とわの庭 の商品レビュー
前半は盲目の少女・とわとその母親の二人だけの世界での異常な愛と突然のネグレクトが描かれ、後半では一人になったとわが人々に受け入れられ受け入れて行く姿が描かれます どうも小川さんとは相性が悪いようです。 読了後、一寸気になって調べてみたら、やはり多くの人は絶賛の嵐なのです。しかし...
前半は盲目の少女・とわとその母親の二人だけの世界での異常な愛と突然のネグレクトが描かれ、後半では一人になったとわが人々に受け入れられ受け入れて行く姿が描かれます どうも小川さんとは相性が悪いようです。 読了後、一寸気になって調べてみたら、やはり多くの人は絶賛の嵐なのです。しかし私は何ほどの感想もわかず。絶賛している人のコメントを読んでもピンと来ないのです。 私には小川さんは観念的な作家さんというイメージがあります。何か「主張」したいもの有って、その為に物語を書いている。「主張」を表すためにはストーリーは多少つじつまが合わなくても通してしまう。勿論他の作家さんも多少はそうなのですが、それが極端な感じがします。いっそファンタジックなら良いのですが、リアルなふりをした絵空事・辻褄の合わない物語に見えてしまうのです。 例えば、この物語の主人公は目が見えません。聴覚障碍者を描いた丸山正樹さんの『デフボイス』を読めば、耳が聞こえないという事が身につまされるのですが、この主人公は晴眼者から見た視覚障害者という感覚がしか無いのです。 いや、こんな事を書いてもダメだな。とにかく感覚的に肌に合わない。だから多分、自分自身が最初から色眼鏡を掛けて読んでしまい物語に入って行けない。そんな感じです。 暫く小川糸さんから離れてみましょう。
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戸籍の無い女の子母親と二人で閉じこもりの生活、10歳を境に孤独になり飢えて、地震を境に外界に、全盲の主人公、盲導犬との180度違う生活、なんと心に響く物語だろう!
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本の表装がいけてないので見逃しそうになったが、作者が小川糸だと知り読む事が出来た。去年は凪良ゆうさえいなかったら本屋大賞は「ライオンのおやつ」に決定だったのについてなかった。そして今年の本作もきっと本屋大賞にノミネートされること間違いなしだ。弱い母親の私生児として生まれた「とわ(...
本の表装がいけてないので見逃しそうになったが、作者が小川糸だと知り読む事が出来た。去年は凪良ゆうさえいなかったら本屋大賞は「ライオンのおやつ」に決定だったのについてなかった。そして今年の本作もきっと本屋大賞にノミネートされること間違いなしだ。弱い母親の私生児として生まれた「とわ(のちに十和子)は視力を失い結果的に絶望的な児童虐待に遭い生命の危機にも苛まれたが、日本の福祉に救われるそしてその後周りの人々の援助もあり前向きに生きていく、その生き方が美しい。この著者は日本で一二を争うストーリーテイラーだと思う。男の作家共ももっと頑張れ、村上春樹もノーベル文学賞日本の女性作家に攫われるぞ。
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生まれつき盲目で、目に見えない世界を受け入れるしかない。 困難も多々あるが、そんな中に幸せを見つけていく。 子供の頃の困難さを描いた場面は物凄く迫力があった。 そしてやがて成長し、穏やかに人生を過ごせるようになり、周りの人や環境に幸せを思う。 最後は心温まりホッとする。
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とわの中の世界は色とりどりなのに、現実世界は澱みと汚物にまみれてて、前半でぐったりしてしまった… こんな環境で生き残れて、良い人達に巡り会える確率ってどのくらいなんやろう?っていうね…
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最初は童話のような感じで、ふわふわとした文体と合わさり閉ざされた場所で生きる少し世間離れしたお母さんと娘2人のお話… でもだんだんと読むのが辛くなるような展開になり、このままどうなっちゃうの?とハラハラ。 そして後半は希望に満ち溢れた内容となり、良かったね、頑張ったね、という気持ちになりました。 とわ自身も素敵だし、後半に出てくるスズちゃんやマリさんが素敵。
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雑巾に¥1,500は高くないか?ひねくれてて申し訳ないけど、どうも最後まで素直な心の目で読めなかった。結果オーライなので美しいラストを迎えているけど、母の「愛」より「罪」は重い。盲目の少女とわは母の愛情いっぱいに育っていたが、やがて母に捨てられる。家に取り残されたとわ。メルヘンチックで童話のような文体でネグレクトを書くアンバランス。この辺が何とも落ち着かない。恋人リヒト君もどうなのよ?ただ、いかなる時でもとわの心は掛け値なしに美しかった。
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小川糸さんの作品は、私にとっては、すごくハマる時と、物語の世界観に入り込めない時がある。 今回も、最初の方は、何だろうこれ、森の奥に住むお姫様のお話みたいな、、、と思ってしまったのだが、 10歳のお誕生日を迎え、写真を撮りに出かけるあたりから、少しずつ、空気が変わっていき。そこか...
小川糸さんの作品は、私にとっては、すごくハマる時と、物語の世界観に入り込めない時がある。 今回も、最初の方は、何だろうこれ、森の奥に住むお姫様のお話みたいな、、、と思ってしまったのだが、 10歳のお誕生日を迎え、写真を撮りに出かけるあたりから、少しずつ、空気が変わっていき。そこから、とわが外の世界と繋がり、話が展開していくまでのしばらくの間は、ちょっと辛くて読むのを辞めたくなった。 「生きているって、すごいことなんだねぇ」 これに尽きるのかな、と思う。とわは、本当によく生き延びてくれたな。そして、スズちゃんやマリさんのような人たち、とわと出会ってくれてありがとう。そして、何よりジョイが素晴らしいな。ジョイを抱きしめたい気持ちでいっぱい。
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ふわふわの童話のような導入から 実は過酷な状況が判明し 後半はまた生きる喜びにあふれる。 母親や犬との関係 美味しそうな料理もいつもどおり出てきて とりわけ牛丼は作ってみたい。 小川糸ワールド全開の新年はじめの1冊でした。
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【永遠の愛】 主人公・とわは、母と二人暮らし。 二階建てに屋根裏部屋、地下室、 そして庭がついた一軒家で、 幸せに暮らしていました。 とわは生まれつき目が見えません。 そのため母ととわは、 常にベッタリ一緒でした。 二人は決して離れることなく、 二人で一つでした。 とわの母の名前は「あい」。 二人の間には「永遠の愛」があると いつも話してくれた母。 母だけがとわを一番に 安心させてくれる存在でした。 ところが母が働き始め、 とわが一人留守番する日が少しずつ増えていき、 生活が変化し始めます。 一人では生活できないとわは、オムツを履かされ、 母の外出前は必ず「ネムリヒメグスリ」 という魔法の薬を口の中に入れてもらい 眠りにつきます。 働く時間が増えるにつれ母の様子が変わり、 ネムリヒメグスリの量も増えていきました。 そして、ある日突然とわは 一人になりました。 何も見えない暗闇の中、一人ぼっち。 どうして一人になってしまったのか。 疑問に思いながらも、 とわは母の帰りを信じてただ一人、 とわと母の家で待ち続けるのでした。 【とわの庭】 とわの世界に存在するものは、 とにかく限られていました。 とわにとっての時計は、 朝と夕方に鳴く鳥たちの合唱と、 朝昼晩の食事だけ。 毎週水曜日に食料や日用品を 玄関の外に置いて行ってくれる 「オットさん」。 曜日は水曜日から一日ずつ 数えることで把握します。 母が焼いてくれる 美味しいパンケーキの香りや、 母が読んでくれる本で旅をする幸せ。 どれもとわにとって、幸せのしるしでした。 とわのお気に入りの庭は、植物でいっぱいです。 植物の香りから、 とわは季節のうつり変わりを 感じ取っています。 ほかには、屋根裏部屋で 耳をすませる窓の外からのピアノの音。 目で見ること以外にも、 とわが自分の世界を知る方法は たくさんあります。 それは、とわだけが持っている才能なのです。 そんなとわに、やがて訪れる試練は 想像を絶するものです。 とわの経験を描く著者のリアリティあふれる描写に 驚かされてしまいます。 ただ優しさ溢れるだけの物語でなく、 衝撃的な展開をしていき、 とても現実的な物語として 読者の胸に残っていくはずです。 【前を向いて生きる】 母と水曜日のオットさんしか 存在しなかったとわの人生は、 やがて外の世界に住む人たちとの 出会いによって少しずつ変化していきます。 初めは何もかもが恐ろしく、 慣れるためには時間が必要でしたが、 周囲の人は温かく見守ってくれます。 友人のスズちゃんや魔女のマリさん、 初めてできた恋人のリヒト、 盲導犬のジョイ。 ときどき傷つくこともあり、 初めての経験に戸惑うことも 多くありますが、 とわはそのすべてをしっかりと 受け止めていきます。 必要以上のものをほしがらず、 今身近にあるものを大切にすること。 日々の暮らしを大切に、 一つ一つ丁寧にこなしていくこと。 美味しいごはんを食べれることの幸せ。 誰かと会話することの幸せ。 毎日朝が来ることの幸せ。 とわの生き方から教えてもらうことは 山ほどあります。 ただ毎日を平和で過ごせることが どれだけ素晴らしいか、 ハッとさせられてしまいます。 悩みを抱えることがあっても、 当たり前の幸せを思い出せば、 心が温かくなるような気がします。 そんなとわからのメッセージが つまった本作を、 ぜひ一度読んでみていただきたいです。
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