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非色 の商品レビュー

4.5

118件のお客様レビュー

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2022/11/22

思索の途中 日本(家柄と家柄) 日本(男と女) 敗戦国と戦勝国 アメリカ人と日本人 アメリカ人と黒人 黒人とニグロ ニグロと日本人 ニグロとイタリア系 日本人とイタリア系 イタリア系とプエルトリコ 色ではないのだ *山田家と佐藤家の男女が結婚すると、どちらの家もが、あっちの家よ...

思索の途中 日本(家柄と家柄) 日本(男と女) 敗戦国と戦勝国 アメリカ人と日本人 アメリカ人と黒人 黒人とニグロ ニグロと日本人 ニグロとイタリア系 日本人とイタリア系 イタリア系とプエルトリコ 色ではないのだ *山田家と佐藤家の男女が結婚すると、どちらの家もが、あっちの家よりもうちの家の方が格が上なんだから、、、、と。 よくある家と家の確執。 基本的には上記のグループ間の確執は本質的にこれと同じではないのか? 山田家のダレダレは頭が悪くグウタラだからロクに大学も行けずまともに働いてもいない。だから山田家は出自が悪い、もしかしたら部落なのかも、縁組する前によく調べればよかった。まったくどうしようもないな山田家は。だから山田家の人達のことを好きになれないんだ、嫌いなんだ。 みたいなのがもっと規模が大きくなったものが民族や人種や国家間の差別ではないのか。 そうすると当然戦勝側支配者側に立つグループの方が正義となり、敗者側被支配階級を蔑む論理がまかり正義として通るようになるだろう。 そして被支配階級が支配者に政治的にとって変わろうとすると階級闘争になる。 階級闘争 *そんなふうに考えてくると階級闘争の大前提は差別ではないか。 私はニグロなのだ *私はニグロなのだ。ニグロとはアメリカのニグロ。アフリカ本国のニグロから蔑まれているニグロ。本来同じニグロのはずなのに。 その蔑まれているアメリカのニグロなのだ、と自覚した途端、笑子の人生がぱっと明るく拓けてゆく描写が、それまでの先が見えそうにない薄暗い印象と対照的に描かれている。 これは集団間の差別ではなく「違い」を認めたところから、やっと地に足をつけて生きていけるという意味なのではないか。 差別と立場の違い、属する集団の違い、が峻別できたからこそ「差別」されているという卑屈な意識から開放されたのではないか。 どの集団に属しているか 自国民と外国人 *国家権力や行政が国民に差別的な取り扱いをすることは憲法で禁止されている。基本的人権は保証されている。しかし自国民と外国人を比べたとき、様々な制約から自国民を外国人に優先させることは憲法上禁止されない。 もちろん個人の信条、山田家のあの人はキライだ、そんなのは自由だ。 違いから差別へ拡大し、非論理的非科学的レッテル、あいつは皮膚が黒いから愚鈍だ、あいつは山田家の血だから犯罪を犯しやすい性質だ、などと愚かな迷信を信じるようになってしまうのが困るのだ。

Posted byブクログ

2022/09/24

ざっくり人種差別の話、となんとなく知っていたので難しい話かもしれないと思っていたけど、すごく読みやすくて面白かった。 人種は見た目で判断しやすかっただけで、そもそも人は何事においても他人を差別して自分の優位性を確認しないのでは生きていけないのかもしれない。

Posted byブクログ

2022/09/17

有吉佐和子さんの作品は初めて。戦後、働き口を求め、米兵が通うキャバレーでクロークを手伝う笑子。黒人兵と結婚し、妊娠、出産。夫は除隊してNYに帰るのだが笑子は子供とともに日本に残る。その後、渡米、夫と共に暮らしながら、NYでの人種差別のなかで暮らしていく。恵美子が見た差別は、同じ白...

有吉佐和子さんの作品は初めて。戦後、働き口を求め、米兵が通うキャバレーでクロークを手伝う笑子。黒人兵と結婚し、妊娠、出産。夫は除隊してNYに帰るのだが笑子は子供とともに日本に残る。その後、渡米、夫と共に暮らしながら、NYでの人種差別のなかで暮らしていく。恵美子が見た差別は、同じ白人でも米英系は優性でイタリア人は劣性、さらにアフリカン・アメリカンは奴隷の子孫なので劣性。ただし、アフリカから留学してきた黒人は奴隷出身ではないので劣性ではない。黒人のさらに下に見られているのが南米・エスニックの人々。ネズミ以下という表現も。この小説は作者のNY留学中の体験をもとに書かれたもので、作者は、差別は肌の色ではなく、優越感を感じたいグループの意識が作り出すものだと喝破している。そして、この本が描かれてから60年以上が経過しているが、まだまだ差別は無くならないということに気付かされる。

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2022/09/07

これも人種差別の現代にも通じる考えさせられる小説なので、目を見開かされる思いをした。差別は色にあらずという内容。有吉佐和子氏の50年前の作品なのに、ちっとも変っていない差別ある現代が虚しいと同時に、それこそが人間的の、いや、哀しいが動物的な矯められない習い性かもしれないと。

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2022/09/04

アメリカに一年ほど留学した作家が、差別の構造について深く考え書き上げた小説なのだろう。黒人と白人。プエルトリコ人。イタリア系。ユダヤ系。アフリカ人。アジア人についての記述は少ないが、戦争花嫁として生きるということ。考えさせられることが本当に多く、物語としても面白く読めた。

Posted byブクログ

2022/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これは、1967年に刊行されてから新たに再文庫化となった…とあるが、今読んでも充分に沁み込んでくる内容であった。 1945年の敗戦後、住まいや家族を奪われ、絶望的な食糧難のなかで、それでも生きていくためにどんなところであれ、働いて生き抜いていた。 林笑子は、米軍相手のキャバレーで働きそこで知り合ったトーマスと結婚。 いわゆる戦争花嫁と言われる1人である。 夫の帰国で、一時は離婚を決意するものの一人娘の肌の色で母や妹だけに及ばず日本社会が排斥するのを感じて、夫の国へ行く。 後半は、ニューヨークでの過酷な現実。 住まいとなったのは、ハーレムの半地下安アパート。 夫の給料は、安くて日々の生活もカツカツながら妊娠、そして自分も働くがまた妊娠。妊娠。 次々に生まれる子どもは、大きな負担となるが日本と違ってアメリカは長い間、妊娠中絶は非合法。 このような中でも笑子は日本に帰ることなく、逞しく子を生んでは仕事をして生きている。 この中では、黒人のことを二グロと呼び差別しているように思えるが、実際子どもの頃に聞いたことのあることばであり、性を売ってたことをパンパンと呼んでいたことも思い出した。 当時のことをそのままに書いてあるが、黒人差別がどんなものであるかも〈仕方がないのよ。色つきは教養がなくて、凶暴で、不正直でも、不潔で、手のつけられない人たちなんだから〉 この言葉でよくわかるが、人種差別という重いテーマであるにも関わらずに親しみすら感じて、面白味すら感じ、愛着すらわいてくるのは凄い小説である。 決して古く思わないのである。

Posted byブクログ

2022/09/12

昭和42年の本で生活、性、人種差別のことが赤裸々に描かれている。人間の感覚って今と変わらないんだなぁ。というのが感想。避妊できないのは辛い。

Posted byブクログ

2022/08/07

読後、重たいと感じること、それが、今の自分なのか。差別や偏見は、何から生まれるのだろう。その人を思うことは、知ることであり、そもそも同じ人だという根底がある。

Posted byブクログ

2022/08/02

人間の欲や本能について、よく書き表されていて、いろいろと考えさせられる良い作品でした。この本が半世紀前に書かれている所に驚きです。

Posted byブクログ

2022/07/02

家族から勧められ読み始めたが、面白くて一気に読んだ。差別というのは麻薬のように人を気持ちよくさせるのだろうか。あの人よりはマシ、私はまだ恵まれている、そう思うことが心の安定につながるのはいつの時代も変わらないのだなと思った。

Posted byブクログ