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とわの庭 の商品レビュー

3.7

263件のお客様レビュー

  1. 5つ

    44

  2. 4つ

    104

  3. 3つ

    88

  4. 2つ

    11

  5. 1つ

    2

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2020/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【永遠の愛】 主人公・とわは、母と二人暮らし。 二階建てに屋根裏部屋、地下室、 そして庭がついた一軒家で、 幸せに暮らしていました。 とわは生まれつき目が見えません。 そのため母ととわは、 常にベッタリ一緒でした。 二人は決して離れることなく、 二人で一つでした。 とわの母の名前は「あい」。 二人の間には「永遠の愛」があると いつも話してくれた母。 母だけがとわを一番に 安心させてくれる存在でした。 ところが母が働き始め、 とわが一人留守番する日が少しずつ増えていき、 生活が変化し始めます。 一人では生活できないとわは、オムツを履かされ、 母の外出前は必ず「ネムリヒメグスリ」 という魔法の薬を口の中に入れてもらい 眠りにつきます。 働く時間が増えるにつれ母の様子が変わり、 ネムリヒメグスリの量も増えていきました。 そして、ある日突然とわは 一人になりました。 何も見えない暗闇の中、一人ぼっち。 どうして一人になってしまったのか。 疑問に思いながらも、 とわは母の帰りを信じてただ一人、 とわと母の家で待ち続けるのでした。 【とわの庭】 とわの世界に存在するものは、 とにかく限られていました。 とわにとっての時計は、 朝と夕方に鳴く鳥たちの合唱と、 朝昼晩の食事だけ。 毎週水曜日に食料や日用品を 玄関の外に置いて行ってくれる 「オットさん」。 曜日は水曜日から一日ずつ 数えることで把握します。 母が焼いてくれる 美味しいパンケーキの香りや、 母が読んでくれる本で旅をする幸せ。 どれもとわにとって、幸せのしるしでした。 とわのお気に入りの庭は、植物でいっぱいです。 植物の香りから、 とわは季節のうつり変わりを 感じ取っています。 ほかには、屋根裏部屋で 耳をすませる窓の外からのピアノの音。 目で見ること以外にも、 とわが自分の世界を知る方法は たくさんあります。 それは、とわだけが持っている才能なのです。 そんなとわに、やがて訪れる試練は 想像を絶するものです。 とわの経験を描く著者のリアリティあふれる描写に 驚かされてしまいます。 ただ優しさ溢れるだけの物語でなく、 衝撃的な展開をしていき、 とても現実的な物語として 読者の胸に残っていくはずです。 【前を向いて生きる】 母と水曜日のオットさんしか 存在しなかったとわの人生は、 やがて外の世界に住む人たちとの 出会いによって少しずつ変化していきます。 初めは何もかもが恐ろしく、 慣れるためには時間が必要でしたが、 周囲の人は温かく見守ってくれます。 友人のスズちゃんや魔女のマリさん、 初めてできた恋人のリヒト、 盲導犬のジョイ。 ときどき傷つくこともあり、 初めての経験に戸惑うことも 多くありますが、 とわはそのすべてをしっかりと 受け止めていきます。 必要以上のものをほしがらず、 今身近にあるものを大切にすること。 日々の暮らしを大切に、 一つ一つ丁寧にこなしていくこと。 美味しいごはんを食べれることの幸せ。 誰かと会話することの幸せ。 毎日朝が来ることの幸せ。 とわの生き方から教えてもらうことは 山ほどあります。 ただ毎日を平和で過ごせることが どれだけ素晴らしいか、 ハッとさせられてしまいます。 悩みを抱えることがあっても、 当たり前の幸せを思い出せば、 心が温かくなるような気がします。 そんなとわからのメッセージが つまった本作を、 ぜひ一度読んでみていただきたいです。

Posted byブクログ

2020/12/24

前半は目の見えない少女が母親との2人きりの生活を綴っていく。最初はファンタジーかと思うような静かな筆致だが、読み進むにつれ実はとんでもない事態が起きていることがわかる。後半は少女の置かれた状況の説明とその後が描かれていく。前半と後半で語り手は同じなのだが、陰画から陽画になったかの...

前半は目の見えない少女が母親との2人きりの生活を綴っていく。最初はファンタジーかと思うような静かな筆致だが、読み進むにつれ実はとんでもない事態が起きていることがわかる。後半は少女の置かれた状況の説明とその後が描かれていく。前半と後半で語り手は同じなのだが、陰画から陽画になったかのように劇的に世界観が変わる。その転換が読みどころだろうか? とてもつらく、ひどい話だが、十和子のこれからの人生が幸せなものであってほしい。

Posted byブクログ

2020/12/23

母の歪んだ愛の悲劇,目の見えないとわの世界がこれほど豊かに広がっているのかの不思議だが,彼女の生命力の強さとともに祖父からの愛の繋がりが彼女を支えたのだと思うと,そこには確かに愛というものも存在したのかもしれない.盲導犬ジョイとのこれからの生活が十和子にはもちろん読者にとっても嬉...

母の歪んだ愛の悲劇,目の見えないとわの世界がこれほど豊かに広がっているのかの不思議だが,彼女の生命力の強さとともに祖父からの愛の繋がりが彼女を支えたのだと思うと,そこには確かに愛というものも存在したのかもしれない.盲導犬ジョイとのこれからの生活が十和子にはもちろん読者にとっても嬉しいことだ.

Posted byブクログ

2020/12/19

綺麗な母と娘の、御伽噺のようなはじまり。それがだんだん読むみ進めるのが辛くなるほど過酷な状況に…。 後半に入ったとたん一気に雰囲気は変わり、豊かで暖かい光に包み込まれるような再生の物語に。 哀しくて切ないけれど、読み終えた時はあたたかい気持ちと、希望が見える。

Posted byブクログ

2020/12/19

作中の映画監督志望者じゃないが、よくここまで視覚障害者に寄り添った物語が書けるものです。心温まるお話しだけど、あまりにも…。自分が汚れてしまっているのかな…?

Posted byブクログ

2020/12/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あっという間に読み終えたけど前半部分が悲惨。15年くらい経っていたみたいだけど、どうか半月くらいにと、思いながら読んだ。

Posted byブクログ

2020/12/15

3.5 目の見えない女児・とわは、命綱とも言える母との二人暮らし。優しい母との生活はとわにハンデを感じさせない幸せなものだったが… とわが10歳になる誕生日。 買って貰ったワンピースを着て記念写真を撮る為外出すると、初めて触れる外界の音の洪水にパニックに陥る。 やがて疲労と生活...

3.5 目の見えない女児・とわは、命綱とも言える母との二人暮らし。優しい母との生活はとわにハンデを感じさせない幸せなものだったが… とわが10歳になる誕生日。 買って貰ったワンピースを着て記念写真を撮る為外出すると、初めて触れる外界の音の洪水にパニックに陥る。 やがて疲労と生活苦から母の生活リズムが少しずつ乱れて行き、とわのお気に入りのワンピースが小さくなった頃、母は度々壊れるようになる。 そしてとうとう… 極限の飢えとの闘いを経て、外の世界へと踏み出した少女は…

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2020/12/12

読み始めたら世界に引き込まれて先が気になりすぐに読み終えました。とわは、見えている人よりも色々な物が見えている感じがしました。辛いシーンはありましたが、それでも前向きに生きている所はこちらも勇気づけられました。私も日常の風景の中で小さくても美しい物に気付ける豊かな生活をしていきた...

読み始めたら世界に引き込まれて先が気になりすぐに読み終えました。とわは、見えている人よりも色々な物が見えている感じがしました。辛いシーンはありましたが、それでも前向きに生きている所はこちらも勇気づけられました。私も日常の風景の中で小さくても美しい物に気付ける豊かな生活をしていきたいなと思いました。

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2020/12/08

小川糸さんの新刊は、目の見えない少女が必死に生きる姿を描いた長編小説。最初の方はスラスラ読めていたが、前半ちょっと進んだところでで衝撃の展開があり、読み進めるのが辛かったが、後半は救われる展開で一気読み(タイトルが「とわの庭」なのも絶妙)。庭の花の匂いとか、動物の息遣いが伝わって...

小川糸さんの新刊は、目の見えない少女が必死に生きる姿を描いた長編小説。最初の方はスラスラ読めていたが、前半ちょっと進んだところでで衝撃の展開があり、読み進めるのが辛かったが、後半は救われる展開で一気読み(タイトルが「とわの庭」なのも絶妙)。庭の花の匂いとか、動物の息遣いが伝わってくる感じの、独特の優しい文体もよかった。オットさんとかジョイとかリヒトなど、サブのキャラクターも存在感が強いのは小川さんの作品ぽい(名前も独特)。

Posted byブクログ

2020/12/06

最初は暗い話かと思ったが最後にいくにつれ、胸が温かくなる感じがした。1日1日が貴重でとても大切である事を感じさせてくれる物語だった。

Posted byブクログ