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非色 河出文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
| 発売年月日 | 2020/11/05 |
| JAN | 9784309417813 |
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商品レビュー
4.5
118件のお客様レビュー
終戦直後、黒人のアメリカ兵と結婚し、ニューヨーク、マンハッタンのハアレムで逞しく暮らす日本人女性、笑子の物語。 初版は1964年。少し古いので身構えたが、めちゃくちゃ面白い!美しく流れるように綴られる文章に引き込まれて一気読み。ところどころ、さくらももこのエッセイを読んでいるよ...
終戦直後、黒人のアメリカ兵と結婚し、ニューヨーク、マンハッタンのハアレムで逞しく暮らす日本人女性、笑子の物語。 初版は1964年。少し古いので身構えたが、めちゃくちゃ面白い!美しく流れるように綴られる文章に引き込まれて一気読み。ところどころ、さくらももこのエッセイを読んでいるような、クスリと笑える皮肉もきいている。 人は自分より下を見つけて優位に立ちたがるものなのだと、その無意識の傲慢さを見事に描いた作品だと思う。 笑子の夫のトムがそれをわかりやすく具現化している。 日本に兵士としている時は堂々としていて気前のいい男だったのに、ハアレムでは「愚鈍」で「無気力」な甲斐性なし亭主であった。そしてプエルトリコ人をバカにする時だけは生き生きとしている・・・ 正義感や反骨精神の塊のような笑子の方はもう少しわかりにくい。 「そうやないか。プエルトリコをかばうのはええ気持やろ?黒より下の亭主持ってる女やと思えば、単純な私なら嗤いものにするけど、あんたはもう一つ手ェこんでいるだけや。(後略)(p.223)」 友人に、正義感からの傲慢さを指摘され、血の気が引く笑子。 笑子はやがて「差別とは何なのか」を考えるようになる。果たして色の問題だけなのだろうか。 ワシントンの桜と自分を重ね、自分が何者なのかを悟る笑子が眩しかった。
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ウワァ 気高い心をもっているから(と信じているから)、なんだよその幼い差別感情はって思えるけれど。。。自分にもその萌芽はあるのかもしれないね 異質なものへの恐怖、目を背けること、或いはまじまじと見つめること、誰かより優れているのを確認して安心すること、同じ気持ちの仲間を求めるこ...
ウワァ 気高い心をもっているから(と信じているから)、なんだよその幼い差別感情はって思えるけれど。。。自分にもその萌芽はあるのかもしれないね 異質なものへの恐怖、目を背けること、或いはまじまじと見つめること、誰かより優れているのを確認して安心すること、同じ気持ちの仲間を求めること、、、 いや、そんなところはもう卒業して、人類みな隣人だとそう思えるフェーズに至ったと信じたいし、形だけでも信じているけれど 本当にこわいのは、自分が差別的扱いをうけたときなのかも 自分が使われる側になった時、不当な扱いを受けた時、名誉を傷つけられた時、 これらの気持ちを気高く消化できるか、向けるべき相手や社会とたたかえるか それとも、もう自分ではどうしようもなくなってしまって、最低限自分の気持ちだけでも保ちたいと考えた時、 果たして自分は、自分ではない誰かを差別せずに(やつあたりせずに)(自分が受けた仕打ちを再生産せずに)いられるだろうか 英雄的で、でも卑近でいじわるで等身大の主人公よい ウェストサイドストーリーとかまたみたく
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- ネタバレ
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島国、日本。 それを思い知らされる一冊だった。 偏見をできる限り手放して皆を平等に映す目を持ちたいという思いは常々持ってきたけれど、この本と、初めての長期海外生活で差別とは、を人生で1番考えているかもしれない。 それは、自分が差別を受けているとかでは全くなくて(移民国家オーストラリアにおいて、過去の旅行からの予想通り住み始めてもやはり明らかな差別は今のところ受けていない)、自分の中にある差別意識に向き合うこと。 世界のニュース、時事に日本人が疎い傾向にあるのはやはり物理的に世界と切り離されている島国だからというのは大きな原因だと思う。 日常に支障のある他国との衝突も実質的な影響が少なくて、なかなか考える機会も知る必要もなく生きている"超平和"な国。 メルボルンに住んでいると、口々に日本は"super safe"だと言われ、日本は別世界のように言われるけれどそれは単純に喜べるものでもないと感じ始めている。 イタリア、プエルトリコ、インド、ニグロ 自分の中の無意識差別 知らないということ 見分けがつかない理由 見た目の事実ではなく歴史の事実に基づく差別、目に見えない原因による差別が1番根深い。 人間が人間であるが故の差別。 ボルネオで感じたこと。 知らないという幸せ、知らないからこそ生まれない差別意識の重要性はあるのではないか。 正直、こっちにきてオーストラリアでコロンビアは差別されていて、その理由は移民としての数が多いことと現地人が仕事を奪われるからだという意見を耳にしてビックリした。その理由もばかばかしいと私は思うが、それ以降コロンビアの人を差別されている人なのだという意識を持っているのは事実。 でも、知らない上で平等だと正義感振りかざして近づくことが傷付けるのも現実。 色や歴史が差別を産むのではない。 教養こそが差別と戦う剣となり盾となる。 少しでも多くの教養を身に付けること。 教養のある人間は皮がどんなものであってもその目といい纏うオーラといい、真に見下されることはない。例え見下されたとしても、見下す人間自身の教養のなさゆえ。 それが今私の考える差別との闘い方。 日本の中でさえ、同程度の教育を受けてきたかどうかが関係性に多大な影響力を持つ。 生まれながらに施された教育の差があり、そこに派生して成人後に教養の差のある人間同士の場合何がその関係を救うのか? 本や映画といった文化教養材こそが救いとなる。 だからこそ、近しい人の中である部分の欠落を認めた場合にそれを補う力のある本を勧めてしまうのかもしれない。 かなり偉そうな物言いになっているけれど、私も知識不足の分野が多々あってそれらを読むには根気がいり、中々手を出せていない。 変わることには根気がいる、、 皮膚の色などといった外見的差別の次に生まれてくるのが階級差別であると著者は伝えてくる。この人とは違うから分かり合えない、断絶する、ではなく同じものを探して共有することが心の豊かさに繋がる。 世界は少しずつ変わっているし、5年の歳月があれば大きく変わる。 これまでもこれからも、人々は差別の問題に個々で向き合いながら時に悩み時に闘って生きている。そんな個々の存在の素晴らしさを体感できた一冊。 また、異国に住んで初めて間違った日本文化を好む人々に本物の日本文化を訴えるようになった。私は日本文化の持つ静寂な儚さが一番の魅力だと思う。 何であれ、一度染まってみることの大切さ。 芯だけを持って付属品は手放して、真っ白な状態になって染まっては手放して、染まった中から芯としたいものだけを手元に残す。 その作業の繰り返しで人は出来上がるし、その芯が太くなるほどに手元に残せるものは少なくなっていく。 笑子は最後には大事なもののためにそこに染まりきり家族全員が仲間、ニグロとなることを選んだ。 何より驚いたのはこの作品が1964年に書き下ろされていたこと。この事実の凄みについてはあとがきで綴られていることがすべてだった。
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