではないかという気はする。よって、学生たちが「作者の意図」をテーマとし...
「作者には死んでもらう」というのが批評のスタンダードなのかどうかはわからないが、大学受験では所謂「作者の意図」というもを問うてくるケースが多いので、問題文を作成している大学の先生たちは「作者を殺してはいない」のではないかという気はする。よって、学生たちが「作者の意図」をテーマとしたレポート書いてくるのも仕方のない事であり、果たしてそれが間違いなのかという気もする。また、本書はフェミニズム批評の影響を色々と受けてはいるだろうから、その辺は留意して読む必要はあるのではないのかと思う。作者を殺して歴史的背景を重視するのもそのせいだろう。 ちなみに著者の事は全然知らなかったのだが、読み終わった後にどこかで聞いた事のある名前だなと思ったら、某歴史学者と騒動になった人だという事に後から気がついた。という意味では「色眼鏡」なく読めたのはよかったと思う。
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今をときめく北村紗衣氏の批評入門 精読する、分析する、書く、コミニュティをつくる、と段階的に批評の入口から実践まで学ぶことができる 語り口もやさしく、また引用も音楽や映画を多用しており、具体的かつ身近に考えながら読み進めることができた 最後の飯島氏と同じ作品の批評をお互いにコメン...
今をときめく北村紗衣氏の批評入門 精読する、分析する、書く、コミニュティをつくる、と段階的に批評の入口から実践まで学ぶことができる 語り口もやさしく、また引用も音楽や映画を多用しており、具体的かつ身近に考えながら読み進めることができた 最後の飯島氏と同じ作品の批評をお互いにコメントし振り返るところもとても参考になった 高校生・大学生のうちに読んで実際に論じてみるととても素晴らしいと思う
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図書館期限が来て途中まで。 ちょっと面白そうだった。 ところで、著者はネットで何やら揉めているよう。
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批評の専門家である著者が批評を精読する、分析する、書くの3つのステップに分けて解説した一冊。 本書を読んで物語を整理すること、自分の主観を理解すること、疑いの目を持ってみることや時系列を整理することや図に書くなど抽象化してる類似している作品を探すことや映画のとある描写から展開を...
批評の専門家である著者が批評を精読する、分析する、書くの3つのステップに分けて解説した一冊。 本書を読んで物語を整理すること、自分の主観を理解すること、疑いの目を持ってみることや時系列を整理することや図に書くなど抽象化してる類似している作品を探すことや映画のとある描写から展開を予想したりするなど批評を書くための作品に対する見方について学ぶことができました。 気になったところを深掘りしたり違う目線で見ることで新しい発見が生まれそれが作品の新しい解釈や批評につながることを読んでいて感じました。 そんな本書の中でも初心者が批評を書くときはメインの切り口を一つにすることや読んだ人が作品の様子をだいたい把握できるようにすることを心がけることなどは批評を良くするために簡単にできる心構えだと感じ、印象に残りました。 最後にある実践編も批評とそれに基づくディスカッションから修正がどのようにされるのか具体的に知ることができ興味深いものでした。 本書を通じてまずは作品で気になった部分を深掘りしてそこから生まれるさまざまな解釈を楽しみたいと感じた一冊でした。
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14:03、兄の家で読み終えた。精読の方法や批評理論など知識としては知っている内容が多かったが、批評を書いてみようという気になる燃料としていい本だった。
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【信州大学附属図書館の所蔵はこちらです】 https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC09703846
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「批評」の民主化。とっつきにくくて、小難しく、そのために本来の役割とは逆行して権威的に思えてしまう「批評」を、誰もが携わることのできる開かれたものとする試み。 初心者向けであるために、広く浅く平易に、批評理論や心得、手法などが紹介されている。 おそらくこれを読んでも、「批評」がで...
「批評」の民主化。とっつきにくくて、小難しく、そのために本来の役割とは逆行して権威的に思えてしまう「批評」を、誰もが携わることのできる開かれたものとする試み。 初心者向けであるために、広く浅く平易に、批評理論や心得、手法などが紹介されている。 おそらくこれを読んでも、「批評」ができるようになるとは思えないけど、超入門編としてはとっつきやすいのかも知れない。 一部の高度に専門化された批評、誰もが参画できる可能性に開けた「批評」、どちらも必要なのだろうと思う。
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