おもかげ の商品レビュー
親を知らずに大きくなった竹脇正一、65歳。自力で生きのび、サラリーマンとし勤め上げた定年の送別会の帰り、地下鉄で倒れる。集中治療室のなか、瀕死状態において、体外離脱のようなパラレルワールドの中をさまよう。医学的には、異常をきたしている脳の幻覚作用が、仮想現実を作り出しているのか。...
親を知らずに大きくなった竹脇正一、65歳。自力で生きのび、サラリーマンとし勤め上げた定年の送別会の帰り、地下鉄で倒れる。集中治療室のなか、瀕死状態において、体外離脱のようなパラレルワールドの中をさまよう。医学的には、異常をきたしている脳の幻覚作用が、仮想現実を作り出しているのか。 このようなことは実際あるのではないだろうか。 今まで生きた中で、思いが深いこと、心残り、ひっかかっていたこととか。過去を回想することは、生きた証を辿ること。気持ちを整理し、この先のヒントにも繋がると気づいた所、良かったです。 ナビゲーターとして現れた峰子は竹脇さんに問う。 「君の夢を聞かせて」 「僕の夢はふつうの人間になることだった。子供のころから、それだけを希(ねが)っていた。むろん僕が憧れるふつうの人間たちから見れば、そんな夢はまるで理解できないだろう・・」 大学を出てサラリーマンになって結婚をして家を建てて子供を育てること。 その夢、叶った竹脇さん。一生の中でふつうを成し遂げることがどれだけ尊いか、つくづく思い知った。 自分の甘さ。食べるものにも学業にも、なんの不足もなく育ててもらった親のありがたみを思った。 ラスト、竹脇さんは!泣ける、というよりとても元気(生きる力というか)をもらえた本でした。
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夢うつつの中で登場する謎の女性たち。最後に関係性が分かって、なるほどねぇってなった。男性陣がそれぞれ個性的でみんな好き。装丁もいいね!
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浅田次郎が好きなので、浅田次郎っぽい内容でとても好きです。ちょうど朝ドラ、エールを見てたので戦後の雰囲気なども想像しやすかったです。終始心は震えても、嫌な気持ちになることの無い小説でした。
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最後だけじゃなく途中で泣けた作品はこれが初めてだと思う。同作者の地下鉄に乗っても読んでみたいと思った。これはみんなに勧めたい
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定年退職の送別会の帰りに、地下鉄の中で倒れた主人公。 昏睡状態の中で出逢う人々が、いったい誰なのか。 主人公夫婦が人生で出会った人々についての事と共に、静かに進んで行く物語。 一生懸命に生きた人々には、これからももっともっと幸せな日々を味わってもらわないと。 「鉄道員(ぽっぽや)...
定年退職の送別会の帰りに、地下鉄の中で倒れた主人公。 昏睡状態の中で出逢う人々が、いったい誰なのか。 主人公夫婦が人生で出会った人々についての事と共に、静かに進んで行く物語。 一生懸命に生きた人々には、これからももっともっと幸せな日々を味わってもらわないと。 「鉄道員(ぽっぽや)」「地下鉄(メトロ)に乗って」も読み、映画も観ました。このお話も、地下鉄が重要。
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浅田さんが描く地下鉄の描写が好きだ。 最近はレトロな車両も登場した丸の内線や銀座線の古いホームに佇んでいると、 本当に時空を超えて車両が滑り込んでくるような気がする。 どこに生まれてどんな親に育てられるのか、 これはもう運でしかない。 だけどそれが幸せだったのかどうかわかるのは...
浅田さんが描く地下鉄の描写が好きだ。 最近はレトロな車両も登場した丸の内線や銀座線の古いホームに佇んでいると、 本当に時空を超えて車両が滑り込んでくるような気がする。 どこに生まれてどんな親に育てられるのか、 これはもう運でしかない。 だけどそれが幸せだったのかどうかわかるのは 本人にだけ、それも最後の最後に幕を閉じる瞬間まではわからないんだろうな。 主人公の生き様、とても素敵だなと思いました。
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生死の境を彷徨う主人公が、その意識の中で過去の自分のルーツに出会う話。 人生の出来事と、振り返るための不思議な案内人が出てくるあたりはファンタジー要素が強くて意表をつかれる。物語が進むに連れて、主人公の性質を形作った生い立ちがみえてくる。 最後は少し出来過ぎ感があって、感動を...
生死の境を彷徨う主人公が、その意識の中で過去の自分のルーツに出会う話。 人生の出来事と、振り返るための不思議な案内人が出てくるあたりはファンタジー要素が強くて意表をつかれる。物語が進むに連れて、主人公の性質を形作った生い立ちがみえてくる。 最後は少し出来過ぎ感があって、感動を無理強いされているようで少し残念たけど、浅田作品の温かさとして受け入れるといいかも。
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エリート商社マンの男が定年を迎え送別会の帰りの地下鉄の中で倒れてしまう!? ICUで生死を彷徨う彼のもとに訪れる人々の話かと思いきや・・・ エリート商社マン竹脇の人生を振り返る物語 本の中には懐かしき昭和の世界が広がっております。 本作は同作家の作品『地下鉄に乗って』と...
エリート商社マンの男が定年を迎え送別会の帰りの地下鉄の中で倒れてしまう!? ICUで生死を彷徨う彼のもとに訪れる人々の話かと思いきや・・・ エリート商社マン竹脇の人生を振り返る物語 本の中には懐かしき昭和の世界が広がっております。 本作は同作家の作品『地下鉄に乗って』と言う題名でも良いのではないかと思うような作品です。 *内容が酷似している訳ではありません。
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主人公の正一は瀕死でありながら、幽体離脱のように行動し自分の出自や人生を顧みます。死が近づいてる人の事は誰もわからないが、こういう事があってもいいじゃないか。正一が別れた人や祝福した人たちがいた地下鉄に思うところがあるのが分かってくる。ラストに自分の出自が明らかになっていく様と亡...
主人公の正一は瀕死でありながら、幽体離脱のように行動し自分の出自や人生を顧みます。死が近づいてる人の事は誰もわからないが、こういう事があってもいいじゃないか。正一が別れた人や祝福した人たちがいた地下鉄に思うところがあるのが分かってくる。ラストに自分の出自が明らかになっていく様と亡くした息子の登場に感動した。
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とても感動した。 捨て子という不遇な生い立ちの主人公が定年の送別会後の地下鉄で意識を失う。 死の狭間で走馬灯のように人生を振り返りながら、周りの温かい愛情を感じる。 ラストの地下鉄で、生きようと決意する場面は感動すると共に、心がとても熱くなった。 素晴らしい作品である。
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