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非色 河出文庫

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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2020/11/05 |
JAN | 9784309417813 |
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非色
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商品レビュー
4.5
97件のお客様レビュー
この時代にすごすぎる。 移動中に、感情が追いつかなくて一目もはばからず泣いてしまった。素晴らしかった。 1964年初版、現在は不適切といわれる差別的表現が多いが、出版社や遺族による尽力により、当時のままでの再出版という注がある。 戦争で黒人米兵と結婚し、肌の黒い幼い娘の手を...
この時代にすごすぎる。 移動中に、感情が追いつかなくて一目もはばからず泣いてしまった。素晴らしかった。 1964年初版、現在は不適切といわれる差別的表現が多いが、出版社や遺族による尽力により、当時のままでの再出版という注がある。 戦争で黒人米兵と結婚し、肌の黒い幼い娘の手を引き日本を出た女性の一代記。しかし、米国において働き始めて階層を行き来することで世の中の差別は単に日本で受けた黒人への糾弾のみならず、さまざまな人種同士がお互いについての考えがあることを知り、そんな世の中でもどんどん混血児は生まれてくる。 黒人も白人も黄色人種も、肌の色に関係なくそのなかでさまざまな階層意識がある。だから「非色」。今日もアンダーグラウンド、もしくは公で交わされている、誰しもにつきまとう差別意識や思想について、上流階級の使用人をつとめる主人公のまなざしはとても正直である。そして、仕事を終えると、彼女とは違う肌や髪を持つ、家族が住むハーレムの貧民街に帰るのだ。 主人公より四半世紀ほど後であり、黄色人種同士であるので単純化はできないが、わたしの親は片方が日本人であり、結婚後米国NYCに住みわたしが生まれ、夢やぶれ日本に家族で越して来たと聞いたことがある。わたしは、日本人の方の親とは言葉が分かっても気持ちが通じないなと何度か思ったことがある。そして、言葉が通じない従兄弟がひしめき合い、賑やかだが寄る辺なく過ごしていた片方の実家の雰囲気をふと思い出した。 いまに至るまで、どちらのアイデンティティに対してもそれらを代表する気にはなれないから、ずっとふわふわとした気持ちでいる。日本で過ごす場合、特にそれで困ったこともないし、そうした「スタンス」が邪魔になることすらあるように思う。 しかし、半世紀以上前のNYにおける肌の色・国籍・訛りがある人種の坩堝において、自分の思想が輪郭を帯びてくる様子がまざまざと描かれる。それが、例えば自分が産み落とし成長した子女とすら違った場合、何を思うだろうか。 生い立ちにまつわるアイデンティティについて、誇りに思うことは大事だと思う。しかし、自分が選ぶ、選ばないにかかわらず、主人公、そして自分の両親、国を越えてパートナーになった人たちを見ていると、その後の人生で「そうなるしかなかった」としか言いようがないことが多い。そして、そんな出自を生まれながらにして生抱えていても、いやどんな出自を持ってしても、決して何かを成し遂げる必要はないのだと思う。そしてそれは決して厭世的な意図ではない。
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100分de名著で有吉佐和子が取り上げられていたので借りて見た。ら、予想以上に面白かった。もっと古めかしく堅苦しい話かと思いきや、主人公がバイタリティ溢れる強い人なこともあってグイグイ展開し、そして考えさせられるラスト。今の時代にも全くそのまま通用する人権意識とメッセージ、すごい...
100分de名著で有吉佐和子が取り上げられていたので借りて見た。ら、予想以上に面白かった。もっと古めかしく堅苦しい話かと思いきや、主人公がバイタリティ溢れる強い人なこともあってグイグイ展開し、そして考えさせられるラスト。今の時代にも全くそのまま通用する人権意識とメッセージ、すごい本だった。そしてこの本が書かれてから何十年も経ったのに、差別、分断、貧困、ほとんど何も解決できない愚かな人類よ。みな笑子のように強くあれ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人間は誰でも自分よりなんらかの形で以下のものを設定し、それによって自分をより優れていると思いたいのではないか。それでなければ落着かない。それでなければ生きて行けないのではないか。 本書の中の一節。私もきっと無意識のうちに何かを差別し、何かから差別されている、ということを忘れずに生きていこうと思った
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