人新世の「資本論」 の商品レビュー
一気に読んだ。経済成長はなくとも豊かな生活を送れる希望が持てる。脱成長を生産の側から考えるところは非常に良かった。日本が隔絶されてる感じが危機感を覚える。行動変容につなげていきたい。
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序文タイトルにあるSDGsは「大衆のアヘン」であるという言葉は、まさに資本が人々を欺き自身の行為を正当化しようとする象徴的な行為を表していると思いました(本書を読んだ翌週にはSDGsに関するオンラインセミナーを主催しているのですが笑)。 さて以前斎藤幸平さんのZoomウェブセミナーに参加したときに日本の緑の党に今後の方針になるものを秋頃に発売するとおっしゃっていましたが、本書はまさに今後の活動指針を策定する上でのバイブルになるものだと言っても過言でもないです。最晩年のマルクス研究の成果を現代に蘇らせ、従来の一般的とされてきたマルクス主義の進歩史観的、生産至上主義的考えを覆し、「脱成長コミュニズム」、「参加型社会主義」というまさにマルクスの復権というような今日の資本主義社会に対して、非常にラディカルで有効な考えを示されています。 こうした考えが徐々に欧州でも「フィアレスシティ」、「ミュニシパリズム」して表見し、市民による政策決定、地域密着型政党の躍進につながっています。こうした動きは今後さらに加速し、グローバル資本や新自由主義的な政府に対抗していく大きな勢力になっていくはずです。 また今盛んに欧州で議論をされているグリーン・ニューディール、本書では気候ケインズ主義と呼ばれている、の欺瞞を暴く議論も大変参考になりました。 本当に示される概念といい、ファクトといい参考になるばかりの本だったので、今後の運動のバイブルとしていきたいです。脱成長コミュニズムの柱の1つとなっている生産過程の民主化は、日本でも復権の動きが出てきてますが、今後ますます声高に叫んでいきたいと思います。地球を破壊し続ける資本主義の異常な収奪、本書でいうところの帝国的生産様式の超克を急ぐ必要があります。残された時間は本当に少ないです。
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