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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 2021/05/13 |
| JAN | 9784163913674 |

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商品レビュー
3.8
49件のお客様レビュー
去年少し読んで一旦やめてた本。読み直したら面白かった。 いったん中断を挟んだのは私の台湾へのイメージが「暖かい土地で……フルーツ天国で……」しかなかったためですね。(あまりにも貧弱なイメージ) 主人公は学生のころからパニック障害と鬱病を患っている中年男性。彼は自分の心身の健康の...
去年少し読んで一旦やめてた本。読み直したら面白かった。 いったん中断を挟んだのは私の台湾へのイメージが「暖かい土地で……フルーツ天国で……」しかなかったためですね。(あまりにも貧弱なイメージ) 主人公は学生のころからパニック障害と鬱病を患っている中年男性。彼は自分の心身の健康のために、勤め仕事を辞め、私立探偵をはじめます。それって大丈夫……?と思うけど思いのほかしっかりやれている、ような、いややっぱり、やれてないような気もするな。 生き惑っている姿をこれでもかというほど見せてくれる主人公なんですが生き惑い方が元気いっぱいで生活感がすごい。毎日たくさん散歩して、馴染みの喫茶に通うといううらやましくなるほど健康的な生活を送りつつ、彼はその生き方の中で様々な宗教に敬意を払うようになっており、その宗教観は何だかキメラ的。彼は独特のバランス感覚を持っていて私から見るとかなり不安定にも見える。 世捨て人みたいなことをずーっと一人称でぶつぶつ語り続けているし。でも、この「カオスな状態が保たれている」ということを「何か一つに偏っていないのでこれこそ正常な状態」とするバランス感覚。これは主人公の特質というより「台湾」の特質っぽいのかなぁ……と。 以下は、この本を読み直すきっかけになった、台湾に関する付け焼刃メモ。先日、NHKで再放送されたバタフライエフェクト「激動 アジアの隣人たち 台湾 130年の傷痕」。ざっくり知ることができて良かった。あと本は「これならわかる台湾の歴史Q&A 第二版」。
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台湾のハードボイルド小説。 呉誠(ウー・チェン)は大学の演劇学部教授と脚本家の仕事をしていたが、飲み会での暴言のせいで演劇関係者たちの信頼を失ってしまう。 居場所がなくなった彼は退職し、私立探偵を始める。 探偵といっても興信所としての登録をしていないし、何の経験もないので完全...
台湾のハードボイルド小説。 呉誠(ウー・チェン)は大学の演劇学部教授と脚本家の仕事をしていたが、飲み会での暴言のせいで演劇関係者たちの信頼を失ってしまう。 居場所がなくなった彼は退職し、私立探偵を始める。 探偵といっても興信所としての登録をしていないし、何の経験もないので完全なド素人だ。車を運転できないから、尾行はタクシーや自転車が頼りにするしかない。酒ぐせも悪い。パニック障害と対称強迫症にも悩まされている。 ハードボイルドといっても限りなくコメディ寄りなので、ずっとニヤニヤしながら読んでいた。ちょいちょい下ネタもある。 前半は軽いノリで、ドタバタしながら最初の依頼人の仕事をこなしていく。 後半は地元を騒がせている連続殺人事件に巻き込まれる。警察から容疑者扱いされたため、疑いを晴らすために本気モードで犯人探しに挑む。 呉誠は探偵としてはド素人なのだが、元大学教授のインテリなので語りが面白い。演劇や文学、映画、宗教などの知識も豊富だ。業界や作品に対して噛みつくこともある。日本の文学や文化についての言及もよく出てくる。 調査にもそれらの知識や人脈を生かす。 実際にどこまで根拠があるのかは別として、宗教や気候、列に並ぶ文化と連続殺人事件の発生件数の関係などの考察も面白かった。 物語の展開をほっぽり出して語り手が好きなことについて語り出すタイプの小説は大好物なので、このへんは楽しめた。読み手によって好き嫌いが分かれるかもしれないが。 この小説のおもな舞台は、台北市内にある臥龍街というエリアだ(名前がカッコいい)。 ひょっとしたら、いままで読んだ台湾小説や台湾映画に出てきたのかもしれないが、記憶にはなかった。 あとがきを読むと、火葬場や葬儀関係の店が多いため「死の街」と呼ばれていて、雑多な商店が並び、新旧が入り交じった玉石混交の一帯だと書いてあった。 とりあえず自分の頭の中で、それらの情報に香港や新宿の街並みをおおざっぱにミックスしながら読んだ。 ひょっとしたら全然違うかもしれないが。 地図を見たら、何年か前に読んだ『歩道橋の魔術師』の舞台とはちょっと離れているようだ。 2段組で400ページ近くあるが、エンターテイメントに徹しているのですらすら読めた。 巻頭には人物紹介ページと台北市の地図も載っている。名前や地名などの固有名詞にはルビがふってある。初出のときだけでなく、章が変わる度にルビがふられる。台北についての予備知識も必要ないし、メモをとらなくても迷わなかった。 雰囲気を知りたくて、たまにグーグルマップの助けも借りた程度だ。 訳者や編集者の丁寧な仕事ぶりが感じられる本だった。
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毎度おなじみ高野秀行氏推薦本! 「主人公があまりに煩悩に苦しんでいて坂口安吾が私立探偵を開業して私小説にしてるのかと思うほど」と仰っていたが、自分は坂口安吾ではなく高野氏が主人公に似ていると思った。 二人とも映画や文学作品に詳しく、私生活の中では妙なこだわりがあり、ところどころ抜...
毎度おなじみ高野秀行氏推薦本! 「主人公があまりに煩悩に苦しんでいて坂口安吾が私立探偵を開業して私小説にしてるのかと思うほど」と仰っていたが、自分は坂口安吾ではなく高野氏が主人公に似ていると思った。 二人とも映画や文学作品に詳しく、私生活の中では妙なこだわりがあり、ところどころ抜けている。珍事に巻き込まれやすい。でもキメる時は、ほぼキメる! 久しぶりの小説とあってちびちび読んでいたが、とても楽しめた。小説の魅力に開眼したと言ってもおかしくない。 劇作家で大学教授の主人公 呉誠(ウーチェン)は、長年のしがらみから自らを解放すべく、台北の街外れ 臥龍街に引っ越して私立探偵業を始める。鳴かず飛ばずのスタートダッシュだったが、一つの依頼を皮切りに大事件の渦中へと巻き込まれていく…。 自分は作中の世界観に馴染むまで結構時間がかかる方で、今回も序盤ではなかなかのローペースを刻んでいた。 しかし、その「大事件」が訪れてからは、あっという間に時間の流れ方が変わった気がする。(つまり惹き込まれた) 本業はそっちのけになったけど、老呉(呉誠の事。親しい年上の相手には名前の前に「老」をつける)の推理ぶりには、きっと警察も密かに舌を巻いていたんじゃないかな。 「台北は呪いでもあり、奇跡でもある。おれは不思議に思わずにはいられない。いったいどんな力が、おれの住むこの混沌の世界を維持しているのか。いかなる魔法の緩衝メカニズムがこの水晶体のような文明を守り、危機一髪のたびに危険をすり抜けさせているのか」 『炒飯狙撃手』でも感じたが、台湾と殺人事件ってなかなか結びつかない。 実際それは、「台湾は連続殺人犯を育てる養分がない」と本書でも明らかにされている。(「蝶も逃れることができない」と言われるほどに街中監視カメラが設置されているのも、一役買っていたりして) そんな中で彗星のごとく登場した猟奇的殺人犯に、老呉をはじめ警察はどう対処していくのか…。その点も見どころの一つであろう。 作中の殺人事件同様、本書も今まで出会ったことのない「ニュータイプ」なお話だと思った。とりわけ、人物の内面に深部まで切り込んでいるのが際立っていたなー…って。作者も老呉と同じ元劇作家だから、そういう面を描くのに長けていらっしゃるのかも。 青年期にパニック障害と診断された老呉は、以降の人生を歯を食いしばりながら切り拓いてきた。しかしふと見回すと、あたり一面誰一人残っておらず、そこにいるのは老呉ただ一人。自分が傷つかないよう、自分以外の人間を否定しながら生きていた結果だ。 手にしてきた全てをかなぐり捨て、さびれた臥龍街に降り立ったわけだが、新しい出会いに触れるうちに少しずつその硬い皮が破れていく… 忘れたい過去との対峙は誰でも辛いものがある。 同じく、いや、それ以上に歯を食いしばって乗り越えようとしたのが本書だとしたら、今年5月に発売された続編(『DV8 台北プライベートアイ2』)は彼の第二の人生ってことになるのかな。 彼のことだからまた一筋縄ではいかないのだろうけど、せいぜい追っかけてやろうじゃないか!
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