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ひと 祥伝社文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 祥伝社 |
| 発売年月日 | 2021/04/16 |
| JAN | 9784396347185 |

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商品レビュー
4.1
943件のお客様レビュー
主人公が素晴らしい人。 自分が思ったこと、感じたことをきちんと自分の中でかみくだいて言う言わないを決めていたり、これを伝えるを選択している姿が印象的だった。
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お惣菜屋さんの皆さんが温かい。 人との巡り合いで強くなっていくんだなあ。 人生はきっとあっという間。若いうちにやりたいことをできるだけやって、悔いのない人生にしていきたい。
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『ひと』を読み終えてまず感じたのは、これは「人に支えられる物語」ではなく、「人を信じることを少しずつ取り戻していく物語」だということだった。 物語は、両親を亡くし、大学を中退した二十歳の柏木聖輔が、商店街の惣菜屋「おかずの田野倉」で働き始めるところから始まる。設定だけを見ると、...
『ひと』を読み終えてまず感じたのは、これは「人に支えられる物語」ではなく、「人を信じることを少しずつ取り戻していく物語」だということだった。 物語は、両親を亡くし、大学を中退した二十歳の柏木聖輔が、商店街の惣菜屋「おかずの田野倉」で働き始めるところから始まる。設定だけを見ると、不幸な青年が周囲の優しさに救われる感動小説にも見える。しかし実際に読んでみると印象はかなり違った。作者は涙を誘うような展開を積み重ねるのではなく、ごく普通の日常の中で、人と人との関わりが少しずつ人生を変えていく様子を丁寧に描いていく。 印象的だったのは、聖輔が特別な主人公ではないことだ。逆境に置かれても世の中を恨まず、自分の境遇を必要以上に悲劇として語らない。ただ目の前の仕事を真面目にこなし、相手のことを考えて行動する。その誠実さが、惣菜屋の店主や商店街の人たちとの新しい縁を少しずつ生んでいく。この物語には劇的な奇跡は起きない。しかし、小さな親切や何気ない会話の積み重ねが、一人の人生を確かに前へ進めていく。その描き方がとても自然だった。 読んでいて何度も考えたのは、「人柄は連鎖する」ということだった。聖輔は誰かに助けてもらうから優しくなるのではない。もともと持っている誠実さが周囲を動かし、その優しさがまた別の誰かへつながっていく。物語の冒頭でコロッケを譲る小さな行動が、思いもよらない縁を生み出していく展開は、この作品全体を象徴しているように感じた。人との出会いは偶然かもしれない。しかし、その偶然を意味のあるものにするのは、その人自身の生き方なのだと思わされた。 また、この作品は「働くこと」の描き方も良かった。仕事は成功や出世のためではなく、誰かの役に立ち、自分の居場所をつくるためのものとして描かれる。惣菜屋という何気ない場所だからこそ、人との距離が近く、毎日の積み重ねが信頼へ変わっていく様子がよく伝わってくる。派手な仕事ではなくても、自分の仕事が誰かの日常を支えている。その当たり前の価値を改めて考えさせられた。 そして、この作品を読んで一番心に残ったのは、「ひとりでは生きていけない」というありふれた言葉の意味だった。本作は、人は支え合って生きるべきだと説教するわけではない。ただ、人は誰かと関わることで少しずつ前を向けるし、自分もまた誰かを支えている。その事実を静かに積み重ねていく。だから読み終えたあとには、「もっと人に優しくしよう」というより、「目の前の人との縁を大切にしたい」という気持ちが自然と湧いてきた。 『ひと』は、大きな事件も劇的などんでん返しもない。しかし、それでも最後まで夢中になって読めるのは、一人ひとりの登場人物が本当にそこに生きているように感じられるからだ。人は一人では生きられない。しかし、人に支えられるだけでも生きられない。自分も誰かの力になり、その積み重ねの中で人生は少しずつ豊かになっていく。本作は、そんな当たり前だけれど忘れがちなことを、押しつけることなく教えてくれる一冊だった。 #2026年23冊目
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