悪の芽 の商品レビュー

貫井徳郎(著者)

2021/11/12

最後まで引き込まれた文章だった。
でもやはり…

40歳も過ぎているのに、大量殺人を犯した理由は、「小学校の頃のいじめが原因」であること。

ネタバレになるから書かないが、何故アニコンを狙ったのかについても「えっ？」という疑問符が浮かんだ。

作者の筆力ならばもっと説得力のある理由を用意出来たのではないかと思いつつ、別の本も読んでみたいと思いました。

2021/11/12

お久しぶりのどっぷり読書。やっぱり貫井徳郎。この件読後感は癖になる。現代のネット社会での正義の名のものに匿名で悪者を糾弾することは、なんとも恐ろしく、もし自分が当事者となったらと想像もしたくない。
そんな世の中でいくつも起きている無差別殺人のひとつを物語にしたといえる作品。改めて学んだのは、過去の自分は振り返る事はできても事実は変わらない。しかし自分自身の記憶を、行動を、都合良くもまたは悪くも置き換えることができるって事です。

2021/10/11

大量殺人の犯人が自分が昔いじめの種をまいたクラスメイトだった。
主人公はパニック障害になりながら犯人の気持ちを理解しようと奔走。

面白かったけどなんというか、おじさんが書いている小説、という全体の雰囲気が自分には馴染まなかった。
なんだろう、聡明な妻、とか、昔はガキ大将だったけど今は一家の大黒柱、とか、ゲームに興じ母親を小馬鹿にする息子、とか、アイコン的なものがそう感じさせるのか。

2021/09/25

貫井さん、初読み。タイトルの悪の芽、作者がラストにどうオチを付けるのか楽しみに読んだ。アニコンで起きた大量無差別殺人。犯人は斉木。斉木には小学校時代苛められた過去がある。一流企業に勤める斉木の小学校時代の同級生の安藤。安藤は自分のせいで斉木が殺人者になったのではないか？と疑い、そうではない証拠を得たい。安藤の完璧主義によりパニック障害に陥る。斉木とキャバ嬢の関係、見くだす心、絶望。自分にとって悪の芽の真相と大量殺戮がどうしても不均衡。すなわち動機が不十分で、「悪」が悪ではなかったとしか言いようがない。

2021/09/24

想像力。
人間に与えられた能力なのに、きちんと使えている人はそう多くない、重要な能力。

いじめられた方は、いつまでも、それこそ一生頭の隅には残る悲しい思い出なのに対し、いじめた方は記憶の片隅にすらないことも珍しくない。

物語は、登場人物の元・いじめっ子たちの30年前の自分の罪と向き合うことで反省・後悔を描いている。　　

小学校高学年以上なら読んでもいい物語、きちんと理解できるだろう。

自分も想像力をサボらせずに心がけようと思う。

2021/09/21

犯罪者の気持ちを理解したい？で、探偵ごっこの挙句に足跡残して墓穴⁈30代ならまだしも40過ぎて小学校時代鮮明に引きずる主人公の行動まったく理解できないし、オチも中途半端。だらしないマスコミも、もう少し動機に迫ると思うけど…言い古されたネット社会の匿名の悪意、社会の無関心の気味悪さだけ残った。貫井さんらしからぬ構成と甘さ…

2021/09/18

無差別や連続殺人事件など大きな事件が起こるとその犯人はどんな生き方をしてこんな犯罪を犯したのだろうかと考えることがある。今回はその犯人が過去にいじめられていた事実から、いじめが原因なのかといじめた側の主人公が真相を追うという物語。なかなかない切り口だなと興味を持って一気に読んでしまった。感想としては犯人の犯行動機が自分の予想していたものとは違って正直、その犯行動機であんな無差別殺人を行うのかなぁと思ってしまった。でも現実として犯人の心なんて誰にも理解できるものではないのかもしれない。だから悲しい事件はなくならないのだ。「悪の芽」はどこに種があるのかわからないのだと自分なりに解釈した作品だった。

2021/09/12

小学生時代に虐めた同級生が無差別殺人事件を起こした。あの頃から人生を狂わせていった彼の犯行の引き金は自分が引いたのか⁇
エリート会社員の主人公は、その優しさゆえに心を病んでいく。
犯行の動機を探る中で描かれる人物像は、本当に自分の中にも、隣にいる人にも一部ある。
人が人を見下してしまうのは弱肉強食の世の中だから。でも、主人公の様に、一片の優しさがあれば救われる事もある。
被害者の母親は怒りと悲しみに中からも、周りを見回す事で優しさを取り戻した。
ほとんどの人間が持つ優しさを、少しでも他者へ向けることが出来れば、この世の中は住み易くなるのでは、と思わされました。
もう一人のいじめっ子や被害者家族の物語ももう少し欲しかった気がします。

2021/09/11

無差別大量殺人（テロ）を起こした男は、小学校時代に自分がいじめのきっかけを作った。
果たして「悪の芽」はどこにあるのか？

2021/09/05

小学校時代にいじめられていた男が大型イベント会場で無差別殺人事件を起こし焼身自殺。いじめのきっかけを作った自分が犯人の人生を狂わせてしまったと悩みパニック障害に陥るエリートの主人公。サクサク読めるご、もっと虐めた真壁のその後や集団訴訟の行方は？とそのまま消火不良に終わった感あり。