おもかげ の商品レビュー
『地下鉄に乗って』の兄弟作?として紹介されていたので、何となく話の展開がわかり…女性の正体はやはりという感じだった。 ただ、地下鉄〜より嫌悪感もなくすっきりと読めた印象。 回想ファンタジー嫌いではないけれど、同じ年代の主人公・境遇で既視感が否めない。 浅田次郎さんの美しい日本...
『地下鉄に乗って』の兄弟作?として紹介されていたので、何となく話の展開がわかり…女性の正体はやはりという感じだった。 ただ、地下鉄〜より嫌悪感もなくすっきりと読めた印象。 回想ファンタジー嫌いではないけれど、同じ年代の主人公・境遇で既視感が否めない。 浅田次郎さんの美しい日本語や表現、描写が好き。 個人的にはエッセイが一番面白いかも、と思う。
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とても読みやすく、あっという間に浅田ワールドに入り込みました。 ラストに向けて涙があふれて、それと同時に優しさと愛に包まれ始めました。あんな別れ方をしても祈りは届くんですね。 言葉にしなくても、願いが聞こえその願いに守られたように育ったんだと思います。 悲しい別れもあるけれど、素...
とても読みやすく、あっという間に浅田ワールドに入り込みました。 ラストに向けて涙があふれて、それと同時に優しさと愛に包まれ始めました。あんな別れ方をしても祈りは届くんですね。 言葉にしなくても、願いが聞こえその願いに守られたように育ったんだと思います。 悲しい別れもあるけれど、素敵な出会いもあり、本当に愛と奇跡の物語だと思いました。
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さらさらと流れる透明な川のような印象を受ける物語です。それなのに年月の重みも感じます。力強い作品ではありませんが、春の優しい日差しの下で読みたい本です。
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浅田次郎さんは、地下鉄に深い思い入れがあるのでしょうか。やさしくて、温かい風が流れてきました。 何だかよく分からない登場人物は、最後までよく分かりませんでしたが、最後は、そういうことだったのね、という感じです。 峰子さんの話は、飛び飛びだったので、何故、また最後に出てくるのかと...
浅田次郎さんは、地下鉄に深い思い入れがあるのでしょうか。やさしくて、温かい風が流れてきました。 何だかよく分からない登場人物は、最後までよく分かりませんでしたが、最後は、そういうことだったのね、という感じです。 峰子さんの話は、飛び飛びだったので、何故、また最後に出てくるのかと思いましたが、なるほどでした。 生きるための選択を知ることが出来て良かった。
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あと数年で還暦という年齢になり、10年ほど前に比べて仕事もプライペードもかなり環境が変化してきた。仕事面では後進の指導や各部署との調整、取りまとめなどの仕事が多くなってきたし、プライベートでは子どもが巣立ったことで夫婦二人の生活となり、両親もここ数年で相次いで鬼門に入った。 仕...
あと数年で還暦という年齢になり、10年ほど前に比べて仕事もプライペードもかなり環境が変化してきた。仕事面では後進の指導や各部署との調整、取りまとめなどの仕事が多くなってきたし、プライベートでは子どもが巣立ったことで夫婦二人の生活となり、両親もここ数年で相次いで鬼門に入った。 仕事的には、今までの経験や知識を活かせるポジションなので、サラリーマンとしては幸せなことだなと思う。一方で、プライベートな面で言うと徐々に周囲から人の気配が無くなるというか、家族や両親や親戚など、身近な人が少しずつ居なくなりつつあるという、当たり前のことにふと気付く。 それが寂しいかというとそうでもなく、ここから自分の好きなことに打ち込んだり、夫婦でゆっくりと色々な話が出来るのだなと思うと嬉しい。心身ともに落ち着いてきたということだろうし、それがまた幸せなことだなと思う。 浅田次郎さんが書かれた「おもかげ (講談社文庫)」という一冊。書店の平台にずらりと置かれている最新作だが、浅田次郎さんらしい心に染みる素敵な物語だった。 「エリート会社員として定年まで勤め上げた竹脇は、送別会の帰りに地下鉄で倒れ意識を失う。家族や友が次々に見舞いに訪れる中、竹脇の心は外へとさまよい出し、忘れていたさまざまな記憶が呼び起こされる。孤独な幼少期、幼くして亡くした息子、そして……。【BOOKSデータベースより】」 商社を勤めあげて退職した竹脇は、誰から見てもエリート会社員だった。しかし彼は、自身の出生に関して不明確な過去を持ち、苦悩しながらも聡明な妻に支えられて人生を送ってきた。退職祝いパーティーの帰りに乗った地下鉄内で倒れた竹脇は、集中治療室で意識を失ったまま眠りについているのだが、彼の心は外にさまよい不思議な体験をしていく。その中で出会った人々は竹脇の失われた記憶に少しずつ関連していて、その縁が少しずつ少しずつ繋がっていく。そして、最後に繋がったその記憶は、地下鉄とも結びついてとても感動的で素晴らしいものだった。 この物語は、主人公自身や友人、身内などそれぞれの視点で物語が進むのだが、それによって主人公を取り巻く環境や過去の出来事、心の内側などが少しずつ読者に伝わってくる。そして迎えるクライマックスには、思わず居住まいを正してしまうぐらい感動的だった。 人の人生の辛さや楽しさ、切なさなどがラストの場面で一気に押し寄せてきて、読後には心の中がふんわりと暖かくしてなった。さすがに浅田次郎さんの作品だし、またひとつ素晴らしい傑作に出会うことができた。読む人の年代や性別、現在までの経験などによって感じ方は変わってくるだろうが、誰が読んでもラストは心が暖かくなろうだろうと思う。 私はこの物語を読み終わって、高齢ために昨年、一昨年と相次いで亡くなった両親に無性に会いたくなった。
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最終章を読むまでは何の話かよく分からなかった。 結末を知った上でもう一度読んでみると物語に入り込みやすいのかと思う。
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おもかげ 浅田次郎著 0.おもかげ より抜粋 「僕の夢は、ふつうの人間になることだった。 子供の頃からそれだけを希っていた。 むろん僕が憧れるふつうの人間からみれば、 そんな夢は理解できないだろう。 ただのコンプレックスではない。 そう思われるのを怖れて努力した。 ...
おもかげ 浅田次郎著 0.おもかげ より抜粋 「僕の夢は、ふつうの人間になることだった。 子供の頃からそれだけを希っていた。 むろん僕が憧れるふつうの人間からみれば、 そんな夢は理解できないだろう。 ただのコンプレックスではない。 そう思われるのを怖れて努力した。 ふつうの人間になる努力、ふつうの人間に見える 努力を。」 1.購読動機 泣きたかったからです。 涙には、いくつか種類があります。 悲しみの涙、ほっとして安心して流す涙、やりきれなくて、悔しくて流す涙などです。 2.おもかげ を読み終えて この小説では、最後のページを読み終えたとき、悲しみの涙が、少しだけ安心の涙に変化します。 僕は、そうでした。 3.おもかげ の物語 商社マン。勤め上げ65歳定年です。 送別会の帰りに脳梗塞で入院、手術不可となります。 物語は、彼と彼の家族や看護師が回想を重ね、そして今の気持ちを赤裸々に語る形で展開します。 彼の出自は、両親がいません。 その彼の最期の間際には、彼自身の母が彼に寄り添いながら、彼の生まれ、就職、結婚、そして家族旅行の思い出を巡ります。 そこで、彼は何を見るのか? 生前に会えなかった唯一の肉親の母に最期に会えた彼が感じたものは何なのか? 4.最後に いつその日がやってくるかもしれません。 当たり前のことです。 だからこそ、当たり前に、ひたむきに向き合って生きるのだと考えています。 #読書好きな人と繋がりたい
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めて読んだ浅田次郎さんの小説。 一人の背の高い老紳士は、重役を務めた会社を定年退職した日の冬の帰り道、地下鉄で倒れて昏睡状態になり病院へ搬送される。ICUのベットでたくさんのチューブに繋がれ、家族や親しい人たちが見守る中、彼は身体を置いて雪の降る東京の町に歩き出す。このまま死んでも悔いはないと思っていた彼は、現実と過去と幻想が混ざった世界で、誰に出会い、何を思い出すのか。 サラリーマンの中でもエリートの道を歩み、真面目で柔和な人柄で、家族からも周囲の人間からも慕われていた様子が意識不明の彼を見舞う人々の回想から伝わってきた。 けれど、彼の不思議な冒険あるいは彼自身の回想のシーンになると、最初で語られた周囲の人物像と主人公の性格にはだいぶ差があったように思う。でも、その人がどういう人生を歩んで、何を考え生きてきたのかなんてその人自身しか分からない。現に彼の辛い出自は、彼の考え方に大きく影響していた。 子供の頃は、人の痛みが分かるようになりなさいとか、想像しなさいとかを言われて躾られる。もちろん、他者と関わって生きていく上で必要不可欠なことではあるけれど、どんなに親しい間柄でも辛い過去を共有していても、彼の痛みも、そこから生まれた考え方も、彼しか分からないことだから、あえて何も聞かずに知らぬ振りをする優しさもある。現実の彼の周りにいる人たちはこういう優しい人たちが多いと思った。 だけど、過去と幻想の世界で巡り会った人達は違った。だから、読んでいるこちらも大きく気持ちが揺さぶられた。 東京の地下鉄ではないが、最後の展開には、通勤路の地下鉄で泣きそうになってしまった。 贅沢を言うなら、彼が目を覚ました先もあったらなと思うけれど、自分の中で、きっと奥さんにはこんなことを、義理の息子にはこんなことを言うんだろうなと妄想して幸せな続きを描く楽しさがある。 何度も読み直したい小説だった。
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最後で一気にすべてがつながって感動しました。 でも2/3くらいはよくわからないファンタジー?でなかなか読みづらかった。 まぁ終わりよければすべてヨシ。
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流石浅田作品 この先まで読みたかったが、ここで終わるのが良いのだろう。 母の存在、それぞれの周囲にはどういう人がいるのか。 自分に置き換えて考える機会をもらった。
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