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護られなかった者たちへ の商品レビュー

4.3

600件のお客様レビュー

  1. 5つ

    238

  2. 4つ

    255

  3. 3つ

    70

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2023/09/28

熱い。とにかく熱い。 社会保障、特に生活保護の在り方について 著者の問題提起が切に伝わってくるような強い熱量を これでもかと感じながら読了しました。 国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むために 最後の砦として設計されたはずの生活保護制度が、 縮小される予算と不正抑制の狭間...

熱い。とにかく熱い。 社会保障、特に生活保護の在り方について 著者の問題提起が切に伝わってくるような強い熱量を これでもかと感じながら読了しました。 国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むために 最後の砦として設計されたはずの生活保護制度が、 縮小される予算と不正抑制の狭間に立つ福祉事務所、その現場の担当者によって 往々にして歪められてしまう現状。 本当に救いが必要な人に充分に支援の手が行き届かない歯がゆさが 当人の立場から、当人を大切に思う人の立場から、第三者の立場から 時に痛々しさを伴って描かれる様は 読み手としても憤りを感じずにはいられませんでした。 とはいえ、現場の状況を正確に吸い上げながら 膨大な事例に対して適切にフィルタリングできるような篩を整えることって 一体どのレベルで実現できるんだろう。 自治体クラスならできるかもしれない。 でもそれでは、平等な支援にはならない。 かといって、国には到底無理な気がします。 本当に弱い者の現状を、国会の偉い人たちが理解するのは とても難しいだろうから。 それにどれだけ緻密に制度設計をしても、 潜り抜けて不正を働こうとする人は一定数いるはずで 結局、そういう人たちとのいたちごっこになってしまう気がするから。 ただ、”護られなかった人たち”にも 大切に思い、護りたい人がいることは事実。 そして、”護られなかった人たち”を それでもどうにかして護りたいと思い、行動できる人がいることも事実。 だから、もし弱い立場になってしまったとしても 強く強くあらなければいけない。声を上げなければならない。 国にはそれなりの制度があること、 ただし全面的には頼れないかも知れないことを受け入れて それでも生き続けるチャンスを自分でもぎ取りに行かなければならない。 諦めないで。頑張れ。 そんな強いメッセージを感じた気がしました。 「いつからかこの国は、富裕層でなければ子供に満足な教育を施してやれない国になってしまったのだ」 「わたしたちは福祉と謳われる組織にいながら、福祉を必要としている者たちを弾かなければならない。そういう矛盾を抱えたまま従事する者の気持ちが、あなた方にわかりますか」 「真っ当な行政機関という定義は何なのでしょうか。国民のためにはどんな無理難題でも抱え込む組織ですか。それとも省庁の指示通りに運営して行政に破綻を来たさない組織ですか」 「みすみす再犯するような囚人を養うのも、声の小さな貧者に出し渋るのも同じ税金だ。法律と歪んだ信条が護るに値しない者を護り、護らなければならない者を見て見ぬふりをしている」 「護られなかった人たちへ。どうか声をあげてください。恥を忍んでおらず、肉親に、近隣に、可能な環境であればネットに向かって辛さを吐き出してください。〜この世は思うよりも広く、あなたのことを気にかけてくれる人が必ず存在します。〜あなたは決して一人ぼっちではありません。もう一度、いや何度でも勇気を持って声を上げてください。不埒な者が上げる声よりも、もっと大きく、もっと図太く」

Posted byブクログ

2023/09/26

若干の無理矢理感は残るものの、最後なんかは「そうキタかぁ」ってなる。気になるからもう一度読んでみようと思わせる本。なんだか考えさせられるし。日本の安っぽい役者による見る前から寒い映画になるのが確実なのがむしろ残念。

Posted byブクログ

2023/09/26

筆者の作品を初めて読みました。生活保護の話など、普段知ることのない話を理解出来て、なかなか面白かったです。

Posted byブクログ

2023/09/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

かなりのボリュームで、内容もかなりヘビーだが、一度は読んでほしい、読むべき作品だと感じた。 社会保障制度の矛盾だったり、天災の影響だったり、多くの社会課題が散りばめられていて、そこにそれぞれの関係者の感情が乗ってくる。今の社会でぬくぬくと過ごしている人間に、ほんとにそれでいいの?と問いかける。 無意識に世の中を色眼鏡で見ていないだろうか、みなに平等に接することができているだろうか、と厳しい問いを投げかけられる。 ミステリーとしてもかなり面白い。悪が絶対悪じゃなくて、どこか共感できてしまう、まともなやつが悪になっている、というのが、また面白い。 働きだしてからもう一度読みたい。 イラストのカバーを手に取ったが、このイラストが、読後に見るととんでもなく泣ける。

Posted byブクログ

2023/11/19

真犯人、あのエピソードでわかったよの一冊。でも、犯人がわかったのがポイントではなく、勝久は幸せになってほしいという思いで終わった本。確かに普通は元近所の人が生活保護の申請を手伝ったら疑問に思います。勝久の場合は不正ではなく、ただ助けたかっただけなんです。一方で、役所側の法律のとお...

真犯人、あのエピソードでわかったよの一冊。でも、犯人がわかったのがポイントではなく、勝久は幸せになってほしいという思いで終わった本。確かに普通は元近所の人が生活保護の申請を手伝ったら疑問に思います。勝久の場合は不正ではなく、ただ助けたかっただけなんです。一方で、役所側の法律のとおりに進めなくてはいけないのもわかる。ままならなさが辛かったです。 ●現実を考える 本書を読んで感動したり、「あー不条理」って思うことは大事。本書で出てきた問題を知ることは大前提。そこから、そうならないためには?周りの人が困っていたら?どう声をあげてもらうよう自分は行動できる?なんてことまで一人ひとりが考えられたら理想ですが、実際朽ちた匂いのする家におせっかいなんていけない。親族だったとしても足が遠のいてしまう。じゃあ公的補助?恨まれながらも行ってくれるケースワーカー。一概に国が悪いというだけでは済まされない問題があって途方にくれます。 ●かんちゃん その気持ちは真っすぐで今まで行動してきたことも間違いじゃなくて、復讐のやり方だけがうまくなかった。終盤の彼のSNSの投稿記事はとても心を打ちました。 ●勉強だけがすべての時代じゃなくなっている でインターネットがあればの話になっている気がします。それに接続する方法がなかったらどうなってしまうのでしょうか?

Posted byブクログ

2023/09/20

生活保護を主軸とした社会派ミステリー 一時期テレビでも話題なった不正受給など現実にあった問題も提起しつつ、上手く事件と絡めている 中盤部分の過去に関する話は切なく物語を特に印象づけられた どんでん返しもちゃんとあるよ 中山七里さんの作品はこういう考えさせられる良作品が揃って...

生活保護を主軸とした社会派ミステリー 一時期テレビでも話題なった不正受給など現実にあった問題も提起しつつ、上手く事件と絡めている 中盤部分の過去に関する話は切なく物語を特に印象づけられた どんでん返しもちゃんとあるよ 中山七里さんの作品はこういう考えさせられる良作品が揃ってる気がする

Posted byブクログ

2023/09/18

面白い! 生活保護のことが書いてあると人に言われて詠んだが、しっかりミステリだったことに驚き! 映画も見たけどこれは原作を読むべし。

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2023/09/15

中山七里さんの作品、生活保護をめぐる厳しい現実がそこにある。 元々の貧困家庭の苦しみや悩みに加え、東日本大地震で起こった様々な苦悩をモチーフに発生した連続殺人事件。 ある日、仙台市で他殺隊が発見された。拘束したまま餓死させるという残酷な殺害方法。 しかし、被害者は、聖人の様な...

中山七里さんの作品、生活保護をめぐる厳しい現実がそこにある。 元々の貧困家庭の苦しみや悩みに加え、東日本大地震で起こった様々な苦悩をモチーフに発生した連続殺人事件。 ある日、仙台市で他殺隊が発見された。拘束したまま餓死させるという残酷な殺害方法。 しかし、被害者は、聖人の様な人物で、容疑者は一向に現れない。 やがて、二人目の被害者が発見される。同様の手口に、捜査陣は困惑するばかり。 一方、最初の事件の数日前に出所した模範囚の利根は、過去のある関係者を探っていた。 果たして、3人目の被害は防げるのか? そして、犯人の目的とは? 最後は、やはり『どんでん返しの帝王』ですね。 素晴らしい展開です。 ぜひ読むべき作品と思います。 ・善人の死 ・人格者の死 ・貧弱の死 ・家族の死 ・恩讐の果て

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2023/09/14

 貧困者に携わる全ての人へ、読んでほしい作品。  生活保護受給をめぐる理不尽な現実。刑務所の中の実態。切なくてやるせない思いだった。  自分自身、事情があり、収入が減った。追い打ちをかける物価高。削れる部分を考え生活している。当然、食生活は食べたいものではなく、食べられる安価...

 貧困者に携わる全ての人へ、読んでほしい作品。  生活保護受給をめぐる理不尽な現実。刑務所の中の実態。切なくてやるせない思いだった。  自分自身、事情があり、収入が減った。追い打ちをかける物価高。削れる部分を考え生活している。当然、食生活は食べたいものではなく、食べられる安価なものへと変わった。  それでも、自分は食べていける。小説の時代より、生活困窮者で世の中は溢れかえっている。胸が傷んだ。  貧困から犯罪と死が生まれる。貧困者から目をそらすことは、殺人犯になる。物語は、警告を発している。そう心から思えた。  けい、カンちゃん、利根のお互いを思いやる素敵な関係性に感動を覚えた。 大金でなくてもいい。食べていけるお金さえあれば。悲しくてやりきれない。

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2023/09/12

なるほど。 この分厚さ、冗長と思われる描写、全てに意味があったということか。 職場の先輩に「これやばい、止まらない、寝れない」とのことで、借りた作品。 わたしは本を読むときに付箋をつけまくったりするし、日常的に持ち歩いてるから汚れやすくなるので、あんまり人から本を借りて読むこと...

なるほど。 この分厚さ、冗長と思われる描写、全てに意味があったということか。 職場の先輩に「これやばい、止まらない、寝れない」とのことで、借りた作品。 わたしは本を読むときに付箋をつけまくったりするし、日常的に持ち歩いてるから汚れやすくなるので、あんまり人から本を借りて読むことってないのだけれど。 と、それは言い訳のようなもので、実は自分のタイミングで読みたいからあんまり「返さなきゃ」と追い詰められている状態で本を読むのが好きじゃないってだけ。 でも、この作品のおかげで読書したいって感じが戻ってきた。 久々の社会派刑事モノ。 犯人がわかったところで、わたしが抱いた感情は「怒り」だった。 物語の内容や、犯人に対して、ではない。 例えば、伊坂幸太郎作品は、読んでいる途中に、あれ?っていう違和感がたくさん散りばめられていて、その違和感が最後に回収されて、物語が全て繋がってくる。この繋がる感じはいつも本当にすごい。 ページを戻っても戻っても、違和感はちゃんとそこにあって、読み違いを引き起こしているのは自分で、伏線回収のためには、無駄だと思われた描写に、無駄なところはひとつとしてない、という感覚。 読んでいる時の感覚としては、80の違和感、20のふーん、でラストの伏線回収で100になる。 で、この作品はというと、0の違和感、100のふーん、でラスト1000になる。 そう、どんでん返しである。 なんかもう、「あの時間を返してよ!」という怒りの方が強く出てしまったのである。 ページを戻りまくっても、やはり違和感なく物語が進んでいる。 これはどうなの?多少の違和感はほしくない?? この作品を貸してくれた先輩にこの話をしたら、「まさに中山七里にやられましたね」と言われ、わたしの反応はまさに著者の目論見通りの反応のようで、先輩はにやにやとしながら出かけて行った。 生活保護受給をめぐる物語。 今の時代、生活保護をもらうことはこんなに厳しいものだろうか? 生活保護受給中で、家族全員Switchを持ってる家があったり、最新家電を取り揃えてる家もあったりするから、この辺はわたしにはわからない。 以前お笑い芸人の母親が生活保護を受給していた、ということが分かった時、あのお笑い芸人はものすごくバッシングを受け、メンタリストDaiGoが生活保護にかけるお金をホームレスじゃなくて猫にかけるべきだ、みたいなことを言ったら今度はDaiGoがすごく批判を受けることになって、生活保護というのは国民からの税金というだけあって、みんなの関心事なのかなとも思う。個人的には、DaiGoの発言自体はどうかとは思うけれど、あのお笑い芸人の時より、生活保護が他人事じゃなくて自分事になったのかな、とも思った。コロナ禍を経験して、生活保護を受けている人たちを、社会が責めるのではなく守っていくような見方に変わったのかな、国民全体が、いつかは自分も使うかもしれない制度だと思うようになったのかもしれないな、と、この二つの出来事を通して思ったのだ。 うまく伝わるかな。伝わるといいな。 生活面での困りごとは、みんなが普段払っている税金や医療費で解決できたらいいなと思ってる。 その、制度に届いていない人、制度からあぶれちゃってる人が多すぎる。 それを役所に相談しようにも、相談しても、対応がよくなかったりして、使えるサービスがあるのに、二度と使えなくなってしまったりしてるのが現状だ。 これを読んでくれた方で、何か生活面での困りごとがあったら、まずはソーシャルワーカーに繋がってほしい。 だけど、どうにもならなかったら、まずはわたしに言ってね。

Posted byブクログ