ひと の商品レビュー
譲ってきた主人公が譲れないものを見つけた一冊 立て続けに親を亡くした20歳の主人公。でもこの死の原因に深い意味があるのかと思えば特に伏線がなかったところが本書の現実的な雰囲気を生み出しているのかなと思いました。ラストの場面は新しい1歩を踏み出した主人公の成長を感じさせこれからを応...
譲ってきた主人公が譲れないものを見つけた一冊 立て続けに親を亡くした20歳の主人公。でもこの死の原因に深い意味があるのかと思えば特に伏線がなかったところが本書の現実的な雰囲気を生み出しているのかなと思いました。ラストの場面は新しい1歩を踏み出した主人公の成長を感じさせこれからを応援したくなりました。 ●名前を大切にしている小説 本書では登場人物の「フルネーム」それも漢字で出てきます。始めは話のテンポが悪くなってまどろっこしいなと思いましたが、読んでいるうちにほんの少ししか関わらなくてもその「ひと」を表している名前を大切にしているからなんだと感じました。解説にもありましたが「誰一人疎かにしない」という主人公と筆者のこだわりのようなものが名前の表現に込められています。 ●主人公の誠実さ 友達だからって家の合鍵を渡したり、遠い親戚にお金を渡したり、、、読んでいてそんな無防備なことをするから~と思う場面がありますがそれが主人公の長所で、思わぬ人から「頼っていい」と言ってもらえるんだろうなと思いました。若者ぽさもありながら技術で勝負してきたお父さんの芯のあるところを受け継いでいる感じがよく表現されています。 ●惣菜屋田野倉のご夫婦の温かさ 仕事を探していた訳あり主人公を受け入れたり、始めはちょっと頼りなかった映樹さんを息子のように想っていたり、血がつながっていなくてもこんな温かい関係って素敵だなと思いました。
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女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が急死した。僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁...
女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が急死した。僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。本屋大賞から生まれたベストセラー。
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「まち」と同じように、貧乏だけど誠実な人柄を安心して見られる。世の中には悪い人もいるけど、良い人もいっぱいいる。
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20代にして両親を失い、大学を辞め、お金も失ってしまった主人公・柏木聖輔。これはそんな彼が再生に向けてまた歩き出していく物語だと思った。そして人との繋がりの大切さまたは尊さであったり、その温かさというものを感じ、単純に良いなと思った。 今の世の中では、時に人と人との繋がりが煩わし...
20代にして両親を失い、大学を辞め、お金も失ってしまった主人公・柏木聖輔。これはそんな彼が再生に向けてまた歩き出していく物語だと思った。そして人との繋がりの大切さまたは尊さであったり、その温かさというものを感じ、単純に良いなと思った。 今の世の中では、時に人と人との繋がりが煩わしくなってしまうこともある。小学生くらいだった時にはそんなことなかったはずなのに、、、と、少なくとも私はそう感じている。だからなるべく独りでいたいと思うこともある。関わりたくないとさえも思う。けれど、このコロッケの美味さに背中を押されて勢いに任せて「ここで働かせてください」と言った聖輔のように飛び込んでみたら、新しい世界、それでいて安心できる場所が開けてくるかもしれない。もしそうじゃなかったとしても、違う場所にまた行けば良いと思うし、従叔父から聖輔を守った映樹のような存在(少なくとも家族や友達)に頼ることもできる。大切なのは、何かを失うことを恐れ、何かを失ったことを嘆くのではなく、それでも前に進もうとすることなのではないかと思った。私たちは日々を淡々と生きている。その1日1日が過去になった時に振り返ってみると、案外意味のあるものだったと思うこともあればそうではなかったなと思うこともあるかもしれない。けれど、真の意味でその日々が無駄にはなることはない。その時間の積み重ねの果てにいるのが今の自分なのだから。 「一人でがんばることも大事。でも頼っていいと言ってる人に頼るのも大事。」という言葉は胸に置いておきたいし、私が関わる人には、もちろん全員ではないかもしれないけれどそう言って寄り添えたらいいなと思う。
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どっちでもいいてときてほんとに多くてそゆときは譲れるくらいのゆとりある人でいたいし 譲れないものができたときにはその気持ちを大切にしたいて思う
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世の中には、幸不幸があるが、自分の信じる道を前向きに進むことが自分を幸福に導く最善の方法だと感じました。 主人公聖輔は、お店の経営を譲ったり、ギターを譲ったりする温かい気持ちと彼女青葉は譲らないと言うひたむきな気持ちが交差をしましたが、自分の信念で行動をしているところがGOODで...
世の中には、幸不幸があるが、自分の信じる道を前向きに進むことが自分を幸福に導く最善の方法だと感じました。 主人公聖輔は、お店の経営を譲ったり、ギターを譲ったりする温かい気持ちと彼女青葉は譲らないと言うひたむきな気持ちが交差をしましたが、自分の信念で行動をしているところがGOODでした。最後はハッピーエンドで幸せな気持ちになれ良かった!
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見下されても怒りを表現しない、柔和すぎる主人公に最初はイライラした。 でも、この優しい主人公は付き合うべき人をちゃんと見わけられるし、その人たちは主人公の魅力をわかっている。 ちょっとやさぐれているときにこの小説を読んだのだが、「何もかも諦めなくていいんじゃない?」の台詞に救...
見下されても怒りを表現しない、柔和すぎる主人公に最初はイライラした。 でも、この優しい主人公は付き合うべき人をちゃんと見わけられるし、その人たちは主人公の魅力をわかっている。 ちょっとやさぐれているときにこの小説を読んだのだが、「何もかも諦めなくていいんじゃない?」の台詞に救われました。どんなに金銭的に厳しくても家族がいなくなっても将来が見通せなくても、好きなものや人や夢を持っていいに決まってる。 たぶんこの主人公(=私)はこの先も大丈夫だ、と感じさせる、希望を持たせたラストが好きです。
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前に読んでいた本が、同じ年頃くらいの主人公が 陸上に励む、みたいなのが続いていていたせいか、話の抑揚が穏やかすぎて、え?もう終わったの? っていう気持ちが一番大きい。 すごく大きな山場があるわけではなく、 淡々と過ぎていく平凡な毎日の中に、 主人公だけでなく周りの人達も 少しず...
前に読んでいた本が、同じ年頃くらいの主人公が 陸上に励む、みたいなのが続いていていたせいか、話の抑揚が穏やかすぎて、え?もう終わったの? っていう気持ちが一番大きい。 すごく大きな山場があるわけではなく、 淡々と過ぎていく平凡な毎日の中に、 主人公だけでなく周りの人達も 少しずつ心が成長していく、 それはとても伝わるけれど、 聖輔の今後が一番知りたいのに 全てがわからないまま、って… 続編作るのかな?ってくらいの終わり方。 好きだけど、物足りないかなぁ。
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コロッケのようにホクホクあたたかく、 そっと優しく満たしてくれる、そんな作品。 ひとは皆、助け合って生きている。 譲る幸せがあり、時には譲らない幸せもある。 幸せでいてほしい、と祈る気持ちはしあわせだし、 幸せにしたい、と願う気持ちもまたしあわせだと思う。 ひとと、ひととが仕...
コロッケのようにホクホクあたたかく、 そっと優しく満たしてくれる、そんな作品。 ひとは皆、助け合って生きている。 譲る幸せがあり、時には譲らない幸せもある。 幸せでいてほしい、と祈る気持ちはしあわせだし、 幸せにしたい、と願う気持ちもまたしあわせだと思う。 ひとと、ひととが仕合わせる。 重なり合った人生が、愛をやわらかく くるむ。 〝ひと〟 この ひらがなで記されたタイトルが涙で優しくゆれる。 まるで 生まれた時に乗った、ゆりかごのように。
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とても読みやすい文体で、サラサラと一気に読むことができました。 ストーリーもきちんと構成されていて、気持ちが入りやすく、三ヶ所ほどで泣きました。 東野圭吾さんの「手紙」をスリムにした印象です。
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