とわの庭 の商品レビュー
はじめの穏やかな空気が、だんだんあやしく危なっかしくなり、前半は辛かった。 外に出てから、とわが世界を広げていく様子に安堵する。優しい人に巡り会えて本当によかった。 とわを支えたのは母の記憶。母の匂い、本を読む声、ワンピース、ダンス、パンケーキ、写真館…。「母は間違いなく自分を...
はじめの穏やかな空気が、だんだんあやしく危なっかしくなり、前半は辛かった。 外に出てから、とわが世界を広げていく様子に安堵する。優しい人に巡り会えて本当によかった。 とわを支えたのは母の記憶。母の匂い、本を読む声、ワンピース、ダンス、パンケーキ、写真館…。「母は間違いなく自分を愛していた」と思えるこれらの記憶が、とわのその後の人生の礎となっていたように思う。 あり得ないような過酷な過去をもちながら、過去をフォーカスしそこに依るのではなく、美しい記憶と共に未来に希望を見出しているとわの姿に神々しさを感じた。また、世の中にある美しいものを描き出す小川糸さんの筆致に魅了された。
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冒頭からどこか怪しい、不穏な感じがした。 お伽話の導入のようで、これから悪いことが起こる予感がする。 目が見えず家の中で母しか知らない子ども。 彼女に寄り添ってくれたのは物語。読み聞かせてくれた話の数々が彼女に残ってよかった。想像して考える力があり、彼女の思う世界は美しいという。そんな世界を慈しむような人であれたのならきっと幸せだ。 母を、人を、世界を、恨み、荒んでもおかしくないのに。事実をただ受け入れ、いつでも自分にできることをできるだけ頑張る。そんなことができる強い主人公。 どんな苦境にあっても死ぬことを選択しない。外の植物の香り、虫の音、ピアノの音。世界に感覚を研ぎ澄ませ、生きて、愛そうとする。 自分を不幸だと思わない。助けてくれなかった人を恨まない。騙したかもしれない男を悪く言わない。 優しく強く純粋だ。 盲導犬のジョイや友人ができて、誰かと関わることを恐れることなかく、輪が広がるのはうれしい。信頼関係を築ける人間になってよかった。 子どものころから成長していく主人公だと深く感情移入してしまって我が子を見る気持ちになる。
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母と娘の生活をうっとり読んでいたら、どんどん怪しさが増してきて現実が明らかになるところ、衝撃的でした。 視力のない主人公だからグロテスクにならないのか作風がこうなのか。同じストーリーを他の人が書いたらどうなるんだろう。 客観的にみれば不幸でも当事者として幸せもあると言う、真実はい...
母と娘の生活をうっとり読んでいたら、どんどん怪しさが増してきて現実が明らかになるところ、衝撃的でした。 視力のない主人公だからグロテスクにならないのか作風がこうなのか。同じストーリーを他の人が書いたらどうなるんだろう。 客観的にみれば不幸でも当事者として幸せもあると言う、真実はいくつもあると、想いがぐるぐるする。
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冒頭の幸せな様子がずっと続くのかと思ったらどんどん闇に引き込まれていく。どうなってしまうのかとページをめくる手が止まらなかった。 とわは目が見えないが成長と共に聴覚、嗅覚が研ぎ澄まされ、世界と繋がっていく様子がリアルだった。 とわの生きる喜びのひとつが読書。「読書に早い遅いは関係...
冒頭の幸せな様子がずっと続くのかと思ったらどんどん闇に引き込まれていく。どうなってしまうのかとページをめくる手が止まらなかった。 とわは目が見えないが成長と共に聴覚、嗅覚が研ぎ澄まされ、世界と繋がっていく様子がリアルだった。 とわの生きる喜びのひとつが読書。「読書に早い遅いは関係ない。それよりも、どれだけ言葉の向こう側に広がる物語の世界と親密に交われるかが、読書の醍醐味なのだ。」「私にとって読書とは、食べることにも似た、物語に宿る命そのものを自分に取り込む行為だった。」
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井上菜奈さん挿画 小川糸『とわの庭』特設サイト| 新潮社 https://www.shinchosha.co.jp/towanoniwa/
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一気読み 最初は丁寧な暮らしでキラキラしてたけど 途中ゴミ屋敷は目を背けたくなった。 きちんと人間になっていって安心した 小さい頃聞いてた歌とか匂いって記憶に残ってる
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最初は親子の優しく幸せな物語かなと思ったら、おや?けっこう序盤の方から様子がおかしいとわかる。前半は本当に辛かった。こんなことが現在の日本にあるかと言われたら本当にあるんだと思う。あの時家から一歩踏み出した勇気、自分で這い上がって掴んだ幸せ、目で見えなくとも光を探し続けたとわに、...
最初は親子の優しく幸せな物語かなと思ったら、おや?けっこう序盤の方から様子がおかしいとわかる。前半は本当に辛かった。こんなことが現在の日本にあるかと言われたら本当にあるんだと思う。あの時家から一歩踏み出した勇気、自分で這い上がって掴んだ幸せ、目で見えなくとも光を探し続けたとわに、ずっとずっと光が照らし続けられますように。
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マイルドな『この闇と光』か・・・と我ながら全くみずみずしい感受性を失った心で読んでたんですが、描かれるものの路線が違って静謐な印象のある物語でした。優しいかと言えばそうでもないような、温かいかと言えばそうでもないような、みたいな不思議な読後感だった。
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自分の持っている感覚のすべてを使って生きるとわ 研ぎ澄まされていくんだろう それは目が見えないってことだからじゃなくて 感覚のすべてで生きることを 大切にしてるってことなのかな 歳を重ねても いつまでも少女のようなとわの姿が それに繋がってるよう
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【勝手にキャスティング】 とわ(大人):門脇麦 お母さん :二階堂ふみ すずちゃん :満島ひかり まりさん :阿川佐和子 田中くん :北村匠海 とても好き。 優しくて強いとわ。
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