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心淋し川 の商品レビュー

3.8

247件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    126

  3. 3つ

    70

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2023/05/27

面白かった。江戸時代の町人たちの日常やエピソー ドで心が温かくなる。人間は憎しみやわだかまりをこんな風に溶かしていけるんでしょうな。

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2023/04/26

西條さんの本は10冊目。オール讀物の直木賞の特集号で何編か読んだ筈だが、殆ど覚えていない。 心(うら)町の心(うら)川が中心。(うら=裏)に重なるのか暗い内容の話しが続く。その中でどの短編もちょっとだけ明るい兆しが出てくる。6つの短編集だが、全てに裏長屋の差配として茂十が顔を出す...

西條さんの本は10冊目。オール讀物の直木賞の特集号で何編か読んだ筈だが、殆ど覚えていない。 心(うら)町の心(うら)川が中心。(うら=裏)に重なるのか暗い内容の話しが続く。その中でどの短編もちょっとだけ明るい兆しが出てくる。6つの短編集だが、全てに裏長屋の差配として茂十が顔を出す。最後の6編目で今までの住人の繋がりとともに、茂十のここに住む理由が明かされる。悲しい出来事が続く中で、一番悲惨なのに最後に救われた気がした。

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2023/04/23

登場人物、皆澱みを抱えながらも折り合いをつけて己の道を歩こうとしている姿に、江戸時代であっても現代であっても変わらない、人の常を感じた。100%のハッピーエンドとは言えないかもしれないが、納得感と晴れやかな読後感が残る。

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2023/03/28

おそらく時代背景は江戸時代、薄汚い長屋を連ねた街並みに、心町と書いてうらまちと呼ばれる地区があった。 そこに流れる汚い川が心川(うらかわ)という川で、いつも物語は心川を舞台にして巻き起こる。 短編集のようでいて、どことなく章ごとに繋がってくる登場人物と物語たち。 それぞれの...

おそらく時代背景は江戸時代、薄汚い長屋を連ねた街並みに、心町と書いてうらまちと呼ばれる地区があった。 そこに流れる汚い川が心川(うらかわ)という川で、いつも物語は心川を舞台にして巻き起こる。 短編集のようでいて、どことなく章ごとに繋がってくる登場人物と物語たち。 それぞれの主人公たちは、心川のようにどことなくうら寂しく、また満ち足りない心がありながら幾ばくかの温かさに満たされる… そんな不思議な読後感で一気に読めた。

Posted byブクログ

2023/03/16

好きな作家の直木賞受賞作なのに、読むのが遅れた。 心淋し川の辺りにある長屋を中心にした連作。 様々な事情や思いを抱えて生きる人々の切なかったり、怖かったり、ほっとしたりの物語。最後に狂言回しとも言える長屋の差配茂十のエピソードで各話の後日談も描かれて、すっきりとした読後感。

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2023/03/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・心淋し川 ・閨仏(ねやぼとけ) ・はじめましょ ・冬虫夏草(とうちゅうかそう) ・明けぬ里 ・灰の男 表題作の『心淋し川』がまず良い。 お互いに想い合い、身分違いというわけでもないのに、結ばれないこともある。 それが縁というものなのかもしれないなあ。 しんみりした中で、くすりと笑ったのが、おちほに想いを寄せる仕立屋の手代に対するおちほの心の声。 ”手代の長い申しようには少しも心が動かなかったが” ”はっきり言って、この手代に恋心など、とうてい抱けそうにない。” そんなにダメ出ししなくても…。笑 『はじめましょ』は、すれ違って別れた男女の再会の話かと思いきや、最後に一ひねり。 簡単によりを戻させません。 しかし与吾蔵よ、大事なことは血の繫がりではないのだぞ。 逆に『冬虫夏草』は、母の業が怖い。 差配が最後に言う「子供のためと口にする親ほど、存外、子供のことなぞ考えてないのかもしれないな」が心に刺さる。 そこにあるのは愛情ではなく、ただの執着だ。 『明けぬ里』は良い女であらねばならぬ女の性(さが)だろうか。 それとも商品としての女と、人としての女の相克の結果か。 笑顔の下に押し殺した己の我に命を奪われたのかもしれないなあ。 差配の茂十が繋ぐ、ゆるい連作かと思ったら、最後の『灰の男』はがっつり茂十の話だった。 このために、先の話があったのか。 とも思ったけれど、死んだように生きるしかなかった男が生き直す場所は、この心町(うらまち)しかなかったのだろう。 そう思えば、生き直そうとしない『冬虫夏草』と『明けぬ里』が苦い読後感であったことも納得できる。

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2023/03/04

何故だか。。 心淋し川は、三途の川だと思っていた。 つまり、三途の川を通した人情噺だと思っていた。 どこでそんなストーリーが私に紐づけられたのか。。謎。 読み始めて、その設定が全く違うということに気づいて、少し拍子抜けをした。 そこで読むのをやめようか?と思ったが、読み進めるう...

何故だか。。 心淋し川は、三途の川だと思っていた。 つまり、三途の川を通した人情噺だと思っていた。 どこでそんなストーリーが私に紐づけられたのか。。謎。 読み始めて、その設定が全く違うということに気づいて、少し拍子抜けをした。 そこで読むのをやめようか?と思ったが、読み進めるうち、まったくやめることができなくなった。 江戸時代に生きる人たち。 澱み、流れのない川の淵にある心町。 その川は、人間の澱みでもある。 面白い対比だな。。 人間の哀しみ、喜びをさらりと描いた本作。 「はじめましょ」は、泣けてしまったな。。 人間の本質は、この時代になっても変わらない。 きっと、どこかに、登場人物と同じように生きる人がいるはず。

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2023/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

江戸時代の話とは、どこにも書いていませんが、どうしてそう思うのでしょう…。 江戸時代の場末の町のお話。 人情…人の心の闇…切なさ…温かさ… 6編からなる…色々詰まったお話です。

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2023/05/31

江戸時代。心淋し川(うらさびしがわ)と呼ばれる淀んだ川のどん詰まり。 古びた長屋に暮らす人々の機微を描いた時代小説。 第164回直木賞受賞作。 人生の喜びと哀しみ。どちらかと言えば哀しみの方を静かに、淡々と描かれていて、喜びは時折顔を見せるような。 同じ西條さんの作品だと「まる...

江戸時代。心淋し川(うらさびしがわ)と呼ばれる淀んだ川のどん詰まり。 古びた長屋に暮らす人々の機微を描いた時代小説。 第164回直木賞受賞作。 人生の喜びと哀しみ。どちらかと言えば哀しみの方を静かに、淡々と描かれていて、喜びは時折顔を見せるような。 同じ西條さんの作品だと「まるまるの毬」シリーズの方が温かさ強めな感じ。 「八月の銀の雪」と似通った雰囲気を感じる。(傾向という意味で)

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2023/02/14

江戸時代の心淋し川の 周囲に住む人の短編集。 悲しくも、どこか心温まる お話にほっこりしました。 知っている地名が 沢山出てくるのも面白かった! どのお話を読んでも、この時代に生きる女性は 大変だったんだなぁ…と思いました。 しかし茂十を通してみると、みんな明るくて、 根津遊郭...

江戸時代の心淋し川の 周囲に住む人の短編集。 悲しくも、どこか心温まる お話にほっこりしました。 知っている地名が 沢山出てくるのも面白かった! どのお話を読んでも、この時代に生きる女性は 大変だったんだなぁ…と思いました。 しかし茂十を通してみると、みんな明るくて、 根津遊郭のトップである明里が 心中してしまったように 「本当の苦労は目に見えないもの」 であることに、胸が締めつけられました。

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