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とわの庭 の商品レビュー

3.7

263件のお客様レビュー

  1. 5つ

    44

  2. 4つ

    104

  3. 3つ

    88

  4. 2つ

    11

  5. 1つ

    2

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2023/06/15

小川糸の小説でなければ途中で断念してしまいそうに苦しい前半。 客観的に不幸の塊のような人生を歩んできた主人公、人生に少しずつ、宝石のような時間が増えていく、世界が美しいと感じることができる、世界にはまだまだ美しいものがたくさん息を潜めているから私はそれを慈しみたい、そのために生ま...

小川糸の小説でなければ途中で断念してしまいそうに苦しい前半。 客観的に不幸の塊のような人生を歩んできた主人公、人生に少しずつ、宝石のような時間が増えていく、世界が美しいと感じることができる、世界にはまだまだ美しいものがたくさん息を潜めているから私はそれを慈しみたい、そのために生まれたのだと前を向く。本当は一瞬一瞬が奇跡の連続なのだと。一筋縄ではいかない母への感情の着地点。さすがの一冊でした。

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2023/06/09
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目の見えない女の子、とわ。 母と二人、愛に満ちて暮らしているように思えた。どこか不穏な空気を感じながら読み進めると どんどん状況が悪くなっていく。 ネグレクト、いや、もはや殺人未遂レベルで。 でもとわは強かった。 一人で耐え、救いを求め、救われ、自立していく。 表紙は黄色。誕生日のワンピースもきっと黄色。

Posted byブクログ

2023/05/29
  • ネタバレ

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素敵な装丁が気になり手に取ったのですが、あらすじなどの前情報なく読み始めて、気がつくと二日で読み終えていました。 目の見えない少女 とわ と母親の二人だけの暮らし。夢心地のような二人の生活が少しずつ、少しずつ軋んでいく様子を読み進めていくと、胸がぎゅっとなる気持ちでした。 唐突にひとりぼっちになるとわ。何故、どうしてと理由を知りたくなりますが、孤独と飢えとの戦いが描かれたシーンでさらに胸が掻きむしられ、私がこれまで読んできた小川糸さん新しい一面を見たような思いでした。 目で世界を見れない分、手で触れ、鼻で嗅ぎ、耳で聴く。世界の捉え方が繊細で、目が見える見えないに関わらず、その感覚を大切にしたいと思わせる作品。 人は幸せな時の思い出があれば、強く生きていけるのかもしれない。味覚や嗅覚から思い出される記憶や思い出の大切さも再確認しました。 【印象的な一節】 時間というのは、そこに何かしらの出来事があって初めて、それと対比する形で輪郭が浮かびあがってくる。 でもわたしには、時間を感じるための出来事が極端に乏しかった。

Posted byブクログ

2023/05/21

はじめの穏やかな空気が、だんだんあやしく危なっかしくなり、前半は辛かった。 外に出てから、とわが世界を広げていく様子に安堵する。優しい人に巡り会えて本当によかった。 とわを支えたのは母の記憶。母の匂い、本を読む声、ワンピース、ダンス、パンケーキ、写真館…。「母は間違いなく自分を...

はじめの穏やかな空気が、だんだんあやしく危なっかしくなり、前半は辛かった。 外に出てから、とわが世界を広げていく様子に安堵する。優しい人に巡り会えて本当によかった。 とわを支えたのは母の記憶。母の匂い、本を読む声、ワンピース、ダンス、パンケーキ、写真館…。「母は間違いなく自分を愛していた」と思えるこれらの記憶が、とわのその後の人生の礎となっていたように思う。 あり得ないような過酷な過去をもちながら、過去をフォーカスしそこに依るのではなく、美しい記憶と共に未来に希望を見出しているとわの姿に神々しさを感じた。また、世の中にある美しいものを描き出す小川糸さんの筆致に魅了された。

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2023/05/18
  • ネタバレ

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冒頭からどこか怪しい、不穏な感じがした。 お伽話の導入のようで、これから悪いことが起こる予感がする。 目が見えず家の中で母しか知らない子ども。 彼女に寄り添ってくれたのは物語。読み聞かせてくれた話の数々が彼女に残ってよかった。想像して考える力があり、彼女の思う世界は美しいという。そんな世界を慈しむような人であれたのならきっと幸せだ。 母を、人を、世界を、恨み、荒んでもおかしくないのに。事実をただ受け入れ、いつでも自分にできることをできるだけ頑張る。そんなことができる強い主人公。 どんな苦境にあっても死ぬことを選択しない。外の植物の香り、虫の音、ピアノの音。世界に感覚を研ぎ澄ませ、生きて、愛そうとする。 自分を不幸だと思わない。助けてくれなかった人を恨まない。騙したかもしれない男を悪く言わない。 優しく強く純粋だ。 盲導犬のジョイや友人ができて、誰かと関わることを恐れることなかく、輪が広がるのはうれしい。信頼関係を築ける人間になってよかった。 子どものころから成長していく主人公だと深く感情移入してしまって我が子を見る気持ちになる。

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2023/05/04

母と娘の生活をうっとり読んでいたら、どんどん怪しさが増してきて現実が明らかになるところ、衝撃的でした。 視力のない主人公だからグロテスクにならないのか作風がこうなのか。同じストーリーを他の人が書いたらどうなるんだろう。 客観的にみれば不幸でも当事者として幸せもあると言う、真実はい...

母と娘の生活をうっとり読んでいたら、どんどん怪しさが増してきて現実が明らかになるところ、衝撃的でした。 視力のない主人公だからグロテスクにならないのか作風がこうなのか。同じストーリーを他の人が書いたらどうなるんだろう。 客観的にみれば不幸でも当事者として幸せもあると言う、真実はいくつもあると、想いがぐるぐるする。

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2023/05/01

冒頭の幸せな様子がずっと続くのかと思ったらどんどん闇に引き込まれていく。どうなってしまうのかとページをめくる手が止まらなかった。 とわは目が見えないが成長と共に聴覚、嗅覚が研ぎ澄まされ、世界と繋がっていく様子がリアルだった。 とわの生きる喜びのひとつが読書。「読書に早い遅いは関係...

冒頭の幸せな様子がずっと続くのかと思ったらどんどん闇に引き込まれていく。どうなってしまうのかとページをめくる手が止まらなかった。 とわは目が見えないが成長と共に聴覚、嗅覚が研ぎ澄まされ、世界と繋がっていく様子がリアルだった。 とわの生きる喜びのひとつが読書。「読書に早い遅いは関係ない。それよりも、どれだけ言葉の向こう側に広がる物語の世界と親密に交われるかが、読書の醍醐味なのだ。」「私にとって読書とは、食べることにも似た、物語に宿る命そのものを自分に取り込む行為だった。」

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2023/04/25

井上菜奈さん挿画 小川糸『とわの庭』特設サイト| 新潮社 https://www.shinchosha.co.jp/towanoniwa/

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2023/04/12

一気読み 最初は丁寧な暮らしでキラキラしてたけど 途中ゴミ屋敷は目を背けたくなった。 きちんと人間になっていって安心した 小さい頃聞いてた歌とか匂いって記憶に残ってる

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2023/04/09

最初は親子の優しく幸せな物語かなと思ったら、おや?けっこう序盤の方から様子がおかしいとわかる。前半は本当に辛かった。こんなことが現在の日本にあるかと言われたら本当にあるんだと思う。あの時家から一歩踏み出した勇気、自分で這い上がって掴んだ幸せ、目で見えなくとも光を探し続けたとわに、...

最初は親子の優しく幸せな物語かなと思ったら、おや?けっこう序盤の方から様子がおかしいとわかる。前半は本当に辛かった。こんなことが現在の日本にあるかと言われたら本当にあるんだと思う。あの時家から一歩踏み出した勇気、自分で這い上がって掴んだ幸せ、目で見えなくとも光を探し続けたとわに、ずっとずっと光が照らし続けられますように。

Posted byブクログ