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おもかげ の商品レビュー

3.8

150件のお客様レビュー

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2021/02/09

浅田さんが『地下鉄に乗って』をお書きになった頃は、地下鉄にメトロと振り仮名がなければ読めませんでした。まさか本当に地下鉄という呼び方がメトロに変わる時代が来るとは。 定年退職を祝われた会の帰りに地下鉄車内で倒れた男性。危篤状態の彼を見舞ったり付き添ったりする人々の頭の中、あるい...

浅田さんが『地下鉄に乗って』をお書きになった頃は、地下鉄にメトロと振り仮名がなければ読めませんでした。まさか本当に地下鉄という呼び方がメトロに変わる時代が来るとは。 定年退職を祝われた会の帰りに地下鉄車内で倒れた男性。危篤状態の彼を見舞ったり付き添ったりする人々の頭の中、あるいは当の本人の頭の中が描かれています。 主人公はその男性なのですけれども、私の心に痛烈に響いたのは意識のなくなった彼を見舞った友人の言葉。「旧友との一夜を作れないほど忙しかったはずはない」。 本当に忙しい人は忙しいとは言わないと私は思っています。本当に忙しい人って、言わなくても見ていればわかるものだから。忙しい忙しいと言って回る人ほど、電話1本、メール1通を面倒くさがり、そんなにヒマじゃないと言う。 その知人友人身内がこの世からいなくなってしまう前に、もう一度言葉を交わさなくても、会わなくても悔いはないか。そんなことを改めて考えた1冊でした。

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2021/02/06

主人公が瀕死状態のなか、夢でも現実でもない世界で出会った素敵な女性たち。少しファンタジー?って思いましたが何者か分かってから引き込まれて一気に読みました。主人公の友人や家族も優しくて温かくてとても良かったです。

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2021/02/17

定年まで勤めた主人公が、送別会の帰りに倒れ、意識不明のまま病院へ。 彼を見舞う家族や友人の視点で、あるいは彼自身の臨死体験のような話で、物語が進む。 過去に戻るかのような夢と現を漂うかの出来事は、ファンタジー小説を好む読者には興味があるかも。 姉妹編と言われる『地下鉄に乗って』の...

定年まで勤めた主人公が、送別会の帰りに倒れ、意識不明のまま病院へ。 彼を見舞う家族や友人の視点で、あるいは彼自身の臨死体験のような話で、物語が進む。 過去に戻るかのような夢と現を漂うかの出来事は、ファンタジー小説を好む読者には興味があるかも。 姉妹編と言われる『地下鉄に乗って』のほうが好みかな。

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2021/01/31

泣かせの浅田次郎、メトロに乗せての人情悲話。 長年通勤に使ったメトロで倒れ、病院のICUに横たわる男の意識は自在に時と場所を越え、記憶するはずのない母親との絆を手繰り、確かめる。 美しい峰子が、彼が出会った通りに穏やかに時を重ね、決して挫けずきっぱりと顔を前に向けて生きたこと...

泣かせの浅田次郎、メトロに乗せての人情悲話。 長年通勤に使ったメトロで倒れ、病院のICUに横たわる男の意識は自在に時と場所を越え、記憶するはずのない母親との絆を手繰り、確かめる。 美しい峰子が、彼が出会った通りに穏やかに時を重ね、決して挫けずきっぱりと顔を前に向けて生きたことを信じて祈ろう。。。 同じ様な境遇の社長との関係で話が進行するのかと思ったけど、社長の出番が最初だけだったのと、最後に登場する幼い息子がめっちゃ大人な態度だったのがちょっと想定外でした。。。ハッピーエンドなんだろうけど、「あら、帰っちゃうの?」と思ってしまった残酷な私。

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2021/01/30

久しぶりの浅田作品。 登場人物がみんな温かくてよかった。 瀕死の時くらいしか、自分の人生を振り返り、 意味を考えることって無いのかも。 『苦労した分の釣銭』が残っていますように。

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2022/06/04

「忘れたふり」をしてなかったことにしなければやっていけなかった…この本の登場人物のように、永遠に癒えぬ心の傷を抱えたまま生きている人は実は沢山いるのではないかと思います。瀕死体験の中で過去のトラウマ1つ1つと向き合い、忘れざる人々のおもかげが胸いっぱいになった時、生きる力が沸いて...

「忘れたふり」をしてなかったことにしなければやっていけなかった…この本の登場人物のように、永遠に癒えぬ心の傷を抱えたまま生きている人は実は沢山いるのではないかと思います。瀕死体験の中で過去のトラウマ1つ1つと向き合い、忘れざる人々のおもかげが胸いっぱいになった時、生きる力が沸いてくる。「よし。生きるぞ。」と勇気をふるって歩き出すラストに力をもらいました。

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2021/01/25

結末に向かう最終章の展開が、さすがにストーリーテラーの著書の本領発揮ともいうべきか、巧みな仕掛けに泣かされた。 『地下鉄に乗って』と対を成す、地下鉄が重要なテーマになっているが、ループを走り続ける地下鉄を、人生の終焉に観るという走馬灯の幻影と重ね合わせてしまった。 ぜひ映像化を...

結末に向かう最終章の展開が、さすがにストーリーテラーの著書の本領発揮ともいうべきか、巧みな仕掛けに泣かされた。 『地下鉄に乗って』と対を成す、地下鉄が重要なテーマになっているが、ループを走り続ける地下鉄を、人生の終焉に観るという走馬灯の幻影と重ね合わせてしまった。 ぜひ映像化を望みたい。

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2021/01/24

「自分が最も幸せだった頃」っていつだろう。 まだまだ先にあるかもしれないと思いたいが、竹脇さんのようにある日突然、死に直面することがあるのだから、自分も今日そうなるかもしれない。 それだったら「自分が最も幸せだった頃」って今でもあるはずだ。でも「最も幸せだった」ということは、今...

「自分が最も幸せだった頃」っていつだろう。 まだまだ先にあるかもしれないと思いたいが、竹脇さんのようにある日突然、死に直面することがあるのだから、自分も今日そうなるかもしれない。 それだったら「自分が最も幸せだった頃」って今でもあるはずだ。でも「最も幸せだった」ということは、今はそのときよりも不幸せということになる。じゃあ「自分が最も幸せだった頃」が思い付かないということは、今が最も幸せだということかもしれない。 この本を読んでてこんなことを考えた。

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2021/01/23

生死をさまよう主人公と、主人公の周りの人物の視点で書かれた小説。 主人公以外の視点は現実的な話なのだけど、主人公視点の話は、生霊(?)になって街を彷徨うファンタジー。そういう話だと知らなくて読んだからちょっとビックリした。 いい話だったとは思うけど、想像力のない自分には小説のファ...

生死をさまよう主人公と、主人公の周りの人物の視点で書かれた小説。 主人公以外の視点は現実的な話なのだけど、主人公視点の話は、生霊(?)になって街を彷徨うファンタジー。そういう話だと知らなくて読んだからちょっとビックリした。 いい話だったとは思うけど、想像力のない自分には小説のファンタジーというのはどうにもイメージがつきづらい部分が多かった。いきなり場所や時代が変わることもあるし。 一番よく分からなかったのは、初恋の女性の話。体が若返って再会するという話があったけど、この流れ必要かと思った。昔の思い出として語るだけならともかく。 基本的に、各人物の視点の話は、三人称一視点で書かれてあったのだけど、なぜか娘婿の視点の話は一人称で書かれてあったように思う。なので、娘婿の視点の話だけ他と雰囲気が違うように思ったのだけど、何か意図したことなのだろうか。

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2021/01/20

孤独の中で育ち、温かな家庭を築き、定年の日の帰りに地下鉄で倒れた男。孤独な幼少期、幼くして亡くした息子、そして・・・。涙なくしては読めない至高の最終章。浅田ワールド、ここに再び!

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