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非色 の商品レビュー

4.5

118件のお客様レビュー

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2022/06/23

人間というのは、自分と他者を比べて優位に立つことが本能に組み込まれているのだろうか。 他者と比べて自分はあの人よりマシだと思うことで、もう差別は始まっているのかもしれない。

Posted byブクログ

2022/06/20

リッキーマーティンが流行ったときに、アメリカ人の英語の先生が、あの人はプエルトリコ人なのよ。と言った。なぜプエルトリコを強調したのか全く理解できず、ふーん、プエルトリコってキューバの辺り?で済ませてしまったが、この本を読んでようやく意味が理解できた。 歴史の教科書ではカバーできな...

リッキーマーティンが流行ったときに、アメリカ人の英語の先生が、あの人はプエルトリコ人なのよ。と言った。なぜプエルトリコを強調したのか全く理解できず、ふーん、プエルトリコってキューバの辺り?で済ませてしまったが、この本を読んでようやく意味が理解できた。 歴史の教科書ではカバーできない、生活目線での戦後のアメリカの様子が感じられる。

Posted byブクログ

2022/06/15

タブーにされてきたであろう人種差別のことを、ひとりの戦争花嫁の視点から赤裸々に綴った小説。 差別用語や具体的な呼称など、かなりリアルに書いてあるので、読んでいてかなり読み応えはあった。 長編だけれど、夢中になって読んでしまった。 有吉佐和子は、初めて読んだ。難しいのかなと思ったけ...

タブーにされてきたであろう人種差別のことを、ひとりの戦争花嫁の視点から赤裸々に綴った小説。 差別用語や具体的な呼称など、かなりリアルに書いてあるので、読んでいてかなり読み応えはあった。 長編だけれど、夢中になって読んでしまった。 有吉佐和子は、初めて読んだ。難しいのかなと思ったけど、そんなことはなかった。時代は古くとも現代における問題とさほど変わらないと思った。むしろよくついていると思う。 おもしろかった!

Posted byブクログ

2022/05/26

60年近くも以前に書かれた小説の新しさに瞠目した。 これは「人種の小説」と呼ぶべき作品である。       終戦直後に多く発生した「war bride/戦争花嫁」とは、日本に駐在していた米兵と結婚した、日本人の花嫁達の総称だ。 搾取される一方の女性達が圧倒的に多かった当時、米兵と...

60年近くも以前に書かれた小説の新しさに瞠目した。 これは「人種の小説」と呼ぶべき作品である。       終戦直後に多く発生した「war bride/戦争花嫁」とは、日本に駐在していた米兵と結婚した、日本人の花嫁達の総称だ。 搾取される一方の女性達が圧倒的に多かった当時、米兵と関係のあった者は皆、結婚さえ出来れば御の字と捉えられていた。 (アメリカへ帰国する際に捨てられる者が大半だったと言う事。) それは、どんな未来が待っていようとも。 豊かな暮らしを夢見て渡米した彼女達が直面した現実は、余りに残酷である。 言うまでもなく、全ては人種差別に起因していた。 夫が有色人種やアメリカ人以外の白人であった場合、彼女達が夫の庇護下で暮らす事は途端に困難になってしまうのだ。 日本で勇敢な軍服を着ていた彼等の記憶を胸に抱いて単身、夫を追う彼女達は、現地に着いた途端に絶望的な光景と対峙しなければならない。 夫は社会から虐げられ、あの頃の利発さをも忘れてしまいそうな程、卑屈になっている。 仕事に就く事も困難を極め、高収入は望むべくもない。 只、いつまでも立ち止まっては居られない。 彼女達の隣には大抵、混ざり合った肌の色を持つ小さな子供が居るのだ。 主人公は比較的物事を客観的に捉える事の出来るドライで活発な女性だが、目も当てられない境遇の者達が多数登場する。 彼等は当時の人種感覚を容赦無く浮き彫りにしてくれるので、終始、私は無知を曝される思いがした。 白人の中でもイタリア人は後ろ指を指され、黒人はプエルトリコ人を見下す。 差別に疲弊した人々は、更なる差別を生んでいく。 自身より「下」の人種を嗤う事が原始の、欲求の一種であるかの様に。 プエルトリコ人が差別をされる歴史的背景は、調べてみたとてなかなか、これと言った情報は出てこない。 きっと同著者による『ぷえるとりこ日記』に詳しいのだろう。 絶版に近い作品の様だが、いつか必ず。 アメリカ留学経験を持つ著者ならでは、現地の空気を伝える小説だった。

Posted byブクログ

2022/05/22

戦後、日本に駐留していた米黒人と結婚した女性、笑子の半生が描かれている。 アメリカの黒人をニグロと呼んでいた時代、日本でも差別があったのだ。家族から結婚を反対され、結婚後は子供を産むことを反対される。生まれた子供が縮れ毛で肌の色が濃いと、周囲の人からも非難のまなざし。当時は本当に...

戦後、日本に駐留していた米黒人と結婚した女性、笑子の半生が描かれている。 アメリカの黒人をニグロと呼んでいた時代、日本でも差別があったのだ。家族から結婚を反対され、結婚後は子供を産むことを反対される。生まれた子供が縮れ毛で肌の色が濃いと、周囲の人からも非難のまなざし。当時は本当にそうだったんだろうか? アメリカニューヨークに渡っても、黒人は貧民街ハーレムに住み、暮らしは貧しい。職に就けても給料は安い。 そんな中で笑子は黒人である夫と子供たちや、仕事で出会った人たちを通して差別の意味を考える。そして、問題なのは肌の色ではない、中身だ、という考えに行き着く。 人種だけでなく、男女、職業、偏差値による差別など、世の中には多くの差別がある。差別をなくすことはできないだろう。でも差別があるということに気づかないふりをしないようにしなければいけないな、と強く思う。

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2022/05/07

半世紀以上前の作品だけど、現代も状況はそう大きく変わっていないのでは?と思わされた。主人公の逞しさが救い。

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2022/05/06

1964年に刊行され、再文庫化された本書。 舞台は終戦後。女学校を卒業したものの、働くところがなく、キャバレーのクロークになった。そこで黒人の軍人と恋に落ちて… 人種差別は当時より少なくなったものの、誰もにある差別意識を再認識させ、黄色人種としての日本人の立ち場など考えさせてく...

1964年に刊行され、再文庫化された本書。 舞台は終戦後。女学校を卒業したものの、働くところがなく、キャバレーのクロークになった。そこで黒人の軍人と恋に落ちて… 人種差別は当時より少なくなったものの、誰もにある差別意識を再認識させ、黄色人種としての日本人の立ち場など考えさせてくれる。 女のプライドや、生き方、子どもに対する考え方など、「私もこう言ってしまう、こう思ってしまう」と物語に引き込まれながら5時間33分で読了。

Posted byブクログ

2022/04/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦後の「戦争花嫁」を通して差別の構造を描く。差別を起こしているのは肌の色ではなく、人間が優越感を感じたいがためなのかもしれないと感じた。だからこそ差別の解決は一筋縄には行かないのだろう。半世紀以上前の小説なのに、現代にも重大な問題提起をしている。

Posted byブクログ

2022/04/10

この本の主人公である、林笑子の物語は、敗戦直後の日本から始まる。 笑子は、アメリカ進駐軍のトムと結婚することになり、戦後日本の貧しい雰囲気と異なる、裕福な暮らしをしていた。 アメリカに単身で戻ったトムに招かれ、嫁ぎに行くと、そこは厳しい階級社会が広がる世界だった。 黒人の...

この本の主人公である、林笑子の物語は、敗戦直後の日本から始まる。 笑子は、アメリカ進駐軍のトムと結婚することになり、戦後日本の貧しい雰囲気と異なる、裕福な暮らしをしていた。 アメリカに単身で戻ったトムに招かれ、嫁ぎに行くと、そこは厳しい階級社会が広がる世界だった。 黒人のトムは「ニグロ」と呼ばれ差別されており、さらにその下には「プエルトリコ人」差別が蔓延っていた。 日本での暮らしとまるで異なる、貧しい暮らしをせざるを得なくなった笑子。少しずつ貯金をしてやがて日本に帰ろうと決意するも、次々と子供が産まれ、その決意は次第に薄れていく。 夫の収入では生活できないので、レストラン「ナイトォ」で働きだすと、生活が安定し貯金できるほどの収入が得られるようになる。 さまざまな人と交流する中で、なぜ黒人が差別されているのか、自分はどうあるべきかを考え続ける笑子。 戦争花嫁(ワーブライド)と呼ばれ自らも差別される彼女の最後の決断には、女性ではなく、人間としての力強さを感じた。 「非色」というタイトルは一体なんだろう、という疑問から手に取ったこの本は、人類が抱える終わることのない「差別」の問題について、深く深く考えさせられました。 読んでいて目を背けたくなるほど、悲惨な現実を見せつけてくるにも関わらず、気がつけばページをめくっていました。 「差別」とは終わることがないのでしょうか。肌の色や学歴や、何か自分と違ったもの、特殊であることを卑下したり、逆に特別扱いする。 確かに人間は、一人では生きて行くことはできませんが、「わたし」という個人を表現するためには、他人と比べることが必要なのだろうか、とすら考えてしまいます。 「多様性」が声高に叫ばれる現在ですらも、国によっては残り続ける差別。 この本で書かれているような差別は、現代ではすっかりなくなっているのでしょうか。 この本を読んで、「そうした歴史があった」と感じられないのは、形を変えていまだに残っているからであると考えます。

Posted byブクログ

2022/04/06

「人種のるつぼ」とも言われるニューヨークの人種差別構造が、これでもかと言うほど詳らかに、胸に迫る迫力をもって描かれる。1964年に発表された作品であるにも関わらず、現在においても決して無視できない問題を提起する作者の慧眼に脱帽

Posted byブクログ