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護られなかった者たちへ の商品レビュー

4.3

600件のお客様レビュー

  1. 5つ

    238

  2. 4つ

    255

  3. 3つ

    70

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    2

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2024/09/26

タイトルの通りで、「護られなかった」という言葉が最後まで突き刺さる話だった。視点を変えて見ると、どちらの思いにも胸が痛む。福祉とは...

Posted byブクログ

2024/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中山七里さんの小説、好きだーーーーーー 社会派っぽいところが野木亜希子さんに似ている。 生活保護って本当にこんな感じなの???と思いつつ、自分がわりと市役所的な仕事に近いことをやっているので、わからんでもない。 本当に大変なんだよな… 人の命がかかってる仕事って、責任もってやらないとダメというか、初心を忘れてはならないよなと改めて思った。 けいさんが亡くなる描写はとても悲しい… 途中から読んでてなんとなく想像できて、読むのがつらいことよ… 男勝りな人が弱っていくのを見るのは、余計に気持ちが沈むよね。 関係者全員同じ目に遭わせたい、復讐したいというかんちゃんの気持ち、めっちゃわかってしまう。 (とはいえ、冷静になるとかんちゃんは三雲とリアルにやり取りしていないはずなので、腹立たしさ・悔しさ・殺してやりたい気持ちは利根のほうが大きかったはず。そう思うと、利根ってまじで真っ当な人間なんよね) 空港で利根が捕まる一連のくだり、つかまるな〜って思いながら読んでしまった。 最終的にはかんちゃんの投稿が話題になったり、上崎は殺されないけど痛い目みたりと、ちょっとだけすかっと終わるところも個人的にはよかった。 そうじゃなかったら気持ちのやり場がないもの。 そのへんのバランス感も中山さんさすがです。 映画はいろいろ変わってるみたいだけど、一回見てみたいなぁ〜

Posted byブクログ

2024/09/20

読み始めると停められなくなる。展開する作中の事態の行方が気になり、非常に落ち着かなくなってしまう。結果として頁を繰り続け、素早く読了に至ってしまう。 実は「シリーズ第2作」とされる作品を先に読了し、その後に「第1作」という本作を読んだ。が、発表順と余り関係なく、各作品を興味深く読...

読み始めると停められなくなる。展開する作中の事態の行方が気になり、非常に落ち着かなくなってしまう。結果として頁を繰り続け、素早く読了に至ってしまう。 実は「シリーズ第2作」とされる作品を先に読了し、その後に「第1作」という本作を読んだ。が、発表順と余り関係なく、各作品を興味深く読み進めることが出来る。 主要視点人物は宮城県警本部捜査一課の笘篠刑事である。展開の中で視点人物が適宜切り替わる場合も在る。物語の主な舞台は仙台市内、宮城県内ということになる。東日本大震災から4年程を経た或る日ということになる物語だ。 仙台市内の福祉保健事務所で課長を務める三雲が遺体で発見された。帰宅せず、職場にも現れないので家族が捜索願も出していた。 既に住人が居ない、取り壊しを待つばかりであるようなアパートの1室で発見された三雲の遺体は異様な状態だった。手足を粘着テープで拘束され、口も塞がれた状態で放置されていた。脱水症状と飢えで死亡したという状態であったのだ。 捜査に参加した県警本部捜査一課の笘篠刑事は、遺体の状況から「激しい怨恨」ということを想像した。三雲という人物について聴き込んでみるが、悪く言う人は見当たらず、好ましくない噂も聞こえない「善人」と評判で、福祉保健事務所でも真面目に職務を遂行しているという評判だった。 三雲の一件の少し後、農家が持っていて、余り人の出入りが無い小屋から遺体が発見された。県議会議員の城之内だった。帰宅せず、色々な関係者も見掛けていないということになり、家族が警察署に捜索願を出していたのだった。 この城之内の遺体も異様な状態だった。三雲の遺体と同様、手足を粘着テープで拘束され、口も塞がれた状態で放置されていて、脱水症状と飢えで死亡したという状態であったのだ。 この城之内は、熱心に活動をしている清廉な県議として知られる人物で、悪い噂が在るような人物ではなかった。「人格者」と評判であった。その県議が殺害されたということで、県議会から県警を突き上げるかのような雰囲気、県警上層部による現場への圧力というような様子も生じた。 捜査陣は、三雲の件も城之内の件も同様に手口での犯行であると考えられるので、「連続犯?」という観方になった。笘篠は城之内が県議会議員になる以前の職歴を洗い出し、三雲との共通項を見出そうとした。そして城之内と三雲とが一緒に仕事をしていたという経過を知ることとなる。 やがて「因縁」ということになる出来事に行き当たり、その件に関係が深い人物を追い、事件の真相を解き明かしていくこととなる。 「因縁」は「生活保護」を巡って発生する。「護る」というために在る制度でありながら、「護れない」という場合が生じてしまう。他方、「護らなければならないという程でもない」という何かが「護られる」というような場合も世の中には在る。大切な存在を「護りたい」と思いながら「護ることが叶わなかった」という場合というのも人生の中には起こり得る。そんな「護る」ということを巡って「因縁」が生じ、恐るべき事件が発生し、それを巡る捜査員と被疑者と目される人物とのぶつかり合いが在る。そして少し意外な結末に向かって行く。 色々と考えさせられるような“純文学”という雰囲気を織り込んだ、警察の捜査員が事件解決を目指して奔走という物語であるように思った。大変に興味深い。広く御薦めしたい。

Posted byブクログ

2024/09/16

つくづく理不尽な世の中だなぁと思った。国は税金など、国民からとれるものはややこしい手続きなどなく容赦なくとっていくけど、国民が国から何かをもらうとなると煩雑で心が折れそうなくらい時間がかかるややこしい手続きを踏まされる。もちろん必要なことも含まれてるのはわかってはいるが、この小説...

つくづく理不尽な世の中だなぁと思った。国は税金など、国民からとれるものはややこしい手続きなどなく容赦なくとっていくけど、国民が国から何かをもらうとなると煩雑で心が折れそうなくらい時間がかかるややこしい手続きを踏まされる。もちろん必要なことも含まれてるのはわかってはいるが、この小説を読んで改めて感じた。世の中、やっぱり不公平。でも、利根を信じてまってくれてた保護司や職場の上司など、自分のことを大切に想ってくれてる誰かがいる、そういう人との縁があって人生が豊かで幸せなものになっていくのも事実で。嫌な出会いもあれば、いい出会いもある。出会いは大切にしていきたいなと思った。

Posted byブクログ

2024/09/16

福祉の世界は特に残酷だ 同じ人間だからこそ だからこそ、残虐な事件が起きる 時に普通に過ごしているだけで優位に立ってしまうことがある これは違う、違うと思いながらも 福祉の闇 貧困の闇 これだけではない闇はいろいろあるが、考えさせられた物語だった 映画はまだ観ていない

Posted byブクログ

2024/09/14

以前に読み終わってたのに感想書いてなかったな。 映画を観て興味持ったからだけど、原作はやはり良いものですね。 やるせない気持ちになったような。

Posted byブクログ

2024/09/12

重いテーマの一冊でした。 深く考えさせられましたが、今の私になにができるのかと思うと、全く何も思いつきません。周りに生活保護を受けておられる方もいます。私は以前相談に行ってやんわり断られた事もあります。他人事ではない一冊でした。

Posted byブクログ

2024/09/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2024.9.11 生活保護が本当に必要な人に渡っていない現状が悲しい。 生活保護が貰えず餓死してしまったケイさんのために当時申請窓口にいた3人の公務員に復讐しようとする話。 利根が犯人だと思って最後まで読んでいた! 母親を殺されたも同然な犯人には共感してしまう。

Posted byブクログ

2024/09/09

 宮城県警シリーズ第1弾。社会派ミステリーというより、素晴らしい人間ドラマでした。素直に面白かったです。物語へ強く引き込まれ、深く考えさせられる濃密さを秘めていました。  震災と生活保護、この2つの大きく重いテーマを背景に、両者の理不尽さ・不条理さを扱い、厳い現実に向き合う人た...

 宮城県警シリーズ第1弾。社会派ミステリーというより、素晴らしい人間ドラマでした。素直に面白かったです。物語へ強く引き込まれ、深く考えさせられる濃密さを秘めていました。  震災と生活保護、この2つの大きく重いテーマを背景に、両者の理不尽さ・不条理さを扱い、厳い現実に向き合う人たちの生き様が、哀しく切なく描かれます。  日本の社会構造やシステムの抜け穴など、著者の緻密な取材力を感じさせ、リアルで物語に深みと奥行きを与えていると感じました。またこれらの視点が、読み手に日本の現状と抱える問題点を否応なく提示します。役所と住民は、決して上下、対立関係となってはいけませんね。将来の年金も他人事ではありません。  終末のどんでん返しに納得できないとか、奇を衒っているという声もあるとは思いますが、私は肯定的に受け止めました。また、再生・更生という視点で見たときに、物語を貫く直接的な本書のタイトルは秀逸だと思いました。 (以下、レビューに関係ありません)  普段、原作を元にした映画は観ないのですが、文庫の巻末には解説ではなく、作者と監督の対談の掲載だったこともあり、(積極的ではなかったものの)珍しく読了後あまり時間を置かずに、動画配信サイトで本作の映画作品を視聴しました。  う〜〜ん、人物設定の変更も含め、原作の深みが薄れ、違和感が募るばかりでした。監督、佐藤健、阿部寛ファンの皆さん、ごめんなさい。2時間に収めることに無理があるのでは?と思います。自ずと多々変更を余儀なくさせるんでしょうね。  やはり、演技がどうのこうのいう以前の、原作が与える物語の全体像・人物像の想像余白を、あまり固定化すべきではないな、と思ってしまいます。映画化による出版・映画界双方が、互いにウィンウィンとなるのは好ましいのでしょうが、何でも実写化という風潮はどうなのかなと‥‥。  あと、文庫が映画の宣伝用全面カバーですが、一定期間過ぎたらやめない?と、個人的に思います。元の文庫カバーに素晴らしい太田侑子さんのイラストがあるんですから‥。ブクログの本棚登録の表紙もずっと映画版だし‥。  さらについでに、「号泣必至」とか「感動の傑作」とかの派手、誇張帯文言も、多過ぎません? 逆に安っぽく羞恥心さえ覚えます。 たくさん口説いてしまい失礼しました‥‥

Posted byブクログ

2024/09/01

ヘビーな題材な物語でした。 生活保護について、本当に必要としている人が適切に貰えないという現実があるのだと思うと心が痛いです。 同じ題材で、最近読んだ「悪い夏」とあまりにもテイストが違いすぎてビックリしました笑 相変わらずどんでん返し要素も入れつつ、読み応えのある作品でした。

Posted byブクログ