台北プライベートアイ の商品レビュー
台湾発のハードボイルド小説。 主人公のキャラ造形が独特。その独特な主人公視点で書かれているので、メインの事件に入るまでが無駄に長い。事件に入ってからは面白い。 もっと台湾感を感じられる小説だと勝手に期待していたら、変人主人公の独白を延々と聞かされる感じ。
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去年少し読んで一旦やめてた本。読み直したら面白かった。 いったん中断を挟んだのは私の台湾へのイメージが「暖かい土地で……フルーツ天国で……」しかなかったためですね。(あまりにも貧弱なイメージ) 主人公は学生のころからパニック障害と鬱病を患っている中年男性。彼は自分の心身の健康の...
去年少し読んで一旦やめてた本。読み直したら面白かった。 いったん中断を挟んだのは私の台湾へのイメージが「暖かい土地で……フルーツ天国で……」しかなかったためですね。(あまりにも貧弱なイメージ) 主人公は学生のころからパニック障害と鬱病を患っている中年男性。彼は自分の心身の健康のために、勤め仕事を辞め、私立探偵をはじめます。それって大丈夫……?と思うけど思いのほかしっかりやれている、ような、いややっぱり、やれてないような気もするな。 生き惑っている姿をこれでもかというほど見せてくれる主人公なんですが生き惑い方が元気いっぱいで生活感がすごい。毎日たくさん散歩して、馴染みの喫茶に通うといううらやましくなるほど健康的な生活を送りつつ、彼はその生き方の中で様々な宗教に敬意を払うようになっており、その宗教観は何だかキメラ的。彼は独特のバランス感覚を持っていて私から見るとかなり不安定にも見える。 世捨て人みたいなことをずーっと一人称でぶつぶつ語り続けているし。でも、この「カオスな状態が保たれている」ということを「何か一つに偏っていないのでこれこそ正常な状態」とするバランス感覚。これは主人公の特質というより「台湾」の特質っぽいのかなぁ……と。 以下は、この本を読み直すきっかけになった、台湾に関する付け焼刃メモ。先日、NHKで再放送されたバタフライエフェクト「激動 アジアの隣人たち 台湾 130年の傷痕」。ざっくり知ることができて良かった。あと本は「これならわかる台湾の歴史Q&A 第二版」。
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台湾のハードボイルド小説。 呉誠(ウー・チェン)は大学の演劇学部教授と脚本家の仕事をしていたが、飲み会での暴言のせいで演劇関係者たちの信頼を失ってしまう。 居場所がなくなった彼は退職し、私立探偵を始める。 探偵といっても興信所としての登録をしていないし、何の経験もないので完全...
台湾のハードボイルド小説。 呉誠(ウー・チェン)は大学の演劇学部教授と脚本家の仕事をしていたが、飲み会での暴言のせいで演劇関係者たちの信頼を失ってしまう。 居場所がなくなった彼は退職し、私立探偵を始める。 探偵といっても興信所としての登録をしていないし、何の経験もないので完全なド素人だ。車を運転できないから、尾行はタクシーや自転車が頼りにするしかない。酒ぐせも悪い。パニック障害と対称強迫症にも悩まされている。 ハードボイルドといっても限りなくコメディ寄りなので、ずっとニヤニヤしながら読んでいた。ちょいちょい下ネタもある。 前半は軽いノリで、ドタバタしながら最初の依頼人の仕事をこなしていく。 後半は地元を騒がせている連続殺人事件に巻き込まれる。警察から容疑者扱いされたため、疑いを晴らすために本気モードで犯人探しに挑む。 呉誠は探偵としてはド素人なのだが、元大学教授のインテリなので語りが面白い。演劇や文学、映画、宗教などの知識も豊富だ。業界や作品に対して噛みつくこともある。日本の文学や文化についての言及もよく出てくる。 調査にもそれらの知識や人脈を生かす。 実際にどこまで根拠があるのかは別として、宗教や気候、列に並ぶ文化と連続殺人事件の発生件数の関係などの考察も面白かった。 物語の展開をほっぽり出して語り手が好きなことについて語り出すタイプの小説は大好物なので、このへんは楽しめた。読み手によって好き嫌いが分かれるかもしれないが。 この小説のおもな舞台は、台北市内にある臥龍街というエリアだ(名前がカッコいい)。 ひょっとしたら、いままで読んだ台湾小説や台湾映画に出てきたのかもしれないが、記憶にはなかった。 あとがきを読むと、火葬場や葬儀関係の店が多いため「死の街」と呼ばれていて、雑多な商店が並び、新旧が入り交じった玉石混交の一帯だと書いてあった。 とりあえず自分の頭の中で、それらの情報に香港や新宿の街並みをおおざっぱにミックスしながら読んだ。 ひょっとしたら全然違うかもしれないが。 地図を見たら、何年か前に読んだ『歩道橋の魔術師』の舞台とはちょっと離れているようだ。 2段組で400ページ近くあるが、エンターテイメントに徹しているのですらすら読めた。 巻頭には人物紹介ページと台北市の地図も載っている。名前や地名などの固有名詞にはルビがふってある。初出のときだけでなく、章が変わる度にルビがふられる。台北についての予備知識も必要ないし、メモをとらなくても迷わなかった。 雰囲気を知りたくて、たまにグーグルマップの助けも借りた程度だ。 訳者や編集者の丁寧な仕事ぶりが感じられる本だった。
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毎度おなじみ高野秀行氏推薦本! 「主人公があまりに煩悩に苦しんでいて坂口安吾が私立探偵を開業して私小説にしてるのかと思うほど」と仰っていたが、自分は坂口安吾ではなく高野氏が主人公に似ていると思った。 二人とも映画や文学作品に詳しく、私生活の中では妙なこだわりがあり、ところどころ抜...
毎度おなじみ高野秀行氏推薦本! 「主人公があまりに煩悩に苦しんでいて坂口安吾が私立探偵を開業して私小説にしてるのかと思うほど」と仰っていたが、自分は坂口安吾ではなく高野氏が主人公に似ていると思った。 二人とも映画や文学作品に詳しく、私生活の中では妙なこだわりがあり、ところどころ抜けている。珍事に巻き込まれやすい。でもキメる時は、ほぼキメる! 久しぶりの小説とあってちびちび読んでいたが、とても楽しめた。小説の魅力に開眼したと言ってもおかしくない。 劇作家で大学教授の主人公 呉誠(ウーチェン)は、長年のしがらみから自らを解放すべく、台北の街外れ 臥龍街に引っ越して私立探偵業を始める。鳴かず飛ばずのスタートダッシュだったが、一つの依頼を皮切りに大事件の渦中へと巻き込まれていく…。 自分は作中の世界観に馴染むまで結構時間がかかる方で、今回も序盤ではなかなかのローペースを刻んでいた。 しかし、その「大事件」が訪れてからは、あっという間に時間の流れ方が変わった気がする。(つまり惹き込まれた) 本業はそっちのけになったけど、老呉(呉誠の事。親しい年上の相手には名前の前に「老」をつける)の推理ぶりには、きっと警察も密かに舌を巻いていたんじゃないかな。 「台北は呪いでもあり、奇跡でもある。おれは不思議に思わずにはいられない。いったいどんな力が、おれの住むこの混沌の世界を維持しているのか。いかなる魔法の緩衝メカニズムがこの水晶体のような文明を守り、危機一髪のたびに危険をすり抜けさせているのか」 『炒飯狙撃手』でも感じたが、台湾と殺人事件ってなかなか結びつかない。 実際それは、「台湾は連続殺人犯を育てる養分がない」と本書でも明らかにされている。(「蝶も逃れることができない」と言われるほどに街中監視カメラが設置されているのも、一役買っていたりして) そんな中で彗星のごとく登場した猟奇的殺人犯に、老呉をはじめ警察はどう対処していくのか…。その点も見どころの一つであろう。 作中の殺人事件同様、本書も今まで出会ったことのない「ニュータイプ」なお話だと思った。とりわけ、人物の内面に深部まで切り込んでいるのが際立っていたなー…って。作者も老呉と同じ元劇作家だから、そういう面を描くのに長けていらっしゃるのかも。 青年期にパニック障害と診断された老呉は、以降の人生を歯を食いしばりながら切り拓いてきた。しかしふと見回すと、あたり一面誰一人残っておらず、そこにいるのは老呉ただ一人。自分が傷つかないよう、自分以外の人間を否定しながら生きていた結果だ。 手にしてきた全てをかなぐり捨て、さびれた臥龍街に降り立ったわけだが、新しい出会いに触れるうちに少しずつその硬い皮が破れていく… 忘れたい過去との対峙は誰でも辛いものがある。 同じく、いや、それ以上に歯を食いしばって乗り越えようとしたのが本書だとしたら、今年5月に発売された続編(『DV8 台北プライベートアイ2』)は彼の第二の人生ってことになるのかな。 彼のことだからまた一筋縄ではいかないのだろうけど、せいぜい追っかけてやろうじゃないか!
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主人公の呉誠をはじめ、登場人物たちが何とも魅力的! 劇作家で大学教授だった呉誠は、酒席での失態をきっかけに教職を捨て、演劇界とも縁を切り、 台北の街外れに引っ越して私立探偵の看板を上げる。 (探偵としての知識は推理小説から得たという素人www) 妻にも見捨てられた、ちょっと残念...
主人公の呉誠をはじめ、登場人物たちが何とも魅力的! 劇作家で大学教授だった呉誠は、酒席での失態をきっかけに教職を捨て、演劇界とも縁を切り、 台北の街外れに引っ越して私立探偵の看板を上げる。 (探偵としての知識は推理小説から得たという素人www) 妻にも見捨てられた、ちょっと残念な中年男だ。 おまけに長年、パニック障害と付き合っている。 性格も少々面倒くさい感じだけど、お人好しで憎めないんだなぁ(笑) 友人たちもお節介で心優しく、母親はパワフル! 良いなと思ったのは、台北の街の描写が丁寧なのはもちろん、台湾人の気質や台湾社会の特徴なんかも、ちょいちょい描かれているところ。 世界の連続殺人犯ランキング、その理由と考察なども興味深い。 読み始めは、台湾人の名前や土地の名称が頭に入らなくて、なかなか物語に入り込めなかったが、途中から読むスピード急加速! ある日呉誠は、世間を騒がせる連続殺人事件の容疑者になってしまうのだが、そこからはもう面白くて面白くて、途中で止められない! 是非、続編も読まねば!( ╹▽╹ ) この作品は、autumn522akiさんのレビューから面白そうと思い、手に取りました。 ありがとうございます♪
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今年のマイベストテン間違いなし 台北に新たな私立探偵が誕生しました! 最近あまり読んでなかったハードボイルドだが、改めて好きなことを再確認 主人公は二枚目ではなく中年の危機が疑われる男で、今の私に響くところが満載でした 台湾の民情も描かれているので
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★5 ザ・探偵小説!台北で発生した連続殺人事件、人情味あふれる探偵が大暴れ #台北プライベートアイ ■あらすじ かつて大学の演劇学部教授であった主人公の呉誠は、私立探偵として生業を始めようとしていた。最初の事件は家庭内の困りごとを調査する仕事、素人探偵ながらも呉誠は台北の街を奔...
★5 ザ・探偵小説!台北で発生した連続殺人事件、人情味あふれる探偵が大暴れ #台北プライベートアイ ■あらすじ かつて大学の演劇学部教授であった主人公の呉誠は、私立探偵として生業を始めようとしていた。最初の事件は家庭内の困りごとを調査する仕事、素人探偵ながらも呉誠は台北の街を奔走する。同じ頃、台北では連続殺人事件が発生、街中が震撼する事件に呉誠は巻き込まれてしまい… ■きっと読みたくなるレビュー おもろい!★5 これぞ探偵小説。 なんといってもイチ推しポイントは、主人公の呉誠のお人柄。ハードな事件に相対しながらも、自分本位になったり、人に迷惑をかけるようなことは絶対しない。友達おもいで人情味に溢れているイイ奴なんです。しかも頭もいい!カッコイイ! しかし言動はなかなかクレイジーで突拍子がなさすぎ、若干イタイ奴。そして女性関係などセンシティブなことに対しては超ダサいんですよ。でもそこが愛せるんです。フーテンの寅さんと探偵物語の松田優作を足して二で割った感じかしら。 他にも魅力あふれる登場人物が多くて、すっかり世界に入り込んじゃいましたよ。街の友人や手下とも言える巡査、信用されてない家族、ゲスイ弁護士、お色気夫人、鼻持ちならない刑事部長などなど。分かりやすく人間性もイメージしやすいし、呉誠との会話のやりとりが楽しいんですよね。 また本書は台北の街並みや雰囲気が克明に描かれていて、住んでいる人々の顔が目に浮かんでくる。日本やアメリカなど世界各国との比較考察してる描写もあり、なかなか興味深い見解でした。 中盤あたりからメインの連続殺人事件に取り組むことになる。というか巻き込まれるんですが、この導入部分も馬鹿馬鹿しくもシリアスでおもろいんですよ。まさにドタバタ劇。事件が発展していく様も、捜査が進んでいく様も、読み応えがあってバッチシですね。 最後に犯人の動機は許せなかった。こういう持論を押し付ける奴、大っ嫌いなんですよね。はー腹が立ち過ぎて、おもわず叫んでしまった… ネタバレ気味だったらごめんなさい。まっすぐストレートな探偵小説、大好きな作品でした。続編も期待しています! ■ぜっさん推しポイント 本書の根底には、監視社会やプライベート問題が見え隠れする。タイトルにつけられた「PRIVATE EYES」はもちろん、物語の中では度が過ぎたマスコミ報道だったり、事件解決のための監視カメラ捜査などが強めに表現されている。 情報化社会はメリットが多いけど、反面個人を守ることが難しくなってしまうでしょう。妄想や思い込みが発展すると、誹謗中傷やストーカー犯罪にもつながることになる。個人の目線と社会と目線… どこの国でも、現代病ともいえる社会問題ですね。
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劇作家で大学教授でもある職を投げうち、台北の路地裏・臥龍街に隠居した私立探偵・呉誠が連続殺人事件に巻き込まれる探偵物語。 なんだかめんどくさいキャラな主人公で最初はイライラしたりもしたけれど、小説の他の登場人物たちも台湾の人たちはやっぱり人間味があって温かくて、彼らの仲間になっ...
劇作家で大学教授でもある職を投げうち、台北の路地裏・臥龍街に隠居した私立探偵・呉誠が連続殺人事件に巻き込まれる探偵物語。 なんだかめんどくさいキャラな主人公で最初はイライラしたりもしたけれど、小説の他の登場人物たちも台湾の人たちはやっぱり人間味があって温かくて、彼らの仲間になった気分で楽しめました。 今まで読んだ台湾が舞台の小説とはまたひと味違って、別の台湾の一面が感じられたのも嬉しいことです。 淡水が舞台の続編が台湾で発表されているそうなので翻訳されるのが楽しみです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
後半戦は、素晴らしいスピード感だった。 ハチャメチャな楽しさも、心の悩ましさもあるけど、よく出来たミステリーだった。 量産してくれなくて良いから、時々会いたい。 ただ、何か若者すぎないか呉誠は。
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