心淋し川 の商品レビュー

西條奈加(著者)

2022/09/24

女の自由と悲しみ
人は淋しく悲しいと思う時がある、家族との別れ、恋人との別れ、特に死別は途方に暮れるほどの悲しい。小説にある江戸時代は特に女は「道具」扱いで「身売り」としても頻繁だったことで、生まれてからの自由がほぼ無い生活を強いらていたことだ。更に騙し、騙され、嘘をつき自分を隠して生き抜くしかない、「淋しい」どころか悲しく、恨みさえ生む、そんな時代に生まれなかった現代の社会に今感謝したい。

2022/09/08

時代小説は初挑戦。知らない単語も出てきたけど、思ったほど読みにくくなかったし、現代小説と変わらない面白さだった。心町に住む人々を通して人生のままならなさ、哀しさが描かれているけれど最後には救いがあってよかったな。

2022/09/04

どぶ川沿いの、長屋のように連なった町屋で暮らす人々の物語。よくある人情噺で、最後には明るく終わるのかと思いきや…まぁささやかな灯火はあるけれど、舞台設定どおり全体に重苦しい雰囲気でした。四人の妾が同居というのも凄まじいと思うけど、息子に異常なまでに執着する母親とか怖すぎる（＾＾；　

2022/09/02

人情もの。
伏線が出てきた時に、この先になにが起こるのだろうと心が急ぐ。
一番なにもなさそうな人にこそ何かあるとは思っていたけど、本当に何かあったから…時代物の読みすぎなのかな。
パッと目と引く訳あり人物(イケメン)が登場しなくてちょっと残念

2024/02/04

この作品での直木賞おめでとうございます。
今まで読んできた西條作品と少し異なるのでちょっと胸に迫るものも多かったけれど、ああ西條さんの物語だ　とは十分に腑に落ちる本でした♪

短編集で冒頭にタイトル作品が来ていて少ししんみり路線だと思ったら続く五篇も同じような染みいる人生模様がずらっと並んでいました。

江戸の窪地にある吹き溜りのような澱んだ川沿いの家屋が連なる場に暮らす人々はみんな哀しい事情を抱えて住むのだが、それぞれの物語に顔を出す差配の茂十がグッジョブ♪

ところが終章で明らかになる実はこの差配にまつわる話こそが深くて哀しくて辛い事実を突き付けるのでした。

なるほど、こういう少し影のある作品が受賞作品になるのですね!
私的には和菓子路線やご隠居路線の方が好きですけど笑

2022/08/31

タイトルも中身も登場人物も全て良かった‥
時代小説なのに面白くて読みやすい！ドラマやアニメを観ているみたいにスルスルと内容が入ってきた。

男尊女卑は当たり前で、30歳過ぎた年増の女性への無礼極まりない態度など今からしたら考えられないことばかりだが、心があったまる展開に日本っていいなと思える

2022/08/30

時代小説は普段読まないジャンルなのですが、直木賞受賞作だし、評価も高い作品なので。短編集と思わせておいての連作集。

日本人に産まれて良かったなって思うし、江戸の文化に触れられて良かったなっても思う。現代の醒めた私達に、無くしてしまったものがあるんじゃねぇですかい、と語りかけられた気がする。

2022/08/26

時代劇の中の人情劇（意味同じか！）といった印象

いつの時代も愛憎の形は変わらんなぁと

それにしても情景描写が丁寧だった

2022/08/23

「心淋し川」うらさびしがわ
タイトルがいいですね(^ ^)

心川…止まったまま流れることのない淀んだ川
いつからか人が住み着き長屋のように小屋が立ち
貧しい人々が暮らしている。

六編からなる連作短編
一つ一つがまさに「心淋しい」話しです。
貧しいけれど必死に生きるその姿は切ないけれど
微かな光が見える終わりかた…

それぞれの話に登場する優しい差配さん「茂十」がラストの話で差配になった理由が語られて何とも言えない気持ちになりました(u_u)

しっとりした切ない良作に満足です。

2022/08/17

久しぶりの時代小説。途中で止まってしまい、読み終えるのにだいぶ時間がかかってしまった。
時代小説に何を求めているかで、評価は変わると思う。個人的には『剣客商売』みたいな、人間ドラマ、キャラクター、事件、生活文化がないまぜになった物語を時代小説に求めているんだと思う。
連作短編の構成で、食と恋愛と家族がテーマの「はじめましょ」は面白かった！