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人新世の「資本論」 の商品レビュー

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453件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/10/28

人類の経済活動が地球を破壊する「人新世(環境危機の時代)」への解決案を提示した、斎藤幸平さんの著書。「SDGsは大衆のアヘンである」という出だしからして面白い。現在・未来の人類の経済活動における、環境破壊について警告しており、現在の資本主義の世界では環境破壊を止めることは不可能で...

人類の経済活動が地球を破壊する「人新世(環境危機の時代)」への解決案を提示した、斎藤幸平さんの著書。「SDGsは大衆のアヘンである」という出だしからして面白い。現在・未来の人類の経済活動における、環境破壊について警告しており、現在の資本主義の世界では環境破壊を止めることは不可能で、ポスト資本主義として成長を捨てた『脱成長経済(脱成長コミュニズム)』を提言する。資本主義を全面的に否定しているラディカルな一冊。

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2020/10/28

他の仕組みがうまくいかないという説明には説得力があるが、では、脱成長のコミュニズムが成立するというイメージが全く出来ないのは、読者の想像力の欠如なのだろうか。

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2020/10/26

マルクスの『資本論』を読み直し、差し迫る環境問題に対応できる新しい「脱成長コミュニズム」を説いた本。脱成長、マルクス、コミュニズムという扱うことの難しい話題に果敢に取り組み、固まった常識を180度転回してくれるとても有益な本だった。資本主義批判やマルクスの読み直しに終始するのでは...

マルクスの『資本論』を読み直し、差し迫る環境問題に対応できる新しい「脱成長コミュニズム」を説いた本。脱成長、マルクス、コミュニズムという扱うことの難しい話題に果敢に取り組み、固まった常識を180度転回してくれるとても有益な本だった。資本主義批判やマルクスの読み直しに終始するのではなく、脱成長コミュニズムという方針を示し、実際に始まっている運動を紹介することで、読み終わった後に視界の開けた感じを強く感じた。内容はやや難しいが難しい概念は何度も繰り返し丁寧に説明してくれるため、序盤を抜けるとサラサラと読めた。

Posted byブクログ

2020/10/25

マルクスの思想から、人新世における気候危機、格差社会、資本主義経済への根本的対処を考えるのが本書の営みである。 個人的には以前から、資本主義の仕組みは既に限界で、脱成長経済が必要であると考えている。そこで出会った本書の考え方は、大いに示唆を与えてくれたものの、あまり現実的ではなく...

マルクスの思想から、人新世における気候危機、格差社会、資本主義経済への根本的対処を考えるのが本書の営みである。 個人的には以前から、資本主義の仕組みは既に限界で、脱成長経済が必要であると考えている。そこで出会った本書の考え方は、大いに示唆を与えてくれたものの、あまり現実的ではなく、理想論に過ぎない部分がまだ多いように思えた。 富の考え方として、「私富」や「国富」に現れてこない「公富」=コモンズがあり、コモンズを軸にしたコミュニズムによって、希少性により価値を生み出す資本主義に対抗するというのは面白い。 コロナ禍での各国における危機に際しても、コモンズが豊かな方がレジリエンスは高まるだろう。 ただ、個人的に感じたのは、崇高な理念から始まったワーカーズ・コープ等の活動も、そのままでは資本主義に飲み込まれていってしまうのではないかという危惧である。 本書で出てくる、本当に必要な仕事であるエッセンシャル・ワークの例として、ケア労働が挙げられている。確かに、ケアワークは社会に必要な仕事であるし、その仕事自体に価値がある。だが、ケア労働に付帯する作業の一切合切がすべて不要なものとして切り捨てることができるのか、疑問が生じる。 確かに、経営者や管理職などで、不要な労働に付加価値を付けている例は枚挙にいとまがないだろう。しかし、人が集まり、組織ができてくると、組織として必要な管理業務が発生する。 組織を形成せずに、すべてのエッセンシャル・ワークを個々人が行うことを想定しているのだろうか。だとすれば、それは現実不可能な理想論になってくる。 本書に「石油メジャー、大銀行、そしてGAFAのようなデジタル・インフラの社会所有こそが必要」とある。確かに、デジタル・インフラもコモンズとして皆が使いたいときに平等に使うことができれば、それは理想的な社会だろう。 だが、そのデジタル・インフラの運用は誰が行うのだろうか。それもエッセンシャル・ワークとして社会に必要な仕事になるだろうが、それこそ一人の個人でできるような作業ではない。幾人もの人間たちがチームを組んで事に当たる必要がある。そうなれば、本書で切り捨てられているコンサルティングのような仕事も必要になってくる。 本書の最後の方にあるように、3.5%の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が変わるというのには、勇気付けられる。 しかし、具体的な行動を実践できる人が果たしてどれだけいるだろうか。 私のような、総論賛成、各論反対の個人たちをどう動かすか。 無限の経済成長という虚妄との決別、持続可能で公正な社会に向けた跳躍というのは、理想論としては素晴らしいが、どうやって実現していくか。どうやって人間たちに一歩を踏み出させるか。 ただ、理想がないと人間は動かないのも真理である。 現実的なところは今後の議論が必要にしろ、理想論としては非常によく、今の社会に必要な一冊。

Posted byブクログ

2020/10/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 人間たちの活動の痕跡が地球の表面を覆いつくした年代。それが人新生(ひとしんせい)の時代。経済成長が困難になり、経済格差が拡大し、環境問題が深刻化している。  経済成長を図りつつ、環境危機を乗り切ることはできない。環境危機に立ち向かいつつ、経済成長を抑制する唯一の方法は、脱成長型のポスト資本主義に向けて大転換すること。市場原理主義のように、あらゆるものを商品化するのでもなく、ソ連型社会主義のようにあらゆるものの国有化を目指すのでもない。第三の道としての<コモン>は、水や電力、住居、医療、教育といったものを公共財として、自分たちで民主主義的に管理することを目指す。  人間が環境危機を乗り切り、「平等で持続可能で公正な社会」を実現するための唯一の選択肢が「脱成長コミュニズム」。脱成長コミュニズムの5つの柱は、①使用価値経済への転換。使用価値に重きを置いた経済に転換して、大量生産・大量消費から脱却する。②労働時間の短縮。労働時間を削減して、生活の質を向上させる。③画一的な分業の廃止。画一的な労働をもたらす分業を廃止して、労働の創造性を回復させる。④生産過程の民主化。生産のプロセスの民主化を進めて、経済を減速させる。⑤エッセンシャル・ワークの重視。使用価値経済に転換し、労働集約型のエッセンシャル・ワークの重視を。  晩期マルクスの思想に活路を求めての提言。世の中を変えていくことは不可能ではない。3.5%の人々が変わると社会は変わっていく。ミレニアム世代(1981年~1995年生まれ)・Z世代(1990年代後半生まれ)に読んでほしい書。

Posted byブクログ

2020/10/17

冒頭にSDGsへの批判があって、自分も違和感があったのでなるほどという感じだった。気候変動などの危機を社会は認知していて、何か対策を打っていかないと企業としてもまずい。それでSDGsを掲げて活動しているわけだが、根本的な解決には到らない。。 資本主義であるかぎり自然や人からの収奪...

冒頭にSDGsへの批判があって、自分も違和感があったのでなるほどという感じだった。気候変動などの危機を社会は認知していて、何か対策を打っていかないと企業としてもまずい。それでSDGsを掲げて活動しているわけだが、根本的な解決には到らない。。 資本主義であるかぎり自然や人からの収奪は止まらない。本当にいま、身近なレベルでも影響が出てきてるように感じている。 毎年のような自然災害(やたら日々の気温が上下したりとか小さいこと含め)、どんどんアウトソーシングされる仕事(効率化のために、と間接業務の切り出しやオフショアニアショアを推進って…切り出された方にとってもハッピーなのか??という違和感)、これらは資本主義であるかぎり止まらないということは本書を読んで納得できた。 これからどうするか、、という部分は難しく、必ずしも同意はできなかったが、これからも考えていきたい。

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2020/10/16

図書館で借りて読み終えた。 考えた。 どこまでも貧しく不合理なのが資本主義だとは思っていたが、気候変動を止めるには資本主義システムとはっきり決別しなければならないことがよくわかった。 考えた。 もっと勉強しよう。急いで。 この本を買うことに決めた。

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2020/10/10

成長神話から逃れられない資本主義のままでは温暖化、環境破壊は止められない。かといって経済と環境保護の両立を目指す気候ケインズ主義にも限界がある。地球と人類が生き残る鍵はマルクスの晩年の思想から読み取れる脱成長コミュニズムしかない・・・ 資本主義に包摂されて「この道しかない」と敷か...

成長神話から逃れられない資本主義のままでは温暖化、環境破壊は止められない。かといって経済と環境保護の両立を目指す気候ケインズ主義にも限界がある。地球と人類が生き残る鍵はマルクスの晩年の思想から読み取れる脱成長コミュニズムしかない・・・ 資本主義に包摂されて「この道しかない」と敷かれたレールの上で走り続けて到達した社会は想像を絶する格差社会。地球に残された寿命はますます残り少なくなっている現状を見ると確かに根本的な思考回路の軌道修正が必要な時期になっているのかもしれません。3.5%の人が動き出すと社会は変わるそうな。それぞれの立場で何ができるか真剣に検討するときの参考になります。おすすめ。

Posted byブクログ

2023/08/27

いやあ、おもしろかった。途中からワクワクしながら読んだ。マルクスが晩年にどんなことまで考えていたのかがわかった。そこがまずおもしろい。そして、いま具体的にどのような動きがあるのかも興味深かった。だいたい文系の著者によって気候変動について書かれたような本では、「地球に優しく」などと...

いやあ、おもしろかった。途中からワクワクしながら読んだ。マルクスが晩年にどんなことまで考えていたのかがわかった。そこがまずおもしろい。そして、いま具体的にどのような動きがあるのかも興味深かった。だいたい文系の著者によって気候変動について書かれたような本では、「地球に優しく」などと書かれることが多いのだろうが、温暖化なんて地球にとっては屁でもないわけで、まあそんな批判的な目で本書を読み始めた。ところが、マルクスの話から脱成長コミュニズムへとどんどん話はおもしろくなっていくわけだ。「貨幣に依存しない領域が拡大することで、人々は労働への恒常的プレッシャーから解放されていく。その分だけ、人々は、より大きな自由時間を手に入れることができる。」もうこのあたりの件は、私自身本当に望ましい生活で、こんな状態が理想である。最終章に向けて具体的な動きも語られており、もうますます期待をよせることができる。さて、自分には何ができるか。ずっと広井良典さんとか佐伯啓思さんとかの本を読んできて、自分の中では「右肩上がり」なんてことばは全く響かなくて、人口は減った方がいいと思っているし、この「脱成長」の気持ちはとってもよく分かる。で、何をするか。まあとりあえずは、こういうものの考え方があることを子どもたちに伝え、あと4年たって定年を迎えたら、貨幣に依存しない、それから、競争とか勝ち負けとか気にしない、そんな生き方ができるといいなあ。そして、もうブルシット・ジョブにはつきあわずに、エッセンシャルワークだけをしていたい。ところで、本書のキーワードをたどっていけば、あきらかに柄谷行人さんと重なっているのだけれど、結局著者はまったくふれていない。これは意識的なものなのだろうか。

Posted byブクログ

2020/10/03

気候変動問題について、「なぜ解決しなければいけないか」という前提から、現在提示されているSDGsなどの取り組みでは根本的な解決には至らないことを丁寧に解説し、そこから解決策として現在の経済システム(資本主義)そのものの問題点へと進んでいきます。 最新のマルクス研究から見えてきた最...

気候変動問題について、「なぜ解決しなければいけないか」という前提から、現在提示されているSDGsなどの取り組みでは根本的な解決には至らないことを丁寧に解説し、そこから解決策として現在の経済システム(資本主義)そのものの問題点へと進んでいきます。 最新のマルクス研究から見えてきた最晩年のマルクスの思想をベースに、「脱成長コミュニズム」という考え方を著者は提示しています。 私自身はこの「脱成長コミュニズム」の価値観に非常に共感・賛同ですが、同時に実現の難しさも感じます。「脱成長コミュニズム」実現には、著者は「使用価値重視への転換」が必要だと書いていますが、どうやってこの「使用価値重視への転換」を実現できるのか。 各地域での取り組みも紹介されていましたが、やはり地域コミュニティをベースとした小さなコミュニティで生きていくことが答えなのだろうか、と思いつつ、インターネットで他のコミュニティの情報にも簡単にアクセスできる現代において、そうした小さなコミュニティは成り立つのか、これから様々な実践として取り組んでいかなければならないのだろうと感じています。

Posted byブクログ